2015/09/17 のログ
白椿 > なに、先日、風紀とやらに出会っての。
我は学校が街を支配していることを知らなんだ故、こうして見物に回っているところよ。
なかなか面白いところではないかえ?
もっとも、学業などをする気はまるでないがの

人にして特異な能力を持つとこういうものも必要になるのかや?
なかなかに難儀であるの。

(素直な感想を言う。こういうところは比較的あけすけなのだ。)

……ふむ、つまり型の確認ができないというやつかえ?
なれば、少々我が遊んでやっても良いぞ、剣技の稽古になるかはともかく体幹の稽古にはなるであろ。
(おかしなことを言う。
相手をするというのに、剣技の稽古にならないというのだから)

霜月 零 > 「まあ、学生が実質的に統治しているって感じではあるよな」

あまり深く考えたことはないのだが、実際まだまだ人として未成熟な学生が警察機構などを取り仕切っているのは、中々に異様なのではないか……と、考えなくもない。実際、風紀公安には、双方に悪いうわさも聞く。
とはいえ、少なくとも風紀には信用出来る人材が数名いるし、妹だっている。何とかうまくやってくれるだろう、とも考えているのだが。

「まあ、異能と風紀公安の存在が関係してるかは知らねーけどな。
で、型の確認が出来ないってよか、確認に中身が伴わない、だな。相手がいてこそってところがあるもんでよ。
……おたく、柔術でも使うのか?」

剣技の相手にはならぬが体幹の稽古になる、という事は、体幹を崩すことを得手とする武術。
すなわち、柔術系なのだろうかとあたりを付ける。

白椿 > ふむ、昨日の偉丈夫も黒髪の娘も割と行き過ぎのきらいがあったの。
もっとも、何処とてそのようなことはあろうとも思わなくはないぞえ。

(昨日の、法を破ってすら己の正義を断行しようとする偉丈夫
咎を無くすためであるならささいなことであろうと殺人をまるで厭わない娘
どちらも警邏のものとしては微妙であろう
もっともこのような街である故、そのほうがあっておるのかも知れぬ)

我が体術でも使うと思ったかえ?
狐がそんな面倒なことするはず無かろ。

……ま、吐いても知らぬがの?
あまり受けることのない感じであろうゆえ、確認らしい確認にはなろうぞ
割と体幹が肝だからの。

我としてはその様を見守るだけであろうの。
(相変わらずおかしなことを言う、化かすとでもいいたいのだろうか)

霜月 零 > 「勘弁してくれ、威圧的すぎると反発があるだろうが……」

強権を誇示するのは時に有効だが、それをやり過ぎると無用の反発を生む。
それが火種になって『アンチ風紀・公安』を謳うようになる奴が出るかもしれない。
正直なところ、公安は割とどうでもいい。問題は風紀である。
妹が所属しているのだ、無用な反発からの無用な騒動は勘弁願いたい……そう思わずにはいられない。
嘆息しつつも、続く言葉に言葉を返す。

「あー……それらしく幻術の類か?それもそれでなんか違う気がするけどな……」

まあ、実戦的ではあるのだが、その場合は剣術でどうこうより、幻術破りの特訓になってしまうだろう。

白椿 > ま、やってみれば分かるぞえ。
構えるが良いぞ……どれだけであろうの?

(狐のそれはもう始まっているのだが。
本来、着物の柄も所作も視線も、髪の一振りすら影響があるのだから
それもわかるものとわからないものがある。違和感と言うには自然すぎるし、むしろ感覚のが狂うのだから)

霜月 零 > 「あ……?」

言われて、二刀を構える。
とはいえ、ほぼほぼ自然体。体にかかっている力は、刀を中段に保持するための力だけ。
脱力、そしてほぼ無に近い構えから、相手の打ちを受け、返す。それが基本的な霜月流小太刀二刀術だ。
……この相手には通じそうにないが。

白椿 > ……いつでも良いぞ、かかってくりゃれ?
もっとも、後の先であるなら……我の方からするのであるがの。

(突っかければその足元から、異変が起こるだろう。

その場で待つのであれば、狐は距離を取りつつ横移動していく。
狐は武術の心得はないというが歩法自体は見事であり舞などをやっているのかもしれない。
なんにせよ歩いているだけの狐が斜めに傾いていくだろう。

