2016/06/13 のログ
ご案内:「訓練施設」に頸城 陸さんが現れました。
■頸城 陸 > 訓練施設の片隅で、大きく息を吐く。
「今日も今日とて、ってね……地道な訓練、大事だよねー……」
言い終えて、自らの異能を発動し、黒い鎧を身に纏う。
「……さ、て、と」
無事に装着ができている事を確認すると、大きく伸びをする。
「とりあえず、普段通り適当に殴ってみるとして……、その後で色々考えよう」
端末を操作しながら、呟く。
まず、動いてみる。それから気になったことを色々考えてみる。
それぐらいしか、自分にはできない。
■頸城 陸 > 端末を操作し、出現させたのは訓練用のダミー人形。数は一つ。
「それじゃ、始めようかな」
踏み込み、標的へと拳を打ち込む。
人形は勢い良く吹き飛び、床へと打ち付けられた。
ゆらり、地に倒れ伏した人形へと歩み寄り、足にあたる部分を片手で掴み、振り上げる。
「……よい、しょっ!」
掛け声と共に、それを振り下ろした。
人形が床へと叩きつけられ、音を鳴らした。
床へと叩きつけたそれを、再び振り上げ、床へと振り下ろす。
それだけを、何度も何度も繰り返す。
蓄積するダメージに耐え切れず、それがへし折れるまでその行為は続いた。
■頸城 陸 > ぽい、手に残っていた人形の破片を投げ捨て、異能の鎧を解除する。
黒い鎧は霧と化し消滅する。
そして、自分が行った行為を確認し、盛大に溜息を吐いた。
「あー……また、やりすぎちゃってる、かも。やっぱこっちだと一度殴り始めると歯止めがきかないなー……」
これ人間相手に絶対できないよ、と心中で付け足して、頭を掻く。
「前はもうちょっと我慢出来てた様な気もするんだけどなー」
言い終えて、以前言われた言葉を思い出す。
「……無理すると、いつかバランスが崩れてダメになる、だっけ……」
これまでずっと抑えこんできたから、その反動が来ているのだろうか。
腕を組み、軽く考えこむ。
ご案内:「訓練施設」にセシルさんが現れました。
■セシル > 今日も警邏業務の後の訓練と洒落込もうと、訓練施設に傾れ込み。
「…む、空いていない…か」
仕方あるまい、とぼやいて休憩スペースでスポーツドリンクを買って、立ったまま三口ほど。
ここに来るまでの時点で暑かったので仕方がない。
流石に、魔術具屋で買った肌着は毎日着られるほどには買っていないし。
(………あれは?)
訓練スペースを何となしに眺めて、訓練中の人物が、以前公園で悩みを聞いた少年であることに気がついた。
■頸城 陸 > 少しの時間考えてみたものの、それ以上の事は思い浮かばなかった。
……何とかの考え休むに似たり、だったか。
なら、この件について考えるのは一旦やめよう。
「……使いこなせないなら諦めて真白の制御に専念した方が良いのかもしれないけど」
とは言え、あれもいつまで使えるかどうか。
「制御が効きにくくなってるの、あればっかり使ってたから、ってのもありそうだし」
どうしようかな、と呟いて。
「……ん?」
不意に感じたのは人の気配。
ゆらり、そちらの方に振り向けば見覚えのある人影。
確か、以前公園で出会った人だったか。
……サボりについて、相談した記憶がある。
「あ、どうも」
軽く頭を下げ、挨拶を一つ。
■セシル > 「少しぶりか。精が出るな」
ふ、と男性的に口元の笑みを作って笑い声を零しながら、頭を下げて挨拶をしてきた少年に、手を挙げて応じる。
「やる気が出ない悩みは晴れた…というような顔でもないな。
人に頼るなら早いうちの方が問題が軽いぞ?」
そう言って、朗らかな笑い声を零した。
抱えている悩みが最初から重いので、かえって悩む余地がないセシルである。
■頸城 陸 > 「……やー、やる気はある程度回復したんで、大丈夫なんですけど」
照れくさそうに頭を掻いて、言葉を続ける。
「まぁでも、もう少し位は一人で頑張ってみたいんです、よね」
自分の異能は、結局自分しか持っていないものなのだから。
誰かに頼っても、ゴールに辿りつけないような、そんな気がするのだ。
「あ、訓練に……来たんですよね。良かったら、代わりますよ?」
小さく笑って、尋ねる。
どうせしばらくは思考する時間だ。休憩スペースでもどこでもできる。
■セシル > 「そうか、やる気があるなら何よりだ。
………まあ、何を1人で頑張ってみたいのかは知らんがな」
「気負い過ぎるなよ」と中性的な太く強い声で激励する。
…が、訓練スペースを譲ろうかと打診されれば、目を丸くして。
「…貴殿の鍛錬は一段落したのか?
