2016/01/10 のログ
■不凋花 ひぐれ > 【逡巡が見えた。垣間見える意識の変化。三度と変わる。】
「はぁ……そういえばそろそろテストでしょうから。休み明けでもありますね」
【そういえば、この室内は外から見える作りか。入る際のガラスはスモークでなく透明なものだったのか。
――いや、見えたからといって"ここでやる"訓練のみならば特に支障はない。寧ろ人のいる空間故に意識を入れ替えることにも繋がる。】
「それは、ありがとうございます。見られることも、別に秘匿する理由もございませんので。謝る理由もありません」
【瞼を落とした儘、相手が浮き足立つような笑い声を落とすのなら、照れている感情を表しているのだろうと理解する。
何も、恥じることなどないというのに。
刀を納めた鞘を背より落とし、腰へと差した。床に落としていたもう片方の――刀が納められていない鞘を探すために足で踏みしめると、それを手に取る。】
「記憶に無い御声ですね。ここにはよくいらっしゃるのでしょうか
……いえ、その前に自己紹介を。
私は不凋花。不凋花ひぐれです。一応風紀委員をしています」
【袖口から腕章に指を伝い、軽く引っ張って見せ付けるよう自らの素性を述べた。】
■牧瀬 莉那 > 「う・・・ほんとそーだよね・・・、テストやだなー。
もうちょっとお休みほしかったー、なんちゃって、へへ。」
冗談交じりにへらりと悪戯な笑いを見せる。
凄く丁寧な喋り方だなーとかちょっと思ったりしつつ・・・。
「そっかそっか、じゃあよかったっ!
私は刀とか、槍とか、旨く扱えないから、
そういうの見るとかっこいいなーって思っちゃうんだよね。
あ、ほら、自分にできないもの見ると余計感動するってことあるし、
それに私結構どんくさいし。」
彼女へ言葉を送りつつ、
自分は自分の訓練道具の的をセットする為に部屋の空きスペースの端っこのほうへと歩いていく、
訓練施設用の的を3つセットして再び戻ってきて・・・。
「うーん、一週間に1回から3回かな?
良くくるほうなのかなー・・・?
あ、そういえばそうだよね!
私は牧瀬莉那。どの委員会に入ろうか悩んでてまだ入ってないんだー・・・。
って、風紀委員なんだっ、凄いなぁ・・・。
ひぐれさんも、良くここに来るの?」
腕章を見てはこれもきっと自分にはできないんだろうなぁ、と思ってしまった。
普段どんくさい所があるからか自信が無いのだろう・・・。
同じ質問を彼女に返してみた。
■不凋花 ひぐれ > 「普段通り構えていれば、自ずと結果が出ますよ。
休みも……まあ、休みばかりでは、友人との会話の回数も減りますよ」
【当人なりの戯言だろうか。口元を引き結んでこたえたのはそんなこと。】
「憧憬、羨望を重ねることも然り。私もそういう気持ちは分かります。
どんくさい、というのも――ある種良い事やもしれませんよ」
【はたして、捉え方次第とも。手前は過敏に反応しやすいタイプ故に、そういうところが羨ましい。
彼女もまたここにきたということは、多少なり訓練をしに自己鍛錬があったのだろう。
機材を用意する音を耳にしながら、彼女が戻る際には相槌を打つ。】
「風紀に入ったのもほんの数ヶ月前ですが。勧めを受けてついつい」
【色々な問題やら、壁はあったのだけれど――それは特筆すべきことでもない。】
「よくいらしているほうですね。私は普段よく対人で演習をしているので頻度はそう多くは有りません。2週に1度くらいでしょうか。
人の少ない時間を狙ってくるので、少々安定していなくて。
……あぁ、別に人がきて困った、ということではございませんので」
【合間に、彼女が自分自身の訓練を行うならば、僅かに距離を離そうと歩きながら会話する。
的の設置。先ほどの得物を取り出す音からして銃火器が専門らしいと考察を重ねる。】
■牧瀬 莉那 > 「普段からかぁ・・・。」
普段の私・・・。
公園で日向ぼっこして眠ったり、
友達と御喋りして楽しんだり、
気晴らしにこうやって運動しに着たり、
美味しい物食べてゆったりしたり・・・。
遊んでばかりかもしれない。
「おのずと結果が・・・、た、確かに出てる・・・!」
全体的に怠けてるところがみえてきて少しばかり焦りを覚える。
言葉になんてできない為心にしまっておいた。
「そーだね!がっこーが嫌いなわけじゃないし!
