2016/07/20 のログ
白井 命 > ちょっといつもとは事情が違うみたいだ。
否、そう言うのも含めていつも通りなのかもしれないけれど。言いだしたら枚挙にいとまがないものである。
高速の鉛玉や、時に魔法弾など、普通の人一人倒すには十二分に飽和攻撃であると言って良い攻撃が、
直立した制服の女子生徒へと次々と飛んでいった。

『や、やったか?!』
『バカヤロウ!縁起でもねぇこと言うんじゃねえ!まあやってるだろうけど。』
『『アヒャヒャヒャヒャ』』

煙に包まれる姿を指差して大笑いする夏休みに浮かれた不良たち。

「んで?それで撃ち尽くしたワケですかぁ…?いやあ………ねえ。」

制服だけ袖や腹が破けて直立している真っ白な少女が煙からふわっと出てくる。
制服から炙れた皮膚には弾丸が減り込んだ後もなければ、傷一つついてはいなかった。

『俺ちょっと用事思い出したわ。』

一番後ろの一番ヘタレっぽい奴がスタコラサッサとその場を離れる。
言葉通り彼等は玉を打ち尽くした様で、ある者はへたりこんで、ある者は逃げ出す、ある者は失神したり、
一瞬静まった騒ぎは大きくなっていった。

「鉄の塊から鉄の塊が飛び出してくる…面白い玩具ですけどお……
所詮玩具は玩具なんですよお…物理の授業で習いませんかねえ?」

焼けて灰になった布地を払えば、

「テメーは殴り甲斐がありそうですねぇ…?ああん?じゃあテメーに全部アイツラの責任とってもらいましょー。」

一番最初に逃げたヘタレっぽいファッション不良な彼を追いかける。
まるきり不自然な足取りで奇妙な程に加速をすれば、軈てそれを追いかけて…。

『あでっ。えっ…これは。…俺超絶ピンチじゃね?』

今新たにこちらへ向かってくる龍宮へとあわや正面衝突せんとばかり走る不良男子、
その後ろに追跡者の真っ白な少女。反対方向へ逃げる撃ち尽くしたピストル持った不良達。

「おやあ…どっかで見たことあるよーなないよーな奴がいるような気がしますねえ…?」

気のせいかそうでないかはさておき。
基本的に命にとって知ってる奴ってのは概ね気に障る奴である。
故にその目付きは友好的なものではないのである。
知らない人にも友好的ではないけれど。

龍宮 鋼 > (角を曲がると、正面から走ってくる男の姿。
 それを気だるそうな目で見て、)

邪魔だ。

(邪魔な虫を払うような動作で、右手の甲を男の顔に向けて走らせる。
 ただそれだけの動作だが、当たれば弾かれたように横へと吹き飛ぶだろう。
 異能を持たない普通の人間であれば、腕でガードしても同じことの筈だ。)

――あー、テメェ知ってるわ。
なんかアレだ、ちーっと馬鹿にされるとすぐ切れるヤツだろ。

(彼女の噂は聞いている。
 やれ馬鹿にした教師を殴ったとか、生徒を殴って病院送りにさせたとか。
 姿を見たことは無かったが、頭のてっぺんからつま先まで真っ白な生徒と言うのはそう多くないだろう。
 一度ケンカしてみたかったヤツで、楽しそうに笑いながら指差す。)

白井 命 > 「わぁお。」

ピンポン玉みたいに飛んでった不良の姿を流し見る。
それはそれは、まぁ綺麗に吹っ飛んでいった。無気力に感嘆の声を漏らす。

「貴様ぁ…なんてことしてくれてんですかねぇ………?
これじゃあ私の破れた制服代諸々のオトシマエ付けてくれる奴が居なくなっちまったじゃありませんかぁ………?」

腕組みして、真正面から睨み付ける。成程、こんな糞っ垂れな場所をほっつき歩くだけの目付きをしている。
先の不良のアホみたいな吹っ飛び方と言い場慣れしているのだろうことはそれだけで分かった。
けれども命はとりわけそれに怖じも譲りもしてやらんと、
真っ白な中に浮き上がる異質な程鮮やかな赤紫色の瞳が三角になる。

「え………あん?なんっすか貴様。その辺のコンクリートに埋められたい?
…私も貴様の事なんか知らんが知ってる気がしますねえ………誰ですっけ?貴様。
私はどーにも気に入らん奴だった記憶があるんですけど。会ったことありますっけ?
ま、んなことはどーでもいーんです。
見ての通り貴様のせーで不機嫌なんでえー、私はあ、財布と携帯を置いてねえ、必死に謝って許しを乞う事をぉ、お勧めしますよぉ?
一先ず土下座しやがりますかぁ………?」

