2016/05/16 のログ
ご案内:「演習施設」に久藤 嵯督さんが現れました。
■久藤 嵯督 > グラウンド周りを、体操着を着た風紀委員見習い十数名が走り回っている。
そのほとんどが干からびた顔をしていたが、ただ一人、元気な風紀委員がいた。
「おらっ、もっキビキビ走れ!この程度で音を上げているんじゃあない!
そんなことで風紀が務まると思っているのか?こんなところで楽しようだとか考えるな!」
最後尾の風紀委員見習いを隣で叱咤している、風紀委員の制服を着た男が一人。
鬼と呼ばれるその男、久藤嵯督。
リハビリがてらに任された新人教育に、これでもかと言うぐらいに精を出していた。
「ほら、もうあと二週だろうが!終わりが見えてる分だけマシだろ!
限界が来ても走れ!何よりも『走り切った』という結果を優先しろ!
『頑張ったけどダメだった』じゃあ何も守れやしないぞ!」
ご案内:「演習施設」に那岐夜車丸汀さんが現れました。
■久藤 嵯督 > 脱落者を数名ほど叩き出したこの新人教育。
この程度で音を上げるようならば最初から入らなければいい。あるいは辞めて正解。
こうして志半端な新人を振るいにかけるというのも、上の思惑通りなのだろう。
そうしてついに最後尾の見習いが道半ばで倒れそうになった時、嵯督は咄嗟に肩を支え、走り続けた。
「フッ…フッ……コラァ!いつまで引き摺られてんだ!
仲間に寄りかかってばかりの風紀委員生活を送るつもりか?悔しくないのか!
立て!走れ!足を動かせ!地面を蹴たぐれ!」
とは言うが、見習いは見習いで足をぷらぷらさせるのが関の山。
先にノルマを終えた見習いたちは息を切らし、各々の体勢で休憩している。
■那岐夜車丸汀 > 地図を片手に演習施設…を訪れた色素がない和ゴスの少女。
いつも来る演習施設に、首を傾げたのは いつもは人気が少ないかいないのに、
今日は何故か 息遣いと音と大声と何というか熱血指導教育的な集団がグランドを走っているという事。
十数名程 異能で探知出来た、揃いも揃って体操着が殆どで 一人だけ制服
…色は分からないのでそれが何色かは分からないが 暑くないのだろうかと、
隅っこでその過熱気味な教育指導を見ていたり。
何の集団かは 今しがた 叫んでいる制服…が風紀委員 と言っていたので分かったものの、
何というか、ノルマが終わったらしいのは休憩し始めていた。
(…いや、ぁ、何というか。)地図片手に呆然としていた。
■久藤 嵯督 > 久藤嵯督は、自身が熱血とは程遠い性格をしていると自負している。
しかし、これから実際に風紀委員としての仕事を考えると、どうしてもこの『熱血指導』とやらがしっくり来るのだ。
(まったく、こんなザマで危険区域に送る方がどうかしてる)
結局最後まで引き摺られっぱなしだった見習いを放り投げれば、生活委員の一人が水を彼に渡した。
「総員傾注!!今日はのところはここまでとする!!
前日よりは大分マシになってきたが、その程度でまともに使ってもらえるなどと思い上がるなよ!
これに満足せず各自自主鍛錬に励むように!以上、解散!!!」
正直なところ、声が枯れそうで仕方がない。
こんなに連続して大声を出したことなんて生まれて初めてかもしれない。
見習いたちに背を向けて歩き出した後、一人で軽くせき込んだ。
■那岐夜車丸汀 > 隅っこで呆然としていた少女。
地図はまだ手元にある…その地図凸凹ある特殊な地図であるが、触ったら分かる的な代物。
かなり熱血指導的な訓練を目撃…いや聴撃してしまった事に。
…どうやら その指導も終わったようだ。
疲労困憊な集団から 一人離れていくのが どうも制服姿の…咳きこんでいた。
(喉を傷めたんでは? あれだけ声を荒げれば無理もありませぬが)
(んん、では 私はもうちょっと地図を…)
その集団から視線をそらすように 傍から見れば真っ白な地図へと視線を落とし キョロキョロとし始めた。
■久藤 嵯督 > 少女が地図に視線を落としている間、地面に置いていた手荷物を取り、
先ほどから待機(?)している一際変わった服装の少女のもとへと速足で歩いていく。
風紀委員の男は少女の前に立ち、こう言った。
「長い時間占領してて悪かったな。
散々いじめてやった後だ。もう少しだけ待って貰えるか?」
嵯督は新人教育のために、演習場長時間使用の許可を強引に捻じ込んでいる。
他に使いたい人間からすれば、大分不便な思いをさせているであろうと思っていた。
故にここは、一言断わっておくのが社交辞令。それが、こんな暑い中で暑そうな服を着ている少女が相手でもだ。
■那岐夜車丸汀 > 地図は触ればわかるが 演習施設そのものの構造が念入りに描かれた
地図というには微妙な線を行く地図だった。最早それは詳細過ぎる見取り図だ。
(…は。気配が いや こっちに! 早!)
