2016/02/07 のログ
ご案内:「路地裏」にサヤさんが現れました。
■サヤ > 大通りから一本入った裏路地に、刀を杖にして足を引きずりながら進む少女の姿。
汚れ1つついていない巫女装束と対象的に、それに身を包む少女は体の各所に打撲傷を負っていた。
「はぁ……はぁ……ゲホッ、ゲホッ。」
痛む体に鞭を打って、なんとか人目のつかないところまでやってきた。
大通りでこんな姿をして座り込んでいたら、何をされるかわかったものではない。
ドサリ、と崩れ落ちるようにして地面に直接座り込む。
火照った体に冷たいアスファルトが心地よい。人心地ついてから、どうしてこんなことになったのかを思い返す
■サヤ > 公安からの司令で落第街をうろついていて、気付いたら地下の闘技場らしきところに居た。
自分の腕が落ちているのはわかっていたけれど、闘技場の熱気に当てられて、深く考えること無く参加して……。
最初の何人かは倒せた。衰えたといっても、一般人ならそう苦労することはなかった。
でも、その次の相手は……。見覚えのある顔だった。
かつて石蒜が落第街で辻切りをしていた頃に会った顔。つまり被害者だ。その時切り飛ばした左腕は、金属製のものに置換されていた。
自らの犯した罪、それもまだ全く償っていない罪を前にして、サヤは取り乱した。
そして負けた。幸い相手がこちらに気づいていなかったのと、闘技場のルールのおかげで殺されることはなかったが、好き放題嬲られることとなった。
その後闘技場から蹴りだされ、なんとかここにたどり着いた、というわけだ。
「はぁ……。」
ため息が出た。最初の一人でやめておけばよかった、参加しなければよかった、地下になんか行かなければよかった。
どんどんと時系列を遡り、自分の行動を否定していく。
もっとちゃんとしていればよかった、自分を見失わなければ良かった…………。
この世界に来なければ……。
そこまで戻って、ぶんぶんと頭を振る。駄目だ、そんなことを考えたら、この世界で会った人たちに失礼だ。
代わりに襲ってきたのは自己嫌悪。
「……はぁ……。」また、大きなため息をつく。
■サヤ > いくらか休めば、なんとか歩けるぐらいの体力が戻ってくる。
いつまでもここでグズグズしていられない。
「痛っ……。」
顔をしかめながら立ち上がり、何度か深呼吸。
いかにも体力がない素振りなどしていてはかえって危険だ。無理をしてでも平気な顔で安全なところまで向かわなくては。
ぐっと両手を気合とともに握ると、まるで怪我など無いかのようなしっかりした足取りで、裏通りを出た。
ご案内:「路地裏」からサヤさんが去りました。