2015/07/11 のログ
三崎 春華 > [鳴り響く拍手に向かっての一礼。そして向き直り、手を伸ばす]

[少女には、針先の光は見えていない。が]

「ううん…手袋、脱いでもらってはいけないのですか?」

[彼女の力は、密着するほど、肌を合わせるほど強力な精神干渉を行えるものだ。]
[手袋をされては、時として発動すらも危うい。易々と提案を聞いてもらえるとも思っていないが]

ヴィクトリア > なんつーかなァ……
【正直、勢いに乗り損なった冷めた観客というのはつまらないのだ
劇である以上、一度演技だと思ってしまえば、あとは延々と嘘を繰り返されるだけである
しかも、もともと楽しむためでなく面倒くさいし邪魔、と思って見に来ているのである
退屈極まりない
さてどうしてくれようか

ここで見ているのもいいし、まあ大体把握したし代わり映えしないだろうと周りに目を向けるのもいい】

ヴィクトリア > ……ぁー、よし決めた
【よく考えれば、自分が確かめなければいけないわけじゃない
子飼いの2級たちがいるのだ、とりあえず誰が何をしているかさえ把握してしまった今はさして困るわけでもないし
巻き込まれたら、2級の連中は言うことを聞くとはいえ薬の影響は避けられない以上、面倒でもある

ここの把握は任せ、自身は別件に対応しようか
今のボクがここでできることは限られている以上、それくらいでちょうどいい

物陰へ引っ込むと、そのまま姿を消した】

ご案内:「スラム」からヴィクトリアさんが去りました。
マティアス > 「んー、んー、よく考えたら、別にここに居なくても私は劇を観れますね?」

(この場に居らずとも、自身の能力で「目」と「耳」を発生させれば普通に劇を観れる、生でもDVDでも対して差は無い)
(べたり、と血液のようなものを壁に塗る、見た目は悪いが「目」と「耳」の機能は有る)

癲狂聖者 > 内心、舌打ちをする仮面の男。
しかしすぐにプランを変更する。
握手をした後、彼女の背に左手を回す。
その瞬間に左手に持った右手袋の中の注射を刺せばいいだけだ。

この女も薬物でグズグズにして金蔓にしてくれる。

男の完璧な演技が、一瞬の間隙にあって素になった。
アドリブに入る瞬間、演者は素の自分と向き合う。

「おおっと、これは失礼! レーヌ・ミシェル……あなたは本物の淑女(レディ)のようだ」
手袋を外して右手を差し出す。
「さぁ、舞台の幕は開き、月光の元に花は咲き乱れる」
「さしずめあなたは月下美人―――――闇に瞬く大輪の華」
仮面の男がピンと立っていた背筋をそのまま屈めて握手を求める。
敬虔なる信徒のように、あるいは姫に傅く騎士のように。

マティアス > そのぶん次会ったときに楽しめればいいんですよ!
マティアス > (壁に設置した液体はうぞうぞと気持ち悪く蠢いている、正直手直しの必要があるレベルの見た目だと思う)
(きちんと機能しているのを確認すると、少年は路地から去る、次に会うのは何時かは分からないが、次も楽しめれば良いだろう)

ご案内:「スラム」からマティアスさんが去りました。
三崎 春華 > 「いえいえ、褒められるほどの者ではありませんよ」
[演者が外した手袋に、針のような何かが月光で輝く]
[それは台本に無い動き故の瑕疵。先ほど客席で渡されたモノ。]

(……なるほど。「札を切る」しか無さそうですね)

「月下美人…いいですね。耐え忍び耐え忍び、一夜の舞台に全霊をかける。」
[屈んだ演者の手を取り、立ち上がるのを促すために軽く持ち上げる]

癲狂聖者 > 「そのようなことは!」
芝居がかった口調で『劇』を続ける。
「あなたが美しくないのであれば、この世界に美は存在しなくなってしまう!」

内心、笑いが止まらない。
この女はみすぼらしい見た目ではない。
金を持っていることだろう。

「そう、あなたにこそその名は相応しい―――」
促され、立ち上がる。まだだ、まだ針を刺すタイミングではない。
美しく、完璧に。それが自分が舞台に求めるもの。
演者としての誇り。

三崎 春華 > [スカートの右ポケットが淡い光を放つ。しかし、気にするほどの事には見えないだろう]
(やっぱり無声化まで仕込んでおいて正解でしたね)
[ポケットの中に入ってるトランプ、その一枚がその光源であることは本人以外知らないからだ]

