2016/06/24 のログ
■不凋花ひぐれ > 3、4、5、6.
ビクッ
「……は、」
7度目の素振りを行おうとしたところで事件が起きたとばかりに飛んでくる男子学生風貌。
いや、それは来るだろう。爆発があれば誰だって飛んでくる。
危惧したらば離れるのも当然だろうが。それはそれで逃げている気がしてならないので憚られた。
「あ………はい、申し訳ありません。装置が壊れてしまったので」
やはり何かしら問題はあるんだ。娘は一切機械のほうには向かずにいた。
……報告はしておくべきだったと後から思うことになった。反省は大事である。
「この区画は魔術により自動的に直るようなので、そのままにしておりました。
私も怪我はなく無事なのでご安心ください」
ひた隠すように常通りの冷静さを以って応答。両手に持つ翡翠色の刀は変わらぬ調子で脈動していた。
■真乃 真 > 「ああ、なるほど!壊れたのかこの機械、使い方難しいからね!」
使いこなせたら凄いトレーニングができそうな気がするがそれが出来る予定はない。
そんなことをいいながら機械の方を向いて張られていた札を見る。
『故障中』。
…この子が貼ったのだろうか?きっとそうなんだろう。
「そうか、怪我がないならじゃあもう問題ないね!」
そう言いながら機械の方に近づく。
煙はさっきよりも出てるし赤い光も強くなってるように感じるがが確かにさっきと比べると直ってるような気がする?
…このまま中途半端なタイミングで直ったら逆に危ないんじゃないんだろうか?
■不凋花ひぐれ > 『故障中』と書かれた紙は真新しく、無駄に達筆に書かれていた。そも今書いたとばかりの筆乗り。
それはともかくとして、問題ないね!と仰るこの上級生のお方には曖昧に頷いて返した。
「……えーっと、はい」
機械は変わらず黒煙を上げているが、次第に修復されているらしい。
原因は『弾詰まり』による暴発。エレメンタルを出そうとしたところで停滞したためフリーズしたに過ぎない。
解決は容易く、エレメンタルを形成する装置3台は全く同じ動きをしていた。
「あの、あなたは。ここで修練していたお方でしょうか、それとも警備の……」
言いかけたところでバン、という音と共に炎のエレメンタルが飛び出してきた。体感型アトラクションもびっくりの熱風と勢いが余波となってフィールドを支配した。
それもまた、次第に落ち着いては来るのだ。だから『もう問題ない』のだ。
■真乃 真 > うん、機械が壊れるのはしかたないけれども人が怪我するのはあれだ、よくない。
それに自動的に直る機械であるというのであればなおさらである。
「僕はあれだ、新必殺技の特訓の…って暑っ!暑っていうか熱っ!」
機械にほど近い場所にいた真は熱波を直に受けた。
幸いエレメンタルに直撃するとはなかったので無傷ではあったがエレメンタルが直撃した張り紙は
もう故障中ではないことを示すように焼けてしまったのだった。
「…うん、とりあえず直って良かったね。」
タオルを巻いている首のあたりからジュゥと音を立てながら言う。
機械が壊れたままでは色々と不味かっただろう。
■不凋花ひぐれ > 「必殺技……」
まぁ、まるで子供みたいなことを仰る。その先の言葉は熱風によって彼が言葉を途切れさせてしまったので如何ともしがたい。
哀れかな、3つの機械が同時に動けば人一人などあっという間に燃え尽きよう。
いや、無事でよかった。本当に良かった。
「そうですね。
……逆にお怪我はありませんか。もしよろしければ何かお詫びなどしますが」
冷静に状況判断してみながら刀を納めた。巻き込まれる形で熱波を浴びたのだから、怪我は無くとも何かあったかもしれない。
まだ熱が残るエレメンタル発生装置の周囲へと近づきながらそう口にした。
元凶を言えば手前のせいなのだから。
「……時に、必殺技とは」
それもまた気になった。なんなんだ必殺技って。
■真乃 真 > 「このとおり全然大丈夫さ!」
くるりと一周回って見せる。
首のあたりからやはりジュウという音がするかもしれない。
それに伴って長いタオルも振り回されて熱がこもったそれから熱風が周囲にばら撒かれる!
いや、少し暑いぐらいの風で全然影響はなのだけれども。
「最近また物騒らしいからね!
