2015/07/17 のログ
ご案内:「第一演習場」に平岡ユキヱさんが現れました。
平岡ユキヱ > 演習場の中央。竹刀袋を左手に柳のように静かに佇む一人の少女。
その派手な外見とは裏腹に、横に結んだ口元が鋭い印象をしたためていて。

「大群集制圧用訓練…お願いします」
彼女を囲むようにゆらりと、地面からマネキンのようなダミー人形が数体湧き出す。
群衆制圧を目的とした異能の訓練のようだ。

平岡ユキヱ > 「…『千刃訓(せんじんくん)』」
ふいに、ダミー人形が湧き切る前に一足で数メートル近い間合いを詰める。
奇襲だ、鞭のようにしなる手首を人形の顎部めがけ放つ。

ぐしゃ、と土くれでできた人形の頭がはぜる。
「…二の刃!!」
不自然なほどの急激さでターンすると、今度は別の人形に膝蹴りを叩き込む。手に持っている竹刀袋は飾りか。

遠巻きに見ていたほかの生徒からうわずりぃ、とか声が出たかもしれない。
「こういう時ゃー、先手必勝に限るでしょ」
わはは、とのんきに笑っていた。

ご案内:「第一演習場」にメグミさんが現れました。
メグミ >  遠巻きに見ている少女の一人。
 リハビリがてらに、と、おっとり足を運んだ先で誰かが訓練しているのが見えた。
 
「おぉ……」

 ユキヱの身体捌きを見て、感嘆の息を漏らす。
 体術の類はからっきしな自身にとっては、雲の上のようだと。
 そんな感想をユキヱに見て、覚えた。

平岡ユキヱ > 「第三刃!!」
竹刀袋の肩掛け用の紐をしならせ、相手の首に絡ませて引きずり倒す。
次いで素早く首元に袋ごと中の木刀の刃を押しあて、制圧。

「第四…いや中止!」
視線を感じた方に視線を返すと、どうも自身と同じ類の制服を着ている者の姿。
ヒュバッとふるっていた武器を収めると、訓練用の人形たちは崩れ去り。
「あー、どうもどうも。…私、場所とってたかしら?」
これは失敬、とメグミの方に向き直った。

メグミ >  向き直ったユキヱを見て、小さく首を横に振る。

「……ぁ、いえ、ちょっとぼんやり来たばかりでして、見事な動きが見えたので、つい見入ってしまいました……
 止めさせてしまったならごめんなさい、同じ風紀委員の方ですよね。」

 ぺこり、と、頭を下げる。
 夏場ではあるものの外套を羽織っており、その下からは確かに風紀委員の制服を覗かせている。

「ええと、私はメグミと申します。
 療養を終えましたので、再び学生として、風紀委員として身を置く事になりました。宜しくお願いしますね。」

 ユキヱも同じ制服――風紀委員の制服を着込んでいると察せば、
 おっとりとした調子を崩さぬまま、ぺこりと再び、頭を下げて礼をするだろう。

平岡ユキヱ > 「平岡ユキヱ、一年。おなじく風紀委員。よろしくどうぞ!」
鈴というよりかは、突撃ラッパのように響く声で簡潔な自己紹介を行う。
背筋を伸ばした礼が、いやに流麗で。

「…療養? …。あ、先輩かしら? こりゃ失礼しました。
 生来のソコツモノでして…」
すいませぇん、と明るく笑った。

メグミ > 「はい。ユキヱさんですね。明るくて素敵です。」

 響いた声を表情を緩め、明るい笑みにはくすりとと一つ笑みを零す。
 どことなく、楽しそうだ。

「あ、いえ、お気になさらずで構いませんよ。
 私も堅苦しいのは苦手ですから……寧ろ此処最近の事は全然知りませんし、私が教えて貰う立場かもしれません。」

平岡ユキヱ > 「ではお言葉に甘えて」
そりゃー助かります、と姿勢を崩して楽にして立つ。

「あー…そうなんですね。でも私は私で、最近この学園に入学したばかりなんで…。
 ま、一緒に色々学んでいけばいいか?」
なんとかなるっしょー、と適当言いながら笑う。

「ところで、ここに来たって事はメグミ先輩も訓練ですか?
 実は…けっこー武闘派だったり?」

メグミ > 「はい。ユキヱさんと一緒なら、何とかなりそうです。
 ……ああ、いえ、私は武術の方はからっきしなんです。こう、適正がないみたいで。」

 てへ、と、苦笑を一つ。
 適正がないなら仕方ない、と、割りきっているのだろう。

「私は召喚術師の端くれでして。
 今はどの程度出来るのかな、と、久しぶりに調子を確かめようと思ってここに来たんです。
 そしたら同じ風紀委員のユキヱさんが見えて、こうやって話せましたから、ラッキーでした。」