(点と点を繋ぎし糸、仮初の事象を今ここに。ハートのクイーン≪魅了(チャーム)≫)

[自身の力が使えない時の「切り札」、護身魔術。効果を確実なものとするため、仮面に隠れた目を覗きこむ]

癲狂聖者 > 「皆さん、この美しき………っ!?」
鼓動が跳ね上がる。
視線と視線が合って、相手の瞳から眼が逸らせなくなる。
「うつ、美しき…………」
ああ、美しい。なんとこの女性は美しいのだろう。
一瞬で私は恋に落ちたのだ。そこに疑いは微塵もない。
「………っ」
慌てて左手の中の手袋をポケットに突っ込む。
ダメだ、この人を薬漬けになんて絶対にしてはいけない。
「えー………本日は……………その…」

急に言いよどむようになった演者に首を傾げる観客たち。

「と、とにかく! また劇が観たいのであれば、劇場に足を運んでいただきたい!」
「幾ばくかの金子をお忘れなく! では!!」
恋する乙女のようにときめきを隠しきれずそのまま仮面の怪人は走り去っていく。


後日、魅了の効果が切れた頃にあの女、と憎々しく思うももう手遅れであったとさ。

ご案内:「スラム」から癲狂聖者さんが去りました。
三崎 春華 > (初めて使ったけどそんなに効くんですか…なんてものを渡してくれたんだあの先生)
「…今日のところはお開きみたいですね。では、私もこれで」
[どうせ薬漬けの観客だ、追いかけてくる者はいないだろう。]

[斯くして女優は舞台を降り、貧民街の雑踏へと消えてゆく]

ご案内:「スラム」から三崎 春華さんが去りました。
ご案内:「スラム」にヴィクトリアさんが現れました。
ヴィクトリア > ……さーて。
【結局、裏通りをぶらぶらするしか無い
犬飼や代理など、固定された拠り所をよそに求めないのなら、この辺をふらふらするしかないのだ
とりあえず盾と時間稼ぎにいつでも何人か使えるようにしておきつつ、うろつく

うろつくといえば聞こえはいいが、大男に肩車されつつであるのだが】

ヴィクトリア > 正直、身内の誰かとつるんでもいーんだけど、まぁとくに捕まらそーだと結局このへんだよな?
【実際、この辺りはテキトーに人を集めるには困らない
とくに今はこいつらがに言うことを聞かせるのは訳ないとなれば余計にそうだ
適当にうろついて適当に過ごすことになる

まーそこそこ満たされてそこそこ不満ってつまんないやつだ】

ヴィクトリア > 【まあ、裏通りを女王様然として歩くのがイヤじゃないかと言ったら嘘になる
実際、こういうのはクズ共だって思いつつも満たされるのだから

……ヴィクトリアは知らないことだが、そう言う意味で調整はうまく働いていた
精神的不安定さから他に依存をすることで問題を起こすよりは解決策として優れている

そういった意味で、綺麗に思惑の範囲に収まっていた】

ヴィクトリア > ……まったくさァ、ボクをムカつかせてくれるってやつだよ

【だからといって満たされるわけでもない
満たされてはいるが満たされない、生かさず殺さずというやつだった】

【ロストサインその他、ボクを煩わせる要件は大量にある
ボクはこいつらから吸い上げているのだから、当然、畑に種をまいたり水をやったりする必要がある

そこを連中は土足で踏み散らしていくのだからたまったもんじゃない
とは言えボクにできることといえば、借金の取り立てと情報のやりとりぐらいのものだ
まあ金貸しであり2級の出し入れができる以上、財布はそこらに転がってるも同然だが
財布の管理は面倒くさいのだ】

おーう、邪魔するぜ?

【建物に入ると、返済期限の過ぎた金の要求に、違反部活の部室……いわゆる事務所に入った】

ヴィクトリア > ……ボクが来た時点で、分かってるよな
ま、そーゆーことだ
先払いでこっちのことはやってやってんだ、それなりにしっかりしてくれないと困るなァ?

