2017/09/29 のログ
ご案内:「スラム」に木更津 水乃さんが現れました。
木更津 水乃 > 「今日はこの区画を見て回ったら終わりですか。
 一人でここを見て歩けというのもあまり気乗りはしないんですが、
 まぁ、言われた以上、そして引き受けた以上はやりましょう」

携帯端末の画面を確認すると、目の前に続く路地に視線を移して独り言。
時刻は夕刻で空が全体的に赤みを帯び、浅い角度から入った光の効果で
浮かぶ雲がきれいに輝いて見える。

しかしこの区画自体はどんよりと暗く、
劣悪な環境は外部の者の立ち入りを静かに拒否していた。
そんな場所を見て回れと上に指示されて、はいと返事をしてしまったのだ。
今更やめておけばよかったとか、せめて仲間をつけてもらえばよかったとか
そんなことを後悔しても遅い。

「まま、いつもの通り何事もなく終わってくれればそれでよし」

そんなふうに言い聞かせて、自身の装備を再びチェックする。
気乗りしない仕事をやるのだ、準備ができるならできるだけ備えたい>

木更津 水乃 > 「……うわ、こりゃあ酷い」

しばらくスラムを進んでいくと、少し開けた場所に出た。
正確には"開いた"場所である。
もともと違反組織が根城として使っていたハズのビルが、
半壊して大きな空間を作っていた。

聞いたところだろ数日前に作戦が失敗したとかで、
比較的大きな戦闘があったらしい。
失敗したといっても大きな火力を持つ委員がいたおかげで、
ほとんど一方的に相手を叩く形になったようだが、
その残骸が今もこうして手付かずで放置されているのだ。

「まぁ後片付けは僕たち風紀委員の仕事じゃないですからねぇ…」

じゃあどこの管轄なのかと言われると非常にあいまいだ。
だからこそこうして放置されているのだろう。
掃討した後の事後処理まで手が回らないせいで、
森林のギャップのように時の経過とともに
再び違反組織がはびこるようになるのだ。
根本的な解決を狙うなら後片付けと管理の後任を決めるべきなのだが、
どういうわけか放置されている>

木更津 水乃 > 「ん?裏の方は…え?」

惨憺たる状況に少し言葉を詰まらせながら、
報告書で見ただけの現場を見ていく。
しかしそうやって確認していくうちに、違和感を抱き始めた。
どのように見ても規模が報告されたものよりも小さい。

それに気づいたとき、ビルの裏側に回ってみると
抱えていた違和感が答えを得て、同時に衝撃が走った。
―――更地だ。
本来そこに広がっているはずである惨状の跡が、更地と化していた。

「きれいさっぱり消えてる…
 報告書に後始末をしたなんて内容はなかったはず…
 更新もされてない…」

つまり、風紀委員が去った後に誰かが更地にしたのだろう。
区画がさっぱり消えてしまうなんてことはこの辺ではよくあることだ。
しかし、わざわざ風紀委員の手が入った場所を潰す理由は何だろう。
何かマズいものでもあったのか?
そんな憶測がよぎるが、憶測でしかない。

「とりあえず記録だけ取って報告しなきゃですよね…」

そう言って携帯端末を取り出すと、
カメラを起動して一帯を写真に収める>