勉強は嫌いだけど・・・」
後半ぼそぼそっと小さな声で言葉にした。
「無いものねだりっていうかね?
どんくさいが、良い所・・・?
うーん、そうかなぁ~・・・?」
腕を組んで考えてみるがどうも良い所が思いつかない。
でもきっと彼女にとって無いところであり羨ましいと思うところなのだろうと思って納得しておいた。
「そーなんだ・・・!すすめて貰うなんて中々無いことだよ!
いいなぁー・・・!」
素直に羨ましかった。
誰かに頼りにされてるってところがとても・・・。
「対人で、かぁ・・・、私はやったこと無いなぁ・・・。
基本的に一人で遊びに来てるからね。
だからくる回数も多くなるのかな?
っと、あ、はなれてくれてありがとっ
・・・よいしょ・・・。」
言う前にはなれてくれた彼女にお礼を言って、
右のホルスターに入った弾丸の入らない拳銃を右手で取り、
呼吸を静めてフロントサイトとリアサイトをこの眼で覗き込む、
丁度的の中心が重なり合えば、ふぅ・・と一呼吸。
すると、ほんのり蒼白く輝く拳銃。
トリガーをゆっくり引くと銃声は無く弾道も無いが、
瞬時のこと、的の中心部分が(パキパキっ!)という音を立てて氷の結晶が浮かび上がった。
「おー・・・・、我ながらど真ん中、やるじゃん私、なんちゃって。へへ。」
調子に乗りやすいタイプなのか、自分で自分をほめて満足げに
笑った。
■不凋花 ひぐれ > 「勉強は学生の本分ですよ」
【これは本気な回答であり冗句を交えるのが中々苦手な手前にとって難しいこと。
普段から、と何ぞ耽る様子の彼女。ならば己自身の普段とは。
鍛錬、鍛錬、二も三も鍛錬。先生生徒とのお話。散歩。囲碁将棋。
――我ながら爺臭い。】
「ならば一掃励まねばなりませんね。赤点回避、平均以下回避。水準越え、満点目標。
程度は多々あれど、励まれると身になりますよ」
【イレギュラーなクラス所属故、出題課題が異なるものだから参考になるかはかなり、怪しい。
学力は悪くない。寧ろ体育以外なら上位をキープし続けている。だからこそ。】
「どんくさいことは大らかとも。気を張りすぎず自分のペースを維持し続けられる。
抜けているところがあれば、そこを補う補填が出来る。だからこそより成長できるような、そんな気がするのです」
【滔々と言葉を並べながら、遠めに"見える"光景を俯瞰する。
音も無く、ハンマーが下ろされる音があったかくらい。銃口から物音も聞こえなかったが、パキ、と氷結する音を耳にして意識を傾ける。
見れば結晶状になった氷が出現していた。そこにあったかのように、浮き出たかのように。
ほう――だなんてかすかな息遣いと共に声を上げた。】
「……なるほど。魔術の一種ですか。魔力を固めて着弾時に効果を適応するのでしょうか。
不可視にみえる銃弾を寸分違わず当てるとは。良い腕です」
【だなんて、賞賛の声を浴びせる。ようやく眼を見開いた先は、定まりの無いうろんな眼差しで彼女を見据えていた。】
■牧瀬 莉那 > 「ぐ、ぐさっ・・・!べ、勉強頑張ります。」
彼女の言葉が心に突き刺さった!
私の怠けた心に・・・。
といった感じのニュアンスで言葉を紡ぐ。
「私は完全に赤点回避だよ、でも、それが精一杯だしね?
背伸びはできないや。」
無理すると性格上絶対やらなくてもっと悪い結果になるし、
と、自分を知った上での答え。
私らしいといえば私らしいのかなと・・・。
銃を放った後のこと、
彼女からの褒め言葉を貰うと嬉しそうに照れ笑い。
「やー・・・、褒められるとどうも照れちゃうなー。
えへへ、凄いでしょ、私の唯一の才能になるのかな?
