2016/08/26 のログ
ご案内:「路地裏」に迦具楽さんが現れました。
迦具楽 >  
 夏の夕暮れ時。
 いつからそこにいたのか、路地裏の日当たりのよい場所で寝転がっている人影が一つ。
 猫のように丸くなっている人影の周りはなぜか夏とは思えないほど涼しく、涼を取りに来た本物の猫も集まっている。

「あつあつの……にくまん……」

 そのうちの一匹に寝言を言いながら顔を押し付けている。
 どうやら幸せな夢でも見ているようだ。
 

迦具楽 >  
 昼寝をするにしても物騒な場所だろうと思いもするが。
 迦具楽からすればここは古巣であり、以前からの気に入りの場所。
 ほら壁の方を見れば、寝てる間にちょっかいでも出したのか気を失って倒れている人間が一人二人。

「ふかふか……」

 手近な猫を抱き寄せながら、気持ちよさそうな様子だ。
 しかし、ここを通ろうとすれば邪魔といえない事もない。
 避けて通ろうとすれば通れるだろうが、一言言いたくもなるような占有ぶりにも見えるだろう。
 

ご案内:「路地裏」に白椿さんが現れました。
白椿 > 基本的に、狐というものはだいたいヒマである。
ヒマを使うことにヒマではないのだが、世間ではそれをヒマという。
ゆえにヒマである。

となれば、どーしてもヒマを使わざるを得ない。
それが本物の狐であってもそうでなくても、狐らしい事をしようとすればそうなるし
そもそも狐らしい外見で狐らしいことをしていれば、とりあえずそれは狐と言える。
本人がどう思っていようとあまり関係はなく、本人が知らぬことがあってもそれもまたあまり関係ない。

つまり。
まあ、ありていに言って、狐がヒマでブラブラしていたらもっとヒマそうにしている奴に
行き当たった、というだけの話である。

「……ふむ。コレはどうしたものかえ」

見れば行き倒れが数名、満足そうに転がっているものが一名。
蹴り飛ばすにも無視するにも涼むにもちょうどいいが、さて。

迦具楽 >  
 そのもっとヒマそうな奴は、人が来たというのにお構いなく猫を抱き寄せて寝転がったままだ。
 周辺は涼むにはちょうどいい気温になっているだろう。
 日差しもまだまだ暖かいはずなのだが、一向に暑くならない。
 ある程度熱を感知できれば、目の前の超暇人に熱が吸われていっているのがわかるかもしれない。

「ん、んふふ……」

 何が楽しいのか、にやけている。
 ほほえましく見えない事もないが、人によっては腹立たしく感じる可能性もあるだろう。
 

白椿 >  
「ふむ」

夏の暑い盛りである。
どうしてこうも暑い必要があるのかというくらいには。
まあ本来、そういうところであまり困るような素性でもないしそういった存在でもないのだが
それはそれとして暑く感じるものは暑い。

別に日本の夏として、それはそれでまあいいかと思う部分があるにせよ
適度に涼むに越したことはない。

「……よし」

決めるが早いか、くるりと向き直ると、そのまま去っていった。
戻ってきた袋にはかき氷。
しかも、しろくまである。コンビニで売ってる高いやつ。

「うむ、起きるが良いぞ。そなたの分も買ってきておいたゆえ」

……ありがた迷惑かもしれないが。

迦具楽 >  
「ん、ん……んぅ――っ?」

 声をかけられると、暇人は目を擦りながら起き上がり、一つ大きなあくびをすると悠長に背伸びをしてから白椿を見た。
 そして不思議そうに首を傾げてから袋の中身を無遠慮に覗き込む。

「……あ、カキ氷だ!
 え、なに、くれるの?
 くれるなら遠慮なくもらうんだけどっ」

 どうやらあのしろくまを知らなかったらしい。
 しかしカキ氷には興味を示して、キラキラした目で見上げている。
 どうやら有難さしかなかったようである。
 今すぐよこせと言わんばかりに目で訴えていた。
 

白椿 >  
「うむ、危ないところであったな。もう少しで、この袋の中身はそなたの首筋へと
素敵に押し付けられるところであったゆえ」

物騒な話ではあるが、それも世の中の習わし。
起きない輩には買ってきたかき氷やアイス、冷たい飲み物を首筋に押し付ける
エターナルブリザードという遊びが、夏の風物詩として伝統的である。
相手は死ぬ。

袋からそれを出し、しろくまだけに許された栄誉である大型スプーンを分けて寄越す。

「涼むなら此処だと思うてな。であれば、場所代くらいは出すべきであろ?」

袋にはお茶も用意してあるあたり、手慣れたものである。

迦具楽 >  
「わぁお、それは危なかった。
 驚いてうっかりあなたごと食べちゃうところだったわね」

 「あまり美味しそうじゃないけど」と、付け加えながら腰を下ろす。
 その下にはどこから出たのか座布団が敷かれていて、その隣にも同じように座布団が敷かれていた。

「そっか、今はここ涼しいものね。
 たまに五月蝿い蝿が来るけど、それでもよかったらどうぞ」

 周りの涼みに集まってきたんだろう猫を眺めながら、そのうち黒猫を捕まえて膝に乗せた。
 隣に置いた座布団を軽く示して座るように勧める。
 まだ寝起きだからか、眠そうに小さく欠伸をした。
 

白椿 >  
「む……食すとな?」

座布団に座りつつ、しろくまのフタを開ける。
そしてこの、冷やされて粘性の高くなった練乳がだな。
練乳が練乳で練乳うううという感じの重さを持って、のびねばつくさまが素晴らしい。

それを褐色の狐が口に運ぶさまがこう。
いわゆる、健全な夏の生活感がこう。

なお、別に食べるのが下手だったりしないので、胸元にとろりこぼしたりとかはない。
謎の残念感。
むしろその気になればいくらでもやるのだが。

「それはそれとして、美味そうでないと言われるのも釈然としない物がだな」

狐として、まずそうと言われるのも気に入らないあたりわがままである。