2015/12/13 のログ
美澄 蘭 > 「………」

休憩しながら、飲料を手にしていない左手を見つめる。
その左手を、握ったり開いたり。

こちらに来て、魔術の練習を始めたばかりの頃は、初歩の属性魔術を数発放っただけでふらふらになっていた。
コゼット先生の魔球魔術が初級のものというのもあるのだろうが…今では、色んなことを考えて制御しながら魔術を扱えるし、十数回練習を重ねて休憩していても、休憩が終わった後にもう1つくらい何か練習しようか、とすら考えている自分がいることに、蘭は感慨を抱いていた。

(…やっぱり、おばあちゃんの血筋っていうのもあるのかしら)

異邦人で、異能者。そして、強力な魔術師であったという母方の祖母。
写真でしか知らない彼女をぼーっと思い浮かべながら、ホットレモネードを口に運んだ。

美澄 蘭 > 「…よし」

ホットレモネードを飲み終えて立ち上がると、再び端末を操作して的をリセットする。

基本の4元素と、雷の魔球はそれなりに形になってきた。
なので、時間があるのを良いことに、あまり練習していない氷の魔球を試す算段である。

ご案内:「訓練施設」に真乃 真さんが現れました。
美澄 蘭 > 的を見据え、集中する。
イメージするのは「氷」だが…「水」の一形態というよりは、「冷気」…冷たさの象徴として構成するよう努める。

そして、出来上がるのは氷というよりは、「吹雪」を球体に押し込めたような魔球。

「…えいっ!」

それを的にめがけて放つ。
吹雪の魔球は的に当たるとふわりと的の半径1メートルに広がり…消えた。

的は、アイオライトのような淡く透明な青を示している。

「………うぅん………やっぱり、「水」の固体として考えた方が魔力の密度は上がるのかしら?」

近づいて的を見つめ、渋い顔。

真乃 真 > 真は魔術の適性が高くない。
しかし、一つの道具によって見せかけだけの魔術を日に八回まで使用できる。
音だけ、ガワだけ、光だけ、魔術に詳しいものになら一瞬でハリボテだと見破られるものである。
実際あの魔王に一瞬で見破られたしそれは仕方のないことだった。
それでも真はそのハリボテを少しでもカッコよくそしてばれにくくしたかった。

そんなこんなで情報収集。
先に本で調べようと思ったけれど魔法の形が分かりにくい。
ならば実物を見ればいい。
そんなこんなで訓練施設ここなら色んな魔法が見えそうだ。

「おっと、あそこの人が何か使いそうだぞ。」

後ろ斜め後方くらいからちらちらと様子を伺う。
どこかで見たような少女だ正面からみれば思い出せるかもしれない。

白い球体が的にぶつかった。
雪合戦で雪玉をぶつけた時の凄いバージョン。
離れて見ていた真はそんな感想を持つ。

(うーん。なるほどな。水の固体としてか…)

少女の言葉を聞いて何もわかってないけど分かった風に一人うんうんと離れたままで頷いている。

美澄 蘭 > 「…ちょっと、そのパターンでいってみましょう」

思案がちな顔でそんなことを呟きながら端末のところに移動して、的の状態をリセットする。

少女は真に気付かなかったようだが(顔は知らないので当然ではある)、真の方からは、振り返った時に色の違う瞳と、少女らしい顔立ちが確認出来るだろう。

真に気付かぬまま、的の方に向き直った。

真乃 真 > 「水の固体…氷…つまり雪で殴るより氷で殴った方が痛いってことか。」

少し考えて納得した。

「あっ!」

眼を見て思い出したあの子は美術展の時のお客さんだ。
そのまま大声で声を掛けたくなる衝動を必死に抑える。
確か、あの子男の人が苦手な様子だった。
石膏像に入ってまであれだったのだ知らない男が大声で自分を知ってるように話しかけてきたら
きっと、逃げる。男の自分ですらそのシチュエーションは少し怖い。
あとでさりげなく声を掛けよう!!

