2015/08/09 のログ
ご案内:「スラム」に東郷月新さんが現れました。
東郷月新 > あろう事かこの男、小劇場から出てきた。
そう、フェニーチェの騒動以来、落第街でも演劇熱が高まったのか、いくつかの劇団が公演を行っている。
そこでその演劇を見てきたのだが……

「今ひとつ分かりませんなぁ」

特にこの男、感銘は受けなかった様子。
さて、今日はどうするか。

東郷月新 > 相変わらず熱いこんな日には……
氷菓でも食べるとするか。
幸い、落第街の外れの方の茶店で手作りのバニラアイスを出していたはず。
この男、甘い物は和菓子系が好みなので、自然な甘さの地味なアイスが好きなのだ。

ゆっくりと歩を進める東郷。
どう考えてもリア充の生活である。

東郷月新 > もはや完全に牙の抜けた獣である。
いや、一日に一回、ひどい時は二回くらい人は斬っているのだが、何せここは落第街だ。
ぶらぶら歩いているだけでも――

「おい、待ちな」

この通り。
やれカツアゲだ。やれお前を倒して名を上げるだ。
そういう連中には事欠かないわけで。

東郷月新 > ――三分ももたなかった。
どうやらただのカツアゲらしい。
相手をよく見ずに突っかかったか、それとも本人と分からなかったか。

「やれやれですなぁ」

刃を懐紙で拭い、再び茶店へ向けて歩を進める。
バニラアイスもいいが、抹茶アイスも捨てがたい。

東郷月新 > というわけで茶店に到着。
ここに来るまでバニラにするか抹茶にするか迷っていたのだが……

「ご婦人、このアイスクリームの抹茶&バニラをひとつ」

ハーフ&ハーフのアイスがあったので迷わず選ぶ。
素晴らしい、この茶店はニーズが分かってる。
店舗の位置が最悪で全然流行ってないけど。

東郷月新 > (人斬り抹茶&バニラ堪能中……)
ご案内:「スラム」に愛々之射鬼さんが現れました。
ご案内:「スラム」に奥野晴明 銀貨さんが現れました。
奥野晴明 銀貨 > するりと茶店に入店するものが一人。細く小さな背格好、無機質な表情の少年が東郷の横を通って店員に一声かける。

「すみません、バニラアイスを一つ」

注文してからすぐに出てきたカップに入ったそれを受け取ると東郷の近くの席に腰を掛ける。
ふと一瞬目が合えば、かすかな柔らかい色を浮かべて挨拶する。
それが表情らしい表情で、それきりまた無機質な顔に戻る。

愛々之射鬼 > (退屈、である)

(先日の大浴場での一件、相当痛いところを突かれたのか担い手に元気が無い、
授業中上の空という感じだったし、食欲も薄かった、
くだらない、と愛々之射鬼は思う)

(体質についてやいのやいの言ってくる奴がいれば斬ればいいし、担い手ならそういうことを平気でやれる、
少なくとも帯刀わたいれという人間の本質はそうだし、愛々之射鬼もそれに同調している、
それなのに何故マトモであるふりをするのか、それが愛々之射鬼には理解できない、
__だからこそ、愛々之射鬼は”刀”でしか在れないのだが)

(そんなこんなでストレス解消と暇潰しの為にスラムへと来てみた、
スラム街は好きだ、うろつくだけで斬る相手が向こうからやって来るし、既に何人か斬っている、
妖艶とも殺気ともとれる笑みでうろついていると__背筋がぞくりと震える、
それは言わば刀の本能であり愛々之射鬼の執念、妖刀としての鋭さ、
本能のままに歩いた先にあったのは一軒の茶店、とりあえず適当に茶でも頼む)

東郷月新 > 茶店の外の席に腰掛けつつ、新しく入ってきた客たちにちらりと視線を向かわせるも。

「ふむ――」

特に気にした様子もなくアイスを食べ続ける。

奥野晴明 銀貨 > ふ、と更に自分のあとに続けて入ってきた相手を見る。
白髮赤目の男子生徒……その格好は常世学園では比較的珍しくはないと思われた。
その剣呑な雰囲気がなければだが。

