2016/06/01 のログ
ご案内:「路地裏」に夕霧さんが現れました。
夕霧 > 【夜・適当な路地】

久しぶりにこの辺りを歩く。
以前歩いた時は……何とも死にかけた思いと同時に愉しい時間を過ごす事になったが。

「……そういえば最近見かけませんけど」

その死ぬ思いと愉しい思いをさせてもらった相手を少しばかり思い出して。
元々この辺りに居るのでもないのだろうが。
そもそも気紛れそうではあるし。

ふう、と息を吐いてまた徘徊を続ける。
一度、ああいう思いをすると色々と抜けないのは悪いクセである。

暑くなってきたものの、夜はしん、と静まり返ってそれが肌寒さすら感じさせる。

ともあれ、別に探しに来たわけでもない。
半分この徘徊は趣味ではあるが、まあ問い詰められれば巡回とでも答えられるのが公安委員の強みであろう。
とはいえ腕章をしている訳でも無く、そんな職権乱用を使う事もまあ無いのだけど。

夕霧 > 無論人がいない訳でも無い。
視線や気配は感じる。

とはいえ、今回はそこまでやんちゃをする者も居ないようで。
彼女の廻りはやはり静かだ。
まあ、それならそれでいいというものである。
若干の物足りなさを孕むものの。

路地を左に右に。
適当に進んで。
道はほぼ覚えている。
最初の頃は迷ったものだ。

何かが起きた跡はそこかしこ。
実際に彼女自身もちょっとばかし起こした身である。

荒れる路、へこんだドラム缶、削れる壁。
嵐でも起きたのかという場所も見受けられる。
どれだけの事が起きてどれだけのものが失われたか、流石に想像もつかないが。
『何が起きても治外法権』みたいなもので。
故にこの闇は闇として存在している。

削れた壁に掌を少し這わせて。
また、ゆったりと昏い路地を進んでいく。

夕霧 > 路地を細かく進んで。

己がそういう目にあった場所に辿りつく。
相変わらず、少しばかり荒れたままで。
まあ、誰も整備などする訳もないので当然ではある。

転がるドラム缶の残骸やら、削れた壁などに視線をやり。
あの時の感触を思い出す。
己の額を指で軽く触れる。
今は傷はないしすっかりと塞がっているが思い出せばじくりとざわつく感触。
勿論、何もないのだけど。

ふ、と息を吐いて指を離せばまだ健在であるドラム缶に腰掛けて。
少しばかり一息をつける。

肌寒いと思っていたが歩き続けていれば少し汗ばんでいた。
すい、と手の甲で頬や顎を拭っていく。

天気はいいので空は雲はない。
暗澹たる闇とぽっかりと月が浮かんでいて。
狭く視界の開けない路地からでも見上げれば少しばかり覗く事が出来た。

ご案内:「路地裏」にブリガンテさんが現れました。
ブリガンテ > 「今日もやけに賑わってると思いきや、またアンタか。」

いつの間にやってきたのだろうか、路地の壁にもたれかかるように立っている男。
いつぞやの時みたく声を掛けてくる。
かつて邂逅した時と同じシチュエーションというヤツだ。

夕霧 > ふと、声をかけられてそちらを見れば。
何時の間にか、と言うのもあるが。
いつぞや、という奴で。

「えぇ。『今となっては』この辺りはよく歩きますから」

独特のイントネーション。
ゆったりと視線だけをそちらへ向けて。
柔和な笑顔のまま、態度も特に変わる事は無く。

其処に元々いたように会話を紡いだ。

ブリガンテ > 「なるほど、もう常連ってワケだ。」

クックッと喉を鳴らしつつ『物好きだな、アンタ。』と呟いた。
それにしても相変わらず特徴的なイントネーションにあの笑顔と態度。
その実内心どう思ってるのやら……と彼は考えつつも言葉を紡ぐ。

「今日はどういったご用件で? ここで一緒に遊んだお友達をお探しかな?」

夕霧 > 遊んだ友達をお探し、というのは。
まあ、それもそうである。
大立ち回りをして、目撃されなかったわけもないし。
聞いた事もあるのだろう。

逆にいえば日常茶飯事に『そう言うことの起きる場所』で正しく情報を扱っている者だ、そう判断すらつく。

「用件なんて」

ふふ、と笑う。

「ちょっとした物好きの徘徊ですよ」

確かに探していない、といえば嘘にはなるが。
かといってそれが目的と言う訳でも無い。
出遭えればいいかな、とは思ってもいたし。

「まあ、探していないと言う訳でも無いですけど」

故にそう続ける。

ブリガンテ > 「乙女心ってヤツかね、これも。」

肩を軽く上げ、やれやれとポージング。
茶化すような態度と裏腹に、口元はかすかに笑みを浮かべていて。

「最近、この辺りを風紀や公安がウロつきまわるようになってここのロクデナシどもは随分と鬱憤が溜まってるみたいだぜ?
だから、という訳ではないが精々気をつけたほうが良いと思うぞ。」

『アンタも、俺も。』夕霧と自分自身を指差して言う。
ここ最近は目立った活動を控えてはいるがそれでも彼らにしてみれば処分の対象であるには違いない、と思った。
だから一つ探りを入れてみることにしたのだ。

(さてさて、どう返してくれるか楽しみだな?)