昔からずーっと続けてやってたから。
原理はそんな感じ、あ、でも魔法とかは使えなくって、
この銃が無いとダメなんだけどね。」
ひとにみせて説明したことはあんまりなかったから嬉しそうに話してる自分。
「ひぐれさんの刀捌きも凄いよ。
あんなに綺麗に切れるところ中々見れないと思うし・・・。
あ、そーだ、ひぐれさんは、何で刀の練習をしてるの?」
ちょっと理由が気になって聞いてみることにした。
私も一応理由があるが、まずは彼女のから聞いてみようとして。
■不凋花 ひぐれ > 【笑みを浮かべ、杖代わりの鞘でこんと地面を突いた。何度か地面を叩いてから彼女のほうへと歩み寄った。からんころんと耳障りの良いゲタの音。鈴の音。
――背伸びをしてみるのも、存外面白いことも多々あるけれど、それはそれ。身の丈にあった服を買わないと後悔することだってあるのだ。けれど。】
「褒められて嬉しいと思えるところが増えれば、より楽しめそうですよね」
【そんな風に口にしながら、二の句に対して「なるほど」と返す。ポテンシャルは大きいようだ。
語る口調、語意は跳ねているようにも聞こえた。嬉しい、という感情だろうか。】
「その気概さえあるならあとは応用あるのみ。意識を少し変えるだけでも違った世界が見えそうです
……私ですか? 私もまた、幼い頃より鍛錬を続けてきまして。私の御家が武家故に、しっかりと技を修めないといけないんです。
此度は精度よく鉱石を切り裂く練習をしてみようと思いましたので、先のようにカットなどをしていましたが、まだまだ甘いところがあるのでしっかりしないといけません」
【自分が練習相手をしていた結晶をひょいとつまみ、くるくると弄んだ。】
■牧瀬 莉那 > 「うん、そのために頑張るのもありかな?
頑張るのは他の理由もあるんだけどね。」
彼女の言葉に頷きちょっと前向きなことを口にした。
「応用かぁ・・・、ひぐれさんとお話して少しだけ自信がついたかもしれないから、うん。頑張ってみる。」
ありがとうとは口にせずに変わりに笑顔で答えた。
「そうなんだ・・・。
お家がそうだと、頑張らないといけないんだね。
私にはもう十分ハイレベルな気がするけど・・・。
え、それでまだまだ甘いの?」
綺麗に切れてるようにしかみえない為、
何処が甘いのかさっぱりわからず不思議そうにそのくるくるまわる結晶を見つめて。
■不凋花 ひぐれ > 「理由……」
【紅眼を丸くする。人には誰だって行動原理を持つ。気の意識ひとつをとっても、突き動かすことが出来たなら更なる躍進とて見込める。
彼女は曰くどんくさいものの、射撃能力は一定水準を超えているだろうに。もっともっと、誇っても良さそうだのに。】
「楽しみにしていますよ」
【付け上がり、舞い踊るくらい高く期待値を上げてみたほうが、案外いいのかもしれない、こういうお方には。】
「この学園には、もっと強い人は沢山いますし、もっと危険な人も沢山います。
御家もそうですし、一応風紀ですから。守るべきものも多いのです」
【最近は大きな物事も無く、軽犯罪で収まっているから幾分か楽である。平和に越した事は無い。
弄んでいた結晶を彼女へと見せ付けるように提示する。宝石のような形でカットされたそれは磨かれていないために艶はないものの、
磨けばそれなりに綺麗に見えそうな透明色。3方向は随分と綺麗に収まっているが、一箇所の切り口だけ少しざらついている。
丁度下へ斬り下がる際に向かった刃の進行方向。斬りあげるのは得意だが、返しの剣戟はどうしても弱い、という。】
「そこ、下の方が他と比べて手触りが異なるんです。均等に切らなければならないのに上手くいかなかったんです。
だから、もっともっと強く、しっかりと斬れる様にならねばならないのです」
【ふ、と瞼を再び落としてから、ふと懐に手を伸ばす。
スマートフォンらしいそれを指で操作していると顔を上げた。
僅かに、困ったような顔をして。】
「……すみません。そろそろ戻らないと。呼び出しを受けました」
■牧瀬 莉那 > 「あ・・・、ううん、なんでもないよ、ちょっと恥かしいからいえないかな。あはは。
