2016/06/25 のログ
南雲 海斗 > 「はぁ……どうなんだろう、これ」

ふぅ、と一息吐いて溜息。
日々、真面目に稽古はしているつもりの海斗。
だが……

「ボク、上手くなってるのかなあ……」

成長の実感を得られずにいた。
元々基礎稽古は、グンと伸びた感覚が無いため成長を実感しづらいものであるし、当人の稽古が惰性気味になっているせいで効率が落ちているのも影響しているのだろう。

「お父さん……ボク、ちょっとしんどいです……」

自分を送り出してくれた父に向けて、少しの弱音。
届かない事は分かっているが……否、分かっているからこそ言わずにはいられなかった。
ここは特段の年齢制限が無いため海斗のような子供でも入学できたが、周囲にいるのは大体が年上。
同年代の友達など望むべくもなく、更に言えば年上ばかりで気後れしてしまい、頼りに出来る人もいない。
そして、講義内容は日々遅くまで勉強して、それでもついていくのがやっと。一部の講義は完全に置いて行かれている。
『自分には早すぎた』。
そんな気持ちが、海斗の胸を締め付けていた。

南雲 海斗 > 「……ううん、しょんぼりしてても仕方ない!」

ぶんぶん、と顔を振ってくじけそうになる気持ちを振り払う。
学費を払って貰って、自分の異能を解析しつつ使いこなせるようになるためにここに来ているのだ。
だから、やるしかない。と己を奮い立たせる。

「よし、受けの練習!」

頑張らなきゃ、お父さんのためにも。
そう強く思って、辛さを忘れるためにも稽古にいそしむ。
効率は相変わらずであるが、とにかく数。
『数をこなす事は、基礎をつくるだけでなく自信にも繋がる』と言う父親の言葉を胸に、ひたすらに数をこなしていた。

ご案内:「訓練施設」に阿曇留以さんが現れました。
阿曇留以 > 久しぶりに大太刀を抱えながら訓練施設にやってきた留以。
いろんな事が起こって久しく愛刀を封印していたが、久しぶりに連れ出してみようとおもい訓練施設にやって来たが。

(あ、もう先客がいるのね)

先客がいることを確認して、どうしようかと思案しながら彼――少年の事を見ている。

南雲 海斗 > 「ふっ、やあっ!」

稽古は『受けからの攻撃』に移っており、その動作はパーリィングで受けて空いている手で攻撃、と言う物。
ある程度しっかりと出来ているが……やはり動きの反復が惰性気味であるのと、受けから攻撃への接続が若干遅いのが分かるかもしれない。
受けてから攻撃までが遅ければ、下手をすれば連撃に呑み込まれてしまう……のだが、手抜きと言うよりは単純に未熟で、そこの切り返しが上手く出来ていないのだ。

阿曇留以 > (……綺麗に動いてるわね)

子供にしては、だ。
おそらく留以が子供の頃は、あんなにも動けていなかっただろう。
今でこそ、体の使い方を理解しているから動けているが、子供――彼のような頃は、どこの部位をどう動かしたら影響するか、など理解できなかった。
だから、年長者として、ちょっとだけお節介をしたくなってしまう。

「もうちょっと、相手を想定して動いたほうがうまくできるんじゃないかしら~?」

そんな、のほほんとした声を少年に向けてみる。

南雲 海斗 > 「ひゃうっ!?」

びくっ!すてーん!
動いているところに急に声をかけられ、驚いて転んでしまう。
そのままきょろきょろと首を動かし、留以に気付く。

「あっ、あっ、ごめんなさい、変なところ見せちゃって!
えっと……相手を想定、ですか?」

わたわたしつつ、首をかしげて問い掛ける。

阿曇留以 > 「あらあら、大丈夫?」

ぱたぱたと走って少年に近づき、心配そうに見つめ。

「そう、相手を想定。
例えば相手がどういう人なのか。
男か、女か。
背丈は?体重は?
筋肉質?細身?
相手は素手?武器もち?
っていう風に、仮想の相手を作っておくの。
その上で、繰り返し練習をする。
そうしないと何の意味もない練習になっちゃうわ」