どうやら先に入っていた客、今抹茶とバニラアイスを堪能する男もなにやら鋭くちりちりとした何かを感じる。
同じ属性のものは惹かれ合うらしい。

たぶん自分以外のこの二人は類似する何かを持っているのだ。
それにここはスラム街、何が起こったって不思議ではない、そういう場所だ。

などと考えつつ、表情は変わることもなく黙々とスプーンでアイスを口に入れる。
うん、美味しい。この味なら学生街にも出店すればいいのにと思う。

愛々之射鬼 > (適当に東郷や奥野晴明に近い席に座り、運ばれてきた熱々の緑茶を一口)

「ふむ」

(満足気に笑う、茶は帯刀が好きなので愛々之射鬼も好きだ、
どうやら自分は侵食した人間と感覚の好みが同調するらしい)

「さて」

(緑茶を飲み干し、湯飲みが片付けられたのを見て、ぐい、と東郷の方へ顔を寄せる、
細目の奥を品定めするように見つめながら、口を開く)

「お前__先ほど人を斬ったな?」

(口調は責めるのではなく愉しむように、じいと見つめながら笑う、
血は拭き取ったようだが、刀の嗅覚は誤魔化せない)

東郷月新 > 「ふむ?」

いきなり顔を近づけて来た男をぱちぱちと瞬きしながら見て。
一つ頷くと。

「確かに。それが何か?」

事も無げに応える。
ここは落第街だ、日常茶飯事であろう。

「亭主殿、茶を一杯いただけますかな」

奥野晴明 銀貨 > 『人を斬ったな?』
その学生の問いかけに青年が事も無げに肯定した。

その問いかけで思い出した。
近くに座るこの白髪の青年、確か『ロストサイン』の一人
『人斬り東郷』の東郷月新――。

なるほど、剣呑な雰囲気はこれが理由か。
紙ナプキンで口元を拭いつつ、とりあえず二人の会話を邪魔せぬようそのやりとりを眺める。
たとえここで何かがあったとしても自分は自己防衛以外はする気があまりない。
生徒会の所属であるということは秘するところであり、
何より生徒会役員であるからこそ迂闊に手を出してはならない。

愛々之射鬼 > 「くくっ」

(問いかけに一切動揺せず、まるでそれが当然のことのように振る舞う男の反応に笑みを深める、
顔を離し、席に座り直すと、腹を抱えながら笑う)

「ふふっ、くふふっ__随分と当然のように言うのだな、お前は」

「まるで刀のようだ、お前も憑き物の類いか?」

(確信する、この男は帯刀わたいれの”同族”だと、
それが当然というような自然な態度、それは”人”ではなく自分達のような”刀”の態度だ、
その姿に同族意識や興味や殺意を抱きながら、茶のお代わりを頼む)

東郷月新 > 「はて?」

言っている意味がよく分からなかった。
憑き物?

「小生にとっては、人を斬るなど飯を食い寝る事とかわりませんからなぁ……
そのような事、意識した事もありませんでしたな」

言いながら茶をすする。
うむ、アイスの後は熱い茶に限る。
亭主にもう一杯もらうとしよう。

奥野晴明 銀貨 > 「その学生の言うことの真意はわかりませんが……
 そのように人を斬ることと衣食住を満たす生活を同様に語るような者は
 もはや”刀”と同質ではありませんか?