狂わされているのは平衡。
それも、地面が勝手に向かってくるかのような上下左右の混乱。

傍から見れば狐は何もせず、勝手にふらついて自分から倒れこむような、そんな感じ。

狐が相手を見る時に一番使うのであるが、地面が狂うと大抵の武は地に落ちる。
故に、色、匂い、音、空気などで感覚を狂わせた上で、もしくはそうしたように見せかけて空間の位相を少々弄る。
要は、目隠しをしてぐるぐる回転させ、その上で足場を外すようなものだ。

ただ、恐ろしいのは幻術でなく、現実にそう起こっているということだ。)

霜月 零 > 「あ、あ……?」

ぐら、とバランスが崩れる。
地面が迫ってくる。無論、現実にそんなことが起こっているわけではないだろう。
地殻を実際に揺るがすなど、最上位の大魔術だ。そんなものをこんなにあっさり行使されては地球がヤバい。
つまり、これは幻術。もしくは感覚に作用する幻惑術。
幻を見せられているか、感覚が狂わされているかのどちらかだろう。
とっさにそこまで考え、霜月流において多用される幻術崩しを使用する。
この手の術は、大概何かしらの外的要因によって自身の脳を狂わされている。
なので、その影響を廃し、脳を正常な状態に戻すのが肝要。
その為、一度心を落ち着け、脱力。
そして、一気に体中に魔力を駆け巡らせる。
これによってボケている脳に強い刺激を与え、更に魔力の本流で自身に影響を及ぼしている相手の魔力を追い出すのだ。

「はあっ!」

それを即座に実行する。大体の幻術系の魔術呪術はこれで対応できたが、如何に……!

白椿 > (この狐の能力の恐ろしいところは、実際に狂うところである。
正しい時に異常が起こり、異常が起きている時に正しく作用する。

故に、その技で乱れている感覚自体を戻すことは可能だろう。
もっとも、乱れている感覚がもどっても、ずらされているのは空間である。
斜め横にずれ落ちている感覚が正しい、と認識できたところで狂ったところから戻った感覚が
それを信用できるのかどうか。

つまり、実際に地面から迫ってくることが理解できるかどうかだ。

故に体幹の練度と異常なことを受け入れられるかどうかが試される)

霜月 零 > 「おい、待て待て待て待て待て……!」

幻術崩しは作用した、はずだ。
自分の脳は今クリアだ。感覚は戻っている、と言う感覚がある。
だというのに地面が迫ってくる。意味が分からない。

「(本当に地殻を揺らしてやがんのか……!?)」

もしくは、自分がまだ幻術の中か。
その判断がつかない、感覚は戻っているはずなのに現状異常が発生している。
なので、確信を得る事にした。
まず、自分の左腕を、急いで右手の小太刀で浅く斬り付ける。
出血を目視。そして切り口から想定される痛感を脳が正確に受理していることを確認。
どうやら、脳はクリア。という事は何かしらの異常が、現実に発生しているらしい。
ならばとりあえず平衡状態を取り戻すことが先決、と地面に右の小太刀を突き刺す。
これによりこれ以上倒れるのを防ぐついでに、かかってくる力の方向で『どっちがおかしい』のかを判断する。
自分から押し込んでいる感覚があれば、自分が倒れている。
だが、小太刀が押し込まれる、自分が押される感覚があれば、それは地面が迫ってきているという事になる。
さあ……返ってくる感覚や如何に。

白椿 > ふむ……可いの。
なれば、もう少し遊んでやるとするかの。

(狐は重力を操っているわけではない。
故に、地面が迫ってきていても傍目には勝手に転んでいるだけである。
小太刀を突き立てれば、自分が刺している感覚があるだろう……だが。

……その小太刀の刺している方向が明後日の方向にずれたらどうだろうか

このパズルのようなことを楽しんでいるのは狐の方だけで、本人は堪ったものではないだろうが)

霜月 零 > 「はあ!?」

ずるっと、小太刀の先がズレた。
あり得ない。流石にあり得ない。地面に突き刺している小太刀がいきなり明後日の方向にズレるなどあり得ない。
だが実際にそれが起こってしまっている。
確実に、空間に何かされている。いくら自分の感覚がダメになっていても、物理的に突き刺さった小太刀の方向を明後日の方向に変えるなんて器用なマネ、出来るわけがない。

「(畜生、空間操作系なんてどうしろってんだ……!)」

剣士どころか、人類、否、動物の天敵ともいえる能力。
ちなみに父の教えは『空間操作系に当たった場合、同系の能力を持つ仲間か狙撃手を頼れ。自分一人の場合は何とかして逃げろ』である。
いや、でもそれ以外にも何か言っていたはずだ。思い出せ、思い出せ……!
崩れるバランスを無理矢理調整して謎のダンスを踊る羽目になりながら、必死に思考を回す。
確か、ええと……そうだ、思い出した。