何か得意な技というかそういうの持ってた方が安心だと思ってね!」
そう自衛のためにも他衛のためにもなんらか切り札となりうる攻撃手段があったほうがいいのでは?
そんな考えから行っている特訓である。
「…まだ思いついてないんだけどね!」
無駄にカッコいいポーズを取りながら言う。
■不凋花ひぐれ > 音がする。ジュウという熱がする。もう発生しないはずの熱風が頬をなでてくる。
熱い、熱い。耳に障る焼けるような音。
実際、彼は平気なのか気になるところだった。夏の温風をより暑くした程度だったが。
「少々暑いのですが、あなたは大丈夫なのでしょうか、本当に」
何やらかっこよさげなポーズを決めているお方。
薄目を開いても分かる特徴的な『カッコイイ』ポーズに苦笑を零した。
相手に近すぎず遠すぎない場所から見守るように彼を見ていた。もう一歩近づけば自分の世界に取り込まれてしまうから。
「えぇ、持っていて損はないと思いますよ。
……でしたら、何かこうしてみたいなどはございますか?宜しければ一緒に考えますよ」
■真乃 真 > 「…そんなに気にしなくても大丈夫さ!」
熱いのかもしれない。なんせ首に巻いてるタオルの繊維は金属に近く熱くなりやすい。
そして、そのタオル地の性質から温度は逃げにくいのだった。
夏に暑くて冬は冷たい。
「そうだね…。そう、攻撃力が足りないんだよ!
僕はタオルと異能が主な攻撃手段なんだけどもねやっぱり人間よりも堅い相手には通じにくいんだよね。」
そういうと首に巻いてたタオルを片手に持ち大振りに振って見せる。
隙は大きく実戦で使えそうには見えないが少なくとも攻撃の手段になりうることは分かるだろう。
■不凋花ひぐれ > はたしてそれに何の意味合いがあるのか。
娘は「はぁ」と怪訝な表情を浮かべるまま思う。気にしなくても良いと言い張るなるならそれこそ必要ないだろう。
彼の問題なのかタオルの問題なのかも不明だったがそれはともかくとして。
「攻撃力、ですか。それにタオル……」
相手がタオルを振り回す音がする。眼を開けば確かにタオルを振っていた。
タオルが武器と耳にした瞬間は釈然としない顔をしていたが、どうにも本気らしい上それとなく実践的であることが窺える。
確かにそれでは攻撃力も出まい。不意打ちでしとめるしかない。
タオルは本来日用品だ。だからこそ誰も警戒しない。武器としてひけらかすアドバンテージに割り振ったと見れば、悪くは無い。
「そうですね、物理的に攻撃力を求めるなら鉱石をつめるなど、強度を高めた打撃武器として持ってみるなど。
あるいはそれが魔術の使用に耐えられるものなら硬い物質を通じさせる魔術を射出するなど。」
単純な自己強化、それに類する魔術の修得。弱点を見極める眼など、挙げればきりが無いが、ともかくそんなものはどうだろうと提案してみる。
■真乃 真 > 「そうタオル。」
見た目はどう見てもただのやけに長いタオルであるのだけれども。
素材は特殊な金属糸で編まれており普段は柔らかく衝撃の瞬間硬化する。
面が広く更にその異様な長さの為取り回しはとても悪く遠心力を活用しなければ大きな威力は期待できない。
しかし、その面による打撃は肉体の損傷よりも相手に痛みを与える事に長けており並みの人間であるならば
これの一撃を受ければ強烈な痛みにより戦意を失うだろう。
…そしてなによりこれは実はタオルではない。
「なるほど!確かに何か重さがあったら振り回しやすくなりそうだ!
魔術の射出か…。うん、そっちも勉強してみるよ!」
確かに何かを巻くぐらいだったら簡単に試せる範疇であるし実用性も高いように感じる。
魔術、魔術か。…試すならしっかり勉強してから試さなくては!