・・・うん、楽しみにしててよ、きっと、恥かしがらずに話せるときがくるとおもうから。」
誰かに期待してもらうのは久しぶりだなぁっとちょっと思ったり。
より一層自分の理由のために頑張る意思が芽生えたりしてかもしれない。
「そうだよね、守るべき者・・・。」
そう、私がなりたいのは・・・。
まだいえない、口を閉ざして続く言葉は飲み込み、
「ひぐれさんも、気をつけてね・・・?」
彼女の心配をした、強い人かもしれないけど安全ではないだろうから。
此方へみせてくれてる宝石へ視線を向ける。
やっぱり綺麗に切れてるようにみえるが・・・。
彼女の言うとおり宝石に触れてみると僅かな違いに気づく。
「あ・・・、ほんとだ。ちょっとここだけざらざらする。」
たったこれだけなのに、まだ突き詰める。
きっと彼女にはここまでさせる大きな使命があるのだろうと思った。
「うん!じゃー私もそろそろかえろーかな。
ひぐれさんとお話できたし・・・。今日は満足!・・・それじゃーまたね?」
きっと彼女も今日はここで帰るだろう、
私もさよならの挨拶をしてその場を後にした。
■不凋花 ひぐれ > 「ならば追求はしません。ひとつやふたつ、誰しもそういうものがあります。
そしてそのときがくるまで、私は待ち続けますし、胸を張ってこれることを期待しています」
【――まぁ、見た限り同学年らしいけれど。身長同じくらいだし。
口にしようとして、しかして閉ざしてしまう彼女。続ける言葉はこちらへの配慮。】
「――強いですから」
【ちょっとばかり、自信を込めて言ってみる。丁寧と評した言葉遣いの裏に、ほんのりと確信を背負う、力のこもった声。
形状もいびつで訓練用のものにも足り得ない不揃いの結晶。壊れやすい箇所も形もすべてがばらばら故に均等にするのは困難を極める。
しかしていつか、これをすべて均等に断ち切る正確さを手に入れられれば、より境地へ至ると信じる。
的の中心に射撃を行うのと似ていて、少し違う。】
「――ええ、お陰で良い息抜きが出来ました。
牧瀬莉那……、いえ莉那さん。またご機会がありましたら」
【深々と頭を下げ、杖代わりの鞘をカンと突く。動作所為はゆったりと、着実に。
彼女が去ってから電気を消せば、ここに人の気配は無くなったことだろう。】
ご案内:「訓練施設」から不凋花 ひぐれさんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から牧瀬 莉那さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に蔵田 怡与さんが現れました。
■蔵田 怡与 > (のそのそと緊張感のない足取りで訓練施設に踏み入れる女生徒。辺りをきょろきょろ見回し)
うわ、広い……。
よっぽど土地が余っているのか。
人もいないし…今のうちに使わせてもらおうかな。
(言うと、肩から提げた大きな鞄を探り、中から一文字ずつのアルファベットが書かれた木製のキューブを取り出す。)
どこに置こう……
(やはり緊張感のない足取りで、施設内をのそのそと歩き始める。)
■蔵田 怡与 > (施設内の床にアルファベットのキューブをばらまき、かなりの距離を走ってそこから距離を取る。)
はー……はー…… ゲホ。走るの嫌い…。
(息を弾ませながらも鞄から折り紙を取り出し、素早く手を動かして紙飛行機を折り上げる。それは見る間に艦載機に変わる)
よし。
行け。零式艦上戦闘機。
(言葉と共に、手のひらの上から零戦が飛び立つ。)
まずは…そうだな。Z。
■蔵田 怡与 > (アルファベットを呟くと、飛び立った零戦が機体をひねり、ばらまかれたキューブの上を旋回し始める。)
(そのうちに、艦載機の機首から火花がひらめく。放たれた機銃攻撃が、キューブの一個を跳ね上げ、撃ち抜いていく。)
(ボロボロになったキューブに書かれていた文字は「Z」)
■蔵田 怡与 > ……よし。
(測距儀つきの双眼鏡で零戦の様子を見ていた女生徒は、見事に狙いを撃ち抜いたことに小さくガッツポーズを取る。)
(機体はエンジン音を立てながらキューブの上空を旋回している。増槽を切り離し、油が空中にこぼれる)
次は……、ん?
