2017/11/05 のログ
ご案内:「スラム」に狗隠さんが現れました。
狗隠 > スラムの一角。一人のボロボロの黒ずくめ姿の男が道無き道をゆっくりと歩いている。
右腕は未だに完全には再生していないが、肩口から先を失ったそれも、手首付近までは再生してきていた。

(…ふむ、今日中には完全に再生は終わりそうだな)

手首から先が無い状態の右腕を一瞥しつつ、内心でそう呟けば緩く一つ頷く。
再生速度が少々…いや、かなり遅いがまだ誕生したばかりでしかも「進化」もしていない。
結局、まだまだか赤子も同然なのだろうな、と己の中で結論付けながら昼でも暗いスラムを一人歩き続ける。

「…しかしまぁ、矢張り武器と衣服は必須か…どうしたものかな」

本性が『狗』の姿なだけに、人型にはなれどそちらにはとんと無頓着であった。
だが、人に紛れるなら衣服はもう少々まともな物が必要だし、一応自衛の為にも武器も欲しい所。

狗隠 > スラムという特性上、歩いているだけで様々な死体にも遭遇する。当然、放置されているのが前提だ。
餓死した者、諍いで殺された者、身包み剥がされた死体も珍しくは無い。
酷い死体だと、内臓や骨すら『利用価値』があると抜き取られて骨と皮だけ、というのすらある。

「…弱肉強食、まさに大自然の理の如し…か。俺には都合が良いといえるが」

死者の魂…想念を糧とするこの怪異にはうってつけとも言える。
道中、幾つか見つける死体からその想念を自動的に吸収していく。
記憶、知識が蓄えられ、そして肉体の修復もそうやって行われていくというカラクリだ。
必然、こういう場がある限りは基本この怪異の黒狗は不死と言えなくも無い。

今、通り過ぎた中で幾つかの死体から想念を吸収し、再生も少しずつ進んでいく。

狗隠 > 殆ど無意識にそうして想念を吸収していれば、自然と右手の再生も進んでいく。
小一時間程そうして歩いていれば、もう殆ど右腕は元通りの状態となっていた。
どのみち、死体…そこに残る想念を利用する者など、流石にそんな居ないだろう。
ならば、こちらにとっては都合が良い。獣の本能と人としての打算。

「……ふむ、思ったより早く再生が済んだ、か。…さて、あの四脚戦車に遭遇しないように気をつけなくてはな。」

とはいえ、この人型の顔は記録されているだろうし、最悪風紀委員会にデータとして送られている筈だ。
ここ最近、散発的にではあるが大規模な作戦も展開されているらしい。
もっとも、こちらからすれば自身の糧が増えるという事でもあるのだが。

狗隠 > 武器や衣服の調達といい、問題は幾つか摘み上がってきている。とはいえ怪異である以上は派手には動けない。

「…機を見計らって慎重に動く…のは前提か。まぁ日陰者の怪異とはそういうものか」

自嘲するでもなく、自然と苦笑に近い笑みを漏らしながらスラムの一角から歩き去っていく。

ご案内:「スラム」から狗隠さんが去りました。