2015/11/29 のログ
■霜月 零 > 「ど、わあっ!?」
左足での接地に失敗し、大きくすっ転んでしまった。それこそ、さっきと同じように。
だが……
「取り敢えず、成果はあったかね……」
後ろを振り返ると、元いた場所が結構遠い。
要するに、着地には失敗したものの……それなりの距離を、一足で詰めたことになるのだ。
取り敢えずやり始めと言う所から言えば、十分な成果と言えるだろう。
■霜月 零 > この歩法、現状だけでいくつか問題点が分かる。
「接地が難しいのと……上手く足を寄せねぇと二の足が継げねぇな」
そう。
大きく前に踏み出すこの歩法は、大きな間合いを一足で詰めることが出来る。
だが、その分接地した際に下腿部の角度が大きくなり、二歩目を継げなくなってしまうのだ。
……が。
「こっちもこっちで、空手に一応解決策はある、な」
その問題も、空手道が解決してくれる。
空手道において、下腿部の角度が大きくなるような中段突きを放ったとしても、即座に後ろ足を寄せて次の動作に移れるように指導される。零の覚えた霜月流徒手空拳格闘術でも、この考えは取り入れられていた。
つまり、突いた後に居付かず、即座に足を寄せればいいのだ。
■霜月 零 > 流石、直線的な動きに特化した古武道である。
『前進して攻撃する』と言う事においては、他の流儀よりも優れていると言えるのかもしれない。
空手道と言う武術に感心しつつ、一旦刀を納める。
取り合えず方向性が見えて、解決策も見えた。
無理にやって形を崩すのではなく、何回かに分解してやるのがいいだろう。
そう思って一息つき……ちょっと周囲を見渡す。
「……いねぇ、なあ」
今日は、恋人の雪城氷架は来ていないようだった。
見られてると見られてるで意識してしまうのだが、稽古が終わった後、氷架が「お疲れさん」と言って差し出してくれるスポーツドリンクとタオルは、零にとって大きな癒しになっていた。
■霜月 零 > 勿論、毎度毎度いるわけではないし、稽古終わりには絶対居て欲しい、などと言うつもりはない。
いると嬉しい……否、とても嬉しい、と言うだけだ。
「ま、今日はここまでだな」
んー、っとその場で伸び。
■霜月 零 > 「……」
で。
気を抜いてぼーっとすると、ちょっと悶々としてしまう。
恋人である氷架とは、そろそろそれなりの期間の付き合いになってきた。
何回か肌を重ねた事も……うう、思い出して恥ずかしい。
「次のデートはいつ頃出来るかね……」
……こうやってふとした瞬間に恋人の事を考えてしまう辺り、零は中々に恋愛脳なのかもしれなかった。少なくとも、無念無想の境地は遠そうである。
■霜月 零 > 「……帰るか」
その場で思考がごちゃごちゃしてしまう前に、立ち上がってその場を後にする。
縮地の完成と次のデートは、いつの日になるのだろう……。
ご案内:「訓練施設」から霜月 零さんが去りました。