2017/08/10 のログ
ご案内:「路地裏」に笹貫虎徹さんが現れました。
■笹貫虎徹 > 「…ああ、是非そうしてくれ。俺にとばっちりが来なければそれでいーさ」
薄情なくらいに、自分に矛先向かなければ後はどうにでも、という調子で淡々と答える。
勿論、彼女が折れた事が珍しい事だとは初対面の少年に分かる筈も無く。
ただ、その態度が偶々功を奏した、というだけだろう。現在進行形で辻斬りされてはいるが。
「…男の甲斐性?何それ。…君ら、噛み合ってるようで噛み合ってないよなぁ。迷コンビってやつ?」
一人と一本の言葉を律儀に聴きながら肩を竦めてみせる。ある意味で面白い連中だ。
あと、後ろから刺すとか脅威だ。脅威であって恐怖ではないのがポイント。
「…うわ、血がベッタリ付いてるし。このスニーカー気に入ってるんだけどな…」
クリーニングで落ちるかなこれ、とブツブツ呟いてから態勢を立て直す少女をボンヤリ見つめる。
彼女が斬る気満々に対して、この少年のやる気の無さである。
「いや、斬られたら血が出るし痛いし嫌に決まってんじゃん」
と、言いつつ普通に歩く速度で少女へと一歩、自ら前進して行く。
(…どうすっかなぁ。こっちが不利だし手の内はあんまし見せたくないし)
――次の瞬間。「歩く程度の速度」の筈が一瞬で少女の懐に潜り込まんと。
もし、彼女の反応が遅れれば無造作に拳を突き出すだろう。
■刃々斬鈴音 > 「そう!私とちーちゃんは最高の名コンビよ!」【…鈴音恐らく、いや…いい。】
どうやら持ち主には伝わっていないがその真実を刀は伝えない。
まあ、いいコンビではあるのかもしれない。
「普通にお塩か清めた水で落ちるよ!」【いや、それは武器の場合だ。】
…おそらく落ちるとは思うが残った場合は模様として受け止めてほしい。
「大丈夫!ちーちゃんで切っても血は出ないし痛くもないから!
だから、鈴音に大人しく切られて!」
この刀の性質上斬った相手の感覚を鈍くさせて痛みを与えない。
そして血を吸い、更に止血することから出血はしない。
…だからと言って斬られて得することもないのだが。
「えっ?」
相手が前進してくるのを迎え撃とうと刀を構えるが…。
…その原因は明らかに慢心。相手が異能も魔術も使えない一般人であると思った故の慢心。
その少年の無造作に放った拳は吸い込まれるように綺麗に鳩尾の辺りに突き刺さった。
「…かっあっ。くぅっ。」
その痛みからまともに呼吸が出来ていない。
ただ、右手に掴んだ刀を自らに攻撃を当てた相手へと振るう。
当たれば傷つくだろうが先ほどまでよりあからさまに速度は下がっている。
■笹貫虎徹 > 「…そうだな、うん君らは「めい」コンビだよ…」
ああ、この妖刀さんがツッコミでお守り役なんだなぁ、とこの短時間でフと悟った。
まぁ、個人的に彼女らは嫌いではないが…黙って斬られるのはまた別問題だから却下なのだ。
「……って、クリーニングしても落ちない可能性あるのか…ハァ」
せっかくのスニーカーが。落ちなかったら黒ずんだ模様として残る事になりそうだ。
そして、彼女の発言からちゃっかり妖刀の特性を少しずつだが少年なりに掴んでいく。
(…つまり、斬ったその瞬間に血液を吸収して向こうが強化されるのか。
痛みも無いって事は…麻痺の効果もある?ただ、あの男もだけど気絶以上にはならないのかね)
結論。皮膚をあの刀が僅かに掠めただけで面倒な事になりそうだ。
「……ありゃ、当たった?」
意外そうにボソリ。てっきり交わされるか防がれると半ば思っていたらしく。
彼女の慢心は間違ってない。異能は目覚めておらず魔術も習得していない。
ただ、その体術のみ人間離れしている。無論、少年自身は純粋にただの人間だ。
彼女の失策があるとすれば、無能力者のただの人間を侮った事だろうか。
そして、無造作に振るわれる血塗れの妖刀。そちらを見もせずに拳ごと一歩、体を引いてギリギリ交わす。
…今度は衣服が斬られて血が染み付くが仕方ない、諦めよう。
「……あ、忘れてた。俺、笹貫虎徹。どうぞよろしくって事で」
自己紹介と同時、引いた右腕を更に後ろへ引くと同時、滑車の要領で左手の方を拳に変えて捻る様に突き出す。
狙いは彼女の刀…ではなくその持ち手。躊躇無く手を砕かんとする一撃だが果たして?
