2016/08/05 のログ
ご案内:「演習施設」に石蒜さんが現れました。
ご案内:「演習施設」に迦具楽さんが現れました。
■迦具楽 > 【先日からの続きです】
■迦具楽 >
「仕方ないわよ、教えてなかったし。
ほら、顔上げて」
ハンカチを《創造》して、石蒜の顔や髪に着いた土を拭う。
このハンカチ一枚、5kcal。
「まあ私も、そんなに沢山友達がいるわけじゃないんだけどね」
痛がるように動いた左腕に手を伸ばして触れながら、魔術を使う。
怪我を治すものじゃなくて、ただ痛みを麻痺させるだけのものだが、何もしないよりはマシだろうと。
「はいはい、私も簡単に負けるつもりはないけど――え、うん、いるけど。
……えっ、なにその凄く限定的な質問。
苗字はサ行で始まるけど、名前は二文字じゃないわよ」
恐らく一般的な女子として、こういう話に食いついてくるのは不思議じゃない、が。
なんとも妙な反応だったために、不思議そうに首をかしげた。
■石蒜 > 「次は気をつけるよ、えーと…サヤが木刀持ってるから、それ使ってさ。当たりどころ悪いと死ぬけど、手加減するからさ。
んぅー…。」
無抵抗で拭われる。特に恥ずかしがったりはしないあたり、誰かに顔を拭われるのに慣れているようだ。
「んー、友達作りかぁ…石蒜はさぁ、もうちょっと増えても良いかもしれないって感じだけど、サヤの友達は急務だよね。
ありがと、骨は…折れてないかな、多分大丈夫。」
右手で触ったり、僅かに力を込めたりして被害を確認する。自己診断のやり方は心得ていた。
「さ、さ行…?二文字じゃないと…えぇーっと……。ちょっと待って……。今石蒜すっごい考えてる、色々。
え、えーっと……男?女?石蒜かサヤが知ってる人?」
石蒜は脳をフル回転させて考える。こんなに考えこんだの久しぶりだ。
共通の知り合いだとするとサ行で始まる名前で思いつくのは二人。
だがそのうち一人は以前はそういう関係ではない、と言っていた。だがもう一人のほうはあまり接点もなく……。
どうしようどうしよう。サヤになんて伝えればいいんだろう。実はサヤでしたみたいな展開を期待しようにもその可能性は速攻で打ち砕かれた。
運動のものとは違う汗を垂らしながら、答えを待つ。
■迦具楽 >
「まあ今度やる時は、武器なりルールなり決めてやろうね。
……ん、よし」
土をしっかり拭ってあげれば、満足気に頷いた。
「それはよかった。
そうね、サヤはもうちょっと積極的に人と関った方がいいかも」
自己診断の様子を見て、問題なさそうだと安心した。
しかし、石蒜の言うとおりサヤには頼れる友人が必要なように思える。
自分じゃ力になれない事も多いだろうし、と。
「なに、どうしたの……?
いやそりゃあ男だけど。
同性愛を否定する気はないけど、私は今のところ興味ないし」
突然難しそうに冷や汗をかきながら考え出す石蒜に、少なからず動揺を見せる。
一体何を悩んでいるのか見当がつかなかい。
迦具楽も鈍くはないものの、まさか友人が今も自分を思っているとは考えてなかった。
迦具楽の中ではあの件は終わった事になっているのだ。
■石蒜 > 「あんまり好きじゃないけど……うーん、迦具楽殺したくないもんなぁ…仕方ないか…。」
何のルールも無い殺し合いが一番好きだが、殺したくも死にたくもない、となるとルールが必要だ。
渋々、といった様子で頷いた。
「自己評価が絶望的に低いんだよね、サヤ。基本的に自分と関わらない方が良いと思っててさぁ。
自分が好かれてるなんて考えもしないから、少しでも嫌われる可能性が出来たら二度と会わないほうが良いって思い込むし……。
迦具楽はねぇ、お疲れ様だよ、良くサヤと付き合ってる。石蒜は時折うんざりしちゃうもん。」
自身がサヤから生まれた存在であり、日常ほとんど一緒に過ごしているせいか、石蒜はサヤの性質について知っているつもりだ。
短所を並べるとあまり付き合いたい人物ではない、だからサヤと辛抱強く付き合い、諭している迦具楽を石蒜なりに評価しているのだ。
「あーうー……あ~。」
男かぁー、じゃあシで始まる人かなぁ~。多分そうだなぁ~~。
こめかみを押さえて眩しそうな顔。この予測を元にどう行動すればいいのか、というかサヤを諦めさせればいいのか応援すればいいのか。
石蒜はしばらく考えて、止めた。難しいことを考えるのは嫌いだ。
「……あのさぁ、サヤってさぁ、迦具楽に片想いしてんだよね。」
めんどくさいから全部言ってしまおう。後は野となれ山となれ。
■迦具楽 >
「そうそう、仕方ない。
お互い死なない程度じゃないと、楽しむどころじゃないからね」
死んでしまっては元も子もない。
ただの殺し合いになってしまえば、遊びの範疇じゃないのだ。
「もうちょっと自信を持ってくれればいいんだけどね。
でもそれだって人と関らないでいたらずっと変わらないし……。
私はほら、そこも込みで付き合おうと思ってるしね」
確かに手が掛かる部分はあるけれど、それも含めてサヤなのだ。
多少困ったところがあるにしても、そこも込みで付き合っていくのが友人と言うものだろうとおもう。
「へえー……えっ?」
と、まさに友人としてのサヤを思っていたところに、まさかの台詞が降ってくる。
今、石蒜はなんと言ったのだろう。
「え、待って、待って?