 ――そうは思いませんか?『人斬り』の東郷さん」

置物のように座して黙っていた銀貨がするりと、ようやく口を開く。

「東郷さんが憑き物の類ではない、とは思いますが……。
 そういうあなたは刀の憑き物で、その学生の身体を乗っ取っているのですか?
 なんとお呼びすればよいでしょう……、僕は奥野晴明 銀貨です」

視線をさらりと愛々之射鬼へと移しそう尋ねる。
すっかり食べきったアイスの器は店員にお願いして下げてもらった。

愛々之射鬼 > 「くふふ、どうやら”妖刀”ではなく”人間”か__随分と歪んだ人間もいたものだな?
今の担い手が死んだらお前の刀になりたいぐらいだ」

(脳裏に愛する担い手を浮かべながら、くつくつと相手の言葉に笑う、
簡単には壊れなさそうだし、実力もありそうだ、帯刀ほどではないが刀として興味をそそられる、
__まあ、長生きしそうな人間には見えないし、案外自由になったらぽっくり逝ってました、とかありそうだ)

(そして横から掛けられた声に、楽しげに答える)

「ふふっ__お前もそう思うのか」

「名乗るのが遅れたな、私は愛々之射鬼(あまのじゃき)という、詳しく知りたければ妖刀関連の書物を漁ってくれ、
まあ憑き物の一種のようなものだな、そこらの格の低い妖とは一緒にしてくれるなよ?」

(自信満々に答えながら、ずず、と茶を飲む)

東郷月新 > 「おや、ご存知でしたか。
いかにも小生は東郷月新。ロストサインの『殺刃鬼』ですなぁ」

頷きながら見やる。
なるほど、妖刀の類か。
あの少女が見たらどう思う事やら。

「ふむ?
しかし、人間たる者、何かしら根底に欲を持つものでしょう。
先ほど見てきた演劇をする者たちは舞台を、他にも恋やら研究やらに欲望を見出す者もいる。
しかし彼らは舞台そのものでも研究書でもない人間。
まぁ、小生にとってはそれが人斬り、という事ですなぁ」

奥野晴明 銀貨 > 「愛々之射鬼さん、ですね。刀剣のたぐいには詳しくなくて申し訳ありません。今度文献を漁って調べておきます。」

妖刀、それも格の高い妖怪。そんなものに取り憑かれた人間も生徒の中にはいるのか。
驚きの表情は無く、ただ納得する。この学園は本当に予想という型にははまらない。

「ええ、ロストサインのお噂はかねがね。
 そうですね、人間が生きるのに必要な要素の一つは欲望です。
 その演劇者たちは……『フェニーチェ』のことですね。
 彼らもまた世界を舞台に仕立てあげたいという欲望のために身を投げ打ったと聞きます。

 でも大半の人間は、自身の欲望を際限なく前に出して自己の破滅に至ろうとはしないものです。
 生存のためのブレーキがかかるからその欲望は大抵社会模範の外には出ない。
 だけれど東郷さんにしても愛々之射鬼さんにしても、『フェニーチェ』の劇団員たちにしても
 きっと見出した欲望のために何も惜しむことが無いのでしょうね。」

それが良いとも悪いとも言わない様子で、そう自分なりに分析する。
愛々之射鬼さんは、人ではありませんけどと付け足して。

愛々之射鬼 > 「ほう?__まさかお前、東郷月新か!」

(立ち上がり、再度東郷へと顔を近付け、じいと細目の奥を見透かすように見つめる、
唇は心底愉しそうな三日月型につり上がり、憧憬と殺意が違和感なく両立している表情だ)

「くくっ、随分と強い剣鬼と聞いていたから期待していたが、想像とは随分違うな?
__いや、ある意味想像通りか」

(そこまで言うと顔を離し、奥野晴明の方へ向きなおる)

「そうだな、世の中にはそういうブレーキの壊れた人間が少なからずいるし__
そういう人間ほど、”異形”に成りやすいし”異形”に好かれる、私の担い手のようにな」

(そこまで言って喉が渇いたのか、ぐい、と茶を煽る、
……むせた)

