2016/05/12 のログ
ご案内:「訓練施設」にセシルさんが現れました。
■セシル > 放課後。
その日は非番だったセシルは、訓練施設を訪れていた。
風紀委員の訓練はあるが、基本的には逮捕術を中心に構成されている。
魔法剣の講義の履修を始めたセシルは、剣術と魔法剣の組み合わせを、純粋に突き詰めたかったのだ。
■セシル > セシルの「魔法剣」は、基本的には付与に近い。
剣の振るい方次第で、剣からある程度術の影響範囲を拡張出来るのが強みといえば強みではあるが、元の世界では、セシルの魔術の才は魔力の容量、出力、魔術の行使能力いずれにおいても「可もなく不可もなく」程度だった。そこまで劇的な範囲拡張は、セシルにとっては実用ではない。
…しかし、その「可もなく不可もなく」の魔術の才と、優れた武術とを合わせることで白兵戦で劇的な効果を発揮し、さらに白兵戦で対応出来る範囲を拡張するのが、セシルが元いた世界で習得した魔法剣である。
ご案内:「訓練施設」にカミューさんが現れました。
■セシル > もちろん、「魔術としての」魔法剣の鍛錬もあるが、まずは、「剣術と魔法剣の隙のない融合」を心がけなければ話にならない。
セシルは、いつものレイピアの鍛錬の要領で的を設定した。
それから、レイピアを抜く。
「付与・魔力《エンチャント・オーラ》」
凛とそう声を発するとともに、レイピアが光を帯びた。
それから、いつもと同じように、レイピアを正確に速く突く鍛錬や、反射神経を磨くための鍛錬を行う。
いつもと違うのは、剣が光を…魔力を帯びていること。
鍛錬のインターバルの中で、その光がわずかな揺らぎを見せることだ。
セシルとは逆の方向に性別が曖昧な容姿をした少年は、セシルの鍛錬の流れ、その魔術のあり方に何か思うことがあるだろうか。
■カミュー > 愛用の大きな剣と木刀を携えたカミューがその訓練施設をひょこっと覗く。
ついでに手には晩白柚。なぜかでっかいかんきつ類を持っている。
「おや、先客でござるか。」
使っている人物がいると言うのなら、真面目な訓練するような性格でもなく
とりあえず様子をみるようだ。
カミュー自身は魔術を使わないが、対策として魔術の知識はある。
みる限りでは普通の…
「エンチャント系魔術でござるか。魔法剣士…ってやつかね。」
ふーむ、などと感想を呟いてみたりしていた。
■セシル > レイピアは瞬発力の比重が高い得物だ。
インターバルをおきながらとはいえ、精確さと速さを維持しながら、結構な時間基礎鍛錬を続けた。
「………ふぅ」
こなすと決めていた練習量を一旦終えたのだろう。一息つくと、剣に宿した魔力を霧散させる。
それから、小休止を取りにか休憩所の方を向いたところで…
「…む?」
自分の鍛錬を見ていたらしい「少女」の姿が目に入った。
中性的ながら彫りの深い顔立ちから発する視線が、カミューの顔を捉える。
「…私の魔法剣術が気になるか?」
中性的な低さの強い声を、カミューに投げかける。
それから、訓練スペースを出てカミューに歩み寄っていった。
■カミュー > (真面目ですね…でもどこか、動きに違和感があるような。)
動作…筋肉の動かし方、だろうか。何処か違和感を感じながら訓練を最後までみてしまう。
時間がかかったというなら途中から晩白柚を剥き始めてしまうだろう。暇だろうし。
やがて、相手から声をかけられてにこやかに手を振りながら。
「あ、失礼みせてもらっていたでござる。
そうでござるな…同じ剣士らしいのでつい最後までみてしまったでござるよ。」
と、己の剣を示しながらこちらもどちらかわからない…何処か可愛らしい声で答えた。
■セシル > 「いや、構わん。
同じ剣を扱う者の目に留まるなら幸いなことだからな。
…もっとも、貴殿の剣と私の剣では、剣術のありようも随分違うだろうが」
ははは、と太い声で腹から出ているような声で笑う。
そこに存在するある種の不自然さは、カミューが感じた違和感と通じるだろうか。
「貴殿も鍛錬か?」
剣の道に進む者としての知り合いが増える喜びからか、そう尋ねる声は楽しげだ。
中性的なその顔の口元も、心なしか綻んでいるように見える。
■カミュー > 「それをいうならこの地にいるものの剣術自体が多様でござる。
あー…一応そういうことなんだが、そちらほど真面目なわけでもないというか…。」
あまり技を極める、という性格ではないためやや答えの最後がぼかすようになる。
純粋に剣を志すような雰囲気が感じられる分、特に後ろめたい。
