2016/12/17 のログ
ご案内:「スラム」に霧依さんが現れました。
ご案内:「スラム」に霧依さんが現れました。
霧依 > ひんやりと冷える夜が、彼女は嫌いではない。
男物の古いコートを着込んで、スラム街の路地に背を預け、紙巻きの筒から紫煙を揺らす。

古い楽器を直せる職人を探したついでに、がやがやとうるさい古びた居酒屋で酒を一杯。
…と、思ったら喧嘩が始まって、慌ててその場から逃げてきたという始末。

この場所は怖いね、なんて一人呟いて、自分のボトルに入った琥珀色の液体を傾ける。

霧依 > 「せっかく直ったのに、お披露目はまた今度かな。」

囁くように声を落として、ひんやりと冷たい楽器を撫でる。
アコーディオンを小さくしたようなその楽器は、切なげな音色を奏でることは得意なそれ。
情熱的に、切なく音色を奏で、酒を飲んで、世界を回る。

自由人の旅人のライフワークである。

霧依 > さあ、行こうか。

音には出さず、唇だけでそう呟けば、酒の匂いのする女が立ち上がる。
今度はどこにいこうかな。

流石にバイクには乗らずに、ふらりとスラムを歩く。
月にかかった雲のように彼女自身のシルエットが薄れて消えて。

ご案内:「スラム」から霧依さんが去りました。
ご案内:「スラム」に山田次太郎さんが現れました。
山田次太郎 > 夕暮れ、夜に差し掛かろうかという時間。
物珍しげに、集合住宅やバラックなどを眺めながら歩く一人の男。
傍らには、全長120cmもの巨体を誇り、傍らの男を乗せられるであろう茶毛の大犬が歩いていた。
その大犬の背中に手を置き歩いていた男は、少しの物音でもビクつくという始末だけれど。

「なぁ、ポチ。やっぱ帰る?ポチも腹減ったろ?」

ポチと呼ばれた大犬は、呆れたようには穴を鳴らすとずんずんと歩く足を早めていく。

「行くって!行くからおくてくなよぉ!」

大犬の背に手を乗せている反対の手は懐に伸ばされ
符を常にはなてるように準備されていた。

山田次太郎 > ビクついていた男だけれど、どこからかの視線を感じたら
背筋を伸ばし堂々と歩くように心がけた。
肝を太くするという目的で来ているのだからこれぐらいしなければという心意気。
しかし、急な物音にはやはり肩が跳ねる始末。

「立派な男になるには多少の危険は冒さねぇとな、ポチ」

ぽふぽふと大犬の背を叩きながらそう言うと、大犬は嬉しげに、控えめな鳴き声を上げた。

「つっても、そこまで奥には行かねぇつもりだけど」

山田次太郎 > そこそこ歩いたから慣れたのだろうか。
最初の物珍しそうな視線は消え、今は視線を前に堂々と歩いていた。

「怖いつっても最初だけだな、慣れりゃそこまでこわかねぇ」

懐に忍ばせていた手をそっと抜くとゆっくりと息を吐き、ポケットへと。
そして、道の途中に見つけたベンチへと足を向け、辿り着いたならゆっくりと腰を下ろした。
大犬もベンチの前にお座りの体勢で待機。
その頭をグリグリと撫でてやると、もっともっとと撫でている手に頭を押し付ける様子に破顔して
両手でうりゃうりゃと撫でる。

「いい子ですねぇーよーしよし」

大犬と顔を近づけて、鼻同士をくっつけながらに戯れ合う。

山田次太郎 > しばし戯れていたけれど、邪な気配を感じ視線をそちらにやると
低級な悪霊が見えて、なんだ、と肩の力を抜いた

「ほいっとな」

懐から取り出した、浄化の符を取り出し、そこの低級霊へと投げる。
すると符は、意思を持ったように低級霊へと向かい、張り付いた。
張り付いた先から、見えるものしか聞こえない絶叫を耳にしながら
浄化されていく霊と一緒に黒くなり、灰のようになり消えていく符も眺めた。

「ポチの出る幕じゃなかったな」

あの程度では自分でもできると再確認できて満足げな息を吐いた。

山田次太郎 > 「さて、帰りますか」

そう言いつつベンチから腰を上げ、ゆっくりと伸びをした。
そして、来た方向へと足を向けたら、お座りの体勢であった大犬も立ち上がり、追従する。
そのまま、何事もなく寮へと戻っていけたとか。

ご案内:「スラム」から山田次太郎さんが去りました。