そっと少年に手を差し伸べ、起こしてあげようとする。

南雲 海斗 > 「あ、はい、大丈夫です!」

言いながら差し出された手を取る。

「(きれいなおねえさんだなぁ……)」

少し見惚れてぽーっとしつつも、言われた言葉を何とか理解しようと頭の中で整理。

「えっと……どんな人が相手か、どういうことをしてきてるのに対してボクがどうしてるのか、を考えて、それをイメージするって事ですか?」

阿曇留以 > 少年になんと思われているかなど知るよしもなく。
帰ってきた言葉に頷く。

「うん、その通りよ。
さっき、受けの練習してたでしょ?
基本は出来てると思うけど、攻撃を流した後、体のどこを叩いたら相手へ効くか、とか考えないと意味がないの。
君の流派がどういう主義かはわからないけれど、そうやって相手を想定して練習したほうが、身につくと思うわ」

わき腹を叩くか。
みぞおちを叩くか。
相手が筋肉質かどうかでさえ打撃箇所は変わってしまうだろう。
故に、そのように助言をしつつ。

「……なんて、ちょっと口うるさく言っちゃったかしら。
ごめんね、練習の邪魔しちゃって」

微笑みながら謝る。

南雲 海斗 > 「あっ……!」

言われてみれば、と、はっとした顔になる。
今までは、ずっととにかく形をこなす事ばかりで、どうすればより効くかなどを考えていなかったのだ。
触れればダメージを通せる水拳はともかく、火拳に関してはしっかり当てないと意味がない。
そう言う意味で、留以のアドバイスは的確なものだった。

「い、いえっ、ありがとうございますっ!ボク、ずっと相手のイメージなんてしないでやってましたからっ……!」

ぺこぺこと頭を下げながら礼を言う。
彼女のアドバイスが無ければ、非効率な稽古をずっと続けていた。
それが分かるからこそ、心から頭を下げていた。

阿曇留以 > 「アドバイスになったならよかったわ~。
とはいっても、私も体術はあんまり得意じゃないからその程度しかいえないのだけれど」

そうはいっても、今助言したことは全ての術に通じることだろう。
相手を何人も想定して、そして反復練習するからこそ、強く対応できるはずだ。

「私、一年の阿曇留以(あづみるい)っていうのだけど君の名前をきいても大丈夫かしら?」

南雲 海斗 > 「いえ、本当に助かりましたっ!ありがとうございますっ!」

ぺこぺこ。
頭を何度も下げて、その後名乗りに返事をする。

「あ、えっと、南雲海斗(なぐもかいと)って言います!一応、二年生ですっ!」

この年齢差で海斗の方が学年が上と言うのは普通はあり得ないが、ここは常世学園。
年齢基準ではなく通学及び進学基準で学年が決定するので、こういう事も起こり得るのだ。

阿曇留以 > 「あら~、じゃあ先輩ね。
これからよろしくお願いしますね、海人先輩」

ぺこりと頭を下げ、頭を上げればくすくす笑う。
ちょこっとからかっているのだろう。

南雲 海斗 > 「そ、そんなっ!阿曇さんの方が全然お姉さんで、ボクなんかが先輩だなんて……!」

わたわたわたわた。
真面目に受け取ってしまって慌ててしまっているようだ。綺麗にからかわれてしまっていた。

阿曇留以 > 「あら、そんなこと気にしなくていいわ。
年齢が上だから偉い、なんてそんなことはないんだから。
あ、それよりも」

ぽん、と手を軽く叩き思い出したような動作。

「よければ、もうちょっとだけ海斗君の練習風景、見せてもらってもいいかしら。
他人の練習をみてると私の練習にもなるから、助かるのだけれど」

南雲 海斗 > 「そ、そんなことっ……」

わたわた。
慌てているがしかし、気を取り直して返事をする。

「えっとそのっ、ボクは全然大丈夫です!
寧ろ、その、えっと……」

もじもじ。
少し言いよどんで、しかし意を決したように口を開く。

「え、えっと、阿曇さんが、色々教えてくれたら、嬉しい、です」

この一年、ずっと一人だった。
たまに声をかけてくれる人はいたが、基本的にひとりぼっち。
誰かに教わるなんて言うのも久しぶりの事で……少し、甘える気持ちもあるのだろう。