「ええと…そういえば、そのしゃべり方は何か理由でもあるのでござるか?」
何か話題を…と視線を彷徨わせて、感じていた違和感をとりあえずぶつけることにした。
■セシル > 「確かにそうだな…一言で「剣」といっても、得物の種類も随分豊富なようだ。
………それでも、自主的に鍛錬を行う程度の意識はあるのだろう?あまり引け目を感じることもないと思うぞ。
私は元の世界でも士官学校の剣術科だったからな。こちらの学園生活でも、剣術の鍛錬は特に優先順位が高いんだ」
「元の世界に戻れた時、錆び付いていては適わんからな」と、今度はやや豪放に笑ってみせる。
発声の不自然さが、この笑い方だと薄れるだろう。
…と、喋り方を尋ねられれば、意表を突かれたように一つ大きく瞬きをすると、軽く、困ったような笑みを柔らかく零す。
ほとんど吐息のような笑みだったため、その声質は伺われない。
それから、先ほどまでの発声で話し始めた。
「喋り方か…ほぼおじい様から移ったものだよ。私の、最初の剣の師だ。
士官学校に入る際にも、多少硬い方が威圧感が出て良いかと思って、そのままでいる。
…そういうわけだ。深い理由と言うほどのものはない」
明朗に答えるその様子には、迷いの色などはない。
「…貴殿の方こそ、私に負けず劣らず個性的な口調だな?」
そう言って、ふ、と口元から不敵な笑みを零す。
■カミュー > 「どちらかというと錆びつくか錆びつかないかで慌ててきた身には辛い一言だぜ…。」
どうにもやることがないのがやることと言った立場上、戦闘だのにはどうにも縁がない。
まあ謙遜含むためかんたんに錆びるような力ではないのだが。
「そうでござったか。いや、呼吸からして気が入っていたゆえ…
特殊な呼吸法で謎の魔力がどうこう、などということがあるのかと思ったのでござる。」
変な勘違いしていたというか、漫画の読みすぎと言うか。
珍妙な応えを素直に返す。
「ああ…拙者のはこちらの言葉を覚えたのがこういうのしかなかったでござるから。
どうにも敬語とか活用とか慣れないで…ある。変だろうか。」
首を捻りながらそう答えて。ござるつけは意図的なので、ちょっとつけないようがんばったりしたようだ。
■セシル > 「それだけの剣を振るう力を持ちながら、錆び付くか否かで慌てる羽目になるとはもったいないな。
そのような大剣、私にはとても振り回せそうにないのに」
気持ちのいい、軽い響きで笑う。発声はそのままだが。
同じ剣を扱う者であれば、こうして相対しているだけでも多少は力量が読める。
…というか、とんでもない大剣を平然と持ち歩いている時点で、目の前の相手がそれなり以上の能力の持ち主であることには察しがいくというものだ。
…しかし、呼吸の点を指摘されると、気持ちのいい笑顔が、真顔になった後、少し困ったような笑みに変わって。
「………やはり、気付く者はいるか。いや、既に何人かには気付かれているだろうな」
そう言ってから、軽く髪をかきあげる。
「呼吸は、この声を「作る」ために工夫をしている、というだけだ。
声を作るのも、喋り方と同じだな。それなりの威厳を出すためだ。
…まあ、それ以上の意味はない。
魔法剣以外の魔術は習得していないからな。呼吸だけで何かを変えるようなことは出来んぞ」
「それ以上の意味はない」と完全に言い切ってしまえば、微妙に嘘が混じるが、それは、初対面で名も知らぬ相手に話すことでもないと考えた。
…それが、態度こそ違えど同じ剣の道にいる者だったとしても。
「こちらの言葉、か…何らかの形で翻訳が効いているのか、私はさほど意識をしたことがないな。
これで、自分の元の言葉もその気になれば綴れるのだから、妙なものだ。
…敬語は学ぶほかないとして、話し言葉で「である」はあまり自然ではないように思うな」
そう言って、邪気のない様子で笑う。
セシルはバリバリの体育会系に見えて、この学園に入る際に受けた簡単な学力・知識の検査では修辞・読解には問題が無いと認定されている。
■カミュー > 「この剣は相手…えーと、に関わらずなかなか振り回すのは難しいと思うでござるよ。
拙者はちょっと素質があるだけで…たいしたことは、まあなくもないでござるが。
ところで拙者カミューと申すが、そちらのお名前聞いてもいいでござるか。」
一般的な男性にもちょっと難しい、そんな重量らしい。
重そうにちょっと抱えてみせ、謙遜と見せかけて自負を答えにすると呼びかけ時に気付いたのか名を尋ねた。
「威厳でござるか。戻ればそれなりの立場、と言うことだろうか。