それより何より魔術だ、魔術。
次の魔術を楽しみに待つ。

美澄 蘭 > 今度は、「水」を満たすように容積を満たし、そこに冷気を行き渡らせるイメージで魔球を生成する。
出来上がったのは…サッカーボールほどの大きさがありそうな、冷気を纏った氷の塊だった。

「えいっ!」

その氷の塊が、少し速めのキャッチボールほどの速度で的に向かって飛んでいく。
氷の魔球と的である水晶体がぶつかると、氷の魔球はクシャッ、という音を立てて派手に砕け散る。

水晶体は、それに伴ってラピスラズリのような深い鮮やかな青に染まった。
離れて見ていても、それは明白だっただろう。

「…うん、やっぱり「水」の延長線上で扱う方が良いみたい」

次はもうちょっと魔力を籠めて…などと呟きながら、再度的の状態をリセットしようと、端末の方へ向き直った。

真乃 真 > 今度は氷かな。さっき作ってた白い雪玉よりも重そうに見える。
少しでも良く見えるように距離が若干近づいた。
それが的にぶつかって砕けちった。
さっきに雪の玉よりは派手で自分が真似するにしてもこっちだろうか。
砕け散り方に要工夫。もう少し近くで見れたら良いが。

ああ、じれったくなってきた。

「そこの君、少し近くで見させてもらってもいいかな?魔術に興味があるんだ。」

なるべく声を優しく出すように心がけて声を掛ける。
身振り手振りで怪しくないアピールも忘れない。
自分が石膏像だったことは伝えないがその動き方と声から分かってしまうかもしれない。
分からないかもしれない。

美澄 蘭 > 端末を操作して的の状態をリセットしている最中、青年らしい声がかけられ、ふっと顔を上げて声のした方を見る。
見覚えの…あるようなないようなジャージ姿の青年が、見学を申し出てきた。

「…コゼット先生の授業の、割と基本的な内容の復習だから…そんなに特別なことはやってないけど…それで、良ければ」
(…顔は見たことあるような無いようなだけど…この、声…どこかで…?)

少し強張った表情ながらも、見学は受け入れる。
…もっとも、顔が強張ったのは、「この声をどこで聞いたのか」を考えていたせいもあったが。

真乃 真 > 「ありがとう!さっきから見てたけど面白いよ。うん、見応えある。」

自分が学校で授業を受けたのは基礎の基礎の初歩のさわりの部分だけ。
しかも、実技ではなく知識としてあるだけだ。

「邪魔にならないようにするから!僕のことは喋る路傍の石とかそんな感じの無機物と思ってくれてればいいよ!」

そんな石は路傍に転がっていないだろうし注目を浴びざるをえないだろうけど。
まるで初めて魔術を見るかのように眼を輝かせて今か今かと待ちわびる。

美澄 蘭 > 「…氷の魔球魔術はまだ全然慣れてないから、大したことないと思うけど…」

「面白い」と言われて、ますます怪訝そうな表情を浮かべる。
自分の中での評価と、初対面(のはず)のこの青年による評価の乖離が甚だしくて、どうにもしっくりこないのだ。

「………路傍の石はしゃべらないと思うけど…まあ、もし気になることがあったら言ってね。
私も、勉強になることがあるかもしれないから」

そんなことを言いながら少女が端末を弄っていると、的の水晶体が再び無色透明になる。
そして、少女は青年を全く意に介さないかのように、その的に向き直った。

(…集中して…)

青年についての疑念を頭から追い出し、掌を的の方に向けて伸ばす。
水のまとまりをイメージしてから、そこに冷気を行き渡らせる想像をして…先ほどより魔力を込めて、一気に具現化させる。
生成されたのは、大きめのビーチボールに匹敵するだろう、氷の球体だ。
急速に冷やされたのか、真っ白になっている。

「………えいっ!」

先ほどの氷の塊と同じくらいの勢いで、氷の球体が的めがけて放たれる。
氷の球体は、的にぶつかるとカシャーン…と、ガラスが割れる時のような音を立てて派手に砕け散った。
水晶体は、先ほどより青の深みを増している。

