2016/08/17 のログ
ご案内:「スラム」に雨宮 雫さんが現れました。
■雨宮 雫 > スラムの汚い通り道、その更に裏手。
まぁ真っ当な人間ならまず通らない場所、迷い込んだりでもしたらただでは帰れない場所。
よって、ここに居るのは真っ当ではない人間ということ。
不快指数の高い湿気た空気の中、平然とした顔で汗もかかずに妙に小奇麗な木箱に座る少年もまた、そーいう人間であった。
■雨宮 雫 > 背の高い木箱に座り、浮いた足をゆっくり揺らし。
暇そうにスマホを弄っている姿は時間を潰しているように、見えるだろう。
緊張感のない空気を纏う姿はこの場では大きく浮いたもの。
だったが、不思議と絡んでくる人間は居なかった。
通りを作る建物から少年を眺める視線はあるのだけど。
■雨宮 雫 > 「まだかなーまだかなー……
早めに来るのも考えものーだーねーだーねー。」
眺めてくる視線を気にしていないのか、気づいていないのか。
スマホをポチポチ、音はしないが何かゲームでもしているのだろう姿は、その辺の駅や公園で時間潰しでもしている位の気楽さだった。
■雨宮 雫 > ふと、スマホから顔を上げると、脇に置いてあったスーパーの袋に手を突っ込む。
引っ張り出した焼き菓子らしきものを口に咥えると、そのまま ぱきり と半分に折って、向かい側の暗い路地の端へと投げた。
"チチ キキ キ"
焼き菓子の欠片が落ちたあたりに小さい、翠色の光点が2つ灯ると、甲高い鳴き声と共に欠片を引き摺って奥へと消えていった。
「…………ごーはん、ご飯。ひひひ。」
何にエサを投げたのか分かっているのか、その様子を見終わると、またスマホに視線を落とした。
■雨宮 雫 > スマホの振動がショートメッセージの着信を告げる。
見てみると、待ち合わせ相手からであった。
[トラブルにつき、多少遅れる]
はぁ、と溜息。
夏休みのせいか、普段通りにいかないコトがよく起きるらしい。
まぁ、お陰様で商品もよく売れるから、こうして追加の注文分を届けにきているのだけど。
そう考えると余り咎める気持ちも起きてこない。
[ごゆっくりー]
短い返信だけして、また焼き菓子を咥えながらゲームに戻った。
スマホとはげに、便利なものであった。
■雨宮 雫 > それから更に少し。
頭の上で跳ねていた髪の毛がぐりっと動いて路地の奥を指した ような気がした。
続いて聞こえてくる複数人の足音。
顔を上げて、やってくる人間の顔を見てー……
「すごく待ったかなーかなー?」
総じてバツの悪そうな顔を浮かべる相手方の中で、で言い訳を始めた先頭の人間に、にたーりと笑みを浮かべつつ、木箱から飛び降りる。
■雨宮 雫 > 「早く来たボクも悪いかもだけど。
じゃあ、さっさとお届けにいこうかな、かな。」
初見の相手ではないのだろう。
慣れた様子でやってきた一団の中へと混じり、スラムの奥の方へと歩き出す。
一団の最後尾が、時折後ろを気にしていたのは場所柄で仕方の無いことであろう。
ご案内:「スラム」から雨宮 雫さんが去りました。