■不凋花ひぐれ > ジュウ、と音を鳴らすタオルがなしてタオルか。
眼を閉じたままでもそれとなく伝わってくる『タオル』と名の付けられた物体。
なるほどこの学園もまだまだユニークなモノがいるということがわかる。
「タオルの中に秘匿することが出来れば、恐らくは不意を撃てる手品が増えるかと思います。
魔術の隠匿も合わせて勉強できればなお効果的……。
初級者であるならこのエレメンタルの機械のようなエレメンタルを出せると、それとなく簡単そうにも見えますね」
そう、言葉を紡いだ後、思い出したように。
「そろそろお時間なのでお暇させて頂きます。
あぁそうでした、お名前をお伺いしても宜しいでしょうか」
■真乃 真 > 「なるほどなるほど!確かに必殺技だから相手の意表をついてこそだよね!
エレメンタル元素のあれだよね!よし、勉強することが多くなってきたぞ!」
あれも、やってこれもやる。
そういえば純粋な肉体の強化も必要みたいに言われてた気もする。
さて、どれから始めればいいだろうか?
「ああ、僕の名前は真乃真!君のお陰でなんか決まりそうな気分になって来た!
君も何か困ったことがあったら何でもいいなよ!助けるから!」
またしても無駄にカッコいいポーズを取りながら力強く言う。
■不凋花ひぐれ > 「意表をついて、ビックリさせて、その時こそが勝機ですね」
そんなタイミングで彼が逐一行うポーズをとレア、名乗ればそれもまた『カッコいい』だろう。
どちらかといえばこれは男の子的な感性に近い。理解できないわけではないが、かっこよさについても千差万別。
ただ彼なりにかっこよさを維持、昇華するべく邁進し続ける気質なようで、そこはとても良いと思う。
娘は努力する素直な人は一定の評価を得てもいいのではと思う故に『素敵だ』と考えた。
そうして彼は日輪が如き輝いて見える、炎のように熱く語りかけてポージングした。
――あぁ、確信する。悪い人ではないのだと。
少し、ヘンだが。
「不凋花ひぐれと申します。真乃……先輩」
薄目を開いたときに彼をもう一度見据えた。ここまで堂々とした対応を行うのは同級生にもいなかった筈だから先輩だろう。
元気でやる気に満ちた先輩へ深々と頭を下げると。
「……あの機械のこと、他言無用ですよ」
最後にそう言葉を残して、手前は下駄を鳴らしてその場を後にするのだった。
ご案内:「訓練施設」から不凋花ひぐれさんが去りました。
■真乃 真 > 「ああ、追い詰められてからの逆転こそが必殺技の醍醐味さ!」
実際は追い詰められる前に使うのが正しいだろうけれども。
カッコよさでいうのならば追い詰められた時に使った方が良い。
「僕は三年だから先輩であってると思うよ!」
自分が知る限り風紀委員では会ったことがない。
あの特徴的な白い髪、見ればきっと覚えているだろう。
「分かった!直ったことだし誰にも迷惑はかからないからね!」
誰にも迷惑がかからないならそれで問題ないだろうそう思いながら手を振って姿が見えなくなる見送る。
「…さてと行ったかな?…熱い!いや、痛い!ヒリヒリする!あああ!!」
心配をかけたくなかったのだろう。
そう叫びながら熱せられた鉄板のようなタオルに巻かれた首を押さえて転げまわる真の姿がそこにはあった。
ご案内:「訓練施設」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に南雲 海斗さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から南雲 海斗さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に南雲 海斗さんが現れました。
■南雲 海斗 > 「えいっ!えいっ!」
訓練施設で、一人虚空に向かって突きの練習をする少年。
形としてはしっかりしているし、綺麗ではあるのだが……どうしても、その小柄な体形と、勇壮さを感じない掛け声から、微笑ましさが先に立ってしまう光景だろう。
「えいっ!えいっ!」
だが、そんな事には気付かずにひたすら突きの練習中。
基本は、大事なのだ。
■南雲 海斗 > 「次、蹴りっ!」
立った状態から、今度は中段廻し蹴りの練習。
こちらも、年齢にしてはだが形はしっかりとしている。
「やあっ!やあっ!」
相も変わらず、掛け声に勇壮さがないので微笑ましい光景になってしまっているが。
「やあっ!やあっ!」
繰り返し。
ひたすらに繰り返し。
本人は真面目にやっているのだが……見る人が見れば、それが『惰性による繰り返し』になってしまっているのに気付くかもしれない。
一回ごとに自分の動作を心の中で確認する、と言う作業を忘れ、とにかく数をこなす事に躍起になってしまっているのだ。