2016/02/17 のログ
ご案内:「訓練施設」に四季夢子さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」に朝宮 小春さんが現れました。
四季夢子 > 私は息を止めている間は透明になれる。
その際、手にした物や着ている衣服も透明になるが
私より大きな、或いは重たい物は透明にはならない。
束ねたロープ等はどうなるのかというと、律儀に束ねていれば透明になった。

これが生物となるとこのような制約は無くて、
触れてさえいれば身の丈2mはあろう大男であろうとも諸共透明になるのだから、
我ながら良く判らない能力だと改めて思った。

「この測定っていうか訓練って意味あるのかなあ……なーんか、実験動物みたいで厭なんだけど。」

異能を制御する為の訓練、及び演習。
どういう能力なのか。を正確に把握する為にも必要であるらしいテストの数々を終え、
私は休憩所に設えられた長椅子に凭れて嘆息を落とす。

今日、新しくテストした事によると、私はどうも透明になると機械にも映らず、
光の影響も受けないという事だった。

「赤外線センサーとか攻性レーザーを無効化できますーって言われても
 しょーじきセンサーの有る場所なんて行かないし、レーザー撃たれるような事も無いわね……。」

手にした木製の棒を瞬く間に焼き切るようなレーザーも、透明になれば私にはなんともない。
なんともないが、だからといってこうした場以外で向けられるような事態は御免被りたかった。

朝宮 小春 > 異能研究を改めて始めてしばらく。
ある程度のデータを求めて、生物教師朝宮小春はこの施設に時々出入りしていた。
見学させてもらい、色々なことを理解して。 ………その上で、自分に理解できぬその全容に溜息をついて。

それでも、少しでも理解を深めたかった。
今日もメモで一杯になった手帳を眺めながら、廊下を歩いていた。

「………あら。」

そこで見知った顔を見つければ、……静かに近づいて、ぽん、と横に座る。

「……こんばんは。 何かの調査?」

穏やかな声で問いかけるのは、あまりこの施設に出入りしているイメージの無い、生物教師。
手帳を閉じて胸に抱きつつ、お疲れかな、と様子を見る。

四季夢子 > 思っても仕方が無い事ではあるけれど、どうせ異能を持つ事になってしまうなら、
もう少し格好の良い能力が良かったと思わなくもない。

例えば、空を自由に飛べるとか。

「あーあ、どうせなら空を飛べるとかそういうのがいいなあ。」

口に出しても尚更仕方の無い事だ。
何より、異能が異能として厳然としてある時点で私の立場は変わらない。
だから空を見上げるように休憩所の天井の照明を見上げ――

「――あれっ。朝宮先生?」

視界に映った見知った人に頭が揺れて、少し上擦った声が頓狂に跳ねた。

「ええと……調査というか検査と云うか……まあそんな所っ。
生徒の異能とか正確に把握しておきたいとか、そんな理由じゃないかなって。」

体育会系の部活よろしく飛んだり跳ねたりの、アクション映画の主役みたいな真似が出来る訳でもない身の上二人
お互い似合わない場所に居るなあと思うと、ちょっとおかしくて口元が緩んじゃった。

「朝宮先生の方はどうかしたんですか?何か突然スーパーマンみたいな異能に目覚めたりとかしたんですか?」

例えばあんなふーなの。と視線を横にずらすと、見るからに強そうな立派な体躯の男子生徒が休憩所に入ってくる所。
息を荒げて汗みずくで、激しい運動をして来ただろうことは容易に想起できた。

朝宮 小春 > 「ああ………なるほどね。
ここの担当の先生が言っていたわ。正確に知っておきたいけど、協力してくれない子が多くて困ってる、って。」

ふふ、と小さく笑いながら隣に座って、遠回しに褒める。
相手の言葉に、ちょっとだけ苦笑をしながら、首を横に振る。

「いいえ、そういうことじゃないのよ。今日はお仕事……でもないんだけれど。
遊びじゃなくて、……調べ物、かしら。」

能力の有無は、非常にデリケートなもの。
それを喜ぶ人も入れば、それを疎む人もいる。どちらでも構わないという人もいる。
だから、彼女は能力については肯定的にも、否定的にも口はしない。
……そりゃあ、本音は。 何もできない自分に突然不思議な力が、と考えたことも、無いわけではないけど。
思ったことを全て口にすることが真ではないのだ。

