2015/08/07 のログ
ご案内:「スラム」にやなぎさんが現れました。
■やなぎ > 「…?」
緩いネクタイにはみでたシャツ、黒いジャケットはボタンが全て外れているだらしない姿の軍人がスラムの荒野を歩いてきた。
常世島の地図を逆さに持ち、なにやら首をかしげている。
「遺跡があるってきいたんだけど…」
彼の求める場所は正反対の位置にあった。
■やなぎ > ここへは前にも来たことがあるのだが、一瞬だったのでよく覚えていなかった。それどころか、夜目がききにくいせいで進んでいる方向すら理解していない。
日は完全に沈んでいるため暑さは少し和らいでいる。時折生ぬるい風が砂埃と共に吹き付けた。
人は今の所見えない。いたとしてもやなぎには気づかないのだが。
夜のスラムはいっそうおっかない所だろう。
「また迷ったか……寮でじっとしてるんだった。」
地図をくるくる回しながら溜息をついた。
ご案内:「スラム」に浜崎さんが現れました。
ご案内:「スラム」から浜崎さんが去りました。
ご案内:「スラム」に浜崎MBさんが現れました。
■浜崎MB > スラムでは壁を背に日がな一日中ボーッとしている奴等がいる
大体の人間は次の労働に備え、そうして無駄にエネルギーを使わず
死んだ魚のように無為に時間を過ごすためにそうしていて
そういう連中には決まって定まった住所はない
だが、そういう人間が寄り合うコロニーから少し離れ、同じように壁を背に
呆けていた男が一人、その片目に光が宿る
壁を蹴り、ツカツカと薄汚いスラムの床を蹴って歩き出すと
やおら上京したてのおのぼりさんめいて地図を回す青年軍人の所へと向かっていった
「よう、兄弟!困ってるみたいだなあ
どうした、観光案内が必要か?暑い中ご苦労な服着てるじゃねえか
俺はな、そんな働き者を見捨てちゃおけねえんだよ、わかるか?」
遠慮なく近づき、肩に手を回して組まんばかりの勢いで声をかける
その顔の左半分は火傷跡で表情筋が動くことはないが
残り右半分でニッと笑いかけ、歯を見せた
■やなぎ > とりあえず明かりのある所で地図を見直そう。
そう思いながらきれかけの街灯へ歩みを進めた矢先の出来事だった。
「う、う!?」
突然の出来事で頭が真っ白だ。
自分よりもはるかに背の高い大男の気迫に圧倒され、ことを理解するのにほんの少しだけかかるだろう。
「あ、はい……観光案内お願いします…。ここ初めてで…」
彼の言葉に何も考えられずに、か細い声で返事をした。
■浜崎MB > 「う!?じゃねえよ、新しいゆるキャラか?違うだろ?
アンタはえーと…コスプレじゃねえんならどこぞの国を守るエラい軍人サンだろ?
シャンとしろやシャンと、アッ?」
手に持ったコロナビールの瓶をペン回しのようにクルクルと回しながら
半ば恫喝めいてそう激を飛ばす、別に悪意はない
「オウオウ、まあこの町の顔と言ったら俺よ
じゃあよ、まずは兄ちゃんがどこを目指してンのか…そうだな
喉でも潤しながら聞こうじゃねえか、ア?
なあに、アレよ、アレ、急ぐときはまず回れ、って言うだろ?」
抵抗がなければ畳み掛けるようにバンバン!と背中を叩き
そのまま自分がさっきまで壁を背にしていた建物
背中を引いて半ば強引に場末の酒場に連れ立って行こうとするだろう
■やなぎ > 「そ、そう!わたしは軍人で…」
言葉に釣られて発言したはいいが、瓶をおっかなく回す姿にすぐに口をつぐんでしまった。
やなぎの体は硬直して顔面蒼白。光が当たっていれば、元々白い肌がさらに白くなっているのがわかるくらいだ。
ナンだかやばそうだ、そう感づいた。
「ただあの観光で来ただけでここが何処だかだけでも…いだいっ!いだい!!」
恐怖まっしぐらで抵抗もできず、背中を叩かれて悲鳴をあげる。これはまずいなぁと思いつつも、そのまま歩いてついていく。
■浜崎MB > 「おう、おう、カッコいいじゃねえか、ならケツ締めて歩けよ
お前見てっとなんかこう…ア?イーッてなんだよ!わかるか!」
感覚的な発言をしながら、その蒼白な顔のこめかみに
ぐりぐりと指を当てようとする、大丈夫か?コイツ…
「オウ、まあ座れよ、な?ホラ、注文だよ、ちゅ う も ん!