阿曇留以 > きょとん、と少し驚いた顔をするが、すぐに微笑み。

「ええ、私で良いならもちろんいいわ~。
といっても、私もさっき言ったとおり、体術はあんまりできないから……せいぜい組み手相手になるぐらいだけれど……」

あとは、ほんとに基本的な心構え程度だろうか。
剣を使おうが素手を使おうが、共通して必須な部分のアドバイス。

南雲 海斗 > ぱあぁ、と笑顔になる。嬉しさと、安心が入り混じった笑顔に。

「ありがとうございますっ!じゃあ、えっと……基本稽古からの方がいいですか?」

張り切りつつ確認を取る。
基本から見せた方がいいのか、いきなり組手などに行くべきか。

阿曇留以 > なんというか、これが無邪気という顔なのだろう。
まだまだ子供らしい海斗の笑顔につられて笑顔になり。

「そうねぇ……なら基本稽古を見せて……。
ううん、組み手しちゃおっか」

そういうと留以は大太刀を邪魔にならない場所におき、手首足首をまわしたりして準備を始める。
基本稽古を見せてもらおうと思ったが、そもそも留以も練習に来た身。
できれば体を動かしたいと思い、これ幸いと海斗に付き合ってもらおうとする。
なお、大太刀は使わないようだ。

南雲 海斗 > 「組手ですね、わかりましたっ!」

こくんっ、と頷いて、留以の用意を待つ。
顔はとても嬉しそうで、頑張るぞと言うやる気に満ちていた。

「(誰かと一緒に稽古できる……!)」

ひとりぼっちは嫌だ。
だから、誰か一緒にいてくれるなら……とても、勇気が出る。
寂しがりやなところのある海斗にとって、そう言う意味でも『直接二人でやる』稽古であるところの組手は、嬉しい申し出だったのだ。

阿曇留以 > (素手のみの組み手は久しぶりね……)

軽く指に力をこめ、体の感覚を確かめる。
目の前の相手はまだ少年。
だが、油断はできない。
素手を疎かにして刀に力を注いだ留以にしてみれば、海斗は十分相手として勤まる、だろう。

「うん、それじゃ海斗君。
宜しくお願いしますね」

大きく頭を下げる。
組み手前の挨拶を行い、頭を上げればゆっくりと構えを取る。
相手の力を利用するタイプか、留以はそれ以降動かず、海斗の動きを注視する。

南雲 海斗 > 「はい、お願いしますっ!」

ぺこ、と一礼。
そのままゆらりと構えを取る。
一般的な空手道などに見られるオーソドックスな構えから、じーっと留以を見つめて……。

「(ボクの異能は、流れの中じゃ使い物にならないから……)」

意識を集中する。
海斗は未熟だ。少なくとも、当人はそう思っており、そして留以を無意識に格上だと認識している。
故に、最初にアドバンテージを取って、それでダメでも流れを作ろう、と考えた。

「……『stand by me(誰かボクのそばにいて)』!」

叫ぶ。
瞬間、海斗の姿が消失。
一瞬で、留以の目の前に出現した。

「やああっ!」

そして、出現と同時に魔力で身体強化。今回選択したのは、純粋な強化を用いる『火拳』の方だ。
そのまま、留以の中段……鳩尾は身長の関係で狙えないので、腹部に向かって、右逆突きを放つ!
なお、しっかり寸止めではある。

阿曇留以 > 「――えっ」

速い、ではなく消えた。
それは物体が移動したときに生じる風を感じることなく、唐突に海斗が目の前に現れた。
驚きに一瞬対処が遅れるも、すぐさま足の力を抜いてこけるようにしながらこうげきをっ避ける。
地面を転がって海斗と距離をとる。

「び、びっくりした……!
海斗君、いまのは……高速移動かしら?」

そんな質問をしながら、再び構える。

南雲 海斗 > 「わわっ!」

躱された。この距離で躱されて、距離も取られるなんて。
そう驚きながら、構えて間合いを敢えて広げる。
集中するための時間を稼ぐために。

「え、えっと、ボクの異能、『stand by me(誰かボクのそばにいて)』です。
テレポートなんですけど、何かをじっと見て、その何かのそばに移動するしか出来なくて……」

言いながら、じっと見て集中。
今度はしっかり、と意識しながら。

「『stand by me(誰かボクのそばにいて)!』」

異能発動。
もう一度、留以の目の前に瞬間移動し、今度は足払いを放とうとする。

阿曇留以 > 「なるほど、異能……。
しっかりみてたのに、全然反応できなかったわぁ」

距離の離れたところから、一瞬で目の前に現れる能力。
ものすごくやっかいだが、考え方によっては対処ができる。
それは――。

「きゃっ!?」

また、目の前に現れる海斗。
足払いを避けることはできず、その場にこける。
が、

「っせい!」

こけたことを利用して、足を閉じたまま回転――ウィンドミルのようなことを行い、同じように海斗をこかそうとする。

南雲 海斗 > 「やたっ!」

今度は成功、こかせることに成功した……と、一瞬気が緩む。
その瞬間、自分も綺麗に足をさらわれた。

「うわあっ!?」

気が緩んでいたため受け身を取る事も出来ず、そのまま思いっきり転んでしまう。

阿曇留以 > 現状、海斗は留以の正面にしか転移してきていない。
それが限界なのか、それとも後ろにも回ることが出来るのかはわからない。
ただ、前面のみと仮定するなら――。