【肩車から降りると、2級や黒服どもの取り巻きを使いながら貸しにしておいた分を要求する
まあいわゆる正当な要求ってやつだ
とは言えこっちも鬼じゃないし相応には待ってやる

もう少し言えば、ぎりぎり焦げ付かせない程度が一番取り頃だ
永遠の自転車に放り込むのがちょうどいい
回り車のハムスターには適度な餌と水をやり続けるってのが大事だからな】

ヴィクトリア > あぁ? たりねーって?
たりねーのはそっちの脳みそであって、ボクの金じゃねーだろ?
現金化出来そーなもんはもらってくぞおい?
まー、そっちも商売だ、必要なモンは残しとくよ
違法部活ったってこのへんじゃそれがフツーだからな
よそじゃどーか知らねーが、ボクの信用度にも関わるから貰えるもんは持ってくんだよ
でないとボクが舐められるんだよ、わかるか、ええ?
下手打った連中がどーなったかは知ってんだろ?

んじゃ、まァ、そーゆーことだ
ボクだって鬼じゃないが、既に猶予は与えてるしこっちに非はないんだ
軽いほうだと思えよ?
【建物の周囲をみはらせたまま交渉を終わらせ、借金を取り立てる
まぁ8割なら頑張ったほうだが、最悪来月飛ぶな、とも思いながら金を数えて確認した】

ヴィクトリア > ……ったく、ま、めんどくせーことばっかりだっての

【ムカつくなーと思いつつ。
正直、ボクとしては面倒なことが多い
だからって翔やその他にこんなことさせるわけにも行かない、まったく厄介なことだ

あいつらはむしろ出来ることならボクの方に来るべきじゃねーんだ

そう思いながら建物を後にした】

ご案内:「スラム」からヴィクトリアさんが去りました。
ご案内:「スラム」にソワカさんが現れました。
ソワカ > (奇怪な衣装に身を包んだ一団が熱狂的に演奏していた。頭を振ってエレキをかき鳴らす。大声を張り上げる。薬でもきめてるのではというフィーバーに娯楽に飢えたスラムの住人が熱狂している。
 誰も彼もドきつい化粧にかつらを被っている。男なのか、女なのかさえ区別が付かない。
 集団はいよいよシメの部分に入っていた。
 唯一、派手すぎる衣装集団の中でまともな格好をした女がマイクを派手に振り回した)

「ノッていくぞおおおおっ!」

(男装の人物だった。帽子をぶん投げて捨てる。髪の毛をかき上げて歌をつむぐ。ガラガラと喉を鳴らす。
 名も無きゲリラ音楽家の一員だと思うだろう。
 だが違う。ゲリラ集団に歌おうぜとか言われて飛び入りしただけなのだ。
 おそらく世界のどこにも流通したことのない歌を喉よ枯れろと歌い上げて―――マイクを掲げた。
 拍手喝采。
 身知らぬ大男(全身が銀と金の羽根まみれ)と抱き合って大喜び)

「どうですー? ひょー!!」

(繰り返しますが、この大男とソワカは、初見の人です)

ソワカ > (ゲリラ集団は一切特殊な能力を使わない。一切記録に残されないようにさっさと撤収するのだ。魔術などいらないのだ。謎というスパイスさえあれば人は熱狂できるのだ。
 去っていくゲリラ集団を前に、人物は落ちていた帽子を取って埃を払って被りなおすと、手を振った)

「また今度!」

(劇は終わった。音楽は何一つ残さないけど感動は残る。
 ゲリラライブにゲリラ参加した人物は散っていく観客たちに奇異の視線を浴びせかけられながら拍手を続けていた。
 そうして小さい広間には誰も居なくなってしまった。
 肩をすくめて額の汗をハンカチで拭う。)

「はぁーあ面白かったナー。二度と味わえない最高の気分♪」

(らんらんと歌の続きを口にしつつ闊歩する、しゃれた格好の人物。一方サイフの中身はおけらだった)

ソワカ > (空を見上げた、瞬間に雨が降り始める。夏の初めにありがちな雨だろうか。人物の整った鼻を掠めて頬に落ちる。
 瞼を瞬かせ酔ったような歩調で広間で一回転。踊るように。
 雨脚が強まってきた。携えてきた杖をまるで傘のように掲げて、鼻を鳴らして歩む。)

「あぁーぬれるー」

(知ったことじゃないねといわんばかりに雨を受ける。仕立てのいいスーツがぬれ始める)

