2016/08/17 のログ
ご案内:「スラム」に雨宮 雫さんが現れました。
雨宮 雫 > スラムの汚い通り道、その更に裏手。
まぁ真っ当な人間ならまず通らない場所、迷い込んだりでもしたらただでは帰れない場所。

よって、ここに居るのは真っ当ではない人間ということ。

不快指数の高い湿気た空気の中、平然とした顔で汗もかかずに妙に小奇麗な木箱に座る少年もまた、そーいう人間であった。

雨宮 雫 > 背の高い木箱に座り、浮いた足をゆっくり揺らし。
暇そうにスマホを弄っている姿は時間を潰しているように、見えるだろう。

緊張感のない空気を纏う姿はこの場では大きく浮いたもの。
だったが、不思議と絡んでくる人間は居なかった。
通りを作る建物から少年を眺める視線はあるのだけど。

雨宮 雫 > 「まだかなーまだかなー……
 早めに来るのも考えものーだーねーだーねー。」

眺めてくる視線を気にしていないのか、気づいていないのか。

スマホをポチポチ、音はしないが何かゲームでもしているのだろう姿は、その辺の駅や公園で時間潰しでもしている位の気楽さだった。

雨宮 雫 > ふと、スマホから顔を上げると、脇に置いてあったスーパーの袋に手を突っ込む。

引っ張り出した焼き菓子らしきものを口に咥えると、そのまま ぱきり と半分に折って、向かい側の暗い路地の端へと投げた。

"チチ    キキ  キ"

焼き菓子の欠片が落ちたあたりに小さい、翠色の光点が2つ灯ると、甲高い鳴き声と共に欠片を引き摺って奥へと消えていった。

「…………ごーはん、ご飯。ひひひ。」

何にエサを投げたのか分かっているのか、その様子を見終わると、またスマホに視線を落とした。

雨宮 雫 > スマホの振動がショートメッセージの着信を告げる。
見てみると、待ち合わせ相手からであった。

 [トラブルにつき、多少遅れる]

はぁ、と溜息。
夏休みのせいか、普段通りにいかないコトがよく起きるらしい。

まぁ、お陰様で商品もよく売れるから、こうして追加の注文分を届けにきているのだけど。
そう考えると余り咎める気持ちも起きてこない。

 [ごゆっくりー]

短い返信だけして、また焼き菓子を咥えながらゲームに戻った。
スマホとはげに、便利なものであった。

雨宮 雫 > それから更に少し。
頭の上で跳ねていた髪の毛がぐりっと動いて路地の奥を指した   ような気がした。

続いて聞こえてくる複数人の足音。

顔を上げて、やってくる人間の顔を見てー……

「すごく待ったかなーかなー?」

総じてバツの悪そうな顔を浮かべる相手方の中で、で言い訳を始めた先頭の人間に、にたーりと笑みを浮かべつつ、木箱から飛び降りる。

雨宮 雫 > 「早く来たボクも悪いかもだけど。
 じゃあ、さっさとお届けにいこうかな、かな。」

初見の相手ではないのだろう。
慣れた様子でやってきた一団の中へと混じり、スラムの奥の方へと歩き出す。

一団の最後尾が、時折後ろを気にしていたのは場所柄で仕方の無いことであろう。

ご案内:「スラム」から雨宮 雫さんが去りました。