「だめだよ海斗君。
相手がまいったっていうまで気をぬいちゃったら!」

回転をとめ、海斗がこけたことを確認すると、急いで近づき追撃の掌底をいれようとする。
ただし、それほど力は籠めず、せいぜい叩く程度だ。


もし、彼の異能が前面への転移ならば、もうこちらから近づいてしまえばいい。
転移の意味がない状況にすれば、あとは自力の差でしかない。

南雲 海斗 > 「わ、わわあっ!」

受け身を取れなかったので起き上がるのにも時間がかかっている。
更に言えば……前面への転移以前の問題で、海斗の異能は現状、相手を捉えてから数瞬凝視する必要がある。
即ち……近接距離であれば、もうまるで役に立たないのだ。

「えいっ!」

左手でこけたまま何とか掌底を払い、空いた右手で突きを放つ。
だが、体勢は不十分。そもそも転がった状態で慌てて放った突きなので、威力は言わずもがな、狙いも大雑把な手突きになっていた。

阿曇留以 > 「くっぅ!」

掌底を払いのけられ、代わりにお見舞いされる突き。
みぞおちではないものの、腹筋のうすいお腹に入り、苦痛に顔をゆがめる。
残念ながら、留以はそんなに筋トレをしてないために、防御が薄かったりする。
が、それは悪手だといわんばかりに、微笑む留以。

突いて来た腕を、胸で抱えるようにとると、腕十字固めのような姿勢で腕を固定しようとする。

南雲 海斗 > 「あっ、ごめんなっ……」

当ててしまった。
そのことをつい反射的に詫びようとして、そのまま抱え込まれると顔が驚きの色に染まる。
そのまま腕十字のような形に。痛い、確かに痛いのだが……。

「(あ、あわわわわわ、おっぱいが、おっきいおっぱいが当たってるううううう……!)」

胸に抱え込まれると言うことは、腕がその大きな胸に包まれるという事。

「あう、あううう……」

痛い以上にそれが気持ちいいやら恥ずかしいやらで、顔を真っ赤にしてフリーズしてしまった。

阿曇留以 > 留以のほうは、特に意識もしておらず、遠慮もなく海斗の腕を胸に押し当てている。
もちろん、加減はしているが。

「こ、これで、どうかしら……。
海斗君、抜け出せそうかな?」

先ほどの突きで消耗しているのか。
すこしだけつらそうな顔をしつつ腕を極めている。
ちなみに、異能を使って抜け出せるかどうかを確かめたいがためにこのように極める技を使ったが。
使う以前の問題が、彼には起こっているようだ。

南雲 海斗 > 「あわわわわ、むり、むりでしゅう……!!」

じたばた。
転移先となるモノが見つからないとか、そう言う問題ではない。
この状況に混乱して全く集中出来ていないのだ。もっと言えば、異能で脱出する事を失念している。
よって、顔を赤くしてじたばたしつつ、首を横に振るしか出来ていなかった。

阿曇留以 > 「あらあら」

ばたばたと暴れる海斗の腕を、ぱっと離してゆっくりと離れる。
なるほど、海斗の異能はどうやら固定されると使えないらしい。
そう覚え、そして対策を考え始める。

「海斗くん、ごめんね大丈夫?
腕、痛めてないかしら」

南雲 海斗 > 「あ、あのえっと、だ、だいじょうぶれしゅ……」

顔を真っ赤にして俯いている。
痛さは、加減されていたのであんまりなかった。
致命傷なのは、寧ろ心地よさ……豊満な胸で腕を包まれた事だった。
もじもじ。
先程まで腕に当たっていた事を意識してしまうのか、ちら、ちら、と胸を見ては、また俯いてを繰り返している。

阿曇留以 > ちょっとお腹をさすりつつ、ふぅとため息。
やはり、それなりに基礎が出来ていて、あとは実戦量じゃないかとおもう。
多分それ相応に積んで行けば強くなるんじゃないかな、なんて思いつつ。