ソワカ > 「まーだーれもこないでしょうしー」

(衣服は髪の毛のようなものなのだ。人物は続けた。
 切った髪を惜しむなと。
 雨に濡れていく。
 傘を差さずに歩きながら雨雲に笑みをみせた。はたから見たら普通に頭の残念な人か、傘を忘れてやけくそ気味になっている人にしか見えない。
 雨は徐々にやみ始めた。水を吸って纏わり付く衣服を着込んだ長髪の絵が完成する)

ソワカ > 「くしゅん! ……寒い」

(自由とは責任を取ってこそだ。
 雨に打たれて濡れれば寒気を感じるのも道理である。ハンカチを取り出して顔を拭う)

ご案内:「スラム」にミウさんが現れました。
ミウ > ミウが瞬間移動してくる。
なんと、ミウは足を地面につけずに、少しだけ宙に浮いていた。

その時、男装した女性を見つける。
女性は雨に濡れていた。
「タオル、いる?」
どこからもなくタオルを創りだして、女性に差し出すのだった。

ソワカ > 「あぁ~助かります~」

(言うなり驚きもせずにタオルを受け取り顔を拭く。顔どころが濡れ鼠なので焼け石に水であるが、顔だけは水気が無くなるだろう。
 タオルで額をごしごしと擦ると、美しい翼を目に留めた。
 ははんと顎を擦る)

「綺麗な女神様にタオルを貸していただけるとは感謝の極みです」

(古風に胸元に手をあてて一礼を)

ミウ > 「さっきまで、雨が酷かったものね」

傘を持たない時に、豪雨に出くわしてしまうなんて……。
彼女は、結構不運な人なのだろう……多分。

「そのタオルを神の恵みだと思って、存分に使うといいわ」
綺麗な女神様と一礼されたので、調子にのってしまい傲慢に振舞ってしまう。
「それにしても、こんな雨の中で何をしていたの?」
きょとんと首を傾げる。

「濡れた服も乾かすといいわ」
そう言って、ドライヤーを創りだして女性に渡す。

ソワカ > (ははーっと畏まりつつ頭やら顔やら首やらをふきまくる。上着を脱いでふかない程度には常識があるらしく、つまるところ全身は濡れたまま。
 タオルを首にかけて銭湯出てきました的なスタイル。)

「自由をしていました」

(意味不明な答えを返し、ドライヤーを受け取る。
 が、電力を供給してくれそうなコンセントが見当たらない。かなしいかな。ドライヤーのコードを指に絡ませつつ肩をすくめる)

「おお神よ、わたくしにはこれは使えない」

(雷でも落ちてくればなあと空を仰ぎつつ)

ミウ > 「自由……?」
頭にクエスチョンマークを浮かべて、首をさらに傾げるのであった。
「つまり、青春していたのね」
そして、こちらも意味不明な解釈をする。

「心配せずとも、そのドライヤーは内部の魔力で可動するのよ。
 コンセントがなくても普通に使えるわ」
そのドライヤーはスイッチを押すと、普通に可動する。
わざわざその場で使えない物を提供するはずがない。
「270年ぐらいはつけっぱなしでも大丈夫なぐらい、魔力が蓄積されているのよ」

ソワカ > 「はっはっは。青春などしようにも言い寄る男の子いないのですよ」

(嘘か真か。畏まったしゃべり方で固定でいくらしい。
 ドライヤーを作動させてみると、確かに温風が出たではないか。灰色の艶やかな流れを乾かしていく。ついでに胸元にも温風を入れてみる。あたたかいようなつめたいような)

「いやあすばらしい。神様、あなたは神様だった」

(ドライヤーで乾かしつつ拍手をする。あとで売ろう。
 金は天下のなんとやら主義者は無情な決心をしていた)

ミウ > 「いつか、現れるかもしれないわよ?
 あなたの理想の男の子」
どうやら、自由とは青春ではないようだ。
自由をしていた、とは何なのだろう。

「そうよ。私は神。
 もっと崇める事を許してしんぜるわ」
さらに調子にのってしまう神様。
なんだかんだで、傲慢だった。

まさか彼女が、自分の創ったドライヤーを売ろうとしているなどとは考えもせず……。

ソワカ > (自由とは自由であり自由なのだと、
 質問すれば答えてくれるだろう。答えにもならない答えを。
 相手が神とわかれば話は早い。ドライヤーぶいーんをやめて西部劇のガンマンよろしくポケットにねじ込むと、濡れた地面に跪いて相手の前に畏まるのだ。それこそ騎士が女王より剣を与えられる一場面のように)

