2018/02/02 のログ
ご案内:「路地裏」にアリスさんが現れました。
■アリス >
迷った。
そう、迷子になった。
バスで寝過ごしてここの近くで降りた、あまり土地勘がない、そもそも方向音痴気味で知らない場所を歩いた。
色んな要素が重なって。
「ここどこよー……」
私、アリス・アンダーソンは知らない土地の路地裏を歩いている。
■アリス >
頼りの夕日は彼方でビルの間に落ちようとしている。
暗くなったらいよいよもって耐えられない。
「ゴッゴルマップを起動しても道が表示されないよー……」
ナビゲーションアプリを携帯デバイスで起動しても、あまり頼りにならない。
ここはどこなのだろう。
近くの物陰から猫がネズミをくわえて飛び出してくる。
私の心臓も飛び出しそうになった。
■アリス >
そういえば簸川先輩に治安の悪い場所は避けるよう言われた気がする。
暗くなってきた……人とすれ違ったら即・殺されるような妄想にかられる。
ひょっとして今、ピンチなんじゃない?
異能で切り抜ける手段を精一杯考えるけれど、何も思いつかない。
物質を創造できたら迷子が家に帰れるかというとそうでもない。
万能の異能でも使う人がこれでは……という自虐的思考がつい働いた。
ご案内:「路地裏」に刃々斬鈴音さんが現れました。
■刃々斬鈴音 > コンビニの袋を片手に下げた少女が路地の奥から何気ない様子で歩いてくる。
この暗い路地裏には少し合わない楽し気な様子で。
不安そうな様子の金髪の少女に気がつくと何気ない調子で話かけた。
「こんなところでどうしたの?この辺の人じゃないでしょ?」
この辺りの住人とは明らかに雰囲気が違う。
「もしかして迷子とか?」
初対面であるというのに距離を詰めてそんな風に話かける。
■アリス >
その時、路地の奥から歩いてくる人影。
お、女の人だ!
しかも何か生活感があるような?
少なくともオバケではなさそう。
話しかけられるとコクコクと頷いて。
「う、うん……道に迷っちゃって…」
なんだか和やかな雰囲気につい笑顔になり。
「ここらへんの人かな? できれば学生通りまでの道を教えてもらえると助かるなーって」
■刃々斬鈴音 > 「あーこの辺は迷子になりやすいからね!
悪い人とかもいっぱいだし危ないよ!」
道が複雑な路地裏慣れているものでなければ出る事は難しいだろう。
更にこの辺りは治安も悪い少女が一人で無事に帰る事が出来るか…
「わかった!じゃあ、鈴音が案内してあげるね!」
そう言うと何かを求めるように手のひらを差し出す。
「今日だけの特別価格!!料金は3万円でいいよ!!
安全に家に帰れるなら鈴音これくらいは安いと思うなー」
和やかな雰囲気を変えることなく金銭を要求する。
見れば少女の手は腰に下げられた刀のほうへ近づいている。
■アリス >
「そ、そうなんだ……悪い人…」
悪い人の妄想が膨らんでいく。
筋骨隆々、モヒカンに肩パッド。持っているのは釘バット。
「ありがとう、鈴音さん!」
ぱっと明るい笑顔になった次の瞬間。
差し出される手のひら。
「え?」
さんまんえん?
さんまんえんって言った?
「い、いや……そんなにお金は持ってなくて…」
自分のことを鈴音と言った制服の少女は、よく見れ腰に刀。
しかも逆の手が刀に伸びるのが見える。
剣呑な気配を察して、
「さ、さよならー!!」
と叫んで後ろを向いて裏路地を走り出した。
悪い人のイメージ、更新。
■刃々斬鈴音 > 「えー持ってないの?
でも、大丈夫あなたならすぐ稼げるよ!」
ちゃんとした方法ではないかもしれないが…。
「あっ!!待って本当に危ないんだよ!?
この辺は有名な通り魔とか出るんだから!!
素直にお金置いていった方がいいよ!!」
逃げる少女を追いかける抜き放たれた刀には赤黒い液体がべったりとついている。
徐々に逃げる少女との距離を詰めていく。
■アリス >
稼げるって何!
何させられるの!?
「通り魔はあなたじゃない!!」
鈴音が抜いた赤黒い液体に濡れた刀身を見て息が詰まりそうになる。
あれは何。あれは一体。
「空論の獣(ジャバウォック)!!」
異能の名前を叫んで自分のすぐ後ろに煉瓦の壁を作り出す。
路地だから、ちゃんと道を塞げる。
時間を稼げば。でもどこに逃げたら!?
■刃々斬鈴音 > 「何で知ってるの!?鈴音ってば有名人?」
【今までの言動からの予測だろう…。】
赤黒く濡れた刀身から声がする男のような女のような無機質な声。
恐らく手に持った刀から聞こえる声だ。
「うわ、危ないなーもう少しでぶつかるところだったじゃない。」
壁にぶつかる寸前で無理矢理止まるとガラス玉を取り出す。
それをゆっくりとレンガの壁に押し当てて
「すぐ行くから待っててね!!」
そんな風に壁の向こうの少女に声を掛ける。
■アリス >
「………っ!」
漫画で読んだことがある。きっとあれは妖刀というもの。
意思があったり、人を殺すのに最適だったりする。
「い、いいから!」
「もう諦めてよ!!」
煉瓦の壁の向こうにそう叫ぶ。
ハシゴを作って屋根の上に行く?
それとも足元を分解して地下に行く?
