2015/10/13 のログ
ご案内:「訓練施設」にサヤさんが現れました。
サヤ > 板張りの、道場のような風景の中に、サヤは静かに座っている。訓練場の設定に道場風のものがあったので使ってみたのだ。
どういう原理かはわかっていないが、元居た世界を、修行の日々を思い出すには最適だった。

前方には、青竹を芯に巻いた巻藁が三本、床に直接立たせてある。
ゆっくりと、だが淀みない動作で左手に握った刀の鯉口を切り、柄に手を伸ばす。

サヤ > 「疾ッ!!」裂帛の気合とともに、息が口から漏れて音を立てる。立ち上がりながら抜刀、足首、膝、腰、肩、肘、手首と関節の全てが流れるように斬撃の動きを作る。
それに従うように、人間であれば胴に当たる高さを刃が通過し、三本分の手応えを右手に覚える。

だが終わりではない、手首をひねって刃を返し、今度は逆回転。首の高さで右から左へと切り払う。
一本、二本、三本目で、刃が通り抜けることなく、巻藁に食い込む。刀を振りぬけば、慣性に従って、巻藁は飛んでいってしまった。

サヤ > 「……。」そのまま残心を終えると、だらりと力が抜けた。落胆からであった。
「腕、落ちたなぁ……。」がくりと肩を落として呟いた。
床に立てた巻藁を3本、倒さずに2回斬る。
異能を用いた剣術である人刃一刀流の剣客にとっても至難の業であるが、サヤは免許皆伝である。
難なく出来なければならなかったし、実際以前は出来ていたのだ。

原因はわかっている。こちらの世界に来てから鍛錬をサボりがちだったこと、そして、石蒜の存在だ。
人刃一刀流の剣士は剣と一体となって戦う。魂の一部を刀に宿らせ、手足と同じように、あるいはそれ以上に巧みに振るうのだ。
だが今サヤの刀には、石蒜の魂が宿っている。サヤが魂を宿らせる隙間が無いのだ、これでは一般の剣士と同じか、それ以下である。

サヤ > どうすればいいのだろうか。刀を鞘に収めながら考える。
別の刀を用意する、というのも考えたが、問題がある。
通常の日本刀は主に両手で扱うものだが、今使っている刀は片手用だ、重心が調整され、軽く短く作ってある。
特注ということになるが、かなりお金がかかりそうだ。現状懐具合はかなり寂しかった。

それに、石蒜とサヤが魂を交代するのは、刀に魂を移す術を応用している。別の刀を使ったところで、やはり石蒜の魂はそちらに移るだろう。

「……はぁ。」ため息。これでは畝傍さんと蘆さんの命を狙う集団…"星の子ら"と出くわした時、助けられるか心配である。
相手がどれほどの戦力かはわからないが、出来れば万全の状態にしておきたかった。

サヤ > 「……。」どれほど取り戻せるかはわからないが、それ以外に方法はない。鍛錬を続けよう。

そう決意を固めながら、また目標を出すために端末へと向かった。

ご案内:「訓練施設」からサヤさんが去りました。