まあそのあたりはそれなりに理由があるだろうし、無理にこれ以上は聞かないでござるよ。」
目を伏せ、あいや、待たれいというように手のひらを向けてこれ以上はいい、というような仕草をする。
「そういう人物もいるでござろう。そうでなくては無数の辞書が必要になるはずだ。
それもまたおかしくは無いでござるが…ちょっとうらやましい気もするでござるな。」
翻訳能力は特筆はされないが、そこまで珍しくは無いのだろう。
当然、といったようすで邪気の無い様子の相手の応えを受け止める。
■セシル > 「確かに、私の故郷でも、それが振り回せる者は膂力を増す異能か魔術の使い手でなければそうはいないだろうな。たとえ大の男だったとしても」
少し重そうに、それでも自負を持って大剣を抱えてみせる「少女」を、好ましげに見やる。
そして、名前を尋ねられれば、
「セシル。セシル・ラフフェザーだ。こちらに来てから3ヶ月ほどになる」
と言って、一旦剣を腰に戻し、右手を差し出した。握手のつもりのようだ。
「流石に、一士官学生にそれほどの立場はないな。
武官が侮られて規律が乱れては良くない、ただそれだけのことだ。気を遣われるほどの事情はない」
「だから気にするな」と、軽く笑い混じりの…しかし、声はそのままで言った。
「そうだな、あちこちの世界から人間が流れ、おまけにこの世界にも多くの言葉があるとなれば…多少は自動翻訳が効いてくれねば、語学を生業とする者が倒れかねん。
…しかし、曲がりなりにも「学園都市」なのに、言語に格差が生まれてしまうのは少々残念な気はするな」
気持ちよく笑いながらも、この島に働いている翻訳機構の恩恵に「格差」があるとなれば、思うところはあるようで。
最後の言葉には、少し苦い笑いが混ざったように聞こえるだろう。
■カミュー > 「三ヶ月、新入生でござったか。
カミュー・アズーリン。ええと…一応五年生でござる。
男子寮住まいなんだが、セシルはどこ住みでござるか?」
先輩だからと偉ぶる様子は無く、こちらも喜んで握手に応じる。
外見からするとオトコなのだろうと判断した様子で住まいを聞いて…まあ、自身のことがあるので男子寮じゃないかとは聞かなかった。
気にするな、という元の立場やしゃべり方については頷くだけに留めておく。
いずれ聞くこともあるだろうが、この場ではないと思ったのだろう。
「こちらでは言葉が通じたり乱れたりするのも神の所業、という逸話があるらしいでござるよ。
きっとそういうものでござる。神の気まぐれか門の力か、ただそういう平等は与えられるものではないのであろう。」
バベルの話を引き合いにそう気にしていない、と首を振った。
■セシル > カミューが応じてくれた手を、しっかりと握り返す。
熱心に剣の鍛錬に励んでいる割には掌が薄く、指が細く感じられるだろう。
「こちらでの年度は跨いでしまったが、単位の関係で1年生のままだな。
………男子寮?」
そう聞いて、大きく二三度目を瞬かせた後、もう一度カミューの姿を確認する。
「………私の故郷では、私のように幼いうちは逆の性別の装いで過ごす者が男女問わず少数存在するが…
しかし、その身体つきで胸があって、男か…。………何というか、世界は広いな…」
何か、凄く雑な納得の仕方をした模様だ。
…しかし、その後に何かがじわじわ来たようで笑いをこらえるように震え出し。
「…しかし、奇遇だな…私も、女子寮住まいだ。
見た目にそぐわぬ寮住まいがこうして相見えるとは、妙なこともあるものだな」
という形で、セシルも自分の性別の種明かしをしたのだった。
…もっとも、セシルはよほど間が悪くなければ誤解は解く方針で生活しているのだが。
「…神の御業、か…1人の神によってなされた乱れなら、その神は随分意地が悪いな。
…人の力の及ぶ限り、抗えるものだと信じたいが」
北ヨーロッパ系を思わせる風貌のセシルだが、信仰のあり方はこちらのヨーロッパとは別らしい。
少し呆れたように肩をすくめながらも、ニヒリズムに安易に堕しない程度の精神は持ち合わせているようだ。
■カミュー > カミュー自身の手も似たようなもので細く柔らかい。
そういう力の影響でもあるのだが、鍛錬をサボっているのも原因の一つな気がしなくも無かった。
「こっちでも一部の国の男性はスカートを穿くらしいでござるよ。
拙者は宗教的な理由ではあるのだが…うむ、男でござる。」
最近は上に男子学生服のジャケットを羽織っているのだが、やはりそっちかーというように
目線を下に向けると自身のスカートをつまんでひらひらはためかせて見せる。