平岡ユキヱ > 「適正ねえ…。まあ、私は魔術がダメなんで。頑張ればどーにかなる、と応援できないのがアレですけど」
少しバツが悪そうに頬を掻いた後、あー! でも聞いてくださいよー! とまくしたてて。

「転入前にいろいろ検査というか試験を受けたんですけどぉー。
 『いやお前、魔術の才能ガチでないから学園でその系統の授業は受けないように』とか言われたんですよ!
 ひどくないっすか!? 才能ナシって口頭で言うかフツー!? って感じっすよー!」
あいつら鬼です! と学園の教師陣にブイブイ文句を垂れている。

メグミ > 「ありがとうございます。ユキヱさん。
 ……とりあえず、以前ぐらいまで勘を取り戻したい所です。」

 ……頬に手を当て、軽く目尻を下げ、様子でユキヱを見た。
 ううん、と唸り声。なにか"やらかした"のだろうか、そんな推測も脳裏に浮かぶ。

「あらあら……
 酷いですねえ……事実でももうちょっとオブラートに包んでくれても、良いですのに。
 ……でも、素晴らしい身体捌きをお持ちじゃないですか。十分に誇れると思います、ユキヱさん。」

平岡ユキヱ > 「…こういう異能なんです。確かに動けはするが、この島での実戦で役に立つかどうかは…。
 自分から足を運んでおいて何ですが、いくらここで土塊を叩いたところで強くなれるとは思えない」
など言いながら、ざっくばらんに自分は『覚えた動きを再現する異能だ』という説明をする。

「いいじゃないっすか、召喚術! 宿題とか課題を代わりにやってもらえそう」
使う手段がいきなり不正の方法というアレな発想だが。
いいなー、とメグミを羨ましそうに見ている。

メグミ > 「『動きを再現する異能』、ですか……
 なるほど、確かに再現できる以上、ここでは新たに取り入れるには難しいかもしれませんが……
 ……何時、どの動きを再現するか。その経験は、少しだとしても着実にユキヱさんの強さになると思います。」

 異能の説明を聞き、何処か納得の行った様子で一つ頷いた。
 確かに動きを再現するのならば、最速で動きを切り替える――あのように動けるのも納得だ、と。

「ええ、ですが他の世界から無理矢理呼び出せる訳ですから、色々と扱いが中々難しいんです。
 ……確かに、一時的に妖精さんや小人さんに課題の執筆を手伝って貰った事とか、ありますけど……」

 やや眼を泳がせる。
 似たようなことは、したらしい。

「あ、ちゃんと用事が終わったら送り返しましたよ。うん。
 後は、炎とか水も召喚できますから、寒い時とか喉が渇いた時にも、便利かもしれません。」

 えへ、と、ちょっと誇らしげに自分の魔術を語る。
 病み上がりで腕こそ衰えたものの、自信がある故に興味を持って貰えると嬉しいのだろう。

平岡ユキヱ > 「そうか…動きの判断は私の経験」
うん、うん、と小さく頷いて、晴れ晴れと笑った。

「ありがとうございます! あはは…なんかこれ、自分の力っていう実感がなくて
 結構持て余していたんですけど…だいぶん気が楽になりました」
ぎゅっ、と力強く竹刀袋を握りしめる。

「呼び出したけど…? …あっ」
相手の泳ぐ目を見て、察したらしい。どうやら色々難しいようだ。

「ほえー、なんか結構平和な感じですね…。ところで…」
そろそろ本題を、切り出す。
「それ、戦闘用の召喚とかあるんですか?」

メグミ > 「はい、経験です。何を使うか分からなかったら、
 再現するべき異能に迷っちゃいと思いますから。勿体無位と思います。
 ……ええ、きっとユキヱさんなら使いこなせると思います。一緒に、頑張りましょう。」

 ユキヱの安堵を自分のことのように嬉しがりながら、柔らかい笑みを零す。
 さて、戦闘用の召喚と切り出しが入れば。

「はい。一時的に魔物や妖精、幻想生物、ゴーレム、精霊を呼び出して行使したり、
 物体を召喚のプロセスを踏んで呼び出したり、
 低中位の神格や悪魔を呼び出し、一時的に力を貸して貰います。
 それ以上の存在となると、その力のごく一部分を借り受け、彼ら彼女らが起こす現象を召喚するに留まりますが、
 これはちょっと今は出来そうにないですね……」

