2016/01/17 のログ
■十六夜棗 > 膝を押さえたまま足を交互に曲げ伸ばして、軽く柔軟を終える。
足には、うっすらと鳥肌。
寒い。
冬の夜に幾ら汚れるからと言っても、ジャージを用意しなかったのは失敗だった。
冷える足を暖めるべく、訓練場をダッシュ。
走り始めは余計に冷たい空気にあたって寒いし、これなら魔術を使って温まった方が動きやすかったのではないだろうか。
少し表情を顰めて、温まる魔術を……
基本的に使える魔術は電気系統、他は詠唱して魔術を構成しておかないと構成し辛い。
それなら走って寒さの中でも行動できる様に訓練した方が良さそうだった。
そこまで気付けば、軽いランニングに切り替えて訓練場の中を壁に沿って走る。
白い吐息が漏れ、規則正しく腕を振り、床を蹴る。
静かな空間に一定のリズムの音が響いた。
■十六夜棗 > 訓練施設の中は広い。
一周するだけでもそれなりの時間が掛かっていた。
その間、無言。寒いから独り言も口にし辛い。
一周した所でスコップを持った腕を横薙ぎに振るう。
風切り音が鳴る程の速度は出ない。
もう一度振るう。
さっきよりは速く振れたけれど大して変わってはいない。
今度は一歩踏み込みながら振るう。
風切り音が耳に届く。
踏み込んだ足をさっきの位置に戻して、踏み込みながらの素振りを繰り返す。
たまに少し速く振れたような感覚がして、その時の動きをなぞるように意識して振るう。
「……気のせいかしら。」
■十六夜棗 > 動きを意識して振るってもどこかにズレが出る。
意識して振るたびに、何か違うと言う違和感が出て、少しずつ疲労もあってか動きが鈍る。
元から寒い事もあって、自分の動きが鈍った事を自覚するのは早かった。
もう少し寒さに慣れておきたいし、いざという時寒気で鈍ると困るけれど、時計を探して見回してみれば、そろそろ寮に帰る事を考えてもいい時間になっていた。
呼吸を整えて、帰る前に何をするか考えて――
意識を集中して、魔力をかき集め、小さな声で詠唱を始める。
「――――――」
■十六夜棗 > 詠唱と共に術式を構築して、自分の近くに配置して暖を取る。
それは、数ヶ月前の獅南先生の授業後の再挑戦で作った熱の設置。
それを応用して、湯たんぽレベルに熱量を落とそうとしてみたものの――
まだ熱い。
使用する魔力量の調整が上手く行かなかったらしく。
「帰り道の暖をとる為に使…いたかったわ」
過去形。ある程度距離を置けば温まれるけれど、いちいち設置して次の場所への熱の設置まで温まりつつ詠唱して、だとどうにも後始末もしにくくて。
残念ながら、と諦めて。今の熱の処理をしてから、本日は大人しく訓練場を後に、したのだった。
ご案内:「訓練施設」から十六夜棗さんが去りました。