2016/08/01 のログ
ご案内:「演習施設」に石蒜さんが現れました。
ご案内:「演習施設」に迦具楽さんが現れました。
■石蒜 > 「こっちこっちこっち!こっち!」
大きな声でわめきたてながら、今は誰も使っていない演習場に入ってくる影が2つ。
「今日こそ石蒜と遊んでもらうんだからね!ずっと待ってたんだから!石蒜はめったに待たないの!」
繋いだ手を遠慮無く引っ張りながら歩いているのはラフな服装の褐色の肌の少女、石蒜だ。
引っ張られているのはその友人の迦具楽。
以前から遊ぶ約束をしていたが、さっぱり履行されないのに堪忍袋の緒が切れて、街角でばったり会ったのを幸いにそのまま連れてきた次第である。
サヤの学生証で使用者登録を済ませて、演習場のグラウンドの中まで迦具楽を引っ張りこんでから、ようやっと手を放した。
「さ!やるよ!!」
■迦具楽 >
「あー、わかったわかったわかった、わかったから!」
ちょっと買い物に出て歩いていたところ、友人に捕まったのが運の尽きか。
手を掴まれてここまでずるずると引きずられてきてしまった。
「あーうん、すっかり忘れ――いやうん、先延ばしにしちゃってたのは悪いと思ってるけど」
忘れてた、とは言わないのが迦具楽である。
理由は勿論、怒られそうだったから。
まあ会ったところで思い出したから嘘ではない、はずである。
「……でも、やるって、やるの?」
グランドの真ん中まで連れてこられれば、本気らしいのはわかるものの。
今の相手はかつての相手じゃない。
恐らく燃やせば死ぬし、刺せば死ぬし、砲弾をぶつければ死ぬはずで。
「さすがに、危なくない?」
口にしたのは友人の命の心配。
加減が出来ないとは言わないけれど、うっかり殺してしまうような事があれば後味が悪い……どころか。
一挙に二人の友人を失うわけで。
勿論。自分が死ぬ可能性もあるので、イマイチ乗り気になれないのである。
■石蒜 > 「やるって言ったらやーるーのー!!」
今更何を確認する必要があるのか、癇癪を起こした子供のように地団駄を踏む。
「あーぶーなーくーなーいー!!石蒜は強いし迦具楽は死なないじゃん!だからいいの!!」
石蒜の記憶にある迦具楽の戦闘能力は、路地裏で戦った時のもの、いくら斬っても手応えがなく、簡単に数千度の熱を生み出せる時のものだ。
それとやり合って平気だと豪語する自信の根拠は無い。子供じみた万能感のなせるわざか。
「来ないならこっちから行くからね!ドロドロになっても倒す方法考えてきたんだもん!」
右手を振りかぶり、振り下ろしながら異能を使って手の中に抜身の刀を呼び出した。
素手の素早さを持った袈裟斬りが迦具楽を襲う。まだ全力ではない、どうにも乗り気ではない友人のやる気を引き出すための手だ。
■迦具楽 >
「えー、そんな風に言われても……」
石蒜は確かに強いかもしれないし、自分もまた簡単には死なないけれど。
それだって、今はもう、お互い本気でやったら死にかねないのだ。
せめてルールや能力を限定しあってやらないと、そう考えていたところに振りかぶられる腕。
「――ちょ、ま!?」
咄嗟に足が動く。
刀が現れた瞬間にはもう、右足が地面を蹴っていた。
――し、死ぬかと思った!
土煙を上げながら背後に数メートル飛びのく。
力の制御も加減もない、本能的に危険を察知しての動作だった。
「……あーもう、わかった。
わかったからちょっと待って!」
どうやらもう既に問答無用らしい。
相手は精神的に幼くなってるとはいえ、子供の相手をするようにあしらえる相手じゃない……だろう。
とすると、最近まともに戦っていない迦具楽としては、どう相手したものかと悩ましい所なのだが。
とりあえず仕方なしと、消費を少なく効率よく使えるものを《検索》してみる。
――ジャージ、箸、スプーン、包丁、皿、鎌、スコップ、如雨露、衣類、靴、S-wing、歯ブラシ、バッグその他日用品etc...etc...