 でも、呼び出せる種類にはちょっと自信があります、と笑ってみせて。

「よく使い、尚且つメジャーな召喚ですと、
 イフリートとかウィンディーネなどの属性を司る精霊なのでしょうか。
 彼らは気むずかしい所もありますが、召喚を以って契約し、誠意を持って接せば、力を貸してくれます。」

 何処か無邪気に、己が召喚魔術を語る。
 でも、ちょっと熱が入って、話が長いかもしれない。

平岡ユキヱ > 「おぉ…?」
先輩がすごく楽しそうだ。
こりゃユキヱさんもビックリよ、と気圧されながらも説明を丁寧に記憶していく。

「イフリート、ウィンディーネ…こりゃまた強そうな奴らで」
不足なし。勿論、相手にとって。

「メグミ先輩…そのー、時間あればなんですけどぉ。
 今からそういうの呼んで、ちょこっと訓練に付き合ってもらえたりできます?」

メグミ > 「……あっ、すみません。中々語る機会がなくて、つい……」

 気圧された様子にようやっと気付けば、ぺこりと頭を下げた。

「あっ、そういうことでしたら……ええ、構いません。
 今の私がどれほど出来るか分かりませんが……ここなら大丈夫だと思います。」

 何を呼ぶか、思案をはじめた。

「……そうですね、呼び出すものの、傾向の希望はありますでしょうか?
 近接主体とか、魔法主体とか、そういう類になりますが……」

平岡ユキヱ > 「強いて言えば…。メグミ先輩が、この島でもし
『能力がわからない違反組織のヤツと相対する事になった時に、まず出す奴』。
 …実戦形式ってやつです」
しゅらりと、竹刀袋の口を開ける。中から出でたるは、何ら変哲のない、ただの木刀。
魔術の気配、なし。異能による強化、なし。
 まだ構えずに、真剣を鞘に収めたかのように木刀を持つ。互いの間合い5m弱。

「よろしくお願いします」
声は明るいが、訓練とはいえ、いや、だからこそ。手を抜く気はないようだ。
ユキヱの気配が、がらりと鋭くなる。

メグミ > 「なるほど――では、宜しくお願いします。」

 外套の内より本をチョークを取り出し、
 右手に本、左手に魔力の通ったチョークを以って宙に魔法陣を描く。

 出現せよ、鋼の巨人。
「――Summon・Golem」

  降臨せよ、小さき竜。
「――Summon・Minidragon」

 ユキヱとメグミの間に、3m程の鉄の巨人。
 加えて、おおよそ1m程度の空をとぶ小さな竜、が召喚される。

「前衛を守らせ、遠距離を備えた上で様子を図ると言う意味でも、この辺りでしょうか。
 当然、相手や状況によって細かく変えるものなので、何とも云えませんが――」

平岡ユキヱ > 「なるほど…手堅い」
巨人と竜を眺め、ド直球のファンタジーに木刀で向かうのもなかなか面白い、と不敵にほほ笑む。
やおら木刀を右肩に担ぎ低く重心を落とし、力を溜めて。

「…『千刃訓(せんじんくん)』」
小さくつぶやくと同時。
バオッ、と土煙を上げてビデオの早送りのような不自然さで一気に間合いを詰めにかかった。
素早く鋭い曲線運動を時計回りに描いて狙うは一点。

召喚された存在ではなく、『術者本体』
「…ッ!!!」
木刀を直撃させないように間合いを少しずらして再現したその動きは、
致死ではないが、容赦なく暴力行為としてその運動を完遂するだろう。
伸びるような木刀の斬撃が、遠慮なくふるわれた。

メグミ >  ゴーレムは巨大だが鈍重。
 小さな竜も宙に浮いており、即座に割って入れる程機敏ではない。故に。

「っ……!」

 訓練故に召喚物を狙う――先入観を抱いていたのだろう。
 真正面から来るものとばかり思っていたらしく、高速の迂回は視野から置いていた。

 見事にゴーレムを迂回され、がっちりと暴力行為は完遂され、メグミの身体は薙がれたのだろうか。数m,横に飛んだ。

 ――いずれにせよ、攻撃を塞き止めるには間に合わなかったものの、
 決着後に小さな竜が火を噴く。ユキヱの足元に火球が放たれた。