「理想は高すぎて愛すべき対象が見つからないのです、神よ。
 おお神よ。理想にかなう美女か男子をこの場に呼び出してくださいませ!」

(嘘か本当か。嘘だろう。口元が笑っているし、動作も大きい。さらに言い終わってから肩を震わせて笑い始める始末だった。
 さらりと男でも女でもいいんです発言をしてからのコレである)

ミウ > 彼女がドライヤーをポケットにねじ込んでも全く気にしない。
さらに畏まる女性。
「ところで、自由とは何なのかしら……?」
気になったので、実際に質問してみた。

「理想が高いのね……。
 仕方がないわね、では美男美女を創りだしてさしあげるわ」
まんまとのせられてしまう神様であった。

なんと、周囲に次々と美男美女が創りだされていく。
その全ての美男美女が、目の前の男装女性に恋していた。
美男美女の軍勢が一斉に男装女性に迫る。
「これで、どうかしら?」

ソワカ > 「自由とは自由ですね。自由自由自由」

(ピースサイン。ごまかしに入った。
 理想が高すぎて似合う人が居ないのだと言って見た所美女に美男子勢ぞろい。
 かしこまり姿勢を解除。杖を手に取り慄く。
 人がいる。目の前の神様が呼び出したのか創造したらしい。
 たまげていたが、ユニークな現象に頬も緩む)

「そそりません、神様。ぜひ恋をする過程をください!!!」

(再度跪き懇願するのだ。美女美男子の群れの中で。熱い視線はすべて無視しつつ)

ミウ > 「はい、自由って何回言ったでしょう、なんて言い出さないわよね?
 ちょっと、意味が分からないわ……」
さらに首を傾げる事になったミウ。
質問すればするほど、謎が深まっていく。

「恋する過程……ね」
空中に浮くミウは、腕を組みしばらく目を瞑る。
そして目を開ける。
さらに、美男美女を一人ずつ創りだす。
「この二人は、だんだんあなたに恋をしていくはずよ。
 でも、実際にあなたに恋するかは、あなた次第ね」
後の創りだされた美男美女達は、適当な場所で寛いだ。

ソワカ > (立ち上がると腕を組む。
 過程を貰えるらしい。きっとそれは素晴らしいことなのだろう。だけども人物は杖をくるくるともてあそびながら首を振った)

「ああ……駄目。燃えない。フェアじゃない。
 神様、申し訳ないですがだめなようです。身を焦がして燃え尽きるだけの過程を描き出そうにできない。過程を決められた恋はフェアじゃない」

(言うなり女は熱い視線を浴びつつも杖の先端の顔のような造形を撫でて散歩し始めた。美女に美男子の群れ。けれど、女をときめかせるに足りないようで、かぼちゃを見るような視線で品定めしている。
 フェアであることにこだわりがあるらしい。
 いくら場の男子女子が言い寄っても女は首を振るだろう。全員を見て回ってから、神様の下に戻る)

「どちらかといえば神様の方がそそります」

(不敬罪不可避なセリフで口説き始める女。真顔で)

ミウ > 「フェアな恋を求めるのね」
あれもだめ、これもだめと言われながらも優雅に笑う寛大な神であった。
「あなたなりに、恋の過程というものに拘りがあるのね」
恋する男女は、男装女子の冷たい視線に凍えてしまう。

だが、そんな中勇気を振り絞って告白する女子が一人いた。
『好きです』
と、その女子は男装する女性に告白する。

「真顔で言い寄られても……ね」
さすがに本気ではないと悟ったらしい。
それでもミウは、上品に笑っていた。

ソワカ > 「好き。ほんとうに? 本心から? 可愛らしい。可愛らしいけれど過程がない。あなたにとって世界は五分前。私にとっては5分前より遥かかなた。
 ほんとうに?」

(くるりと振り返った男装が女性に問いかける。ほんとうに?と。
 萎縮する女性を前に肩をぽんぽんと叩くと、上品に笑みを浮かべる有翼の神の前で戻ってくる。
 杖の頭を撫でつつ。
 ぽたぽたとズボンのベルトから水が伝っている)