夕霧 > 「乙女心は複雑ですからなぁ」

ころころと笑いながら。
自分の事では無いかのような言い分である。

公安、と言う言葉に少しばかり眉を顰めれば。
そもそも彼女自身が公安ではあるものの。
此処に居る時の自覚は全くと言い程無かった。
それを自分で思えば何とも不良学生みたいなものだなあ、などと考えながら。

「それは、わざわざおおきに。うちも気を付けませんと」

口元に手を当てて。
恐らくこちらの身分もある程度の予想は付いているのかもしれない。

「何かあったらコトですものなぁ」

表面上はそれでもただの物好きの徘徊者を装っておく。
余り意味もないのだろうけど。

ブリガンテ > 「ははは、アンタと話していると愉快で良いな。」

常に裏の意味というヤツを含めて話す彼ではあるが、今回は本音で語った。
こうして気を張らずに会話できるというのは良い事だ。

「ああ、全くだな。俺は俺でよく絡まれて大変でさ、いい加減この界隈から足を洗おうか悩んでいるよ。」

相手の様子を伺う。表情、声色、視線の動き、仕草。
とりあえず今回に限ってだが、自分に対して害意は無さそうだ。

夕霧 > 「それはおおきに」

柔和な笑顔でその言葉を受け止めて。
次にはあら、と少し驚いたように声をあげる。

「お強そうですし、それでも絡まれはるんです?」

と言いながら。
ふむ、と少しばかり思い直す。

「あぁ、『お強そうだから』絡まれる手合いもありますなあ」

うん、と一人納得し。

「何にせよ―――危ない橋は渡らないに越した事はない、いいますし。ええ塩梅に足を洗えればよいですなあ」

こういう世界に足を片足でも突っ込んだ以上。
そうそう簡単に抜ける事が出来ないのもまた事実。
観察を知ってか知らずか。
彼の事情が分かる訳もないがそう続けて。

「一度線路から外れた列車が元の線路に戻るのは難しいですからなあ」

口調も調子も変わらず、うんうん、と自分に頷く様に。

ブリガンテ > 「やれやれ……こんな色男だってのに、困った連中だよな。」

おどけた様子でくるりとその場で一回転。
『ほら、全然強そうじゃないただの色男。』と言わんばかりに。

「元から路線が無ければ無いでどうしようもないだろうし、な。」

実に気持ちが乗ってない、淡々とした言葉。
言った本人をして『しまった、やらかした』という表情を浮かべてしまう。
そして取り繕うようにフォローを入れた。

「ここから抜け出せたら、本屋でも経営しようかね。」

夕霧 > 彼のその表情を見て、かといって其処を突っつくつもりも無く。
ただ、やはり彼もそういう世界なのだろうと。
少しばかりの確信を心に残しながら。

「色男だからこそ、絡まれるというのもありますし」

まあ、結局の所。
絡まれるときは絡まれる、と言う事である。
では絡まれるのと絡まれないのに差はあるのかと言えば。

極論。
『運が無かった』に尽きる。

「本屋はええですねえ。心も豊かになりますし」

個人経営の小ぢんまりとしたあの雰囲気は嫌いではない。
大型書店の蔵書数などもあれはあれで壮観であり見ていて飽きないものではあるが。

ドラム缶から降りて、後ろを軽く叩き埃を飛ばす。

「その時はまた、見つけたら声でもかけてください、本、買いに行かせてもらいます」

ころころと笑う。
軽く腕時計を見れば中々話しこんでいたようだ。
そろそろお暇するとしよう、そう思って。

「それじゃあうちはそろそろ」

それだけを紡ぎ、元来た道に軽く目配せを送った。

ブリガンテ > 「おっと……こいつはいけない。」

こちらも腕時計で時間を確認して、つい長く話し込んでしまったと考えた。
色男と自称するのであれば安全なところまで見送るのだろうが、先程の失態でそういう訳にもいかない。

まだまだ未熟だな、と思いつつ彼女を見送ることにした。

「気をつけて帰るんだぞ。」

彼は夕霧を見送るとただただ空を見上げ続けた。

夕霧 > 「えぇ。そちらさんもお気をつけて」

ゆっくりと会釈する様に頭を下げれば。
コツ、コツと靴音を鳴らして元来た道を歩いていく。

角に姿を消す前に、一度だけ振り返れば。
再度会釈し、そのまま路地の闇へと潜り込んだ。

ご案内:「路地裏」から夕霧さんが去りました。
ご案内:「路地裏」からブリガンテさんが去りました。
ご案内:「路地裏」に金良 楽さんが現れました。
金良 楽 > 歓楽街の表通りにほど近い路地裏にて、一人の男が店を広げていた
店、とは言えど小規模なものであり、小さな看板に「薬」とだけ書いており
小さな台に大小さまざまな瓶が並べられていた

「さて、お客は来るのやら」

店主と思しき男は、ひっくり返したビールケースに座布団を乗せ、そこに座っている
傍らには猫と、何故かギターケース

金良 楽 > 「なかなか来ないモンだね、ピート」

ピート、と呼ばれた猫はパタリと尻尾を振って答えた
まぁ、人通りの少ない路地裏で店を開いているのだから当然なのだが……

「暇だねぇ」

鞄から古ぼけた文庫本を取り出して読み始める
暇つぶしらしい