思わず頭を抱えて蹲った。
「うん、ごめん、ちょっと待って。
……ほんとにやる、のよね」
石蒜のやる気に満ちた目を見れば、やめようとも言えず。
そもそも忘れ――先延ばしにしていたのは自分だし、と強くも出れず。
「……何が出ても、怒らないでよね?」
多分今の迦具楽の表情は、非常に苦いものになっていることだろう。
とはいえ、戦えない事もなさそうなのがますます複雑な気持ちにさせてくる。
一応念のため、友人の方を見て確認を取りつつ立ち上がった。
■石蒜 > 「あれ…?」
何か様子がおかしい。どうして今必死に避けたんだろう、斬ってもすり抜けるのに。
「んうー?」
何か迦具楽の性質が変化したのだろうか、もしかして人間と同じぐらいに弱ってしまったのか?
だとしたら人間相手ぐらいに加減すればいいだろうか。まぁやりあっていれば分かってくるだろう、と適当に結論付ける。
とりあえずは相手の出方を伺う。何か悩んでいるようだ。
「やるって言ってるじゃん。何使っても良いからやろうよー!」
待つのは好きじゃない、特に散々待たされた後に更に待たされるのは。
だが今は相手の戦闘能力を見極める必要があるのだ、こちらから飛びかかるわけにはいかない。
仕方なく、地団駄を踏んで刀を振り回し、苛立ちを紛れさせる。
■迦具楽 >
「あー、うんうん。
わかった、それじゃあ付き合うから」
最適に効率化されている道具をリストアップ。
まずは一つずつ、碁石を並べるところから。
印を刻む、数は、まずは十二。
Creation
――《創造》――
両手に皿を三枚ずつ創り出す。
計六枚を石蒜に向けて投擲し、さらに追加で六枚を《創造》、こちらは狙いをつけずに投げた。
強度は通常の皿よりも材質を変えて衝撃に強くはなっている。
それでも刀で撃たれれば簡単に砕けるだろう。
売り物の皿と違うところがあるとすればその材質と、あとは妙な印が全てのさらに描かれているくらいか。
この出費、皿十二枚で120kcal。
「追加で二つ。
一本はプレゼントね!」
手の中に包丁を一本ずつ、二本握って、左手の方を投げる。
コレはかつて有名な刀工が金物屋になって作った業物の包丁――がオリジナルになっている。
本物と違うのはやはり材質と強度に、印が描かれている事。
そしてこの包丁の出費、二本で60kcal。
■石蒜 > 「いよっし!」
とりあえずやる気にはなってくれたようだ。両手で小さくガッツポーズ。
何が出てくるんだろう、当たったらどれぐらい痛いかな?楽しみだ。
迦具楽の手に現れたのは、皿?一気に投擲された6枚を見れば、何か模様が描いてある。
速度と重さを見るに、当たれば痛いが致命傷にはならないだろう。
何かしら仕掛けがしてある可能性もあるが、そういうものは引っかかった上で踏み越えるのが好みだ。知らず、口の端が釣り上がる。「こんなんじゃさぁ!ダメだよ!!」
左手に出した力場で向かって左側の3枚の軌道を逸し、右側は刀を振り上げてまとめて砕いた。
「もっと痛いの無いの?ちょっとぐらいなら怪我してもいいからさぁ!」
全く関係ない方向に投げられた皿は、何か策があると考えて、あえて無視した。
今度は包丁が飛んでくる。台所用品縛りで戦うつもりか?
ただ弾くのでは芸が無い。回転しながら飛んで来る刃の方向に神経を集中し、左手に纏った魔術の斥力で勢いを殺しながら柄を掴みとる。
「要らないよ!お返し!!」
受け止めた勢いで大きく左手を振りかぶり、投げ返す。手を放す瞬間に斥力で勢いを後押ししてやれば、甲高い風切音とともに包丁が迦具楽の右腕をめがけて返ってくる。
それの後を追って低い姿勢で駆ける。無尽蔵に武器が作れる相手に遠距離戦では不利だし、重い一撃を楽しめそうにない。やはり接近戦が最高だ。
刀の間合いまで近づくことができれば、前方に飛び込みながら足元を刀で薙ぎ払うつもりだ。その後は前転したから立ち上がり、背後から追撃するだろう。
■迦具楽 >
「まあうん、そうだよね。
私も今は要らないし」
砕かれた三枚と、そのままグラウンドに落ちた三枚を見届けて、投げ返されてきた包丁は軽く右腕を動かして避ける。
近づいてくるところに、もう一本も投擲。
けれどこれも狙いはつけない。
さらに両手にもう一本ずつ、今度はスコップを二つ。
これまた妙な印が描かれたもので、それを石蒜の進路上に二本とも突き刺し数歩下がる。
スコップ二本で150kcal。
――流石に空を飛ぶのはずるいよね。
そう思いつつ、近づいてくる石蒜を観察しつつ、一つの魔術を準備する。
どれだけすばやく動けたとしても、スコップがあるため少しの間は出来るだろう。
スコップを回り込んでくるならそれでよし、スコップを排除して真っ直ぐ来るならそれも良し。
どちらにせよ、足元や手足を狙うような布石の攻撃をされれば避けるだろう。
けれどその直後は狙い通りに無防備な姿を見せることになるのは確実だ。
■石蒜 > 「石蒜は刀で料理出来るもんね!」
包丁も捨てた。接近戦への備えかと思ったがそうでもないようだ。
包丁にも印、まるで印を戦場に撒いているようだ。
きっと何かの布石だ。大掛かりな、つまりとても効果的な、つまりとても痛い、つまり、とても気持ちいい攻撃の!!
