2015/07/04 のログ
ご案内:「スラム」に東郷月新さんが現れました。
東郷月新 > スラムの一角。
女が一人、誰かから逃げていた。

女の名は『リリア』。
人身売買組織『イースタン』の首魁にして、女武道家。
その女が、組織も商品も放り出して逃げている。

『どうして、どうしてあんな男が――!』

必死に逃げる女。
だが、目の前にあらわれた男を見て、表情が絶望に染まる。

東郷月新 > 覚悟を決め構えを取る。
大丈夫、一撃当てて逃げるだけ。
全力で逃げる事さえ考えれば、まだチャンスはある――!

女の希望は楽観的に過ぎた。
目の前の白髪の男に対し突っ込んで――

そこで、彼女の人生は終わる。

東郷月新 > 東郷は懐紙で刀身を拭う。
これで3人目。
公安から渡された資料は膨大なものだ。
この女などは、雑魚の一人に過ぎない。

「キリがありませんなぁ」

まったくあの公安の男、こき使ってくれる。
人の事を本当に掃除屋とでも思っているのだろうか。

東郷月新 > 地下の人身売買組織ひとつを潰して溜息を吐く。
なるほど、ロストサインが学園にとって『都合が良かった』のがよく分かる。
こうして小さな組織が乱立すると、ひとつひとつ潰していくのに手間がかかる。
ロストサインがあれば、ある程度統制は取れるし、面倒な場所を潰すのも楽なわけだ。

「――今日はこのあたりにしておきますかなぁ」

女武道家と聞いて少しは楽しめるかと思ったが、期待はずれもいいところだ。
そもそも東郷の顔を見た瞬間逃げ出すのだから情けない。

東郷月新 > 「――団子でも食いに行きますかなぁ」

団子か煎餅がいい。
噂では落第街に美味い煎餅居酒屋があるというが、未だに見たことがない。
さて、どこにある事やら――
見つけたら是非懇意にしたいものだ。

ご案内:「スラム」に鬼道椿さんが現れました。
鬼道椿 > 雑居ビルの隙間を塗って3人の人影が躍り出た
一人目は目を釘で潰し、二人目は耳をバールで貫かれ、三人目は口の中をハーモニカでえぐられていた
街頭に照らされたその姿は人ではなく皮膚もなく蒼と赤の斑色の異形であった
その3匹を追跡する影が壁を走りきらりと光が舞った
一瞬の出来事
一匹は体を十字に切り裂かれ、もう一匹は三枚おろしになって黒いもやになって四散した
そして最後の一匹は悲鳴を上げながら東郷の目の前で上半身を『喰い』殺され消滅した

壁から降り立った追跡者は両手に持った剣に滲む汚れを祓う
鬼道椿の姿が街灯に照らされた

東郷月新 > 「――おや」

武道家の死体の傍に、異形だったものが降り注ぐ。
見れば、かの女剣士。
なるほど――退魔の剣、か

「よくよく縁がありますなぁ」

鬼道椿 > 手の内を更に見せてしまったような気がして忌々しげに東郷を見る

「フン―」

左手に持った短刀を東郷に向けるが舌打ちをして鞘に納めた
同時に滾る殺気も胸の内に押さえつける

「嫌な縁があったものだな」
「もう会うことはないと思っていたよ」

東郷月新 > 「おや、小生はまた会うと思っていましたとも」

くくっと薄く笑う。
とはいえ、今日は随分斬った。
向こうも殺気は抑えるようだし、わざわざ斬り合う事もあるまい。

「いずれ小生を斬りに来るか、小生に抱かれに来るか。
まぁ、どちらかだと思っていましたからなぁ」

とはいえ、からかうのは忘れないのだが。

鬼道椿 > 「ッ―!!」
東郷の言葉に耳まで赤くなり身じろいで半歩さがった
あの日の激しい交わりが脳裏をよぎる
「何を、言う!貴様になぞ!」
声を荒げて東郷を睨みつけた、自分の言葉は嘘ばかりだ
どれだけこの男を求めてこの街をさまよったか
そしてすれ違う白髪の男に東郷を重ね何度振り返ったか
「誰が…貴様になど…」
口ごもる、あれだけ弱みを握られればこの男に言い合いで勝てる気などしなかった