「ん……?」

さっきからちらちらと海斗の視線が刺さっていた。
主に、胸に。

理解するのに数秒かかり、理解すればちょっと顔を染めて

「あ、えっと……変なもの押し付けてごめんなさいね海斗くん。
海斗くんも男の子だものね~」

そんな風に言葉を濁す。

南雲 海斗 > 「あ、いやその、ご、ごめんなさい……」

もじもじ。
いくらなんでも、今日初めて会った人の胸を思い切り堪能してしまった、と言うのは申し訳ない……とまではハッキリ認識はしていないものの。
意図せずとは言え、えっちな事をしてしまった……と言う自覚はあり、申し訳なさそうに俯く。

「ぼ、ボクなんかが触っちゃって、嫌じゃなかったですか……?」

そもそもは留以が抱え込んだので海斗から触ったわけではないのだが、そんな事は失念して上目遣いに問い掛ける。
申し訳なさそうに、不安そうに。

阿曇留以 > その質問に、小さく笑う。
そして、そんな問いをしてくる海斗を安心させようと頭を優しく撫でようとする。

「大丈夫よ~、元はといえば私が悪いんだし。
それに、直接触られたわけでもないから。
海斗君は何も悪くないから大丈夫よ、ねっ?」

少し屈んで海斗と同じ視線になって、安心させるように言う。

南雲 海斗 > 「わふ……」

頭を撫でられると、顔は赤いままだが、少しリラックスする。
顔もこわばっていたのが僅かに緩んでいる。

「う、うん……ありがとう、お姉ちゃん……」

少し安心したのか、母性を感じて実家にいたころを思い出したのか。
敬語を忘れ、素の口調で言葉を返す。
混乱や緊張、不安などは大分と薄れたようだ。

阿曇留以 > 「お姉ちゃん?」

少し首を傾げるが、それがどういう意味か理解したように笑うと海斗を抱き寄せようとする。

「これからも練習、頑張ってね海斗。
頑張れば、きっと強くなれるから」

まるで弟のように、抱き寄せ、頭を撫でてみる。

南雲 海斗 > 「うん……ボク、頑張る。ひとりでも、頑張るよ」

きゅーっと抱き付いて、甘える様に言葉を紡ぐ。
寂しかった。家族と離れ離れで一人の生活があんまりに寂しかった。
良くない事だ、と言うのは頭の隅では分かっているけど……今だけは、この人に甘えていたかったのだ。

阿曇留以 > しばらくは、彼の気が済むまで抱きしめ、頭を撫で続けるだろう。
留以に弟はおらず、妹は居るが彼ほど幼くない。
だけれど、やはり少し似ているところはあって。



「もう、大丈夫かしら海斗君」

ある程度時間が経ってから、抱きしめたまま海斗に尋ねる。
そろそろ、寮に戻る時間だ。

南雲 海斗 > 「あ、うん……ごめんなさい……」

しゅーん。思った以上に甘えてしまったことを自覚し、ちょっと落ち込んでいるようだ。

「ありがとう、ございました。
稽古もそうだけど、ボク、ずっとひとりぼっちで寂しくて……阿曇さんのおかげで、マシになりました」

ぺこり、と頭を下げる。
流石に理性がある程度戻ってるので、口調も元に戻っていた。

阿曇留以 > 「ふふ、この程度きにしなくていいから。
私はそろそろ帰っちゃうけれど、海斗君は大丈夫?
男子寮に住んでるなら送っていこうか?」

謝る海斗にそうやっていいきかせ、かえるつもりなら一緒に帰ろうと提案する。

南雲 海斗 > 「あ。じゃあ、お願いします」

もう一度ぺこり。
この時間だと、流石に一人で帰るのは不安だ。
なので、その言葉に素直に甘える事にした。

阿曇留以 > 「正直でよろしい。
それじゃ、かえりましょっか」

置いておいた刀をひろい、帰る準備をする。

「また今度、一緒に稽古しましょ、海斗君」

そして、次の約束もいれておく。

南雲 海斗 > 「……!」

次。また、一緒に稽古できる。ひとりじゃない稽古が、出来る。

「はい、よろしくお願いします!」

ぺこ、と勢いよく頭を下げて、次の約束を快諾した。

ご案内:「訓練施設」から阿曇留以さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から南雲 海斗さんが去りました。