2016/06/14 のログ
ご案内:「路地裏」に迦具楽さんが現れました。
迦具楽 >  
「はいはーい、もう二度とこんな所に近寄っちゃだめだからね」

【路地裏から駆け去っていく生徒と、それを手を振って見送る迦具楽。
 幸せな昼食の後、帰りがけにふと思いついて古巣に立ち寄ってみたものの、偶然追い掛け回されている一般学生を見つけてしまったのだ。
 一応雇い主の手前、追ってる側も追われてる側も捕まえて事情を聴いたのだが、どうやら追われていた学生は新入生らしく、興味本位で落第街にやってきて因縁を付けられてしまったらしい。
 バカだなあと思ったものの、放っておくわけにも行かずに逃がしてあげたのだ】

「んー、なんとなくでこんな所に来ちゃうなんて、好奇心って怖いわね。
 そうは思わない?」

【背後で尻餅をついている男に向けて訊ねてみるが、つまらないことに答えは返ってこない。
 まあついさっきまで、金切り声を上げて錯乱していたくらいなのだからそれもしょうがないかと、軽く背伸びをして振り向いた】

迦具楽 >  
「アナタもバカよね。
 私にまで襲い掛かってくるなんて」

【そう笑いながら腰を抜かしている男を見下ろすが、すっかり顔色を悪くして怯えていた。
 少し怖がらせすぎただろうか、逃げた学生もかなり怯えていたし、なんて思いつつ。
 自分の事を知ってる人間も随分減ったんだろうなあと欠伸を一つ】

「……それで、ねえ。
 アナタって居なくなっても困らない人間かしら?」

【自ら屈んで、男の顔を覗き込む。
 男はガタガタと震えながら、声にならない声を上げながら懸命に首を振っている。
 そんな男に笑いかけながらゆっくりと手を伸ばした】

迦具楽 >  
【伸ばした手で男の頭に触り、その熱を少しずつ奪い取る。
 そしてその記憶を読み取り、どんな人間なのかを確認する。
 男は触れられた瞬間悲鳴を上げていたが、無視して】

「……ふうん、アナタ学生じゃないんだ?
 それに犯罪歴も十分にあるし、人も殺してる、っと」

【だとしたら丁度いい。
 これだけ怯えてくれているからか、中々美味しそうな匂いがしている。
 今しがた奪った分も、まるで焼きたてのパンみたいに美味しかった。
 悲鳴を上げて暴れ始めた男は、家族も居なければ組織にも属していない。
 つまり、居なくなっても騒ぎになる心配はなかった】

「それじゃ、いただきます」

【そう迦具楽が笑うと、男を掴んでいた手が溶けて男を飲み込む。
 黒い液体となった手が瞬く間に男を包み込むと、一瞬だけジュゥ、と肉が焼けるような音がして。
 迦具楽の手が人の形に戻った時、そこには男の姿はなく僅かな焦げ跡が残っただけだった】

迦具楽 >  
「……ごちそうさまでした」

【手を合わせて、美味しい獲物にありつけた感謝を告げる。
 それから立ち上がると、大通りに向けて歩き出す】

「うん、やっぱり美味しいわね」

【味は言うなればジャンクフードの味。
 香ばしいパンの間に肉汁たっぷりのハンバーグを挟みこんだ、味の濃い食べ物。
 ようするに美味いハンバーグの味だった】

「さって、そろそろ帰ろっと」

【腹ごなしのつもりが、むしろ食べ過ぎたような気分になってしまった。
 早く帰って運動しよう。
 そう思いながら、古巣の路地裏を後にした】

ご案内:「路地裏」から迦具楽さんが去りました。