「恋というよりすべてですよ神様。フェアでないと。神も悪魔も仏だって中道でなくては。
 申し訳ない。本気のことを言うときは真顔なので――」

(すっと跪くと、手を差し出しにっこり笑う。
 真顔が本気なら笑顔はきっと嘘なのに。
 言うことなすこと壊れたラジオのような男装女子のアプローチはきっと成功しないだろう)

ミウ > 少女は顔を赤くしながらも自信を持って言う。
『はい! 私は、本心からあなたを愛しています!』
当然、今創られたばかりの少女に過程などない。
最初から、恋をして生まれてきたのだ。

「真顔の時が本気……ね。
 では、今の笑顔は何かしら?」
当然、矛盾点をつく。
差し出された手も掴もうとはしなかった。

ソワカ > (恋しかインプットされてこなかった人間では女を満足させられない。よって熱い視線すべては濡れた上着に阻まれ到達することはないのだ。
 灰色の髪の毛の向こうの口元が釣りあがっている。いかにもというつりあがり方。演技、すべては演技だった。
 手は受け取ってもらえない。傷ついているかのように擦ると、お手上げした。)

「嘘はヴィシュヌだってお許しになられないのに、あなたさまは許してくださる。
 見知らぬ土地の神よ。
 けれど美しいという言葉は本心ですよ」

(目を細める。人を創造する業。明らかに地球に由来しない術か奇跡であろう。近いものはゴーレムだが、生命をかりそめでも創造できたのは名を呼ぶには恐れ多い唯一の神だけだからだ。
 女は立ち上がるとぱっと上着の水分を払った)

ミウ > 口元がつり上がるのを見て、全てが演技だったと察する。
目の前の人物の信用度は下がる一方である。
「神の前で嘘をつくとは、中々に度胸があるわね。
 神に裁かれる事を恐れていないのかしら?」

当然、今となっては『美しい』という言葉すら信じていない。
ミウはもう笑顔ではなく、真顔だった。

ソワカ > 「恐ろしい恐ろしい。たかが女風情、過ぎたことをお許しください」

(女はとことんふざけていた。
 何もかも嘘。嘘ばかりなら真顔も笑顔も嘘ばかりかもしれない。嘘が罪なら裁かれるべきだろうか。杖を地面に置き、すばやく土下座する手際のよさよ。
 それも嘘かもしれない。本当かもしれない)

「性分でしてついあれこれいいことわるいこと言ってしまうのです。
 どうします?」

(静かに頭を上げて綺麗な正座のまま首を傾げてみせる。
 煮るなり焼くなり受け入れましょうとのうのうと。)

ミウ > 「そのいさぎの良さも演技なのかしらね?」
土下座する男装女を冷たい目で見下す。
もはや、この土下座自体がふざけているように見える。

「仕方がないわね……」
笑顔は見せない。
だが、男装女性を裁こうとはしなかった。

ミウが指をならすと、一斉に周囲の美男美女が消えて静かになる。
彼等は跡かたもなく消滅してしまったのだ。
ついでに、ドライヤーも消滅してしまった。

ソワカ > (ドライヤーが消えてしまった。もはや美女男女の群れはどうでもいい。乾かす手段がなくなったことの方が遥かに大きな問題であった。
 ポケットが軽くなったことに気が付くと、がっくりと肩を落とした)

「おおォぉぉ………これが罰であると……へっくしゅ」

(くしゃみ。下半身はズブ濡れ。上半身は顔と頭以外濡れ鼠。寒くて当然。数百年稼動するという動力付きのドライヤーも消えてしまえば空気と同じ。
 ポケットを探って探って諦めて立ち上がる。)

「くしゅん……ふ、ふふ……演技ではないですよ。くしゃみは」

(普通に寒かった。杖を拾い上げる。体に纏わり付いてくるズボンを苦々しい顔で摘んだ)

ミウ > 「あなた、さっきまで全く服やズボンを乾かそうとする素振りを見せなかったじゃないの。
 必要なくなったと思って、消滅させといたわよ」
そもそも、美男美女軍団ないなければ、消す事すら忘れてたかもしれない。
ある意味、自業自得と言えなくもない。

「本当に、演技ではないわね。
 風邪をひいてしまうわ」
そう思ったミウは、手の平を男装女性に向ける。
そこから、火球が創造された。
かなりの熱で、目の前の女の服を乾かそうとする。
そして、身体を暖めさせる。
「神の恵みだと思うことね」
そう、傲慢に言い放った。