■蔵田 怡与 > (旋回中に切り離した増槽がキューブの上に落ち、真っ黒の油まみれになる)
ああ~…… ちょっとタイム。
(その言葉に零式艦上戦闘機はまっすぐ女生徒のところに戻ってくる。手のひらに着艦した機体は見る間に折り紙に戻り、それをポケットに突っ込みながら、ため息をつく)
しまったなぁ。変な角度で落としてしまった。気流も乱れてたから巻き込んだな…。
撃ったら…誘爆するかな。
訓練施設って汚したら怒られるかなぁ…。
(はぁ、とため息をつきながら、キューブの方へ歩み寄る)
■蔵田 怡与 > 本当は艦上攻撃機を使えればいいんだけど、それこそ使い捨てになってしまうからなぁ…。
爆撃機も同様。それにわたしの今のスタミナだと使いこなせない。
同種同型20機どころか…1機運用するだけで間違いなくガス欠。
その上使い捨て。
……少しハードルが高すぎる。
(ブツブツと呟きながら、油まみれのキューブをつまみあげる)
はぁ…これはちょっとやそっとじゃ落ちないなぁ。
■蔵田 怡与 > (鞄をごそごそと探ると、中からゴム手袋とポリ袋を取り出し、キューブをつまんで一つずつ回収していく)
……当分は、対人戦を想定した異能の使い方を探る。
この島には尋常じゃない相手がたくさんいる。
…下手な相手に当たると、死ぬかもしれない。
それは構わない。でも……ただでは死なない。
そのための技術が、いる。
■蔵田 怡与 > (剣術、体術、あるいは身を守るための魔術や異能。接近戦で自分を守ってくれる技術は数多あれど、女生徒はそのようなものを持ち合わせていない。)
(体を鍛える、という基本の基本すら、ごく最近始めたばかりであった。)
(キューブを拾い集め、やはり鞄から取り出した新聞紙を破って床をごしごしと掃除しながら、ぼんやりと考える)
剣術……体術……魔術…… なにか身に着けた付けた方が……いい、な。
■蔵田 怡与 > (黙々と床をこすり続け、あらかた綺麗にすると、油で汚れた新聞紙をキューブと同じポリ袋に乱雑に突っ込む。)
(袋の口を縛り、ぶらぶらと振りながら歩みを進める。向かうのは、施設のより奥の方。)
…この辺りだと大丈夫かな。
(ぶらぶらと歩いてしばし、適当な場所で足を止めると、ビニール袋をぽいと床に置く)
■蔵田 怡与 > (袋を床に置くと、元いた場所まで駆け戻る。
先ほどよりも長い距離を走り、息を切らしながらも取り出すのはやはり折り紙。先ほどの紙よりも大きく、作りもしっかりしている。)
(折り上げるのは紙飛行機。しかし先ほどよりもやや複雑な折り方をされている。
女生徒の手のひらの上に現れたのは、一機の艦載機。グレーに近い機体に、尾翼の縞模様が特徴の機体だ。)
行け。艦上爆撃機、彗星。
■蔵田 怡与 > (彗星、と呼ばれた機体は、零戦ほどの小型の機体でありながら、重たいエンジン音を立てて飛び立つ。)
(細くシャープな機体。その腹に、爆弾が抱えられている。)
……やっぱり爆撃機は疲れる。駆動が重たいし、突入角度の調整を誤ると翼が空中分解しかねない。
その中でも…彗星は問題児だな。
(高い場所を飛んでいた彗星は、先ほど置いてきたポリ袋の上を数回旋回すると、一度はるか高く舞い上がる。
やがて上空で機体をぐっと倒すと、斜めに突っ込んでいく。)
■蔵田 怡与 > (地面に置かれたポリ袋は、女生徒の位置からは曇った色のほんの小さな点にしか見えない。
そのかすかな点に向かって、それよりもなお小さな小さな爆撃機が突っ込んでいく。)
(女生徒は、まるでその指で軌道操作をしているかのようにまっすぐ爆撃機を指さしている。)
爆撃、開始。
(ポリ袋すれすれにまで高度を下げた彗星が、腹から爆弾を切り離す。)
(重りを外した彗星は、反動で高く跳ね上がろうとする。女生徒は眉をしかめ、突入角度と同じ角度、同じ速度で彗星を上昇させる。)
(切り離された爆弾は、まっすぐにポリ袋に直撃した。)
(小さな爆撃機に積まれた爆弾は、親指ほどの大きさでしかない。しかし、その爆弾はポリ袋を貫き、油に汚れた新聞紙を巻き込み、キューブに火をつける。)
(立ち上った火柱は、かすかな熱風となって、ほんの僅か、女生徒の髪を揺らした)
■蔵田 怡与 > ……。
……帰ろう。
お腹も空いたし、彗星もよく動いてたから、今日はもういいか。
(言うと、特に未練もなくくるりと踵を返し、訓練施設を後にした)
ご案内:「訓練施設」から蔵田 怡与さんが去りました。