2016/07/27 のログ
加賀智 成臣 > 「……異能の無効化、試したことはあります。駄目でしたけど。
 死ぬ直前に無効化が解けてまた再生しました。
 不死身じゃなくて、死んでも死なないって言ったほうが正しいんでしょうかねぇ。……まぁ、どうでもいいか。」

手のひらと額を拭われる。
ハンカチには赤黒い血がべっとりと付いた。もう使いものにならない。

「……まあ、そういうことなのでハイ。今んとこ、僕の不死を突破する方法は見つかってません。
 これからも見つからないんじゃないかとも思いますけどね。ハハ、ハ……」

引きつった笑いを見せる。何処か物悲しげな笑みだ。
そして立ち上がり、尻をぱすぱすと払う。どうやら帰るようだ。

奥野晴明 銀貨 > 「……そうでしたか、すみません」

やはり駄目かと内心でため息を吐いて、立ち上がる加賀智を心配そうに見守る。
やがて帰る素振りを見せれば右手をゆるく振ってバイバイの挨拶。

「どうせ死ねないなら、また会いましょう。
 今度は難しいこと言いっこ無しで、単純に遊んだりとか」

相手がこちらに対して忌み嫌っているのならそんな約束も無駄だろうが
どうせ広くて狭い常世島で、お互い生きているのならどうしたって出会うこともあろう。

それじゃあお大事に、気をつけてといい添えて
緩やかな微笑を向けると使い物にならなくなったハンカチを
ゴミ箱に入れて反対側の路地へと去っていく。

あっという間にその小さい姿は遠くへ霞んで消えた。

ご案内:「路地裏」から奥野晴明 銀貨さんが去りました。
加賀智 成臣 > 「…………。はぁ。」

辺りを見回し、溶けるように消えた銀貨の姿を探す。
その姿が見えなくなったのを確認すれば、独り言を言い始めた。

「何考えてんだかサッパリ分からない人ですねぇ。……はぁ。
 羨ましい。」

その飄々とした態度が、ひどく妬ましく思える。
羨むばかりで何も変えないし、変わらない。そんなことは分かっている。
だが、それでも羨んで、恨んで、妬んだ。

「ああいう人こそ幸せになるべきなんでしょうねぇ。僕じゃなく。
 ……ああ、今日も死ねなかった……」

ふらふらと路地裏を後にする。
乾いた血の跡だけを路地裏に残しながら。

ご案内:「路地裏」から加賀智 成臣さんが去りました。