これでも丸くなった方である。と言われている。
もし一昔前なら指をさされて笑われた、それだけで爆発の引き金になりかねんだろう。
やけにゆったりしているようでまくしたてるような口調。
言葉通りの険悪な雰囲気を放ちながら右手を握りしめ息を吹きかける。
彼我の距離を幾歩か詰めれば、左手の親指を鉛直下向きへ向ける。
この手の奴は、この手の奴でなくても、多分しないだろうって予想はついてるけど。

龍宮 鋼 > んなもん知るかよ。
勝手にその辺のヤツの財布でも拾っとけよ。

(彼女の破れた制服の事なんて知らないし、自分にはそんなことは関係ない。
 ただ邪魔だったヤツを吹っ飛ばしただけで、彼女の獲物と言うなら逃がすほうが悪いのだ。)

あー、言葉が多い。
ぴーちくぱーちく吼えてる暇あったら掛かって来いよ。
それともアレか、弱いやつほど良く吼えるっつーあれか。

(お互いこんなところのこんな場面で出くわして、平和的に話し合いなんてガラでもないだろう。
 喋っている暇があるならさっさとケンカしようぜと言わんばかりに人差し指を立ててちょいちょいと招くように動かす。)

白井 命 > 「ほーん。……ああ、ああ、そうですかあ。わっかりゃーした。
テメーは要はアホなんですね。あいあい。」

一先ず彼女の姿を端から端まで眺めれば、気に食わんとばかり鼻息を。
あからさまに舌打ちすれば、成程こいつは筋金入りの戦闘狂タイプなんだと、
少なくとも多少の話し合いも難しいタイプなんだと嫌でも理解したのだろう。
けれども暴力的な命にとってはと言えば、喧嘩の御誘いというよりかはまるでそれが殴ってくれと言ってるような錯覚であり。

「ドMっすか?まぁいいわあ………はっはぁ……酔狂なヤツもいるもんですねえ!んじゃ御先にー。」

宣言と共に真っ白な手をあげる。この時だけは少しだけ気分が良さそうだった。
握った右手を解いて開き、

「おらッ!」

言葉とは裏腹まるっきりやる気のなさそうな冗談半分のノリツッコミ的な速度の右の平手を彼女の頬へと宛がおうとした。

ただ、命にとっては普通の誰かを吹き飛ばすにもこれくらいで十分すぎるのだ。
相手が普通の誰かに該当するかは分からないが、一度何処かに当たればそれがうまく受け流せたとして、或いは何かで防いだとして大きな威力と衝撃があろうことは言うに硬くない。
何故なら、その圧倒的な体重と密度が、低すぎる速度を押し殺して破滅的な運動エネルギーと運動量を齎すから。
鈍く空気が揺れる音ともに、平手打ちが放たれた。

龍宮 鋼 > (何か話している彼女の言葉は右から左。
 自身が気になるのはこの真っ白な少女がどのぐらい強いかと言う事だ。
 強いだろうと言うのはにおいでわかる。
 そうこうしているうちに放たれる右手。
 それを目で追いながら、異能が強いタイプか、と考え、)

――ッ、!?

(速度からは考えられない衝撃が頭と首を襲う。
 咄嗟に首を捻り、衝撃を逃がすがそれでも尚ケンカ慣れした頑丈な身体が右へと傾ぐ。
 右脚を大きく右側へ踏み出し、回転しながら倒れこみそうになる身体を支える。
 前を向いたまま彼女に背中を向けるほどに上体が捻られ、左手の先が右脚のつま先へ触れそうになっているのがその威力を物語っているようで、)

――っらァ!!

(その反動を利用し、思い切り右拳を彼女の顔面へと振るう。
 右に身体が傾いて、右脚で身体を支えるまでの流れは、確かに彼女の平手打ちによるものだ。
 しかしその後身体を捻ったのは自身の意思で行ったものだ。
 目的は当然、全力のフルスイングを彼女の顔面へ叩き込むため。
 白い少女の平手打ちとは比較にならない速度。)

白井 命 > 「あっはぁ!今のですっころばねえたあ………ああん?へえ。」

僅かに顔を顰める。
命の一撃は普通なら吹き飛んで気絶するくらいの運動量だった。
事実彼女もノーダメージではなかったのだから、ただ、それでも転ばず、その威力を次の一撃に転じる。
さて、今まで殴りつけて奴の中にこんな器用な奴はいたろうか。
不意打ちでなしに、飛び道具もなしに、それも顔面へと向けてその拳をぶつけた奴なんぞいなかったんじゃなかろうか。
その素早い拳は的確に慢心しきっている命の顔面を真正面から捉え、
鼻を殴りつけた。鼻血は垂れないが、慢心の笑みは引いた。
命は硬く、重かった。何も考えるまでもなく、気付けば拳が飛んできていた。
命は別にそこまで喧嘩が上手ではない。ただただ異世界の重みという強さがあるだけで。
技能面では言うまでもなく下回っているだろうし、まともな殴り合いの喧嘩もきっとそうだ。

