2016/11/30 のログ
ご案内:「魔術学研究発表ブース」にクローデットさんが現れました。
ご案内:「魔術学研究発表ブース」からクローデットさんが去りました。
ご案内:「魔術学研究発表ブース」にクローデットさんが現れました。
クローデット > いわゆる通常の「学園祭」部分だけが、常世祭の全てではない。
(もっとも、もとを正せば「常世祭」とは常世神社の例祭であるわけだが)

学園都市であり、異能や魔術・異邦の研究の最先端を担っているだけあって、専門的な研究や、その成果の発表などにも余念がないのだ。

クローデットも、そんな展示・発表等に関わっている一人である。

クローデット > 「とあるもの」を仕入れてから「大切な人」に責められることは大分減ったので、クローデットは再び委員会業務等に精を出していた。
そんな時間の隙間を塗って、自分も発表用の展示を作成し掲示した、魔術系の研究発表ブースに足を運んだのである。

クローデットが展示しているのは、「魔術と重工業の融合」…もっと言えば、「魔術的機構を組み込んだ装置を重工業的プロセスで生産すること」についての研究である。

クローデット > 魔術の発動に必要な文様や術式を、組み上がる機械部品で描く。
機械部品は当然工場で生産し、組み上げ…あとは、魔術の発動に必要なエネルギーを供給するという寸法だ。
ちなみに展示の図面に描かれているのは、クローデットがこの島で取り組んでいる、「門」の発生を予測するための術式の試作版だが…よほど魔術の知識に長けていないと、読み取るのは難しいだろう。

そして、魔術の発動に必要なエネルギーの供給についてはクローデットは専門ではない。
展示の中では、「電力を魔力に変換する」術式についての論文を紹介するに留めた。
無論、さほど効率の良いものではなく…だからこそ、「事象を魔力に変換する術式」について、獅南蒼二が研究を重ねていたわけなのだが。

クローデット > 無論、展示は多岐に渡る。
「賢者の石」を現代科学に近い枠組みで読み解き解説する論文の要旨とか、元素魔術の効果量と使用する魔力をグラフ化し、「魔術の素養」を理論化する試みだとか。
魔鉱石を含めた様々な鉱物について、魔力の生成量などについてデータをとった細かい実験のレポートは…獅南蒼二の受け持つクラスの生徒達の手による研究発表のようだ。

獅南蒼二。
その名前に見聞きし、触れても、今のクローデットは平静を保つことが出来た。
少なくとも、表立って敵対すればお互い立場はないのだから、様子を伺えば良い…と、再び鷹揚に考えることが出来るようになっていた。

クローデット > (…あの男、今頃何を考えているやら)

魔術に対する知識、術式を理解する才覚、新たなものを構想する知性。
獅南が持つそれを、師事した1年あまりでクローデットはよく理解し、評価していた。
きっとあの男は、今頃自分を「敵として」打ち破るための算段に忙しいに違いないのだ。

(…もっとも、あたくしも、無為に時間を過ごしたりは致しませんけれど)

内心、不敵にほくそ笑む。ここの展示に足を運んだのだって、新しい知識を得る絶好の機会の1つだからだ。

クローデットには、先日の古書店街での自分の振る舞いが、言動が、獅南を大きく動揺させたことについての自覚がなかった。
…というのも、クローデットの中では、あの時の言動の一部は、既に「なかったこと」になっているためだ。

クローデット > そうして、クローデットは余裕のある所作で魔術学の展示を楽しんだのだった。

まるで、先日の古書店街の自分など幻だったかのように、いつも通りの微笑をたたえて。

ご案内:「魔術学研究発表ブース」からクローデットさんが去りました。