2016/06/22 のログ
ご案内:「路地裏」に自販機さんが現れました。
自販機 > (路地裏にそれがあった)
自販機 >  ごく普通の自販機らしいのだが、商品の模型があるべき場所になかったり、というか電飾でケバく光り輝いていたり、謎の核マークがペイントされていたりする。
 電飾も何か緑というか青っぽい輝きを纏っていた。野良猫にめっちゃ集られていた。自販機の何に魅力を感じると言うのか。殺伐とした空気の一切をぶち壊すような物体が路地裏のゴミ捨て場に直立していた。

「………」

 特に効果音は無いらしい。
 チェレンk 青い光を放つ電飾をまとってひたすら客を待っている。

自販機 >  お前一年ぶりくらいじゃねぇかと野良猫が言ったらしい。
 なに言ってんだお前。

 「ぶーん」

 などと申しております。
 基本的に自販機は受動的な存在なのである。金銭を受け取り商品を渡す機能に特化したロボットなのである。お金をいれられない貧乏人共はお呼びじゃない。
 どこぞの組織に付け狙われて能力者に追跡されたとか、解剖されそうになったとか、そういうストーリーがあったりするらしいがそんなことはなかったぜ。
 猫のほかにはカブトムシとかが光に釣られて寄ってきていた。夏のせいだろうか。自販機が発する謎の音のせいだろうか。

自販機 >  曰く自販機は異空間に繋がってるとか、
 曰くとある神様の成れの果てとか、
 札束で顔を叩くとデレるとか、
 媚薬が出てくるとか、
 色んなうわさがあるらしい。
 カブトムシの他には下半身の無い猫やらが寄ってきていた。

 「………」

 下半身の無い猫はじと目で自販機を見つめていたが、そそくさと退散していった。あの世と繋がっている島なのだから下半身の無い猫だってうろついていてもおかしくはないのだ。
 自販機はひたすらじゃれ付いてくる猫の相手をしていた。
 猫塗れと化した自販機は猫アレルギーにはさぞ毒であろう。

ご案内:「路地裏」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > 「おっと、こんなところに何か凄い自販機があるぞ!」

普段なら落第街の路地裏なんて行くことの無い男が歩いてくる。
風紀委員の時ですら避けていた場所である。
風紀委員の先輩に頼まれたお使いの帰りでもなければこんな場所には来なかっただろう。
或いは自販機の発する謎の音のせいだろうか。カブトムシとか猫とかとと脳の作りはは近いのかもしれない。

「おっと、カブトムシ!はぁ、でっかいな!」

しかし、興味は自販機からそこに止まっているカブトムシに移る。
あたりにいる猫に下半身が無いものがいるのにも気が付かない
仕方がない。でかいカブトムシだもの。

自販機 >  カブトムシはヘラクレスなんとかとかもいそうな気がする。気がするだけだ、まさか日本に生息していない種が居るはずがない。
 雄雄しい角。立派な甲殻。黒いルビーのような瞳。

 いた。そこにヘラクレスなんとかがいた。捕まえれば高く売れるかもしれない。
 男をよそに猫たちが常識ねぇのかよという視線を投げかけつつ逃げ始める。猫を誘引するためにはなんらかの能力か、餌か、ダンボール箱が必要なのだ。
 カブトムシの他にはスズメバチもまじっていた。男の服にぴとっと止まった。

真乃 真 > 「まあ、今は捕まえておく籠とかないからどうしようもないんだけどね!」

凄い高値で売れそうなカブトムシへの興味はあっさりと消える。
まあ、飽きっぽいのかもしれない。

「おっと、蜂。」

そう呟くと慣れた様子でいつの間にか蜂の羽の辺りをつまんで上空へなげた。
元気でやれよ。
田舎育ちの異能使いは蜂に強いのだ。

「さてと、この自販機にはなにがあるのかな?」

そういいながら覗き込む。
こんな場所だ、良くないものが売って売ってる可能性もある。

自販機 >  そうだ猫だのカブトムシだの蜂だのはどうでもいいのだ。
 自販機へようこそと言わんばかりに電飾が輝き始める。核マークから白い煙があがっているが気にしてはいけない。気にしたら負けだ。
 哀れ放り投げられる蜂はともかくとしても、商品見本さえない謎の自販機が聳え立っていることは事実。
 怪しいブーンという低音を発しつつ待っていた。
 金を投じる箇所は複数あるかもしれないし、一個だけかもしれない。
 見るものによって姿形が変わるらしいので一定していないそうである。