「空が飛べる、ねぇ………
空を飛んでいる子、みたことあるけれど。 この季節に走るより早い速度で上空を飛んだら、一発で風邪を引きそうね?」

くすくすと、夢のないことを柔らかく言葉にして。

「………私は元々、ね。 不思議な力がどこから来たのかを調べる研究室にいたの。
………その、続きかな。」

嘘はつかない。 そういう人間だ。

四季夢子 > 「内申を良くする為にも協力した方が良いと思うんですよね。落第とかそういうの、色々大変らしいって聞くし。」

そのものずばり落第街なんて悪所もあるくらいだし。とまでは言わずに水を含んだような言い回し。
一応、相手は先生で学園側の人だもの。公然の秘密だとしても、私の言の通り何が内申に響くか判ったものじゃあない。
……朝宮先生なら大丈夫そうな気もするんだけど、何も褒められたっぽいからと云う訳じゃあ……無いと思う。

「そういう事だったら吃驚しちゃいますよ。でも個人的な調べ物って珍しいことしているんですね。」

スーパーマンの是非を茶化す事も無く素で返す先生のこと、横から見上げるようにしてすこうし素行が悪そうにもするけれど、
続く幾つかの言葉には鼻白むように鼻が鳴った。

「先生って夢が無いわねー。でも、調べ物とかしているならそうなってしまうものかしら……。
ただ不思議な力の出所なんて、それこそ自然発生というか突然変異とか、そういうのじゃないんです?
先天性と後天性がある時点で法則性とかはなさそーですけど。」

ちなみに私は後天性だ。学園の管理側の人なら、調べれば直ぐに判る事だから朝宮先生もひょっとしたら知っているかも。

朝宮 小春 > 「流石に……そんなことで落第にはしないと思うんだけどね。
プライベートなところもあるでしょうし。
でも、協力してくれるなら、………まあ、そりゃあ、悪くなることは無いわよね。

……でも、成績はちゃんと普段の生活態度とテストの点数が基本だからね。
この前も、夜に歓楽街に出入りしている生徒がいてね……」

とっても面倒くさい、真っ当な先生の言葉を相手に優しくかけながら、指をそっと立てて。
その上で、全くもう、とばかりに頬を膨れさせる。

夢がない、という言葉には少しだけ苦笑を浮かべただけで。

「……ええ、個人的な調べ物。 昔調べていたことが、どうしても気になって、ね。
出処は、分かっていないのよ。 分からないから皆が考えて、自然発生じゃないか、という話に収まってはいるんだけれど。

……私の研究室は違う理由があるんじゃないか、って考えていてね。
少しでもヒントが見つかれば、って思っていたわけ。 そうそう、すぐに見つかることじゃないのも分かっているんだけれどもね。」

相手のことは知っている。
様々な状況で発露した能力を、ここに勤めるようになってから、数多く知ることになった。

四季夢子 > 「塵も積もれば山にもなっちゃうし、霜も踏み過ぎれば堅氷に至るってものだもの。
出来る範囲で出来る事はして……え、ええ。そう、先生の言う通り生活態度とテストの点数は御尤も。」

夜に歓楽街に出入りしている……と、言う程出入りも無いけれど、
時折退屈凌ぎに足を運んでいるのも事実な身の上だから、頬を風船の様に膨らませる先生に対し、
風に揺らめく風船のように視線が揺れてしまうのは已む無し。
ばれないように気をつけましょうっと。

「判らないと云う事が解っている。って奴よね。でも自然発生以外の理由がある……としたら
あとはもう人為的な理由しか無くなっちゃうと思うんですけど……。」

"大変容"が誰か、或いは何かの手によって引き起こされた。
とても壮大で生半には信じがたく、荒唐無稽にしか思えない言葉に私の言葉もまた揺れる。
仮に合っているとするなら、その原因を排除すれば元通りになるのだろうか。