それならば、厚意に甘えるとするが」
と言って…問題がなさそうならば、訓練スペースの方に向かうだろう。
■頸城 陸 > 一段落したのか、という問いには、首肯で答えた。
「あ、はい。これから僕は少し、休憩するんで……全然気にせず使ってもらっていいですよ」
言い終えて、訓練スペースを出て、休憩スペースへと歩き出す。
折角だし、少し、彼の訓練を見てみるのも良いかもしれない。
そう思いつつ、ベンチに腰掛ける。
……とは言え、見られることに何かしらの不満があるようならば、帰るつもりではあるが。
■セシル > 「そうか…それでは、遠慮なく」
少年が頷きで答えれば、こちらも頷き返して訓練スペースへ。
態度は平常通りで、少年が見ていることに対する忌避感はないようだ。
(今日は…久々に「遠当て」の練習でもするか)
そんな感じで、ぽちぽちと端末を操作して出現させるのは射的のごとき的。
…しかし、セシルは剣しか携えていないように見える。
■頸城 陸 > 休憩スペースから、彼の様子を眺める。
「やっぱり、剣舞? とかするのかな……」
腰に携える二本の剣を見て、言葉を漏らす。
「……あれ?」
だが、出現したのは射撃訓練用の的。
感じるのは、当然の如き違和感。
「……ミス、かな?それとも、あれを普通に切る、とか?」
一体、何をするつもりなのだろうか。
解らず、軽く首を傾げた。
■セシル > 的が出たのを確認して、そこから5mほどの距離の地点に立つ。
そして…剣の片方、レイピアを抜いた。
「付与・魔力《エンチャント・オーラ》」
その声と共に、レイピアの刀身が光を纏う。
それから、構えをとって…
「ふっ!」
気迫とともに、強く踏み込んでの突きを放った。
光が突きの勢いに乗って剣から放たれ…
的の中心部を、大きくへこませる。
「………狙いは悪くないが、やはり威力が足らんか」
そんなことをぼやきながら、的の状態をリセットしにかかる。
剣が纏っていた光は消えていた。
■頸城 陸 > 「お、おぉー」
刀身が光を纏い、その光が的を大きくへこませる。
その一連の流れを見て、あげるのは驚嘆の声。
「……ああいうのができる人もいるんだ」
詠唱の様な挙動をしていたから、恐らくは魔術の類なのだろう。
なるほど。だから射撃用の的を用意していたのか。
納得して、数度頷く。
■セシル > その後もセシルは、「遠くの的に剣に纏わせた光を飛ばす」訓練を続けた。
突きの動作は、力が篭っているものの型は崩れておらず綺麗だ。
…ただ、突きの動作への力の込め方を変えたり、剣に纏わせる光の量を変えたりと試行錯誤を繰り返しており…突きへの動作へ力を籠めつつ、光の量をかなり増やした時に…ただ1回だけ、光が綺麗に的を貫通して、直径20㎝ほどの穴を開けた。
「………やはり、魔力制御の修練が必要か」
手応えを得ながらも課題を得た、という感じの複雑そうな表情をしながら、セシルは訓練スペースから出てくる。
「む、見ていたのか。
…地味な鍛錬で、面白味など無かっただろうに」
「物好きなことだ」と、少年が自分の鍛錬を見ていた様子なのを確認して、苦笑い。
■頸城 陸 > 何度も何度も、彼は光を的へと放っていた。
同じように見えて、、一回一回、微妙に異なる動き。
試行錯誤しているのだろう、と言うのが自分にも解る。
……ひたすら力を叩きつけるだけの自分とは、大きな差を感じる。
等と考えていると、かけられた声。
少しビクリ、と反応してから、言葉を返す。
「……や、そんな事無かったです。……動きとか、光とか、綺麗で、見てて楽しかったです。僕はああいう事できないから、少しうらやましいなー、とか」
その言葉の後に、小さく笑った。
■セシル > 「私の魔術の素質は凡庸だからな。
素の魔力が属性を帯びて現れたりなどしないし、そのような魔力の光など皆あんなものだろう。
…剣術の動きを褒められれば、悪い気はせんが」
「伊達に幼い頃から鍛えられておらん」と口の端を横に引いて男性的に笑うセシルの表情は、どこか誇らしげ。
「…さて、私のようなことが出来ん貴殿はどのような技術の訓練をしているのだ?