ソワカ > 「ありがたやありがたや」

(火球の前に体育座りして両手を出して乾かす。が、着たまま衣服だけ乾かすのは難しく、暖を取ることくらいしかできない。
 同じ言葉を繰り返しつつ暖を取る。
 寒いのは嘘ではない。どこまで嘘かわからない。そんなどうしようもない女である。)

「神の恵みはありがたいですなあ!
 一緒に銭湯で洗いっこしたいくらい可愛いなあ」

(ちらっと視線を送る、その目は普通に変態だった。
 きっと嘘に違いないが、嘘か真かミウに嘘をすべて明らかにする能力でもない限り判別はできまい。
 欲望に素直に行動するのが本性。
 とはいえ服を脱ぎ始めたりはしない。
 寒そうに体を擦るホームレスが寄ってきた。さあおいでと隣を叩いてご案内)

「神の恵みです。あたたまりましょう」

(神ってどこだよとホームレスがキョロキョロしている)

ミウ > 嘘か否かが分かり辛い……。
どこまでが本当なのやら。
今は普通に、火球で暖まっているようだ。

「銭湯ね。
 その目をやめてくれたら、考えてもいいわ」
いやらしい目で見てきたので、危機感を抱いてしまった。
ミウは万物の創造を司る神であっても全知全能の神ではないので、嘘かどうかの判別はできない。

そんな時、ホームレスが寄ってくる。
ホームレスは、神ってどこだよ、と辺りを見渡していた。
「私が神よ。
 特別に、あなたもここで暖まる事を許してさしあげるわ」
やはり傲慢な言い方をする神である。

ソワカ > (神は神でも救いを与えてくれる方の神だったらしい。
 火球にぞろぞろと貧民が集まってくるかもしれず。
 女の服もあたたまって乾きやすくなるかもしれない。いっそ水分をそのまま飛ばしたりしてくれたらよかったのではと女は思った)

「悲しいです神。いやらしい目つきなんてとてもとても……!
 芸術品を堪能するときの目つきです。ハイ」

(白々しく言っておく。
 女の横でホームレスが言った。
 あなたが神かと。
 一向に何も解決してくれずにやれ門がどうのこうの騒いでる常世の上層部より、暖まりポイントを作ってくれた神のほうがよほどご利益が有る。
 傲慢な物言いも誰も不快には思わない様子だった。
 上着を脱ぎ、Yシャツになってネクタイを緩める女。)

「ふぅー。風邪を回避できましたよ神。うっふふ」

(笑う。嘘か本当か。水気がだいぶ飛んでパリッとした衣服だった)

ミウ > 水分をそのままサイコキネシスで飛ばしてしまう。
実は出来るのだけど、乾かすという方法が先行してしまった。

「芸術品の堪能……ね
 ものは言いようだわ。
 それに、あなたの口から出る言葉は信用度が薄いと思っていた方がいいわね」
あれだけ嘘をつかれたのだから、信用度はさがるものだ。

ホームレスが火球に寄ってくる。
そんな様子を優しい眼つきで見守るのだった。

「それはよかったわ」
風邪を回避出来たのだったら、それは良い事だ。
例えからかわれていたとしても、別に憎むべき相手ではない。
優しい眼つきは、男装の女にも向けるのであった。

ソワカ > 「信用ならんってよく言われます」

(でへへへと笑う女。褒めてない。
 火球は貧民達の所有物になったらしく、女が離れてもなお集まり続ける人の中に消えてしまった。
 革靴を脱いで中の水を捨てると、履きなおす。ぎゅっと靴下が音を鳴らす。)

「温まったところで退散します。
 銭湯にまで出向いて温まってくる予定ができましたのでね」

(かつかつと歩き始める。足跡が残るのはやむをえない。
 振り返りつつ名乗りを上げた)

「わたくし、今は荒縄ソワカと名乗っているものです。
 縁が合えばめぐり合いましょう、神よ」

ミウ > 「褒めてないわよ……」
溜息をついて呆れてしまう神。

「銭湯に行くのね。
 またね」
そう言って、笑顔で手を振る。

振り返る彼女は、名乗った。
「荒縄ソワカちゃんね。
 私の名は、ミウよ。
 また会える日を楽しみにしているわ」
そう言って、空間移動でその場から消えるのであった。

ご案内:「スラム」からミウさんが去りました。
ご案内:「スラム」からソワカさんが去りました。