『どうしても逃げられない、もしくは逃げるわけにいかない場合は、崩れた空間の方向性を掴み、歪んでいるのを認識した上でその歪みの上に立て。正常な感性を捨て、その場に適応しろ。それが出来れば、少なくとも戦闘を開始することは出来る』

「(出来るかッ……!)」

そうだろうけど。理屈だとそうなるんだろうけど。
そんなの酔うにきまっているし、人間、体に染みついた感覚は中々剥がれてくれない。
何とか『歪み』を『正常』と再定義し、その上に立とうとするが……

「う、おお……!」

その感覚が掴めない。
ヘンに斜めになろうとして、結果明後日の方向にすっ転んでしまった。

白椿 > ふむ……ま、60点かえ。
基礎が足りぬの。

(くすくすという笑い声とともに、あまり嬉しくない評価が下される。)

……コレでも訓練にはならぬと申すかえ?
我は、相応の手順に従って解決の糸口は与えておったがの。
だから言うたであろ、吐くやもしれぬと。

霜月 零 > 「ああそうだな、事前情報をもっとまともに考察すべきだった」

すっ転んで溜め息を吐きながら口にする。
体幹の訓練、と言っていたではないか。それを考慮せず、現状与えられた異常から幻術系と決め打ちしたのは失敗だろう。
その後、おそらく正解であった対策を行使したにも関わらずすっ転んだので言い訳のしようもないが。

「めちゃくちゃ気持ち悪い……つーかそれなりに自分の体を自分の制御下に置く訓練はしてきたんだが、足りなかったかね……」

もしくは、あくまでそれは正常な感覚を保っている時限定の物だったか。
とにかく、完全に手玉に取られてしまったのは確かだった。

白椿 > ま、種明かしと御復習いをしておこうかの。

まず今回のそれは、言うなれば、頭を揺らされた時などに有効であるの。
己の裡……つまり、芯が何処にあるかということであるからして、その振れを無くすことであるから
此れを極めてゆくと安定度がだいぶ変わるのではないかえ?

まず初手。
感覚を戻したのは良いが、我のことを幻術と決めておったであろ?
異能と思うておればもう少し慌てずにすんだのではないかえ?

故にいらぬ確認の手間を2つ踏んでおったの。

地面が動こうが自分が倒れてようが、構わぬ対応をするべきでないかえ?
斜め上に倒れておったのであろ?

故に移動せぬまま我は声を口に出し、その上で刃を少しずらしたのであるがの
正体を教えつつ位置取りを確認させておれば、其方でも己の裡でなく外でも確認できるであろ?
であるが、もうその頃には自身の見識に歪みが生じておったの?

ま、段階としてはそろそろ己の内気を鍛えても良い頃ではないのかの
其方、地を基準としておったのであろ?

(案外あっさりと狐は種を明かしてくれた。
要は感覚と空間を同時に狂わせば信じるに足るものがなくなり、やがて見識が狂うということだ)

霜月 零 > 「まずやっぱそこの決め打ちがミスだったよな……どう考えてもありゃ失策だ。
特にここじゃあ、相手がどんな術を使うかなんてわかんねぇのにな」

まだ些か気持ち悪そうに頭を押さえながら、なんとか立ち上がって応える。

「どっかおかしい。なら、それがどこかを判断する前に、とりあえずどっちでも対応できる挙動を探るべきだったな。原因究明に走った結果、余計な手間を踏んじまった。
あークソ、親父の教えをもっと早く思い出しとくべきだったぜ」

中がおかしいか、外がおかしいか。
それの判断も大事だが、それに時間をかけていれば首が飛びかねない。
故に、さっさととりあえずどっちでもいいから結果として対応できる状態にすべきだったのだ。
ついでに言えば、地を基準としていたのも事実。剣術に限らず、おおよその武術は地に足を付けた状態を基本とする。
跳躍を得手とする流儀とて、地面がしっかりあってこそそれは機能するのだ。
故に武術家相手に足を狙う事は非常に有効でもあるのだが、それ以上に地を揺らされ、歪められた場合は本当に太刀打ちできない。
極端な話、地震の真っ最中にまともに戦える武術などほぼ存在しないのである。
だが、似たような状態を引き起こす存在が目の前におり、他にも類似の状況を引き起こせる、武術家殺しのような異能持ちだっているだろう。
それに対する対策としての、技術の会得や、それをこなすための内面の強化。
確かに、現状必須と言えるものだった。

