2018/11/11 のログ
ご案内:「路地裏」にルギウスさんが現れました。
ご案内:「路地裏」にダリウスさんが現れました。
ルギウス > 人の居ない路地裏に、ポツンと佇む司祭が一人。
真っ暗な舞台にスポットライトが一つだけ照らしているかのようなそこに、ただ何をするでなく立っている。

「……新しい舞台の幕を開けましょう。今までの舞台の幕を閉じることなく。
 同じ壇上で、入り混じる様々な舞台を見るために」

ダリウス >  
辺りは薄暗く、人の気配はない
──学園が注意喚起し、立ち入りを警告する落第街…その路地の裏手
まぁ命が惜しい者は普通は近寄らない
此処の住民であっても用がなければ…といったところか

「…都合の良い場所があったものですね、」

白衣の男が対照的な暗色の司祭へと近寄る
その胸ポケットから小さなアルミの箱を取り出すと、自分を待つ男へとそれを見せる

「この小さな箱の中身はこの島の多くの人の未来であり、希望であり、災厄であり絶望です。
 こんなことへの協力者がこの島で見つかるとは思いませんでしたよ。ねえ?先生」

ルギウス > シーン
「都合が悪いなら、都合のいい場所を作ればいいだけです。
 貴方も私も、そういうのは得意でしょうに。ねえ?博士」

ちらとアルミの箱を一瞥し。

「パンドラの箱というには、意匠も畏怖も歓喜も何もない。
 まぁ、入れ物なんてそんなものでしょう。
 魔王も電子ジャーに封印される世の中です。
 それで、そちらでのデータはとれているのですか?」
ランダム指名 > ダリウス
ダリウス >  
「いやいや、僕はそういったものはどうにも」

苦笑を浮かべ、更に一歩、歩みを進めた

「研究者の仕事ですから、地味なものですよ。派手さも華美な装飾も結果には関係がありません。
 ───データは、これからといったところですよ。
 財団の管理下で公に人体実験、などというわけにも行きませんので」

ルギウス > 「知的好奇心さえあるのなら隠していくらでも実験するでしょうに」

対照的にくつくつと笑う。
何が楽しいのか、きっとこれから楽しい事になるのだと思っているのか。

「精神的な負荷による異能の変化……つまるところ、心の有様における変化と進化。
 私も実に興味深い題材でしてねぇ。
 統計的にはまだまだわからないのが悔しいくらいですよ」

量産体制はどうでしょう? と聞きながらも。

「不特定多数にバラまいてしまってもいいのでしょう?
 ついでにお小遣いでも稼ごうかと思いましてねぇ」

ダリウス >  
「隠して大規模なデータを取るのって案外難しいんですよ」

互いに違う種類の笑みを浮かべて、それなりの距離に足を落ち着ける

「此処にサンプルが3つ。生産については問題ないですね。──単純な薬ですから」

アルミのケースを開け、中から小さなシリンダーに入った透明な液体を取り出して

「足がつく以外のことでしたらなんでもどうぞ。
 僕としては、より多くのデータが手に入るに越したことはありませんので。
 ……自身の異能の力に悩む者はとても多い。この薬…『制御薬』とでも暫定的に呼称しましょうか。
 必要とする学生は多いと思います」

ルギウス > 「まぁ、そうでしょうねぇ。うっかり研究所を潰してしまう可能性もあるわけですし」

うんうんと頷いて。

「生産で足がつかない事を祈りますよ。
 どこかの誰かに作製を依頼して、トカゲの尻尾切りしてもいいんですがねぇ。施設はお金の流れが見えてしまうようですし」

掌をくるくると回せば、指の間に見たことの無いコインが増えていく。
色合い的に、左手に銀貨 右手に金貨 だろうか。

「『制御薬』とはまたストレートな名称ですねぇ。
 異能とは心の顕現ではないか と私は思っていますがそれについての研究も進むかもしれませんねぇ。
 自我を弱くする程度の効果でどこまで制御に影響が出るのか実に楽しみですよ」