なら邪魔する必要はない、勝つのも好きだが痛いのも同じくらい好きなんだ。むしろ勝つより好きかもしれない。
進路上にスコップが2本、壁のように突き立てられた。
当初の予定は変更して、スコップまであと畳一枚分といったところで姿勢を変える。
体を起こながら横にして、ブレーキをかけながらゴルフのスイングのように刀を振りかぶり。
「第一球~~!」
振り下ろした刀は地面をえぐり、土埃とともにスコップを2本とも迦具楽めがけて吹き飛ばした。
「ホームラン!!」
同時に、振りぬいて勢いそのままに刀から手を放す。巻き上がった土とスコップは目眩ましで、真っ直ぐ飛んで行く刀が本命の攻撃だ。
■迦具楽 >
「そう来たかーっ!」
それは想定外。
けれど、それならこちらから向かえば問題ない。
魔術を発動しつつ、振りかぶったタイミングで迷わず地面を蹴った。
全力で踏み切って真っ直ぐ石蒜の前へ。
土煙が上がると同時に飛んで来た刀は、迦具楽に当たって――そのまま弾かれる。
刀が迦具楽に当たった瞬間、周囲から陶器が割れる音や金属がひしゃげる音が聞こえてくる。
「痛いのが好みだっけ!」
土煙の中を突っ切りながら、石蒜の体温を感知しつつ位置を確認。
蓄積された中から、最も自分に扱いやすい武術を探す。
search load Optimization
――《検索》――《読込》――《最適化》――
適切な間合いに入れれば、接近した勢いに体のひねりを加え右手を突き出すだろう。
それは拳ではなく掌で、相手の全身に衝撃を行き渡らせ大きく突き飛ばす技。
避けられず防がれず完全に命中すれば、コンクリートの壁くらいなら砕ける程度の衝撃が全身に分散して伝わるだろう。
防御手段のない普通の人間なら、死ななかったとしても相当に痛い思いをするはずだ。
■石蒜 > 「あはっ。」
人が驚いた時、考えもしなかった行動を目の当たりにした時の声や仕草は大好きだ。笑いが溢れる。
今度は石蒜が驚く番だった。刀は土煙の向こうで迦具楽に直撃して、弾かれる。なんだよ、やっぱ刀効かないじゃん。
弾かれた刀の軌道を操るために右手の振るおうとしたために、一瞬対処が遅れた。
迫り来る掌、防、腕、ヤバ…!
「あ、は…♥」
ドンッ、と破裂するような音とともに石蒜が吹き飛ぶ。数m吹き飛んで、更に数mほど転がった。
ギリギリで身を捩り、左腕を掌と体の間に挟んで防御することが出来た。それでも衝撃〈カイカン〉は全身を走り抜けて、軽くないダメージを残した。
「あは、あぁ…♥はーっ…♥はーっ……♥♥」
刀を地面に突き立てて、すがるようにして立ち上がる。左腕はだらりと垂れ下がったままで、だらしなく開いた口からは涎が垂れた。
「あり、がと…♥迦具楽、今の、すっごく、良かった……♥もっと、もっとやろうよ。石蒜、ますます迦具楽のこと好きになっちゃった!」
左腕はしばらく使い物にならない、だがこの程度では石蒜は止まらない。また刀を握りだして迦具楽の元へ駆け寄る。
だがその動きは明らかに先程よりも遅くなっている。
「いぃやっ!!」
走りながら振りかぶって刀を投げる。真っ直ぐではなく、向かって右側に蛇行して、横から迦具楽を襲う。
「これはどう対処するかな?!」
刀が到達する直前に、石蒜は姿勢をスライディングに切り替える。
刀が胴を狙い、石蒜が足元を狙う同時攻撃だ。