魔術でも…恐らく、剣術でもないのだろう?」
セシルが少年に屈託なく尋ねたのは、「技術」のこと。
■頸城 陸 > 「……あ、はは」
彼の言葉は、一旦笑って流す。
……どう返せば良いのか、上手く考えられなかった。
……言い難い所をついてくるなぁ。
投げられた問に対して、心の中で呟く。
さて、どう答えるべきか。
自分がこれまでしてきた訓練は、己を異能を使いこなすための物。
戦闘に関する「技術」に関する事なんて殆どしていないも同然なのだ。
正直に答えるべきなのか、否か。
「えー……と、まぁ、あれ、なんですよね」
ぽりぽりと、頬を掻いて、何とか言葉をひねり出そうとする。
「……ち、力加減?」
捻り出てきた言葉がこれだった。絶対伝わらないなこれ、と言い終えて後悔する。
■セシル > 「………力加減?」
整った眉の片方が、怪訝そうに上下に動く。
(先天的な怪力か………この学園の趣旨からすると、異能の制御か?
魔術の制御も考えられなくはないが…魔力の光を見慣れておらんようだし、恐らく違うだろう。
どちらかで、だいぶ話が違うが………)
考えるように腕を組んで、数秒。
「………異能の制御か?」
まさかの言い当て。
「単なる怪力ならば、その制御練習に訓練施設というロケーションを必要としないのではないか」という推論から来る、当てずっぽうだが。
■頸城 陸 > 相手が少し考えこむのがわかる。
まぁ、当然といえば当然だ。
あの一言で理解できる方がどうかしている。
どうかしていた。
まさかの一発正解である。
「あ、はい。……そうですね、僕の異能、ちょっと強力な奴なんですよね」
小さく深呼吸して、たどたどしく説明を続ける。
「……まぁ、能力自体は単純な身体能力の強化に近いんですけど……ちょっと、好戦的になるというか、なんというか……、だからここみたいな、思い切り暴れても平気なとこじゃないと変な被害とか、出ちゃいそうなので……」
■セシル > 一発正解で相手の少年も驚いたのだろうが、セシルも口で「お」という形を作り、目を丸くする程度には驚いた。
…まあ、その程度といえばその程度だが。
「…ふむ…」
少年の説明を真剣に聞きながら、少年の表情を見つめるセシル。
そして…少し考えて、気になった点があるらしく、こう尋ねた。
「………精神や人格に影響を及ぼすとなると、確かに厄介だな。
ところで、そのような変調は、異能の発動時だけか?」
■頸城 陸 > 「……今の所は、そうですね」
問に、頷いて言葉を返す。
現状、異能を使用していない状態での思考の変質に関しては起こっていない。
これから起きるかもしれないが、可能性の話をしても仕方がないだろう。
「……だから、こうやって普通に暮らしてる分には特に問題は無いんですけど……、だからって何もしてないと、いつか大変な事になりそうなので……」
制御するためにあれこれ試しているのだ。
思ったような結果は出ていないが。
■セシル > 「その辺りも未知…ということか。
異能は個人によるところが大きいからな…未知の領域が多いのも致し方ない」
ふむ、と頷く。
セシルも異能者といえば異能者だが、それ単独で見た場合「魔法剣」以上に地味だし、制御に難があるようなこともないのである。
…それでも、精度を上げるための訓練の先例がなくて苦労した覚えはある(結局、練習試合の中で磨いた。無茶である)ので、それなりに自分のこととして受け止めて頷いた。
「………貴殿は、「大変なこと」というのは、どのようなものを想定して訓練の仕方を考えている?」
■頸城 陸 > 再びの問いかけ。
顎に手をあて、少しの思考。
自分にとっての「大変な事」、というのは決まっている。
思考の変質によって、無為に暴力を振りまくことだ。
「……歯止めが効かなくなる事、ですね。だから、やりすぎ無いように抑えよう、とか、そんな感じで……」
破壊力が高くすぎるから抑えてみる。
思考の変化を頑張って押さえつけてみる。
自分がすべき訓練はこれだと思い、色々と試し、続けてきた。
納得の行く結果は、あまり得られてはいないが。
■セシル > 「精神や人格に影響が及ぶ異能であれば、当然の危惧だな。
………ところで、貴殿は「やり過ぎ」るかもしれない事態に陥るとしたら、どのような場合だと考えている?