「…うん、良い感じ」

少女は、明確に満足そうな笑顔を浮かべて的を見ていた…が。
青年の存在を思い出したのか、「あっ」と小さい声を慌てたように出した後、真の方にあたふたと向き直って、

「…どう?何か、気になることはあった?」

と、少し俯きがちに。
人前で「手応えあり」みたいなリアクションをしたのが少し恥ずかしかったのかもしれない。

真乃 真 > 「そんなことないよ!慣れてなくてもあれなのは…比較対象がないから何とも言えないけどきっと凄いよ。」

無責任に褒める実際他の人の球体魔法とかは見たことないから判断できない。

「質問…えーとまず何で球にして飛ばすの?前見た人は氷柱みたいな形のを飛ばしてたけどそっちのが自然に近くて威力もありそうな見た目じゃない?」

まず、見た目を心配するあたりやはり素人。
だが基礎の基礎の知識では属性魔法は自然に近い形にした方が強くなるとかならないとかそんな感じのことを言ってた記憶がある。

「さっきよりも大きい…。」

少女が集中し始めれば声の大きさも小さくする。
冷気を纏う大きな球、あれがぶつかったらただでは済まない。
軽自動車くらいなら簡単に壊せそうな気がする。

「さっきよりも割れた時の音も高くなってたし多分より純粋に氷になったんじゃないかなと思うよ!
さっきはちょっと水混じってた感じの音だったし、割れ方も派手でカッコいいよ!!」

褒める。ひとつ前という基準が出来たことで評価がしやすくなった。
前回よりも目に見えて良くなってるそりゃ手ごたえも感じるだろう
褒めてばかりもあれだし何かアドバイス的な事…。
氷、氷と言えば…

「あっそういえば、氷を作るときゆっくり冷やしたら解けにくい透明な氷が出来るらしいよ!」

以前、カフェでバイトしてる時に聞いたどうでもいい知識を伝える役に立つだろうか。

美澄 蘭 > 「…割れ方はあんまりメインの問題じゃないんだけどね…ありがとう」

褒められれば、気恥ずかしそうな笑みを浮かべて。

(でも、そうか…水晶体の色だけじゃなくて、的にぶつかった時の音も参考に出来るのね)

そういうところはきっちり拾う。言葉には出さないが。
そして、初っ端の質問には、困ったように眉をひそめ、

「コゼット先生の元素魔術の基本の魔球魔術がああだから、としか言いようが無いわね…
威力なら、他にも魔力の波にしたり、レーザーにしたりも出来るらしいんだけど…私、まだそこまでは習ってないから」

「だから、特別なことはやってないって言ったでしょ」と、少し俯きがちに。

「…一応、こういう使い方も出来るらしいんだけどね」

そう言って、的をリセットすることも無く的の方に向き直る。
そして…手元で、氷の魔球の前に練習していた雷の魔球…ガラス玉の中に電気が入ったようなそれを生み出すと、足下に「落とした」。
それを、的の方に向けて、ぽーん、と蹴り出す。

蹴られた魔球はぽてん、ぽてんと弾みながら転がっていき…的の土台にぶつかると、パン、と弾けて、弾けた地点から半径1メートルほどに電気をパチパチと走らせると、消えた。

「…私は、コゼット先生みたいに正確には蹴れないから」

表情は特に変わらないが、その声色には、子どもじみた反発の色がなくもない。

…が、「氷の作り方」の話になるとふっと吹き出して

「私は、魔球魔術はそういう用途では使おうとしてないから…何とも言えないわね」

魔術の発動に時間かけるのもあんまり実践的じゃないし、と、少し苦笑い。

真乃 真 > 「そうかー教える先生にもよるよね。よく分からないこと聞いてごめん。」

軽く謝る。
そうだね、まだ慣れてないっていってたもんな。
それにしてもレーザーかレーザーはやばいなとか考えてる。

「うわ、凄いねそれそれがあればどこでもサッカーができ…うん危ないね。」

ボールが転がっていく様子をみてはしゃぐが割れて電気を走らせる様子をみて落ち着いた。
でも球って形状のおかげで色々と面白い動きはできそうなきがする。
きっとコゼット先生という人は的にボールを蹴りこむのだろう。