東郷月新 > 「初心ですなぁ」

くっくっと笑いながら少し歩く。
――運良く団子の屋台が出ている。
ありがたい。

みたらしや磯部などを中心に何本か注文する。
香ばしい匂いがあたりに漂っている。

「ですが、あまりこのあたりに来るのはオススメしませんよ。
――そろそろ、大規模な抗争が始まりそうですからなぁ」

鬼道椿 > 「煩い!ッ~~~!」
言いたいことは山ほどあったが言えばすべて負け犬の遠吠えになってしまうと思い
東郷の後ろで唸るだけであった

「ロストサインと公安風紀がやり合うのか?」
東郷の隣に座り自分も草餅とみたらし団子を頼む
「そんなものここの日常の一部じゃないか…今更気にするほどの事でもないだろう」
「それに私は殺しを行うために来ている訳じゃない、仕事が済めば早々に引き揚げるさ」
「貴様と違ってここに住んでいる訳でもないし…」
緊張しているのか、焦れているのかついつい早口になってしまった

東郷月新 > 「まぁ、おそらくそうでしょうなぁ」

早速やけた磯部を咥える。
うむ、香ばしくて美味い。

「生徒会執行部、それに風紀委員あたりでしょうか。
いずれにしろ、執行部長の五代がこのまま手をこまねいている事など、ありえませんからなぁ。
今の平穏は、嵐の前の静けさでしょうとも」

もぐもぐと団子を頬張る。隣に椿が座っても、特に何も言わない。
屋台の親父が気をきかせて茶をいれてくれた。
ありがたい、贔屓にしよう。

「――並の抗争ではありませんよ。
むしろ、殲滅と言った方が正しいかもしれませんなぁ」

鬼道椿 > 草餅をほうばる、こしあんか…これは嬉しい
「嵐の前の…普通はそう言う時は身を隠すものだろう?」
「その割には自分から波風を立てているようにも見えたがな」
その話は本当なのか?と胡散臭そうに東郷を見た
『舐め取った』情報にはそう言った話はなかったからここ数日上がってきた話か
それとも作り話か…

みたらし団子を食べる
「美味い…」
顔が綻んだが直ぐにキッと引き締めた

「そいつは物騒な話だな、その勢いで落第街を無くしてくれれば私も学業に専念できるのだが」
「しかしなんだって今更殲滅戦なぞしようと思ったのだろうなぁ委員会連中は」

東郷月新 > 「これでも大人しくしている方ですとも。
それでも、小生は人斬り故――」

人を斬らねば、その身の内に溜まった衝動で何をするか分からない。
だから東郷は人を斬る。
人間が眠らなくては生きていけないように、物を食べねば餓死してしまうように。
東郷もまた、人を斬らねば生きていけないのだ。

「みたらしも良いですなぁ。
小生は海苔巻きも好物でして」

すっかり殺気もなく、団子を楽しんでいる。
殺気や人斬りが関係ないところの東郷は、ただの和装の青年に過ぎない。
お茶を片手に美味そうに団子を頬張る。

「――知っていますかな。
生徒会の落第街に対する処仕方」

東郷は説明する。

この常世島がモデルケースであるように。
落第街もまた、来るべき世界のモデルケースである。
どうしても治安の良い都市部に収容できない人間たちの存在するスラム。それが落第街。

そして、どんな世界にもはみ出し者は居る。それを根絶するのは不可能。
しかし、そのはみ出し者が強力な異能者の場合、捕縛、処理するのに多大な労力が必要になる。

そこで落第街が役に立つ。
そのようなはみ出し者を受け入れる街。はみ出し者同士で殺し合わせながら住まわせる街。それが落第街。

当然、落第街から抜け出したい者には恩赦を与える。風紀委員の二級生徒の審査がそれだ。
こうして『落第街』と『学生街』を分けて統治を行う。

「生徒会は学生街のはみ出し者をわざわざ対処する必要がなくなる。そういう連中は勝手に落第街に行きますからなぁ。
そして落第街である程度強力な勢力がまとまったり、落第街が受け入れられる限界を迎えた時――『粛清』する」