響くのは人を殴った音ではなく、重金属か魔導石でも殴ったかのような低い音。
彼女の拳へと伝わるのも、人や動物を殴りつけた感触とは全く違う異質な物だろう。

「どこまで私をバカにすりゃあ気ぃ済むんだ貴様ぁあッ!!落ち、ろッッ!!!」

文字にすれば結構悍ましいながら、声はそこまで怖くはなかった。
表情は憤怒しているそのものだが。

叩き付けられたその拳を両手で掴む。
その異質な重さで押し返す、やや怒りでネジが外れかかった彼女の手の握力の強さが如何なるものかは説明するまでもなかろう。
抵抗されないなら、そのまま滅茶苦茶な力で彼女の身体を鉛直下向きへと投げ下ろし、路地へと叩き付けようと。

龍宮 鋼 > (人の顔を殴った感触じゃあなかった。
 それが彼女の鼻っ柱をブッ叩いた感想である。
 とは言えこちらもただの人間ではない。
 とびきり頑丈な鋼龍の血を引く者だ。
 多少痺れはするが、拳が砕けたり手首を痛めたりはしない。)

バカにしてんのァテメェの方じゃ――っうおぁ!?

(叫び返すも、腕に異様な重さが掛かる。
 ならばと左拳でもう一発殴りつけてやろうとしたが、身体が浮いた。
 筋力は人の域を超えてはいるが、体重は見た目相応のものだ。
 相応の力が掛かれば浮く。
 次の瞬間には地面へ真っ逆さまだが、無理矢理身体を捻って両足と左手で無理矢理に着地する。)

――死ねオラァ!!

(全力で立ち上がる勢いを乗せて右脚を振り上げる。
 獣のような体勢から全力で垂直に跳ね上がるように。
 半龍人の全力の蹴り上げを彼女の顎へ。
 同時に掴まれている右手で彼女の腕を思い切り下へと引っ張る。)

白井 命 > 「んん…ッ?!テメ…ッ…?!」

無理矢理重さで押し切ってやろうと思ったが、相手も相当無理矢理な事をする。
力だけで為される暴力は、再び上手い具合に流され、そして反撃の機を作られた。
如何に強烈な力とて引っ張ったぐらいではビクともせん馬鹿重い身体が、
経験不足やらも重なりこの時は巧く下ろされ、そして顎は綺麗に蹴られた。
それでも吹き飛ぶことはない。力を流したでもなく、またうまく位置を取れたわけでもない。
状況的にそれらはほぼ最悪だった。表情が歪む。真っ白な顎が砂のように削れて崩れる。

「………いい加減にしやがってくれますかねぇ…?」

乗った速度を再び顎と手、その重さで押し返す。
段々と重さが増していくのが感じられるかもしれない。
突然前触れなく発動するは、重力を操作する異能、早く言えば身体に触れている物を「落とす」異能だ。

「ちょこまかとさぁ…あったまきました。埋めてやりましょーかぁ!!!」

触れる面積も広まれば、重さのかかる次第に力も強くなっていくだろう。
己にかかっている引力の制限を解放して、立っている彼女の姿勢をへし潰そうとしていく。
それこそ本来その重さは普通の地面を歩けば埋まる様な、大型陸上兵器の重さに勝るとも劣らんものを凝縮したようなものなのだから。

龍宮 鋼 > (最初の接触で分かってはいたが、やはり重い。
 見た目よりとかどうとかと言うレベルではなく、非常識に。
 しかし、今更だ。
 非常識などこの島では常識だし、自身もそんな非常識に分類されるモノだと自覚しているのだから。)

弱ぇな。
テメェ弱ぇよ。
力は強ぇしハチャメチャに堅ぇしアホみたいに重ぇけどよ。
ぜんっぜんつまんねぇよ。

(蹴りは彼女の顎へと叩き込まれたが、しかしその身体は跳ね上がらない。
 しかし自身からすればそれだけだ。)

テメェが鈍いだけだろ……!

(しかしこの重さは流石に辛い。
 何とか脚は引っこ抜いて、左腕でのしかかってくる頭を支えているが、徐々に腰と膝が折れ曲がっていく。)

――なぁ、オイ。
地球に殴られたこと、あるかよ?