異能の影響の他に、何も考えていないわけでもあるまい?」
セシルには、精神や人格への影響に慣れて、「麻痺」するのも危険だと思えた。
だから、「あえて」異能を「使い慣れて」まで対策したいのは、どのような事態か。
鋭く青い瞳が、斜に構える様子も無く、少年を正面から見据えた。
■頸城 陸 > 青い瞳が、こちらをまっすぐに見つめてくる。
重圧のようなものを感じ、思わず目を逸らした。
ぐるり、思考が渦を巻く。
ぐるり、ぐるり、思考を回して、言葉が出てこなかった。
「……え、えーと……すみません。ちょっと、そこまでは……」
逃げ出したい。そう、思ってしまう。
■セシル > 急に、相手の思考が遅くなった…いや、惑いが顕著になったように感じられた。
言い淀む言葉。
伏し目がちにして少年を見据えるのを一旦やめ、溜息を吐いた。
「…抽象的過ぎたな。言い方を変えよう。
「貴殿の異能が必要になりそうで、且つ平静を保ちづらそうな状況の中で、貴殿自身が遭遇しやすそうな状況はどのようなものだと考えている?」」
しかし、改めて少年を見据える。
その視線の強度は、先ほどよりも強くなっているようにすら感じられた。
「身体強化のような能力は使い道が多い。
その中には、平静を保ちやすいものも、そうでないものもある。
おまけに、平静を保ちづらい状況と一口に言っても、その対処法は千差万別だろう。
「力」の使い方は、貴殿が世界と…取り巻く人々とどのように向き合うかと、無縁ではない。
その点を考えずして、むやみやたらに「抑えよう」というのは、あまり意味のあることではないぞ」
ここまで言ってから、再び伏し目がちにして、溜息を吐いた。
「………すまん、言い過ぎたな。
だが、「力」自体に善悪は無い。適切な使い方が求められるだけだ。
…そう思わなければ、剣で身を立てることなど考えもしなかった」
■頸城 陸 > 言葉が、出てこない。
返答が、できない。
何故か。決まっている。
『そんな事、考えていなかったから』だ。
目の前の彼は、次々と言葉を並び立てて行く。それを、黙って聞いているしか出来なかった。
「あ、いや、大丈夫です……。その、僕も全然、そんな事、考えられなくて……」
そう返すのが精一杯だった。
話を断ち切るように、ふらり、ベンチから立ち上がる。
「すみ、ません……僕、そろそろ……」
逃げたい、逃げ出したい。
一人になりたい。
そんな感情だけが、渦を巻いている。
■セシル > 少年がふらりとベンチから立ち上がる。
その様子を見て、「力」に対する彼我の認識の差に、深く息をついた。
…しかし、思考と感情の限界に差し掛かっているらしい少年に、それ以上かける言葉もセシルは持っていなかった。
「…いや、私の方こそすまなかった。
落ち着いたら、少しずつでも考えてみると良い」
逃げ出したい少年を止めることはせず。
ただ、考えることだけは少しずつでも続けるようにだけ、言葉を残した。
■頸城 陸 > 「……わかり、ました」
ゆらり、訓練場を後にするために歩き出す。
……これから、どうすればいいのだろう。
……答えは何一つ浮かんではこなかった。
ご案内:「訓練施設」から頸城 陸さんが去りました。
■セシル > 「………」
少年の後ろ姿を見ながら、一つ息をつく。
(まさか、あそこまで弱られるとはな…
好戦的になるという異能の影響と、程よく足して割れたら丁度良いのだろうが、そのような旨い話は無いだろうし)
とにかく、彼の悩みと、丁寧に向き合っていく助手は、自分であるべきではないことだけは強く認識し。
その懊悩を払うべく剣術の鍛錬に邁進してから、セシルは帰途に着いたのだった。
ご案内:「訓練施設」からセシルさんが去りました。