要はゴミ箱なのだ。
はみ出し者、異端者を詰めるゴミ箱。
そしてゴミ箱が一杯になった時だけ、中を軽く掃除する。
次に一杯になる時までの時間稼ぎに。

鬼道椿 > 団子を食べる手を止めて東郷を見た
だったら他の異形を斬れば…と思ってもみたがそれでは満たされないのだろう
根っからの人斬りめ
「度し難い…」
そしてその男に惚れ込んだ自分も大概だ

「ふむ、海苔を巻く食べ方は私が住んでいたところでは無かったが」
「試してみるか」
そう言って磯部を頼んだ
普段と違う雰囲気の東郷に毒気を抜かれ、その隣で茶を飲んだ
そう言えばこの男とこうして言葉を交わすのは初めてだったなと思う
初めて会ったときは剣のみで語り
その後も獣の様に襲い掛かり
そしてお互いの体を貪り合った

落第街と生徒会の説明をする東郷の横顔をじっと見つめて聞いた
「ああ、なるほど…」
落第街自体に役割があると考えもしなかったた興味深そうに話を聞きいる
「モデルとしているのはあくまで学生地区のみだと思っていたがそこまで考えているとはな」
「で、まさにその掃除が行われようとしているわけだ…」
前に置かれた磯辺をもぐもぐと食べる

「・・・その、なんだ、お前は大丈夫なのか?」
ふと疑問に浮かんだことを呟く
東郷は強い、強いがそれだけの戦いが起きればただではすまないだろうに

東郷月新 > 「海苔巻きがないとは、勿体無いですなぁ」

のんきに言いながら、ふと椿の方を見る。
意識した事もなかったが、なかなかの美人だ。
常に斬り合いかまぐわいしかしてこなかった為、よく見る機会が無いが、ふむ。

「小生ですか?」

殺し合いをしたうえに己を犯した男を心配する。
なるほど、彼女もなかなかお人よしなようだ。
とはいえ、自分も人の事は言えない。
次の瞬間には喉首を掻っ切られてもおかしくないのに、こうして団子を食べているのだから。

「ま、なんとかなるでしょう。
なんとかならなければ――まぁ、死ぬだけですからなぁ」

鬼道椿 > 始めて食べる磯辺に片眉を吊り上げる
ふむ、悪くはない、悪くはないぞ

その答えに少し不機嫌そうに眉に皺を寄せる
「その首を裂いて胸に抱くのが私の夢だ、つまらん死に方はするなよ?」
「負けてばかりだがお前と死合うのは楽しい、それは事実だからな」
そう言って店主に代金を払い席を立つ
このまま帰ろうかと思ったが魔が差して東郷の袖を引いた

「…暇か?」
それにしても、結局…この男の言うとおりなのだなと心の中で笑う

東郷月新 > 「――なかなか刺激的なお答えですなぁ」

くつくつと笑う。
だが、この少女にはこれが良く似合う。
とはいえ、東郷も負けるつもりはない。
彼女を斬れば――うん、悪くない。
彼女を斬るのは、自分だ。

「ふむ――見ての通り、暇ですなぁ」

袖を引かれれば、素直に応える。

鬼道椿 > 斬りに来るか、抱かれに来るか
東郷の袖をもう一度引くあれだけの事をしておいて今更照れることもあるまい
それなのに言葉が出てこない
「そうか、暇か…なら…駄目か?」
伏目がちにそう言って東郷を誘った

東郷月新 > ――物好きな少女だ。
だが、まぁ、東郷も男だ。
女性に最後まで言わせるのも野暮だろう。

「――なるほど」

そっと少女の手を取る。
かつて乱暴に、奪うように運んだ時とは真逆に。
彼女を先導するように、優しく手を取り。

鬼道椿 > この男に対する感情はもはや理屈ではないのだろう
心が欲するままに憎み、求める
子供の我儘だな、と苦笑いを浮かべる

優しい手を包むように握り返して身を寄せる
そのまま東郷に手を引かれ宿場へと消えていった…

ご案内:「スラム」から鬼道椿さんが去りました。
ご案内:「スラム」から東郷月新さんが去りました。
ご案内:「スラム」に虞淵さんが現れました。
虞淵 > 「ちっ……」