「レーザーとかよりも扱いやすそうではあるよね。好きな物に飛ばせるというか。」

波とかレーザーとか扱いにくそうなことこのうえない。

「日常生活で使うならいいと思うんだけど透明の丸い氷!カフェとかで引っ張りだこだよ!
そうかー使わないか…じゃあ君は魔術を何に使うの?」

きっと専用の器具があるから大丈夫だろうけれども、丸い氷つくるやつ使えたら便利そうではある。
そういう用途では使わないのならどんな用途で使うんだろう。

美澄 蘭 > 「…本当は、私が「元素魔術とはどんなものか」って大上段で語れたら早かったんだけど…まだ、流石にね」

軽くでも謝られれば、表情を少し和らげて首を横に振る。
自分の未熟さを突っ込まれて腹が立ったのだと思えば、青年に対する憤りは消えていた。

「…土の元素を凝縮させて、固めの岩の魔球でも作れれば………ああ、それでも危ないわね。そもそも蹴ったら痛そうだし」

軽くでも、一緒になって真面目に検討しちゃうあたりこの少女もどこか抜けているのかもしれない。

「…まっすぐ飛ばせるなら、その方がシンプルだとは思うけど…
球のバウンドまで計算出来たら幅は広がりそうよね」

実際、まっすぐ飛ばす類の魔術も使えないことは無いので、そんな風に言って思案がちに首を軽く横に傾げる。

そして、魔術の用途について聞かれれば、考え込むように眉を寄せ

「治癒魔術はともかく、元素魔術は…
突き詰めたら面白いかもしれないけど、今のところは………主に護身術?」

今のところそんなに危ない目には遭ってないけど、と付け足しつつ。

真乃 真 > 「サッカーは無理そうだね…。普通にボールを持ち歩くよ。」

いや、特にそこまでいつでもサッカーがやりたいわけではないのだけど。

「他にも小さい球とか大きい球とかあと種類も色々混ぜて飛ばしたりできたら華やかそうでいいよね。」

実用性はともかく色々な種類の球が飛び交うのは華やかそうでいいかもしれない。
かなり習熟した人でないと難しそうだけど。

「護身用か。女の子一人は危ないもんね。」

チラリと的の方を見てあの塊が直撃したら死ぬかもしれないなとか考える。
ああでも治癒魔術使えるのか…。

「治癒魔術かあれ凄いよね。前怪我したとき受けたことあるけど傷跡が一瞬で塞がって
個人的には元素魔術よりも治癒魔術を使える人の方が凄いと思うよ!普段便利だし!」

元素魔術も極めたら日常生活に使えるかもしれないけれど

美澄 蘭 > 「…サッカー、好きなの?」

首を傾げて青年に問う。会話の流れからすれば当然の疑問ではあるだろう。

「球の大きさは、込める魔力で調整する感じかしらね…
小さくする練習はあんまりしてないけど」

力を抑える感じでいけるかしら、などと、思案顔でひとりごちて。

「そうね…私は寮暮らしじゃないから、余計に気をつけないといけないとこがあって」

一人暮らし、気楽なのはいいんだけどね、と苦笑いを浮かべながら。
…なお、少女の行使している元素魔術の類が「護身術」の枠に収まっているかどうかは議論の余地があるだろう。

