2016/07/16 のログ
ご案内:「スラム」にバラルさんが現れました。
バラル >  
「相変わらず、雑多な所ねぇ。」

 スラムの一角。噴水のようなもの痕地に腰を預ける。
 人型の棒キャンディーを舐めまわしつつ、がらんとした空間を見渡した。
 

ご案内:「スラム」にクラージュさんが現れました。
クラージュ > マントに剣を佩いた少年が現れる。
スラムに足を踏み入れたのは、ほんの偶然。
探していた品が、こちらの方で売りに出されていたから買い叩く……もとい、平和的に取得する為にやってきたのだ。

「……希少金属だと相手が気づいてなくて、非常に助かった。
 俺の財布は有限だからな。延々と金策し続けるわけにもいかないし」

そのまま、噴水だかなんだかの跡地に足を踏み入れて。
総毛だった。

「……っ!?
 この気配は……!?」

バラル >  
 
 圧倒的な色の濃い魔――それとほんの少しの神性――
 
 ――魔王を想起させるような、強烈な力の気配。
 その手の気配を 否応なしに覚えただろう。

「……あら?」

 悠然かつ艶やかに。
 威厳を備えたその仕草は、たとえ噴水の残骸であろうが玉座の上に在るように仕立ててみせて――。

 クラージュを見据え、認めた。 

「職業勇者 かしら?」
 

クラージュ > ごくりと唾を飲み込む。
この感じ、圧力、間違いない。

「……確かに、俺は“勇者”だ。
 異世界のってつくことも多いし、実際この世界の出身ではない……」

いつでも戦えるように、剣に手をかける。
まだ、抜かない。
軽々しく戦闘に入るとまずい。

「まさか、こんなところにいるとは思わなかった。
 最近噂を耳にしていた魔王は、お前か」

バラル > 「異世界にまで出張するなんて、お疲れさまねぇ。
 ……ええそうよ。魔王バラル。名前ぐらいは聞いた事あるかしら?」

 魔王に構えは必要ない。
 相変わらずのゆったりとした態度からは、そのような余裕も伺えるか。

「尻尾巻いて逃げてもいいのよ?
 魔王からは逃げられないなんて、ケチ臭い事云わないわ。」
  

クラージュ > 「悪事を働くやつがいなければ、俺だって出張しなくてすむのかもな」

騙りの可能性も考えたが、これだけの魔と神性を持つ存在が騙りをする意味が無い。

「ああ、名前だけはな。
 もっと人間離れした魔王を想像してたよ」

間合いを計る。
もう少し、あと数歩近づかなければ。

「魔王から逃げたんじゃ、勇者とは言えないさ!!
 無謀とも言われるかもしれないが、戦う前から逃げるわけにはいかない……!!
 何を企んでいる、魔王!!」

バラル > 「――世界征服。とだけ言っておきましょう。
 後は、語るに及ばず。かしら?」

 棒キャンディーを杖のように突き出して、刃物の切っ先を向けるように伸ばした

 近付くクラージュに、改めて布告する形となるだろうか。

「その蛮勇や善し。
 でも、少々無謀じゃないかしら?」
 
 

クラージュ > 「お前がシンプルな魔王でよかったよ。
 別の世界を背負ってたりしてたら、そっちの世界も救わなきゃいけなくなる」

剣を抜いて、刃を向ける。
武器は少し強くなって鋼の剣。
魔王を相手にするには心許ないが……。

「“勇者”が逃げたら、誰が世界を護れるっていうんだ!!
 負ける事はあるかもしれないが、逃げる事は俺の矜持が許さない!!」

間合いに入ったのか、一足で飛び掛り勢いのままに袈裟斬りを狙う。
剣の軌跡は鋭いものの、レベルはコンシューマーゲームの10相当。
素人というほどでもないが、ベテランと比べるとまだまだ温い。
せいぜいが駆け出しがちょっと成長した程度の腕である。