思索を重ねる。闇雲に逃げても土地勘のある鈴音には絶対に勝てない。
■刃々斬鈴音 > 「えー鈴音は諦めろって言われたら諦めたくなくなるタイプだから…」
押し当てたガラス玉が割れると同時に魔力の爆発。
レンガの壁には大きな穴が空いた。
「はい、これで終わり?
今なら痛くないように斬ってあげるから大人しくしててね。」
レンガの壁を取り除き二人の間を遮るものは何もない。
片手にもった妖刀を楽し気にブンブンと振り回しながらそんな事を言う。
■アリス >
「天邪鬼ー!」
その叫びは魔力的爆破の音にかき消された。
大穴の空いた煉瓦の壁はもう何の役割も持たない。
「あ………」
一歩、二歩と後退りながら、その質問を口にする。
「あなたはどうして人をいじめるの…?」
楽しげな相手の表情とは裏腹に、俯いている私は日が落ちた今、相手に顔色は読めないだろう。
■刃々斬鈴音 > 【人を斬るのは己の性質だ。己は人を斬り血を啜る為にある刀。】
「でも、やっぱり楽しいからかな?
こうね、誰かを斬ったりすると何ていうか生きてるって感じがするの!」
人を斬るのが楽しい。
きっと心からの言葉だろうさっきまでと同じ楽し気に笑みまで浮かべてそういう。
「そう、楽しいんだよ。
鈴音は一方的に相手を斬って斬って弱らせて一番弱くなったところでザクって行くのが凄く楽しい!!」
虫を玩具にするような子供のような無邪気な悪。
相手の人格を考慮しない自分が楽しむだけ
「あなたはどうやって鈴音を楽しましてくれる!?」
笑みを浮かべたまま距離を詰め!!大振りに刀を振りかぶる!!
■アリス >
「そっか……」
手を前に突き出す。
そして顔を上げる。
「あなたもいじめっ子なんだ………」
その表情には睨め上げるような怒り。
「空論の獣(ジャバウォック)!!」
叫ぶと同時に右手から金属製の樹木が創り出され、刀に絡みつく。
これも一時の時間稼ぎにしかならないだろう。
でも、逃げる時間はもう必要ない。
「だったら……私があんたを徹底的にいじめてあげる…!!」
次に見せる表情は、あどけない顔立ちから考えられないほどの憎悪に満ちていた。
足を強く踏み込むと、足元から鈴音に向かって岩塊が伸びる。
それはまるで岩でできた拳の如く。
■刃々斬鈴音 > 「邪魔っ!」
絡みついた金属の樹木を斬り払い姿勢を整える間もなく
足元から迫る岩塊!拳のごとく伸びた岩塊は鈴音の腹部を強く打った。
「っが…あ…。」
痛みのせいで呼吸が止まる。
しかし、鈴音はすぐに立ち上がり刀を構えて睨み付け
「殺すっ!絶対に殺してやるっ!!」
【血腐レ─剣血!!】
刀を虚空へと振るえば斬撃が赤黒い形を持って少女へと襲い掛かる!!
この飛ぶ斬撃その切れ味は煉瓦の壁など容易に切り裂いてしまうほど!
鈴音が奥の手としている必殺の一撃だ!
■アリス >
赤黒い斬撃が来る。
あれを凌げなければ勝ち目がない。
「ジャバ………ウォック!!」
次に創り出したのは硬化したレゾール樹脂を工具鋼で挟んだ三層硬材構造のシャッター。
しかし、それを切り裂かれ、跳ぶ斬撃が身体を切り裂く。
「………っ」
直撃=即死は避けられたにせよ、決して浅くはない傷。
寸断されたシャッターが崩れて砂のような粒子に分解される。
その直後に無針注射器を手の中に練成し、鎮痛剤と興奮剤を混ぜた薬を創造すると首筋に打ち込んだ。
圧縮空気式の、見た目はSFに出てくる光線銃のような注射器は体に冷たい薬液を流し込む。
「いじめてやる……」
逃げる選択肢を捨てた少女の、狂気にも似た妄執。
いじめられた過去に由来する、いじめを行なう者への激しい憎悪。
「いじめてやる!!」
両手を開くと指の間に玩具のゴムボールを創り出す。
片手に四個、合計八個。
それを壁や地面に反射させるように鈴音のいる方角に放った。
現時点では、ただの玩具のよく跳ねるボールだ。
■刃々斬鈴音 > 「大人しく斬られてれば痛くなかったのに!
抵抗しないで!!大人しく斬られてよ!!」
叫ぶ!自分の声で痛む身体を誤魔化して叫ぶ。
必殺の斬撃が防がれた事から来る苛立ち、焦り。
「もう一発…!」【鈴音、血の残量が不足している。】「あーっ!!」
見れば刀が纏う赤黒い液体の量は明らかに減っており
ところどころその刀の錆びた刀身が見えていた。
「こんな物で鈴音がどうにか出来ると思ってるのっ!?馬鹿にしないで!!」
跳ねるゴムボールの内の一つ鈴音に一番近づいてきたそれを刀で突き刺そうとする。
鈴音の動体視力、反射反応からすればそれを見切ることなど容易い!
■アリス >
「いじめられる側の言い分は……聞かないっ!!」
「それがいじめのルールぅ!!」
吼えながら両手を相手に向ける。
「……ブラァスト!」
瞬間変異爆破(モーメントブラスト)。
研究者は私のこの能力をそう呼んでいた。
空論の獣で創り上げた物質を、瞬間的に爆発させるこの能力を。
鈴音の前でゴムボールが一つ炸裂する。
負傷と尋常ならざる精神状態のせいで十全に発動しなかったけれど。
それでも。