つまらなさそうに、退廃的な風景の街を歩く

此処のところ美味い餌を喰えていない
発破でもかけてやろうとと風紀委員の本部にまで乗り込んでやったが、
特に落第街への連中の姿が増えた気はしない

冷静なのか、腰抜けなのか
どちらにしても気に入らない

これならまだ身の程を知らずに挑んできたナントカって風紀の女
あれぐらいのヤツのほうがマシってもんだ

虞淵 > 「ハッ……」

自分が歩くと尚更人気が減る。
たくさんの視線こそ感じるものの、誰も前に出てこようとしない

情けない話だ

こちらから餌にふっかけにいこうにも居場所のわからん連中が多い

レイチェル・ラムレイ
川添とかいうヤツ
ついでにいえば東郷月新、アイツもだ

特にあの人斬り
アイツには遥か以前から目をつけていたものの、
ロストサインのグランドマスターとやらが俺に関わらない旨の命令を下していたらしい

ま、今はその鎖は外れたらしいが

虞淵 > エアリアとの契約締結以降、
毎日のように豪遊ができている

うまい飯を喰い
高級な酒をたらふく飲み
夜は抱く女もいる
寝床も高級ホテルのスウィートときている

これで満たされないのは贅沢というものだろう
だがそれでいい

人をブン殴れてこそ満たされる

虞淵 > 「つまらねェな」

ドスン、と道端に転がった廃バイクに腰を降ろす

落第街を出てふっかけにいってもいい、
実際、委員会街の風紀委員本部に出入りもしたが

レイチェルって女は『ここではやらない』の一点張りだ
東郷月新もそう『今はその時ではない』ときた

人間ブン殴るのにタイミングが必要とは思わないが、
せっかくの美味い相手をやる気がない時に襲撃したところでそれは、
まだ実りの甘い青い果実をむしりとって喰うに等しい

いずれ最高に上手く食える時期が来るとわかっているのに実を摘むバカはいないだろう

虞淵 > 以前この街にいた時は、暴れりゃ即座にそこそこの公安か風紀が飛んできたし
公安の人間一人やれば報復とばかりに数人は釣れた。
風紀にしたって、本部に侵入して暴れられれば即座に猛獣の討伐もかくやといわん勢いで落第街に押し寄せたものだ

……過去のそういったデータが残っていて、
尚且つ、今の風紀公安は昔よりも頭が切れる、と考えることもできるが

スラム自体も穏やかなものだ
頭のネジが数本抜けてそうなガキがもっとうろついていてもいいところだが

「(……まァ、ロストサインの人斬りがウロついてりゃ出てこないのは理解できなくもないな)」

虞淵 > 「………」

顎に手を当てて思案する
何かこのつまらん現状を打破する手はないか

エアリアも、こんな調子で喧嘩相手が見つかれなければ賭博の対象にならなくて面白くないだろう

「よし」

よっこら、と腰を上げる
よォく考えれば、何も此処に拘る必要もない
美味い餌が見つけやすいからこそ落第街をうろついているが、
今の拠点はエアリアのグループが運営する歓楽街の高級ホテルだ

あの辺りでうろつけば公安も風紀も黙ってはいるまい

とりあえず、良いことを思いついた
さて、十数年ぶりになるだろうか…

「学校行くか」

虞淵さん31歳、15年前から常世学園の一年生である

虞淵 > 何処かへ電話をかけて、数分後
相変わらず場に似つかわしくない黒塗りの高級車がスラム街に現れる

黒服の運転手が降りて一礼し、後部座席のドアを開ける

「オウ、ご苦労さん」

労い?の言葉をかけつつ、後部座席のシートへどっかりと腰をかける

「とりあえずはホテルに戻るぜ、地下のトレーニング施設開けとけ。
 明日は久しぶりにガッコでもいくぜ、ククク」

虞淵 > ドアが閉まり、高級車はスラム街を後にした───
ご案内:「スラム」から虞淵さんが去りました。