バラル > 「――ふぅん。」

 右の指先一つを奮われる剣にあてがう。
 ――指先こそ深めに切れるものの、それ以上進まない。

「こんなもの?
 私みたいに分かりやすい勇者性を備える割りには、口ほどにもないのね。」

 あてがった指に軽い魔力を込めて弾く。
 剣を打ち合った程度の衝撃を剣に伝え、弾きに掛かるか。
   

クラージュ > 「ぐっ……」

どれだけ力を込めても、剣が進まない。
むしろ、軽い魔力であっさりと弾かれる。

「……まだまだ、これからだ!!
   ブレイブワークス    ファイター
 『勇者のお仕事』……『戦士』!!」

一瞬だけ、光に包まれた後に再び剣を振るう。
先ほどと比べると、剣筋はより鋭く衝撃も重い。
ベテランに比べるとそれでもまだ、弱いのだが。

「指先を切れた、ということは倒せないことはないって事だ!!」

バラル > 「――なら、やってみなさい。」

 装いを変えた後に振るわれる斬撃。
 思い切った、技術のない力のみで振るわれる蹴りを叩き込んで弾く。
 明瞭なアクションの後、一歩下がり。

「――呪いあれ。」

 "衰弱"の呪詛を指に乗せて放つ。
 即効性のある呪いとして、その身から生命力や魔力――リソースそのものを奪い取る呪いの魔光がクラージュへと迫るか。
 

クラージュ > 弾かれれば、剣が浮く。
手放さなかっただけでも行幸か。

「……ぐ、体が……」

一瞬だけレジストできたようにも見えたが、すぐに呪は身に降りかかる。
やめて、経験値だけはドレインしないで!!

「まだだ……まだ……ッ!!」

“勇者”にジョブチェンジしなおして辛そうながらも、剣を構えなおす。

「……弱い勇者でも。
 一太刀分の意地くらいは……あるものだッ!!」

剣が雷光を纏い、改めて大上段からバラルを斬りつける。
勇者の意地<プラーナ>を全てを雷光に変えて……!!

「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

しかし、衰弱の呪のせいで、当たる直前で雷光は消えうせるかもしれない。

バラル > 「――ッ、!」

 避けるには僅かに遅い。
 意志力で無理くり誤魔化しながら、無理を重ねて捉えに来た。故に対応が遅れる。
 
 大上段から振り下ろされた雷光の剣はバラルの左肩に深々と刺さり――

 ――身体を引いて剣から離れて尚、その雷光はバラルの左肩に留まり、焦がしている。
 
 壁に身体を預け、大きく息を吐く。

「やるじゃない。
 ……でも、名乗りもしないような勇者はちょっと残念ね。
 名乗る程のものではありません――最近の流行りなのかしら?」

 頭に血が上っていたかもしれないし、"そういう存在"なのかもしれないが。
 いずれにせよ、推測の域は出ない。

クラージュ > 「名乗る程のものではない……か。いつか言ってみたいものだな」

膝を突いて、剣を地面に刺し両手で体を支える。
必死に力を込めて立ち上がり、切っ先を再びバラルに向けた。

「俺の名は!
 クラージュ=バリエンテ!!
 数多の世界を救った英雄にして……貴様を倒す勇者だ!!」

再び構えなおして……膝から崩れ落ちた。

バラル >  
「そんな勇者はきっと私と同じでしょうねぇ。

 短く告げ、名乗りを受ける。
 切っ先に動じる事も無さそうに、口を開く。

「……遊ぶには脆するし、排除するには危険ねぇ。
 だから、貴方に免じて此処は引いてあげましょう。」

 艶やかな仕草に愉快と悦を乗せて、告げる。

 あっさりと撤退の意を示したかと思えば、彼女の中で力が動く。
 肩に留まった雷光へ向け、持ち前の魔力と呪が収束する。

   「生きて帰れたら、だけど」
 
 それらは反発し合う力として互いの力の過激さと不安定さを増幅させる。
 幾多の世界を救う程のクラージュならば、エスカレートし合う力の果てに何が生じるか察する事は出来るかもしれない。

「さん」

「に」

「いち」
 

クラージュ > 「……こんな所で、そんな呪を……」

意地は搾り出した。
もう空っぽだ。
あるのは、わずかな残り滓と……胸の誇り。

「さ、せるかぁぁぁぁぁ!!」

立ち上がるやいなや、再び逆袈裟で不安定な呪を斬りさこうと。
意地もないなら、命を燃やして。

バラル >  
「逃げないの――」

 そもそも、不安定化の原因はクラージュが纏わせた力に持前の魔力等が反発を起こしている故の不安定化。
 自爆直前の"それは"確かに両断され、ある程度切り分ける事は出来るだろう。

 ――それでもやっぱり爆発する。数秒の間の後、盛大な爆発を引き起こした。
 特撮めいた爆発は広範囲にこそ呪いを及ぼさないが
  至近に居れば、幾らかが背に飛ぶだろうか。
 
 
 

クラージュ > ほぼ至近距離にいた為に爆発から逃れる術はない。
それでも。
広範囲に呪を及ぼさなかった。
それでいい。

「……よかった、周囲は無事……か」

木の葉のように舞い飛ばされて、どこかの外壁に強かに体を打ち付けたが周囲が無事なのを確認して。

「ま……おう……め」

バラル >   
 
 既にバラルの姿は影も形もない。
 ……耳に響く笑い声は、記憶に残った幻聴か、それとも。
  
 

ご案内:「スラム」からバラルさんが去りました。
クラージュ > 勇者の意識も、そこで途絶える。

目が覚めた時に、打倒魔王バラルを改めて誓った。

ご案内:「スラム」からクラージュさんが去りました。