2017/12/07 のログ
ご案内:「路地裏」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
■鈴ヶ森 綾 > 女が一人、薄暗い路地を駆けていく。
走るのに適した格好とは到底いえない出で立ちに反し、その動作は俊敏だった。
しかし狭い路地の角を曲がり、その先に二股に分かれて続く道の先に何者の姿も認められないと見るや、
そこで足を止めて天を仰いだ。
ビルの隙間から僅かに覗き見える夜空は雲に覆われ、星明かり一つ見つける事ができない。
「ふぅ…。」
冬場はバイオリズムの低下が著しい。
つまらない失敗で獲物に逃げられてしまったのもそのせいだろう。
「あぁ、まったく…煩わしいこと。」
誰に聞かせるでもない、自然と口から漏れたその言葉は白い吐息となって空中に溶けて消えた。
■鈴ヶ森 綾 > 今夜は特によく冷える。
やはり部屋で大人しくしていれば良かっただろうか。
いや、それを言うなら春まで、か。
冬の到来はまだ序の口、これからが本番なのだから。
ともあれ、何時までもここにいても仕方がない。
こんな場所だ、自分が引き起こす分には構わないが、
他所のトラブルに巻き込まれるような事は御免こうむりたい。
冷たくなった指先で前髪を軽く掻き上げ、苛立ちにリセットをかけると今しがた走ってきた道を引き返す。
■鈴ヶ森 綾 > 「まったく、どうせ島に渡るならもっと南の島にするんだったわ。」
ブツブツと愚痴を溢すが、幸か不幸かそれを聞くものはどこにもおらず。
そうしてその日は何も得るものもなく、大人しく寮の部屋へと帰っていった。
ご案内:「路地裏」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。