その辺のベンチじゃねえんだから、話を進めたきゃわかンだろ?」
ガタ…とやなぎの分の椅子を引いてやると、そこへ案内するように叩く
メニューなどはない、雑多な飲み物の広告ポスター、薄暗い照明
埃臭い棚に飾られた数々のボトル等、店内は本当に簡素な作りだった
客は4人、奥の方でトランプに興じている
あるいはそれが客ではないのかもしれないと判断するには
少し経験が必要だ
中指でコツコツと、ビールのポスターを叩き、示唆すると
カウンターの奥の大柄なマスターが、グラスを拭きながらこちらを見ている
注文をしろ、と睨んでいる様だ
■やなぎ > 「ぼ、暴力はやめっいだだだだだ」
完全にされるがままの軍人はなおも悲鳴を上げる。
始終圧倒されながらも、行きついた先の酒場にびくびくしながら入っていった。
入った矢先でまた叩かれれば、涙目になって席につく。
頭は混乱して思考停止。周りのことを気に掛ける暇もなく、プチパニックになりながらも声を絞り出す。
「注文…注文ですよね、ではミルク…いや、ビールで…」
ビール以外を頼むとまた叩かれそうだと思って言い直す次第である。
ただ内心では酒は飲みたいと思うのだった。
■浜崎MB > 「こんなのが暴力?ハッ!暴力ってのはな!もっと楽しいンだよ!
これはただのアレよ、景気付けよ!ア?」
ゴト、とテーブルに持参のコロナビールの瓶を置くと
ポケットから取り出した葉巻を咥え、手を翳すだけで火を点けた
スー…と吸い込むと、煙が徐々に燻っていく
「ああ、俺ァ水でいいや」
ビール。やなぎが注文した途端に、待っていたとばかりに
テーブルの上にマスターの手が伸び、室温のギネスビールがボトルで置かれた
この酒場ではビールといえばこれなのだろう
「アーアー、ンでよ、話が遅くなったな…兄ちゃ…」
『ンだテメェコラァ!』
『あっ…アバッ…やめ…』
バキィ!と木製ドアが軋む音がして、言葉を遮るように
サラリーマン風の男がカウンター奥の扉からまろび出てくる、次いで大柄の男だ
男はサラリーマン風の男をサッカーボールのように蹴飛ばしながら店の外へと向かって行く
『払えつってんだろうがコラァ!テメェ飲んだモン払えねぇってなぁどういう了見だアァ!?
120万だってんだろうが!血ィ抜くぞコラァ!ちょうど表に…』
―――……
「兄ちゃんどこに行きてえんだって?」
ここまで何のアクションも無ければ
喧騒が遠のいた所で、こちらも何事も無かったかのように話を続けようとするだろう
フー…と息を吐くと、葉巻の煙が天井へと昇った
■やなぎ > 「は、はい…?」
暴力が楽しいなんて自分の聞き間違いだろうか。
我が軍のメンバーに一人そういう人物がいることを思い出した。
水を頼んだ目の前の相手に少し拍子抜けしつつも
全く待たずにおかれた酒瓶を持ってみる。手から感じる温度に冷たさは全くなかった。
短く溜息をつく。
これを瓶ごと飲んでやろうかとフタを力任せに開けている所に、突然別人の怒号が耳に飛び込んできた。
思わず首を動かしその光景に目を疑う。
こういう治安の悪い地を自分は知っていた。
が、『スラム』だと気づいた頃にはもう遅いのだった。
いつもなら真っ先に止めに行く場面であったが、気づいてしまったせいか体が動かない。目をぎゅ、とつむって酒をぐいと煽ぐ。
少し表情が和らいだ。
「……遺跡です。これといった用はないのですが、地理を知るにはとにかく島の全土を回ってみようと思いまして。…ここに来て日があさいものでして。」
ぼんやりとした頭で彼のはきだす煙を眺めた。
■浜崎MB > 「暴力ってのは、一種のお祭りだ、相手より自分が強い事を主張して…
この世界に自分の居場所を宣言すンだよ、つまり必要な行いだ
こんなモンはただジャレてるだけに過ぎねえよ」
ガタ…と椅子を後ろに倒しながら、天井を見上げる
見上げてから、視線を戻し
「で、全部その土臭ェ遺跡をめぐって何がわかるんだ?ワビサビか?
まあ好き好きだけどよ、エ?ここは確かにあちこちボロが着てる鉄錆の城よ
でも遺跡って程じゃねえなァ、ミイラめいてるが、俺もあいつらも生きてる
お前が行きてぇのは向こうの門通ってよぉ、真っ直ぐだ、荒野に出るけどよ、そこを超えたら…だなァ…
水か何か持ってかねえと正直、死ぬぜ?まあ捜索隊のお世話ンなんねえようにな」
窓の外を顎で示す、特徴的な大きい門に、首括り用のロープが垂れ下がっている
雑な道案内だが、地理からして結構大雑把なものだった、人の手が入っている場所と
入っていない場所、隔絶された地理があるのなら、案内もしやすい
「ま、町ァ入り組んでっからな、気ィ付けて歩けよ兄ちゃん
結構良い度胸してるみてぇだし、気に入ったよ、名前は何てンだ?ア?」
カラカラと笑いながら、葉巻を人差し指と中指ではさんで口から話すと
相手の目を見て問いかける