「普通の怪我なら、大体治せる…と思うわ。
ちょっとした怪我は普段からあるし、使って危ないとかも無いからこういう場所にわざわざ練習しにこなくていいのは楽よね。

…強力な治癒魔術は、流石に保健課の講習とかになるけど。
日常とかで使う機会は、無いに越したことは無いんだけどね」

治癒魔術の方が身近であるのは、この少女も青年と同じらしい。

真乃 真 > 「野球よりは好きだよ。いや、同じくらいかな?うん球技は好きだ。」

特別好きだというわけではないけど嫌いでもない。
他の球技と同じくらいの好感度。

「一人は色々と大変だからね。することが色々あって家では割と楽できたんだなと思うよ。」

始めの方の解放感は凄かったけどそれにはもう慣れてしまった。
今は料理、洗濯、掃除一人でいることのデメリットばかり見えてくる。

「ああ、乾燥してきたらささむけとかできるしね。練習する機会も増えそうだよね。
それにしてもやっぱり便利そうだね治癒魔術。確かに怪我しないのが一番だけどしてくて怪我するんじゃないしね。
それでもどうせ同じ怪我するなら君の魔術向上の為の練習台になるよ!」

ささむけはちょっとした怪我なのだろうか。いや怪我なのだろうか?
確かに痛いし血も出ることあるけど判断に困る治せたら便利そうだけど。

美澄 蘭 > 「…そう…やっぱり、身体を動かすのが好きなのね」

ジャージ姿にちらりと目を向け。
蘭は、中学校時代のせいで団体競技に良い思い出が無い。

「ああ、それは確かにね…でも、寮で人間関係が固定されたりの方が怖いっていうか」

そう言って、わずかに表情を陰らせた。
…が、相手の「練習台になる」宣言には思わず笑い出し。

「ふふふ…いや、その…別に、無理に練習台にならなくていいのよ?
もし怪我をした人を見かけたら助けたいと思ってはいるけど…」

そうして、笑いがくすくす程度に落ち着いたところで。

「…美澄 蘭。1年、保健課員よ」

そう言って、柔らかい笑みを浮かべた。

真乃 真 > 「うん、どちらかと言えばじっとしてられないタイプさ。」

例えば美術品みたいにじっとしてるなんて出来ない、もう二度としない!

「僕は真乃真、二年、僕も今は困ってる人がいたら助けたいだけの普通の生徒だよ。」

よろしく。そう言って自己紹介をする。
爽やかさを感じる笑顔だ。

「それじゃあ僕もそろそろ色々試してこようかな。今日はありがとう!またどこかで会おう!」

一度大きく伸びをして
とビシリと親指を立ててまるで美術作品のように整った姿勢で言うと。
歩いてとりあえず自販機に向かうだろう。

ご案内:「訓練施設」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に真乃 真さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から真乃 真さんが去りました。
美澄 蘭 > 「…私も、意味も無くじっとしてるのはそんなに好きじゃないけどね」

くすくすと、おかしそうに笑った。

「真乃さんね…?こちらこそ、よろしく」

名乗り返されれば、はにかみがちな笑顔を見せて、そう返した。

「ええ…それじゃあ、また」

自販機に向かう真を見送ると、自分も軽く伸びをしてその場を後にしようとする。
久々に、授業外で随分魔術を連続発動させて、少し疲れたのだ。

(………あら…?)

外を歩き始めて、ふと湧いてくる記憶。

あの声を、どこで聞いたのか。
あのあっけらかんと軽率な語り口に覚えはないか。
…それにしても、随分姿勢の良い先輩であった。

「あっ」
(…もしかして…あの時の、石膏像の中の人…!?)

思い出して、思わず声を上げた。
その後、手で口を押さえる。

(………どうしよう、あっちからは何も言ってこなかったけど………)

しばし、頭の中であの時の混乱が蘇る。
ついでに、今気付いてしまったことによる動揺が重ね掛けである。

(………次に会ったら、ちょっと聞いてみよう…かな。
………あれだけじろじろ見ちゃったから、凄く切り出しづらいけど………)

訓練の後、久々にお茶でも楽しもうかと思っていたのに。
それどころではなくなってしまって、わき目も振らず部屋まで帰ったのだった。

ご案内:「訓練施設」から美澄 蘭さんが去りました。