「まあ、勉強になった。課題がいくつか見えてきたぜ」

素直に礼を言う。まあ、小太刀の型を確認したい、と言う初期の目的とは大幅にズレてしまったが、これはこれで大事なことだ。

白椿 > ……うむ、であろ?
おおよその武はその成り立ちからして仕方ないこととはいえ地を頼り過ぎるからの。

斯様な場であらば、空戦や立体戦だって起こりうるであろうに。

ま、それは行き過ぎだとしても、練度の参考にはなるであろ
故に我は、此れで様子を見ることにしておる
転ばなければそれだけで評価に値するであるぞ。

(先日の風紀の偉丈夫は立ってみせた。
己の裡に信ずるものを武によって形成しているからである
つまりは、丹田形成が甘いと転ぶということだ)

……ところで、の。

(悪戯のような、明らかに妖しい瞳の色に変わる)

一仕事したのであるから、対価をもらっても良いかの?

霜月 零 > 「そうだな……クソ、対魔対人を謳いながら、俺自身はまだまだ『単なる武術家』の域を出てねぇってわけか」

嘆息する。
父の教えに対策があったという事は、霜月流はそれに対して対策があるという事。
だというのに実行出来なかったのは……霜月零の未熟故、だろう。
それを恥じると共に、今後へのやる気に転換する。
……が、そこに不穏な言葉が投げかけられた。

「……おい待て、聞いてねぇぞ?」

何かしら礼をするのはいいとしても、対価を要求するとは聞いていない。
何と言うかその、とても、嫌な予感がする。

白椿 > 狐に仕事をさせておいて聞いてないも何も無いであろ。
そも、其方は専門であろ、説明の必要があるのかや?

(微笑……というより妖笑だ、完全に嵌め手である
要するに説明したら避けられるだろうから、律儀なことを見越してのあからさまに有益なことを投げておいての交渉だ。
きたないさすが狐きたない)

霜月 零 > 「(クソ、油断した……!)」

妖狐が化かすなど日常茶飯事、それこそ専門だからこそよく知っている。
その上で最初に確認を怠ったのはミスであろう。

「で、出来る範囲で頼むぞ……?」

己の失策を大いに悔やみながら、出来るだけの譲歩と慈悲を願って情けない言葉を口にする。
……狐なんてのは、そういう言葉を聞くと益々意地悪くなるのを失念している辺り、本当にまだまだ未熟である。

白椿 > そうであるの……主様の精をもらうのが一番であるのであるがの……?

(其方、でなく、主様、ときたものだ
明らかによろしくないことを狙っている
しかも、物理的には可能な範囲内だ)

霜月 零 > 「待て、それは無理だ」

じり、と後ろに下がりながら首を振って拒絶する。

「俺には恋人がいるんだ、そいつ以外と行為に及ぶ気はないし、精をくれてやるわけにもいかん。別の、別のでなんとかならねぇか?」

いざとなったら、非常に後味悪いが、逃げてバックれるのも視野に入る。
……が、そんなことをしようとも、また地を揺らされて終わりである。詰んでいる。

白椿 > ……ふむ。
恋路を邪魔するのも面白そうではあるが、流石にそういうことであるなら操は大事にせぬとの。

仕方ないの……ならば接吻でどうであろ?
無論、頬にとかではないぞ。

譲歩してやっておるのだ、我が満足するようなやつであるぞ?

(そして己のつまみ食い欲を満たしつつ、設定された任務に忠実な狐だった)

霜月 零 > 「その手の以外ねぇのかよ……!」

天を仰ぐ。が、狐ってそんなもんである。
そもそもこれはあれだ、最初にハードルの高い要求をし、次に少しハードルを下げた要求をすることによって、二つ目の要求を通りやすくするっていうベタな交渉術だ。
だから乗ってはいけない、ワンスモア譲歩を提案してみよう。

「それも困るっちゃ困るんだが……彼女持ちが、それ以外の女とキスするわけにはいかねぇだろ?」

性的なアクションは、恋人がいる以上それ以外にはダメ。
そこらへん純情且つ律儀な零であった。

白椿 > であれば、それと同等のことがあるのかや?
提案もなく譲歩しろというのはどうであろうの?

