2015/06/06 のログ
ご案内:「研究施設跡」にカエラムさんが現れました。
■カエラム > 音が聞こえる。
魂が歪む音、怪我された生命の悲鳴。
声なき声に誘われ、死神はここへやってきた。
何かの建物は見る影もないほどに破壊されており、
地面には白衣を来た人間たちが何人も横たわっている。
声のする方に近付いていくにつれて、その数は増していく。
■カエラム > 声のする方へしばらく進んで行くと異形の生命が、柱の影から姿を現す。
異形は竜の頭に甲羅のような皮膚、熊にも似た腕にダチョウの脚。
これは変身系能力の暴走……恐らくはオーバーロードだ。
異形は右腕の爪に刺さっていた白衣の男を振り払うと、カエラム目掛けて爪を立て、突進してきた。
■カエラム > 歪に発達した長大な腕は、巨体であるカエラムのリーチさえゆうに超えている。
腹に叩き込まれんとする大爪を、死神は対となる腕で掴み受け止める。
もう片方の腕で引っ掻く異形。カエラムは一歩前に踏み出して、それの腕を脇に挟む。
脇に挟んだ腕を、カエラムは捻り折った。
「GAAAAAAAAA!!」
異形の放つ苦悶の声。
カエラムに拘束されている異形はもがき苦しみ、血の涙を流す。
■カエラム > 【 くるしい か 】
死神は異形に、太古の言葉を用いて語りかける。
現代の人間はもう使っていない言葉だが、根源的な意識にはよく響く。
【 らく に なり たい か 】
「GAAAAA……!!」
【 くるしい 】
【 たすけて 】
異形は応える。言葉だけでなく、体の動き・息遣いといった反応を以って、死神に救いを乞うのだ。
■カエラム > 声なき声を聞き入れた死神は、大きく頷いた。
「―――LnX.」
『―――刈る。』
異形を突き飛ばし、右の眼窩から出てくる長い棒を掴む。
棒の先に灰のようなものが集まっていったかと思えば、棒に花が咲き、果実を実らせる。
ザクロにも似た果実がぱかりと割れる。割れた果実から、鎌のような刃が伸びてきた。
刃には七つの水晶が埋め込まれており、そこには既にひとりのオーバーロードの魂が七分割して収められている。
■カエラム > 「OOOWAAAAAAA!!!」
重傷を負ったにも関わらず、退かずにカエラムのもとへ突っ込んでくる異形。
「………YaYa.」
カエラムはこれを一閃のもとに下す。
首を斬り落とされたオーバーロードは灰になり、跡形もなく消えてしまった。
■カエラム > オーバーロードのいた場所から、光の玉が浮かび上がる。
これが言わば魂というものなのだが、大抵の命には見えないことの方が多い。
光の玉は七つに分かれると、鎌についた七つの水晶にそれぞれ格納される。
回収した魂は、いつの日かちゃんとしたところに放ってやらなければならない。
それまでは水晶の中でくつろいでもらうしかないのだ。
カエラムのものは純度が高いので、割と快適に過ごせることだろう。
■カエラム > 用が済めば、もうここにいる理由はない。
そこら中でほったらかしにされている人達もきちんと埋葬してやりたいが、怪異である手前、こういった場所に長居するのはあまりよろしくない。
次に見つけた人間たちがきっと、葬ってくれるはずだ。
そう信じて、死神はその場を後にするのだった。
ご案内:「研究施設跡」からカエラムさんが去りました。