 「………」

 自販機は特に何か発言したりはしない。
 集っていた虫やらはどっかに消えていた。
 意味深に電飾が波打ちつつ輝いていた。

真乃 真 > 例えば薬物なんかがこの自販機を介して売られている可能性もある。
そういうのなら風紀とかに言わなくては!
もしそうならこんなに目立つ意味はないのだろうけども。
…目立ちたいのかもしれない。

「とりあえず百円を入れてみればいいのかな?」

硬貨の投入口に100円を入れてからボタンを探す。
…ボタンないな。

自販機 >  ボタンとかがあるかもしれないが、今のところ見つからないならば、ボタンの無い機種なのだろう。きっと。
 ゴトンゴトンと妙な音を立てて自販機が振動していたが、各所から蒸気を噴き出しつつ商品を吐き出した。
 「猫の異常な愛情」なる猫のパッケージがプリントされた怪しいペットボトル飲料であった。黒ビニールがまかれており中身を垣間見えることはかなわない。容量にして300ml程度しかない。
 製造年月その他情報が完全に欠落しており、怪しいことこの上無かった。

 「ぶーん」

 自販機から登る蒸気の量が減少し始めた。かくりと頭?を垂れる。
 飲料は生ぬるい。あたたか~い つめた~い ではなく、なまぬる~い。この季節には飲みたくなくなる酷い温度設定であった。
 何故か取り出し口から白い煙が昇っていた。きな臭い香りまで漂っていて。

真乃 真 > 「生あったかい…。」

人肌よりも少し暖かい程度の飲み物?が出てきた。
黒い、何も書いていない。
何だろう…なんかの法律とかに引っかからないんだろうか?

「もしかしてこれ、壊れてるんじゃ…。」

こんな温度のものを出すのだ冷やす機能が壊れてるのだろう。
メーカーの電話番号を探すもxxx-x■■xx-xxxxとしか記されていない。
…とりあえずペットボトルの蓋を開けて匂いを嗅いでみることにした。

自販機 >  むしろ平常営業中ですといわんばかりに自販機がドヤ顔をしている。顔なんてないけど。
 法律どころか風紀やら魔術なんとかに目を付けられたり蹴られたりしてたりするのだ。いやぁ結社は強敵でしたね……。
 電話番号らしき数字はあるのだが、意味不明な羅列である。仮にかけたところで繋がるはずもない。存在しない番号なのだから。携帯端末で読み取れるようなコードも記載されてはいるが、読めないだろう。
 ボトルの蓋を開けると、濡れた犬もとい猫のような香りがぷんぷんと漂ってくる。

 「ぶーん」

 するとなんということでしょう。
 男の足元と周囲に猫がずらりと集まっているではないか。黒猫もいれば白猫もいる。ぶちもいる。三毛猫もいる。あらゆる猫が男をじっと見つめていた。
 緊張感高まる中でペットボトルの中の液体は猫の体臭らしき香りを振りまいていた。

真乃 真 > これは飲み物何だろうか?
いやこの匂いは違う気がする。いや絶対、違う!
絶対違うと言い切れる!

「うお!」

そして気が付くと猫に囲まれている。
やばい特にピンチではない!
ピンチではないが当然驚いてその液体を自らのズボンとあと少し自販機にもぶち撒けた!

「ぬるい…くさい…。」

自販機 >  次の瞬間一名と一台を包囲する猫達が一斉に動いた。
 壁をわざとらしく飛び越えて接近する猫。舌なめずりしつつ走る猫。無表情の猫。あらゆる感情渦巻く猫達が自販機に殺到する。自販機は哀れ電飾をもぎ取られもみくちゃにされつつも横倒しにされてどこかに転がっていった。
 猫津波とも称するべきそれはゴミ捨て場を洗い流していく。
 男のズボンにも猫が殺到していく。噛み付き、引っかき、体当たりをしつつ。バターになるような速度で潮流を形成しつつ、男の体を押し流そうとする。
 抵抗するには、波を掻き分けるなり逃げるなりしなければなるまい。
 男の対応はいかに?

真乃 真 > 「うわー!」

おそらくこの液体が原因だろう『猫の異常な愛情』。
この島に二年と少しもいれば理不尽とか不条理とかには少し慣れたと思っていた。
…だが甘かった。
猫の津波は真のズボンを奪いさっていき
匂いが残った真自身も巻き込まれてどこかに流されていく。

ああこんなことなら先生の忠告を聞いて落第街なんかに来るんじゃなかった…。

そんなことを最後に思いながら意識をそして姿を濁流の中へと消していった。
…津波の去った路地裏にはすでに何も残されてはいなかった。