「もし誰かの所為だとして、その誰かをどうにかすれば全部まるっと元通り。とかになったりして?」

朝宮 小春 > 「いいことね。 できる範囲でできることをして、それが足りないなら誰かに聞いて。
そうして目標に向かってがんばること、ね。」

片目を閉じて微笑む仕草に、気がついた様子は見えない。
危ないことはしていないと信じている瞳だった。先生の鑑……ではないけど。

「…………ええ。 そうだという仮説を元に研究を続けてきたの。
此処から先は単なる仮説、だけど。
………もしも、先天にしろ後天にしろ、こういった能力を持つ人間がこれだけの比率でいたのなら。
今までも、それこそずっと昔にだって、同じことが起こったっていいはずよね。

進化は、もっとゆっくり起こるものだもの。」

穏やかに語る言葉は、僅かばかりの芯が感じられる言葉。
相手の言葉には、少しだけ目線を落として。

「……分からないけどね。 でも、何もかも分からないままというのは、嫌なものだと思うから。」

四季夢子 > 「ふふん、私ってば出来る生徒だもの。ぬかりない……ってえ言うと、足元掬われたりするから気をつけないとですけど。」

言動からして朝宮先生が時折夜の歓楽街を見回っているらしいと解ったならば、次からはちょっと変装をしていこう。
なんて対策を脳裏に汲み上げ、お互いに微笑む一見して平和な図。

「進化の過程。でええと……なんだったかしら……ミッシングリンク?とか言うんでしたっけ、そーゆーの。
一昔前にはやれ宇宙人の仕業だなんだって言われてたって古雑誌に載っての見た記憶があります。」

私が足繁く通う商店街にある古本屋。其処に乱雑に積まれた昔の雑誌の中に、そういう類のがあった気がした。
当時はきっと与太話として扱われたんでしょうけど、今だったらどうなるのかはちょっと判らず、ふむと唸り、

「朝宮先生って真面目ねぇ……いや不真面目な先生ってのもどうなんだって話は一先ずですけど……
ああそうだ。もし先生のその研究ってのがすすんで、原因が判ったら私にも教えてくださいね。
原因が誰か個人だとしたなら、そいつの頬の一つも張ってやらないとっ。」

直ぐに呆れたように肩を竦めて苦笑いをし、椅子から立ち上がって直ぐ傍の自動販売機を視、
スパッツのポケットから小銭入れを取り出して炭酸飲料を二つ買った。

「これ、先に情報料って奴です。」

一つを朝宮先生に差し出して、季節はずれの向日葵のように笑顔っ。

朝宮 小春 > 「………別に悪い意味で言うのではなくて。
人類以外の未知の存在……まあ、もう未知ではなくなったのだけれど。
はっきりと遭遇しているわけだから。
今までは荒唐無稽な話で、その話を口にするだけで胡散臭いテーマではあったけれど………。

まあ、私は見学していたようなものなんだけれど、ね。」

囁く言葉は少しだけ淋しげだけれど、やっぱりどこかに芯がある。
信じているのかもしれない。

「………ふふ、まあ、そんなに期待しないで待っていて頂戴。
それこそ、貴方も困ったことがあったらなんでも言って?

私で力になれるのなら、何でも聞いてあげるから。」

相手の言葉に、少しだけ言葉が詰まる。
やっぱりこの子も、その能力に多かれ少なかれ、振り回されてきたのだろう。
決してこちらも平凡な人生ではなかったとは思うし、挫折も数えきれないけれど。
それは、自分の資質と努力。

同じ状況で、同じように笑えるかしら。

「ありがとう、それじゃあ………がんばらないとね。」

差し出された飲料を受け取りながら、その向日葵の上の青空のような髪を、優しく撫でてあげた。

ご案内:「訓練施設」から四季夢子さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から朝宮 小春さんが去りました。