■刃々斬鈴音 > 「あー!もう!ムカつくムカつく、ムカつく!
今度こそ絶対に切り刻んでやる!クリーニングなんていらないくらいぐちゃぐちゃに!」
避けられれば片手で攻撃を食らった辺りを抑えながら叫ぶ。
【鈴音。今回は一度引くべきだ。頭に血が上りすぎている。】
「五月蠅い!アイツに鈴音と同じくらい痛い思いをさせてやるの!」
【鈴音、二度は言わない。】
そこまで刀が言えば。
少女の足元に魔力が集まり小規模な爆発が起きる。
その、爆発の勢いに乗って後ろに下がれば少年を睨み付ける。
「それがあなたの名前?分かった虎徹ちゃんね。今度はちゃんと斬るね。
もう、油断しないから…。」
名前にちゃん付けが鈴音の人の呼び方だった。
親しみを込めてそう言う風に呼ぶ。相手が誰であっても変わらない。
「絶対!絶対!鈴音が切り刻んでやるんだから!」
そんな風な捨て台詞を残して飛ぶような速さで路地を駆けて行く。
土地勘がないものには追いつくことは不可能だろう。
ご案内:「路地裏」から刃々斬鈴音さんが去りました。
■笹貫虎徹 > 「……えー…赤いのはあんまし俺の趣味に合う色合いじゃないんだけどな…」
頭に血が上っている少女とは対照的に、少年は何処までもマイペースでやる気の無い口調だ。
流石に武器を落としたりさせるのは無理だったが、取り合えず二撃はダメージを与えられただけマシか。
「…あーうん、俺も別に殺し合いとか切りあいとかしたい訳じゃないんで、そうしてくれると助かるかなぁ」
追撃する気は全く無いので、拳を解きながら肩を竦める。
と、不意に少女の足元で小規模の爆発が。その爆発の勢いは少年にも及ぶが。
「…っと。」
ふわり、とその爆風に体を「乗せて」無難に少し離れた地面へと着地する。
そして、距離が離れればこちらを睨んでくる少女をぼんやりと見つめ。
「……うーん、お手柔らかに?俺、そんな強くないし」
謙遜ではない。異能も魔術も無く優れた武器も持たず、体術しか能が無い訳で。
「はいはい、切り刻むなら優しく頼みますよ…っと、またなー鈴音ちゃん」
土地勘は正直サッパリだ。なので追撃なんてしないし、そもそも追い付けないだろう。
やがて、少女の姿が完全に消えてから…やれやれ、と肩を軽く回したりしながら溜息。
「……しんどいったらありゃしない。落第街は魔窟だなぁ」
■笹貫虎徹 > 「…肉体強化の初歩的な魔術くらいはがんばって覚えておいた方がいいかもしれんね…」
ただ、魔力の量も質も少年は低い。一般平均以下なそれらに何処まで頼れるか。
ただ、もし魔術が使えるなら肉体強化に回すべきだろうなぁ、とは思う。
所詮、己には体術以外は全く能が無いのだから。それは経験則として身に染みた事。
「…厄介な女の子にも目を付けられたみたいだけど、まぁそれはそれで」
大人しく斬られるつもりは別に無いが、それでも退屈はしないかもしれない。
そのまま、少年もやがてフラリと歩き出せば闇の中へと消えて行くだろう。
ご案内:「路地裏」から笹貫虎徹さんが去りました。