ダリウス >  
「一応、アテはありますのでご心配なく。
 生産方法が確立してしまえば量産が容易なのがこの手の新薬の良いところですから」

言いつつケースへとアンプルを戻し、ケースを閉じる

「投薬方法は様々。消化吸収は僅かに効果効率が落ちます。
 筋注射が最も高く効果を得るでしょうか。副作用は…様々です。──ラットでの話ですけれど、ね」

人間での臨床実験はまったくデータが足りていない…というのが現状

「この薬が正しく効果を発揮するか、副作用でどのようなことが起こるか…というのはさして重要ではありません。
 多くの"異能"が心…精神に大きく起因するものであるという確証が得られれば良いので。
 自我が薄まり、力が暴走するも、弱くなるも…どちらも同じ結果ということですので」

では、とその小さなケースをルギウスへと差し出した

「連絡先も封入してあります。流通はすぐにでも確保できますので…バラ撒く先は、おまかせしますよ」

ルギウス > 「ええ、それは素晴らしい。
 少量だけでなく、数さえばら撒いてしまえば当局はそちらにかかりきりになって奥まで手を回せないでしょうからねぇ」

ケースを受け取りおどけた様子でぐるぐると腕を回す。

「落第街を中心に、少量を学生街の方にも流すとしましょう。
 学生街に流した方は検体のデータとりはそちらにお任せします。
 不特定多数の方は……私が魔術でもって経緯を取ってからそちらに回すとしましょうかねぇ」

何か他にありましたっけ? と首を傾げて。

ダリウス >  
「──多くの異能は精神に起因する筈、なのです。
 故に思春期…学生の異能者は不安定な者が多い…仮説、ですけどね」

死して霊となった後に異能に覚醒した、自身の妻を思えば、
その程度の仮説は簡単に立証できなければ困るというものだったが

「助かりますよ、先生。
 そうですねえ、他言無用…ということと……」

メガネのフレームを指で抑え、少しズレたその位置を治す

「──罪悪感というものに囚われないこと、心配ご無用ですかね…?」

ルギウス > 「それについては同意しますよ。
 異能を制御しているのが脳であるなら、それは魔術と似たようなプロセスを経ている可能性が高い。
 ……説明のつかないイレギュラーは、どこにでもありますけれどねぇ。
 原理がわかれば教えていただきたいものですよ。模倣できますので」

片方の手で細葉巻を咥えて、魔術で火の玉を浮遊させ紫煙を楽しみ。

「罪悪感?
 楽しい舞台を見るのに、なぜ罪悪感が必要なんです?
 役者が演技中に“不幸な事故”に会うだけでしょう?」

心底不思議そうな顔で、質問を返す。

ダリウス >  
「──結構」

文字通りの無用な心配
この先生は…ある種、自分と同類なのだ

「それでは、よろしくお願いします。
 僕も、僕の目的を叶えるまでは舞台から降りるわけにはいきませんので」

そう言って踵を返し、その背を向ける

『制御薬』…投薬された者の自我を抑制し、本来制御の難しい異能を制御可能とする新薬
しかしそれは言い換えれば、自制という枷の撤廃
そして、精神干渉への自己免疫の低下をも意味する
更にその副作用は未知数───多くの犠牲者が出るかもしれない

口元を僅かに笑みに歪めながら、白衣の男はその場を去るのだった

ご案内:「路地裏」からダリウスさんが去りました。
ルギウス > 「くくく、いやいやいいですよねぇ彼。
 実にいい。
 彼の目的を叶えた時、どうしてくれるか実に楽しみですよ」

実に楽しそうに。
暗い路地裏のスポットライトの中央で。
くるくると踊るように。全方位が観客席だと言わんばかりに。
朗々と喋り続ける。

「さてさて、とりあえず落第街の適当な売人に流すとしましょうか。
 私にたどり着ける猛者はいますかねぇ?
 その時は……楽しく踊っていただけると嬉しいですねぇ」

ルギウス > 指を鳴らすと、路地裏に降り注いでいるスポットライトが消える。

後に残るのは、明かりの差さない暗がりのみ―――

ご案内:「路地裏」からルギウスさんが去りました。