2015/12/12 のログ
ご案内:「訓練施設」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > 週末。蘭は昼食後訓練施設を訪れていた。
今週の元素魔術の授業の中で、雷の魔球を制御する手がかりがつかめた…ような気がしたのだ。
二週間きちんと節約して図録の出費分は取り戻したはずだし、満足するまで練習するつもりで、いつもより幾分動きやすそうな服装である。
早速、入り口の端末を操作して魔球魔術用の的を呼び出す。
■美澄 蘭 > 水晶体の的が姿を現すと、蘭はそれをまっすぐ見据えた。
そして、それめがけて手を伸ばす。
(属性は程々に。それを圧縮して、魔力の「質量」でたっぷりコーティングして…)
蘭は、自分の魔術行使において、得意な属性への変換効率が「良過ぎる」という問題を抱えているらしいということを、最近ようやく認めつつあった。
自分が「通常」であるという認識で制御し、威力は出るものの周囲にまで影響が出る、という状況が、効果の高く出る属性を扱う際に頻発していたのだ。
だから、今は「属性に変換すること」よりも、「それにカバーをかけること」を意識して、魔球を生成する。
出来上がったのは…「ガラス玉の中で電気が奔っている」ような代物。
それを、的である水晶体めがけて飛ばした。
■美澄 蘭 > 水晶体に当たった魔球は、パン、と鋭く軽い音を立てて弾けた。
その後、魔球の周囲2メートル前後に電気がパチパチと軽い音を立てて走ったが、蘭のところにまでは余波は全く届かない。
水晶体は、神秘的な青紫を示している。
サリナが以前見せてくれたものと、かなり近い色だ。
「………多分、こんな感じ…よね」
今までとの落差にどう捉えていいのか分からなかったが…少なくとも、安全性は格段に上がったのは確かだった。
■美澄 蘭 > 「感覚を掴むために、もう少しこの感じで練習してみましょうか」
もう少し属性変換を強めてみたらどうなるだろうか、という好奇心はあったが…
蘭は、それよりは安定してこのパターンで魔球を生成出来るようになることが先だと判断した。
特に注意せずに属性変換して魔球を生成するよりは、明らかに集中力を使うし、生成に時間もかかってしまっている。
そんなわけで、ひたすら魔球を撃っては的の状態をリセットするのを繰り返す。
訓練施設に、パン、という小気味良い音と、パチパチ…という打ち上げ花火が夜空に溶ける時のような音が何度も響くだろう。
■美澄 蘭 > それが、十数回ほど繰り返されただろうか。
段々、音の響く感覚が短くなっていく。
そして、
「………うん…大分、良い感じじゃない?」
蘭は、その顔に疲労感を滲ませながらも、満足げな息を吐いた。
■美澄 蘭 > 「少し、休憩でもしましょうか…」
訓練施設の隅にある自動販売機で、ホットレモネードを購入する。
疲労感があるので甘いものが欲しくなるが、運動をしているのとは少し違うので、スポーツ飲料などという感じでもない。
冬本番とはいかないが、冷え込みは行きつ戻りつしながらも強まってきているこの頃、蘭はこの手の飲料を自販機で求めることが多くなっていた。
「………ふぅ」
隅のベンチに腰を下ろし、飲料を開けて一口。
それから、息をついた。