2017/11/06 のログ
ご案内:「スラム」に裏々築々さんが現れました。
■裏々築々 > その顔は星の無い夜みたいな黒色に塗りつぶされて男の表情は見られない。
男の着こんだ服もそれと同じに真っ黒。
「私は身を粉にしてこんな時間まで働いているというのに…
世界はあまりにも不公平だ、ハア、全く全く…。」
その黒い男は溜息を吐きながらスラムを行く。
そして、区画の隅にいる薄汚い男を見かけるとその傍にしゃがみ込んだ。
「そう思うだろう…君も?」
■裏々築々 > ここでは冬を越すのは難しい。寒さを凌げる場所、十分な食料。
この島の冬はそこまで厳しいものではないが準備のないスラムの住民では越えられないだろう。
「…見たところ、何か事情があって酒か或いは薬物か手を出したと見える。
力強く聡明な者の眼をしている。
君のような目をした者がこのような場所にいるなんてよほどの不条理に襲われたに違いない。」
明らかに死んだ目の男のに対してペラペラと言葉を重ねていく。
…このスラムで弱者を掬い上げようとするものなど普通はいない。
利用して使い潰そうとするものか或いは狂人か。
そんな事ここで生きているなら直ぐに知る事だ。
だが、自棄になった男には、薬で判断能力を失った男にはそんな判断はつかない。
呂律の回らない言葉で何か恐らく自らの境遇を話しているのだろう。
普通なら聞き取れないそれを黒い男は頷き肯定する。
「…大変だったんだな。」
■裏々築々 > 「もう大丈夫だ。安心しろ。」
男の肩を叩いて声をかける。
聞いた者に裏を感じさせる明らかに作った声。
「…もう、お前が想い悩む必要はない。」
男の首に突き刺さっていたのは一本の注射器。
その薬が体の中に入っていく。
それが体に入れば身体を焼くような熱さ、細胞が作り替えられる痛みに。
「…少し五月蠅いな。」
男の皮膚はボロボロと崩れ落ちその隙間から炎が噴き出す。
そうして全ての皮膚が剥がれ落ちれば剥き出しの人の形をした炎へと変ずる。
『Grrrrr!!』
「ふむ…もう、何を言っているのか分からんな…。
いや、最初から分からなかったが。」
■裏々築々 > 復活薬。
死者の蘇生を目標と謳うその薬は、死にかけの者、死に行く者、或いは死んだばかりの者に活力を与える。
但し、不完全な今は対象を異形の怪物へと変質させ異能にも似た力を付与してします。。
「だが、少なくともそれならば寒くはないだろう。
その身体が燃え尽きるまで好きに暴れるがいい。」
その声に応じるように怪物は走りだした。
…その日からスラムでは原因不明のボヤ騒ぎが起こり始めたという。
ご案内:「スラム」から裏々築々さんが去りました。