(ふふーんという態度の狐は、明らかに面白がっている
別にまだ手段はあるのであるが、取り敢えず困った顔を見るのは面白い。
それにほいほいと引くだけなのも面白く無い。

なんにせよその分の御利益はもらってしかるべきだ)

霜月 零 > 「い、いや、こう、なんか……あ、油揚げ、とか?」

狐相手だからとはいえこれは酷い。
こういう時とっさの機転が効かないのも、零の短所である。

「(クソ、俺は女運が悪いのか!?いや、氷架は最高だ、あれ以上の女性はいねぇ。あ、じゃあ氷架と出会えた時点で女運使い果たしたのか!?)」

こんなどうでもいいことを脳内で考えるくらいには頭ぐちゃぐちゃである。

白椿 > 生憎であるが……揚げは間に合っておるの。
それと其方、こういうことも鍛えたほうが良いのではないかえ?
誠実は美徳だけではないであるからの。

……さてどうしてくれようかの?

(クスクスと袖で口元を隠しつつ微笑んで。
明らかに面白がっている)

霜月 零 > 「う、ぐ……」

どうしよう、実際こういう事には本当に弱い。
キス、したくない、したくないが、他に思いつかない。後で氷架に土下座すれば赦してもらえるだろうか……?

「……お手柔らかに頼む」

溜め息を吐き、降参の意を示した。

白椿 > (ま、たっぷり楽しんだのでこれくらいで良いだろう。)

……其方、本当にそう言うところヘタレであるの。
恋人にも言われたりしないかえ? 血で良いのだぞ?

我が何故に其方のそれを欲しがっておるのか考えたのかの?

(答え合わせだ。
それを兼ねて、実際にはそのほうが都合のいいものを提案する)

霜月 零 > 「いやまあ、ヘタレはよく言われるけどな……理由、理由?」

妖狐は多淫だ。性的欲求を満たすためだけに人を化かすことも珍しくない。
以前『男子小学生が下校中に連続で拉致され、数日後校舎に返されていた』と言う事件があった。
その男子小学生達に共通しているのは、帰ってきた時に性的に搾り取られてげっそりしていた事。
調べてみたら、小学校の裏山に住む妖狐が我慢できなくなってつまみ食いをしていた、と言うオチがついたのだ。
言ってしまえば、それくらいエロに盛んで、容赦がないのが妖狐である。
なので、そういう多淫によるものだと思っていたが……血でいい、という事は別の理由があるはずだ。
吸血種の妖狐である、と言う可能性も考慮できる。が、それ以外に思いつくベタな理由は……

「遺伝子情報、か……?」

性交、接吻、そして血液の提出。
これらは全て、体液を相手に渡す行為である。
そして、体液には確実に遺伝子情報が付随する。つまりは、それが狙いという事だろうか?

白椿 > ……ま、血筋であり血であるの。
其方の家系を考えてみよ、我が欲しがるのに妥当であろうが。
そも、血も精であろ?

ここまで晒してやっておる敬意も理解してほしいものだの。
其方の精は、妖には垂涎の的であるからの。

(騙して奪うこともできるだろうに無理しないで解説やレクチャーまでする辺り親切丁寧である。
血を奪うことで力を増やす話は珍しくない。
もっとも、狐の場合は体液がほしいのであるが)

霜月 零 > 「む、む……」

霜月家。曰く、平安の昔から退魔を請け負ってきた名門。
確かに、血統としてはかなり上位のはずである。
自分がそこまで上等なものだと考えたことはなかったが……そう考えてみれば、今左腕から流している血液も、かなりの価値があるのかもしれない。
遺伝子情報による解析が目的であれば、血液すら渡すのは渋ることになったが……そういう事ならば、多少渡してもいいかもしれない。
流石に、血を摂取したから根源接続できるようになります、という事はあるまい。
体液交換で異能が伝染するのであれば、氷架も今頃根源接続能力者だ。
そう考えて、左腕を差し出す。

「じゃあ、血液でいいな。ちょうど斬れてるし」

先程左腕を斬ったのが、こんな形で役に立つとは。

白椿 > ……其方、浪漫がないの?
我はこう見えても娘であるぞ、いくらなんでもついででよいであろ、というのはどうなのだ?

(まあそれはそれでもいいのだが、これだけしてやったのにあまりにも風情が無くはないか? と。
さもありなん。)

霜月 零 > 「だからっつって、じゃあもう一か所斬りますかってーとそういうわけにもいかねぇだろ」

困ったような表情で返答する。
女性の扱いに不慣れなのは言い訳のしようもないのだが、だからと言って無駄に傷を増やすのも……と言う感じである。
基本的に朴念仁なので仕方がない。

白椿 > まったく……恋人にもその調子で同じようにするのであろ? 先が思いやられるぞ?