(その状態で呟き、右腕を引く。
 同時に前に出した右脚を上げ、左脚と左手だけで重い彼女の身体を支える。
 長くは耐えられないが、一瞬片脚が浮けば良い。
 勢い良く右足を地面へと振り下ろし、同時に右肘を振り上げる。
 狙うのは彼女の腹、彼女の重心の位置。
 地面を踏みつけ、その反動と地面の重さをそのまま振り上げた肘に伝える、発勁と呼ばれるそれに似た技術。
 半ば我流に近いモノではあるが、当たれば先ほどの拳や蹴りよりも大きな衝撃を感じるだろう。)

白井 命 > 「ああ…?………ハイハイそうですかそうですか。貴様を楽しませるためにしてんじゃねえんで。」

同じ重さなら、間違いなく弱いのはその通りである。
事実戦術の通り喧嘩が強いわけではない。一方暴力ばかりなのだから。

「私も貴様がちょこまか逃げやがんであんまり面白くねーんですね。殴らせてほしいもんですけど。」

話す余裕も出てきた様で。
先と同じく技術がない、力と重さだけの捻じ伏せを続ける。
どこにどれだけ力を入れているかなど、意識していない。

「良く耐えやがんなあ…!?ナニモンですか貴様…地球?んなもんあるわけ―――ッ?!」

ごっつん、と何かが腹部を叩きつけた。
その身に走る衝撃。重兵器の身体、それが突発的とは言えよろけて…、地面を擦り割り後退する。
そして彼女を抑えつける力が外れる。

「…何故だぁ…どうやって…!?」

後退させられる。
己の異能でもなければ、無論足でもなく、他人の力で。
それは、今までに感じたことがない感覚だった。

「チッ…クソアマァ!馬鹿にしやがってぇえええ!!!」

吠えて襲いかかったところで、もう遅いだろう。
本人もそれを察している様で。
つまらんだの鈍いだの、言わせておけば好き勝手、けれども命に黙らせる術はない。
事実そうだからである。
そしてそれの意味する所は、それも察しがついてきた。
勝てないんだろうって。

「なんかもう、どーでもよくなりましたねええええ!覚えてやがれです!
今度!会ったら!!ぶっ殺してやるっ!!」

捨て台詞に負け惜しみ。
形相だけは鬼の如きながらも、言ってる事は情けない。
それぞれ大きな声で叫び散らせば、
無様に背を晒し、何かに引っ張られる様に空宙へと舞い上がれば、自由落下しているかの如く急な加速でどこへやら逃げていった。

暫く愚痴や嘆きが絶えない日々が続きそうである。

ご案内:「路地裏」から白井 命さんが去りました。
龍宮 鋼 > (肘が腹をブッ叩く感触。
 顔を叩いた時と変わらないそれではあったが、しかし彼女の身体は後ろへ弾かれる。
 自身に掛かる重さがなくなり、やっと窮屈な体勢から抜け出せた。)

ったく。
重ってェ身体しやがって。
ダイエットしろダイエット。

(付加が無くなってすっきりした。
 ぐるぐると肩を回し、首をゴキゴキと鳴らす。
 久しぶりに使ったが、どうやら鈍ってはいなかったらしい。)

地面をこう、思いっきり踏みつけっだろ。
同時に俺が地球から押されるわけだ。
そいつをテメェにぶつけた。

(どうやって、と聞かれたので説明する。
 当然ただそれだけではなく、それを伝える身体の動きだとか震脚と打撃のタイミングだとか色々あるのだけれど、そこまで説明してやる義理もない。)

馬鹿にしてんのはテメェだっつの。
重さと堅さに任せたアホみてぇな力押しだけで俺に勝てるとでも思ったのかボケが。
三年修行して出直して来い。

(流石に彼女ほどブッ飛んだレベルではなかったが、そんな連中は何人も殴り飛ばしてきた。
 ただケンカがしたいのではなく、自分と互角に殴り合えるヤツとケンカがしたいのだ。
 そう言う意味ではこの白い彼女はまだ足りない。)

あー、テメェなんかもう忘れたよ。
さっさと帰ってメシ食ってクソして寝ろ。
もっとマシんなったら相手してやっからよ。

(だからこそ彼女に技術が加われば。
 素材は一級品なのだ。
 キチンと料理されれば、今までで最高のメシになる。
 そんなことを考えながら、文字通りすっ飛んでいく彼女から目を離して。)

龍宮 鋼 > ――ッチ。
つえーっつうから期待してたんだけどなぁ。

(ぼやきながら路地裏を歩く。
 今までの経験上、下手に強い異能を持っているやつとのケンカは楽しくない。
 よほど異能が飛び抜けているか、弱くても上手く異能を使ってくるヤツの方が楽しいのだ。)

そんで?
残ってんのはグエンってヤツと……
あー、なんか魔王がどうとか言う話も聞いたな。

(記憶を漁ってめぼしいケンカ相手の名前を口にする。
 とりあえず当面の目標はグエンと言う男だろうか。
 とは言え連絡先も知らない相手だ。)

ま、当面は「聞き込み」だな――

(に、と楽しそうに獰猛な笑みを浮かべながら、路地の奥へと消えていく――)