東郷月新 > 「小生は小生でしかありませんからなぁ」

騒がしい人間――人間? だなぁと思いつつ。
だが、落第街らしくて良い。
どうせ何処かネジの外れた人間ばかりしかいないのだから。

――いつも寝床にもぐりこんでくる少女が、ネジどころか基盤まで吹っ飛んだような状態になっているとは知らぬ東郷であった。

「なるほど、社会で生きる為に己の欲望を抑えると。
つまらなく、大変そうな生き方ですなぁ。
小生には出来そうもない」

奥野晴明 銀貨 > むせた愛々之射鬼の背をそっとさすろうとする。

「なるほど、そのお体、担い手とやらもそういう方でしたか。
 時に愛々之射鬼さんは東郷さんと一戦交えようという心構えでしょうか。
 僕には止める義理も、力もありませんが出来ればこのお店はとても良いお味のアイスを提供してくださっていますから
 もしも刃を交えてしまうのならば戦場はここから移して欲しいのですが、お願いできませんか?」

つまらないとうそぶく東郷に対しては少々肩をすくめ

「ええ、自身の欲望を抑えぬまま自身の望む所欲するままに生きるのはある意味美しくとても楽しい。
 ただ一般的な人々はそうするだけの力も気概もありません。
 なにより多くの人の自由は他人との折り合いをつけた所でなされる成果です。

 自分の我を通す、欲望を望むまま追求するのは獣にだって出来ます。
 いえ、東郷さんは獣というよりか”刀”ですね。まさしく自我の生えた血を飢え求める”妖刀”。
 失礼、これは僕から見たあなたという意味です。どうぞお気を悪く為さりましたらお許しを」

愛々之射鬼 > 「げふっ……ああ、すまんな」

(背中を剣タコのない小さく細い手でさすられ、だいぶ落ち着いてきた)

「なに、流石にここで斬り合おうとするほど私は品の無い刀ではないさ、
ここの茶はうまいし、物を壊して担い手に弁償させるのも忍びないしな」

(そこまで言って、ぎり、と東郷を見つめる)

「それに」

「お前、なんだか随分と弱そうに見えるぞ__確かに昔は強かったのだろうが、
今は随分と腑抜けて見える、誰かに刃を潰されたか?」

(見透かしたのは刀の嗅覚か、本能か__
東郷月新という剣鬼の現状を見抜きながら、がりがりと爪を噛む)

(少なくとも目の前の男は剣鬼の持つ覇気や血の匂いが薄まっているように感じる)

東郷月新 > 「うん? あぁ、小生の最近ですか?」

ふむ、弱くなった、か。
確かに今の自分だと……

「まぁ、人を斬る欲は薄まっておりますなぁ」

やれやれと肩を竦める。
何せ、あの少女の相手をしていると欲望を他に発散せざるを得ないのだ。

東郷の剣は欲望の剣である。どこまでも欲望が強さの根源なのだ。

奥野晴明 銀貨 > 「それは良かったです、安心しました。」

呼吸が元通りになればその背から手を離す。
この妖刀の嗅覚を確かに信ずるならば、今の東郷はずいぶんと腑抜けているという。
この状態で腑抜け、だとすると普段はもっとぎらぎらとした殺意で周囲を焼いているのだろうか。
恐ろしい話である、とそっと心のうちで思う。

しかし欲望が剣に向かない理由とは……考えられることはいくつかあるが

「……誰か情を持った女性でも、出来ましたか?
 その方と日々愛を営むのに忙しいとか……あるいは身体だけの関係、セックスとか」

恥ずかしげもなく無機質な表情のまま東郷にそう問いかけた。

愛々之射鬼 > 「ふむ、女か」

(首をこてん、と傾げ、奥野晴明と東郷を交互に見やる)

「……なるほど、刀のように生きているが人は止めていない、と」

(性欲、三大欲求というのを愛々之射鬼は理解できない、
物は孕むことも孕ませることもない、物は睡眠を必要としない、物は何も食べずとも存在できる、
__そういった性質が帯刀にも伝染し侵食しているのか、帯刀も三大欲求が薄いようだ)

「理解できないな」

(要するに、刀に人間は理解できない、体内の妖刀達も賛成の声を挙げている)