(言うと左腕の垂れている血液を指でそっと掬い取り、舐める。
ゆっくり、じっくりと、丹念に。うっとりとした表情で。
端的に言って、性的なことを意識するぐらいにはセクシーな仕草である。
だからといって卑猥でも下劣でもない)

ん……っ、やはり……甘露であるの。
いままでのことを鑑みて、相応に貰うが、よいの?

(髪をかきあげ、その左手にゆっくりと指を絡ませると、舌を這わせていく。
なぞりあげるように丁寧に、敬意を持って、性的に。
官能的、というのが正しいのであろうか

狐の舌が這い、血を啜るたびに色を帯びた声を上げる様は、なにか芸術品のように美しく艶めかしい。
狐の方も少々上気しているらしく、その味に満足しているようである。)

霜月 零 > 「うぐ……」

恋人にも、と言われるとやはり意識してしまう。もう少し工夫すべきだろうか。
そんなことを考えつつ、腕を舐められる。
その姿はいやに扇情的で、下手をすると欲情してしまいそうになる。

「(いや、ダメだ……!)」

が、それは許されない。
目を逸らし、必死に意識しないように努める事で何とか平静を保とうとする。

白椿 > ん……ぅ、ふっ……んん……。
くふ……ぅ

(甘い声が漏れ、見ずとも舌の感触が、容易ににその様を伝えてくる。
嫌が応にも意識せざるを得ない

……しばらく後、恍惚の表情でうっとりとしつつ、口を離すであろうか)

……良いの。
酔ってしもうたぞ。

霜月 零 > 「……そりゃよかった」

流石に本気で欲情はしなかったものの、若干そういう気分になってしまった。ええい、妖狐が血を吸うというだけでこれほどとは。
それを表に出さないようにしつつ、軽く左腕を治癒する。
一応、最低限の汎用魔術は使えるのである。

白椿 > ……ん、古き血、此れほどとは思わなかったであるぞ。
(色を帯びた瞳で、くすくすと微笑みかける
血液はしっかりとストックした。
だが狐にとってその血は極上の美酒のようでもあり、となれば、軽く酩酊状態の狐の様子は
それだけで扇情的な芸術品と言えた

そもそも、人形の身でありながら退魔の血に酔うのである
それだけでも芸術品と言って良い出来であった)

霜月 零 > 「ま、一応ウチは名門だからな。そういう意味じゃあ上等だろうよ」

治癒を終え、とりあえずそんなことを口にする。
目は合わせない。見たらちょっと体が反応してしまいそうだからだ。

「で、そろそろ俺も帰りたいんだが、いいか?」

その上で、肩を竦めて問いかける。
送るとかそういうことを言わないのは、途中で変な気分にさせられるとしんどいからである。

白椿 > ……まったく、甲斐性無しよの。
このような我を学舎に置いておく気かえ?

(学校は初めてなのである。故に地の利は疎い。
しかも勝手に入ってきているのだ。

もちろん性能的にはまったく問題ないのであるが
状況的には確かに甲斐性がないと言えた)

霜月 零 > 「……くっつくなよ」

溜め息。結局こうなるのである。
ここで案内を断れないのが、霜月零の長所であり、短所でもあるのだった。
やむなし、と妥協し、前回のようにくっつかない事を条件として送ろうと提案する。

白椿 > ……そう出来ればそうするがの?
(だが不可抗力というものはある、不可抗力なら
ここまで意図的であったとでも言うのだろうか

だとするなら、狐のAIも妖狐と同じレベルで侮れないといえよう)

霜月 零 > 「頼むからそうしてくれ」

若干げんなりとしつつ、先導して案内しようとする。
また氷架に報告する事案が増えてしまった。本当にどうしたものか。

白椿 > んぅ……くすくす。
其方、よう見れば可愛いの?
(撓垂れ掛かりつつ、くすくすと見初めるように覗きこんで。
……誘っているわけでも意図的にそうしているわけでもない
が、結果として胸が押し付けられ、半ば身を預けるように嬉しそうにくっつくのだった)

霜月 零 > 「だからくっつくなっつってんだろ……!」

とは言いつつ、気を使ってしまい無理に引き剥がすことも出来ず。
肝心なところで情けない零は、げんなりしながら妖狐を送り届けるのであった。

ご案内:「第一演習場」から霜月 零さんが去りました。
ご案内:「第一演習場」から白椿さんが去りました。