ハッとした時に顔を上げれば 風紀委員の制服を着た大きい男が目の前にいた。
「いえ、お気になさらぬよう。
苛め…弄るのは程々に為さいませ。…わたくしは散策ついでの立ち寄りですので。」
特に本日使うとか、ではなく散策で来ている身だ。
色素がない分 紫外線に普通は弱いので 光耐性があっても
紫外線に弱いふりをしてほぼ肌をさらさない格好をしているに過ぎない。
色は残念乍分からないため 黒づくめになっていようがー暑そうに見えようが仕方のない事。
「…風紀委員 様? お勤めご苦労様に御座います。」
淑女の挨拶位はしておこうと 地図を折りたたんでからお辞儀の一つはしようと。
■久藤 嵯督 > 「ああ悪い、驚かせるつもりはなかった」
少女の手にある白紙も同然な奇妙な地図のことは気になったが、不用意に詮索すべきではないと考える。
特に、風紀委員の肩書をわかりやすく示しているのだ。聞かれていい気分はしないだろうし、今必要なことでもない。
少しだけ興味を示した後、少女に視線を戻した。
「善処してる。だがあれでも、学園の風紀を担うにはまだ甘い……そこだけは理解してくれ。
……しかしなんだ、違ったのか。そいつは失敬」
柄にもなく気が立っていたせいか、と、もう一度よくせき込んだ。
「久藤 嵯督(クドウ サスケ)だ、呼び方は適当でいい。お前も励めよ」
それだけ言うと、嵯督は踵を返して演習場を後にしようとする。
■那岐夜車丸汀 > 触ればわかる 程度の真っ白い地図というか見取り図。
既にそれは小さく折りたためられ、袖の下ならぬ帯に差し込めば手ぶらになろう。
「…風紀は厳しい 訓練に育まれた精鋭、と。覚えておきますね。
…此方の端末の操作 まともに覚えきれなくてでして。…喉を傷めらしたら、
生姜湯等 喉を潤すものを飲まれたら如何でしょう?」
また咳きこんでいるのを見た、というか聞いた。
「私は 那岐夜車丸 汀(ナギヤシャマル ナギサ)と申します。お気遣い感謝します」
彼は立ち去るらしい、そのお姿を見送る形で その背に向かって会釈をしておこう。
■久藤 嵯督 > 「ああ、だが努力を評価する必要はない。結果が出ねばいないも同然なのだからな」
厳しめの一言。それは同僚に向けられた言葉か、自分自身に突き刺さるものなのか。
『そこに仕舞うのか』『うまい具合に目立たないものだ』と内心感心しながら。
「それは端末、だったのか。また変わった形をしている……
もとよりそのつもりだ。ただし、あいつらに見えないところでな」
機械か魔術か。いずれにせよ、苦手分野。
たまには生姜湯もアリか、などと短く思案する。
「ではな、那岐夜車丸」
しっかりと名前(苗字)を呼んだ後、次なる仕事へ赴くのであった。
ご案内:「演習施設」から久藤 嵯督さんが去りました。
■那岐夜車丸汀 > 彼が演習施設から立ち去っていくのを見送り、
先程までいた 集団へと視線を向ければ いつの間にかいなくなっていた。
(何というか 引き際が早すぎます…撤収速度が尋常では。)
あっという間に人気もなくなった 施設内を暫く彷徨い乍ら
先程まで触って覚えていた内容と符合するかどうか歩いて。
程無くして アルビノの少女も演習施設から立ち去っていく。
ご案内:「演習施設」から那岐夜車丸汀さんが去りました。