「…女子寮は確か警備が厳しいという話でござるが、誤解されてとめられたりはしないのでござるな。
お互い逆の性別の装い、でござるか。事情が無ければ取り替えてみれば面白いかもしれないが。」
言われてから見れば女性にはみえるのだろう、相手の全身に視線を向ける。
先ほど胸のことを言われたことが気になるのか、胸のちょっと多めに。
「神の所業はあれど、結局は人の力もまた確かなものだ。
でなければこの学園の意味は無いでござるな。そうそう、新入生だったか…。」
握手で握られていた手を再びきちんと握って。
「ようこそ、常世学園へ。せっかくなのだ、何処か案内でもするでござるか?」
そのまま訓練施設から連れ出そうとするかもしれない…?鍛錬はどこへ。
■セシル > あれだけの大剣を振るえるだけの力を持ちながら、この柔らかい手。
…顔立ちや声からすると自分より年下なのだろうとは思うが、それでも、カミューが男であるということがまだ若干しっくりこないセシルだった。
完全に自分を棚に上げている。
「まあ、文化によって装いも変わるのは事実だろうが…
男にしろ女にしろ、足を出すのはどうしても抵抗感を覚えてしまうな、私は。
…いや、貴殿の装いを咎めたいわけではなくて、私個人の問題だ。
宗教的な理由もあれば、尚更咎める道理も資格もない」
一応、セシルには男装の「義務」というものはない。
それでも続けているのは、慣れも大きいが、この世界の女子制服のスカートが(セシル基準で)やたら短いことへの抵抗感もかなりの割合を占める要因だ。
「最初に一度問答はしたが…生活委員からの通達もあったし、学生証に性別を記載してもらったから、それきりだ。
女子寮の風紀を乱す要因もさほど持ち合わせてはおらんから、大きな問題無く認められているよ。
………その意味で、取り替えには応じ難いな。曲がりなりにも風紀委員の身だ」
そう言って、気持ちよく笑う。
分かって見れば、セシルの身体は男というには不自然な程度には腰が細い。
…男子制服なのもあって、胸は殆ど目立たないが。
なんだったら、カミューの方が胸は豊かなのではと思えるくらいである。
「…ありがとう」
先輩の歓迎には、こちらも手に力を籠めて応える。
案内の誘いには………やはり鍛錬が気になるらしく、困ったような笑みを浮かべていたが
「………そうだな、これも何かの縁だ。是非お願いしたいな。」
困った笑顔のまま、折れた。
■カミュー > 「ファッションの違いか。それなら仕方ないでござるな。
あ、袴とかどうだろ。こちらの巫女とかが着るらしいのだがズボンとスカートの中間みたいな服らしいでござるよ。」
こーんな長くて、というように片手で器用に長さを説明してみせる。
強要とかいうより、私服を買うときのお勧めを話しているようだった。私服では普通に売ってなさそうだけど。
「そう言われてみればそのとおりだからな…。
3ヶ月ときいたから何か問題でもないかと心配になったのでござるが、
一度聞けば確かに間違うことはあまりなさそうでござる。ああ、たとえばの話でござるし。」
真面目に答えられてしまえば相手が笑うのにあわせて穏やかに笑いながら否定する。
困ったような笑みには気付かなかったのか、それとも気にしなかったのか。
嬉しそうに微笑んでそのままぐいぐいと。行き先の希望なんかを聞きながら。
「それは気合が入るでござるな!さてどこへ行くか、何か生活で足りないものは無いでござるか―――」
■セシル > 「ハカマ?ミコというのはシャーマンの女性のことだったか。
足を露出せずに済むのであれば…選択肢になるか?
…もっとも、風紀委員では、私服を着る機会も多くないが。」
「まあ、覚えておこう」と付け足しつつ。興味は多少わいた様子だ。
「服装の問題でつまづいたり違う世界の慣習に戸惑ったりは前年度に一通り済ませたからな…
下着の調達とか、元の世界ではなかった座学の科目とか。
…ああ、そうだと有難いな。貴殿の出で立ちでは、自然過ぎて逆に問題が出そうだ」
ふふ、と目を細めて軽く笑む。
下着の調達はともかく、座学でつまづいたってどういうことなのだろうか。
…そして、先導する意気込みで自分の手を引くカミューの力の存外の強さに、少し目を瞬かせ。
「生活は…寮暮らしだしさほど不足はないな。
しかし………そうだな、自室に置いておける筋力トレーニング器具は充実させてみたいな」
やっぱり、鍛錬のことは忘れていないのだった。
ご案内:「訓練施設」からカミューさんが去りました。
ご案内:「訓練施設」からセシルさんが去りました。