2017/07/26 のログ
ご案内:「能力測定センター」に筑波 察さんが現れました。
筑波 察 > 「はい、ではよろしくお願いします。」

(研究施設群の一施設、大きなドームのようなそのなりは演習場と似ている。
しかし普段生徒が自由に使える演習場と大きく違うのは、
ドームの内部が小さな区画に分かれていること。
そしてその区画すべてにあらゆる測定機材が用意されていることだ。
いわばここは異能力と呼ばれる力を科学的な視点で数値化し、研究に役立てようという施設だ。
無論、能力の数値化は能力の優劣を表すものではないが、
そのように解釈してしまう輩がいるため、データは厳重に管理されている)

「今回の実験は僕の能力が一部、
これまでと違った挙動をするようになったことへの原因究明が目的です。
主に振動現象を軸に実験を行いますが、それ以外の物理現象にも計測を拡大します。
外部に対して影響の出る実験は数個だけですが、
安全を考慮して今回の実験はクラスBの爆発実験等で行います。」

筑波 察 > 「ではまず初めに『振動現象に対する不干渉性に関する実験』を行います。
扱う現象は温度変化、圧力、電磁波、電流です。」

(自ら測定のために用意された衣服を着用していく。
脳波、心拍、呼吸、発汗、体温、そして現象に対するアクションを測定する。
そして厚いコンクリート壁に囲まれた区画に入ると、アナウンスが響く。
身体に対して音、可視光、電磁波、放射線を順に当てていく。
結果は予想通り、回折や反射が起こらない)

「次に『振動現象に対する観測性能に関する実験』を行います。
扱う現象は温度変化、圧力、電磁波です。」

(次の実験の指示を出すと、同様に様々な振動現象が部屋の中で発生する。)

「摂氏30、低下…28、摂氏28で安定。
正弦波、300Hz、40dB、周波数上昇、400Hz…
100Mz、……電界強度は…」

(空間を飛び交う振動現象に対して、異能で計測した数値を報告していく。
しかし15分ほど計測を続けていくと呼吸が乱れ、発音が不明瞭になってくる>

筑波 察 > 「電…強……度は…温度の…現象に……安全を配慮して現象を…
今回の変化に…報告をしかし…することのないよう…」

(次第に発言の内容が支離滅裂になり、意味をなさない言葉が続く。
スピーカーから外で記録を続けているスタッフの声が響くが、耳に入ることはない。
発汗が増え、べったりとした汗が全身から出る。
そして痙攣のような小刻みな震えが始まり、その場に座り込んでしまった)

「次に、『振動現象が発生する物理的なプロセスの観察』を、をを行います。
周囲に対して物理的な干渉が周囲に対して発生する実験ですので、
十分周囲に対して注意を向けて観測をををを行ってください。」

(スピーカーからは実験中止のアナウンスが流れているが、
中でうずくまる青年は止まる様子を見せない。
そして次第に低い、地響きのような音が鳴り響き、
施設内を照らす照明がチラつき、雷のような放電現象がおきはじめる>

筑波 察 > 「今回の実験は僕が帰納すれば演繹的に誰かの特別でありつまらない見た目をしていてそれは最もわかりやすい首がつながっているステータスの証明になる場合が…」

(ぼそぼそと独り言のように続く言葉。
うずくまる青年の足元には真っ赤な血だまりが出来ていた。
気づけば両目からポタポタと血液が流れ出ていたようで、その量は次第に増えていく)

(能力の暴走というのか、区画内の壁を傷つけるような振動現象を起こし始めると、
外のスタッフが非常用のボタンを押す。警告音とともに区画内がガスで満たされると、
それを吸った青年が人形のようにばたりと倒れた。
すぐに救護の係が駆け付け、青年を運んでいく。
青年の目じりにはまるで泣き濡らしたような血の流れた後が残っていた>

筑波 察 > ――後日、青年が目を覚ますまでに1週間ほどを要した。
その一週間の間に、実験のレポートと事故処理の報告書が届いていた。

『実験レポート・要約
今回の実験における各数値は別紙のデータを参照されたし。
今回の実験で得られたデータから、被験者の能力の変化が確認された。
正確に表すのであれば能力の拡張が見られた。

これまではもとよりその場で起きていた現象に対する干渉のみに限定されていた能力だが、
電場的・磁気的に完全に遮断された空間において放電現象が確認されたことによって
その場に振動現象がなくとも振動を発生させることが可能となったと考察される。

また現象にたいしてかなりのレベルで不干渉な存在になれることが判明した。
今回の実験では回折現象、反射といった現象が被験者に対して
音波、電磁波においてともに発生しないことが明らかになった。

しかし、本人に掛かる負担は大きく、
言語障害をはじめとして認識障害、意識障害などが見られた。
これらの負担が訓練によって改善するかは研究の余地が残った。

また、今まで異能の代償として光量の低下により著しい視力低下は確認されていない。
それとともに
―――視力の完全な喪失を確認。眼球内の硝子体に多量の血液が混入し、回復の見込みはない』

ご案内:「能力測定センター」から筑波 察さんが去りました。