サヤが私を好きって……いつから?
あの事はえっと、ほら、私が悪乗りしてからかっただけで……謝って終りになった、はずだよね?」
からかうにしても、我ながら酷いやり方だったように思うが。
そこについては決着がついたと思っていたのだ。
そもそも、迦具楽としてはサヤに友人以上の好意を抱かれるような事をした覚えがない。
石蒜の言葉が本当だとしても、心当たりがなかった。
■石蒜 > 「ふぅー……。」
迦具楽はいい人だ、と思う。石蒜が暴走していた頃、優しい言葉をかけてくれたし、その後もサヤに色々と世話を焼いてくれる。
さっきだって石蒜の約束を随分経ったとはいえ果たしてくれたのだ。
だがそれ以上にイタズラが好きすぎる。サヤの片想いのきっかけは、あの首輪の騒動だ。確かに悪ふざけだったことはサヤに伝わった、だが…。
「サヤにとって首輪を渡すのはプロポーズだもん、迦具楽覚えてる?去り際に『首輪が欲しくなったら言いなさい。』って言ったよね。
それってつまりサヤにとってはいつでも結婚してあげるぐらいの意味だよ?でもまだ自分は迦具楽にふさわしくないからって躊躇してたところに、ねぇ………。」
石蒜としても、迦具楽はサヤを好ましく、少なくとも恋愛対象の一人になりえる存在として見ているものと思っていたのだ。
そこに違う相手が出来たとなったら……。
「こないだも、えーと、真乃だっけ、あの暑苦しい人と迦具楽が親しげにしてたから嫉妬しちゃったんだってさ、今はそのせいでうじうじ中。
この暑苦しい時期に勘弁して欲しいよね。」
めんどくさそうにため息。どうしてこうなってしまうのか。石蒜は畝傍と毎日楽しく過ごせればそれでいいのに、サヤが厄介事を持ち込んで来る。
■迦具楽 >
「あー……そっか、そうよね……。
いやあ、冗談のつもりだったんだけどなぁ」
浮かぶのは苦笑い。
あの話の後でそんな事を言っても、まさか真に受けられるとは思っていなかったのだ。
「なるほどねえ、サヤの様子がおかしかったのってそれでかぁ。
でも、親しげって普通に友達の範疇だと思うけど……随分と嫉妬深いのね」
と、額を押さえてため息をついた。
とはいえ、今の問題はそこじゃない。
いや、そこもわりと大きな問題ではあるのだろうが。
「私も、サヤは嫌いじゃないわ。
うじうじしてて面倒で、凄く手が掛かるけど……やっぱり放っておけないし。
けど、そういう対象として考えた事はなかったわ。
少なくとも、これまでは一度も、考えた事はない」
ここははっきりと言ってしまおう、と。
きっと後でサヤが酷く落ち込むだろうと思いつつも、曖昧にごまかすよりはマシだろうと思った。
■石蒜 > 「うーん、元々嫉妬深いんだけど、剣の腕が落ち始めてからちょっと打たれ弱くなってたのもあると思う。
まぁ色々重なって逃げ出したから、迦具楽達が悪いわけじゃないよ。サヤの問題が大きいね。」
ふぅ、とまたため息。ここのところ立て続けにサヤは問題を抱えている。
そして今これまでで最大の問題が生まれたわけだ。軽くめまいを覚えて目をきつく閉じて、開ける。
「わかった、上手く友達に戻れればいいんだけどね、石蒜から上手く伝えておく……あー、もう、こういうの石蒜の柄じゃないんだけど!
なんで石蒜がサヤの失恋の世話しなきゃいけないの!石蒜は楽しく遊んでたいだけなのにー!!」
上手く伝えるといったってどう伝えればいいのか、苛立ちのままに髪をかきむしる。
■迦具楽 >
「剣の腕が、ねえ。
落ち込むのも逃げ出すのも悪いとは思わないけど……ああえっと、私がいう事じゃないか」
ごめん、と、苦い顔で石蒜に頭を下げる。
本当は本人に言うべきなのだろうけど、嫉妬して逃げ出したって言うなら、出てきてくれないだろう。
けれど、石蒜が失恋をどうこうといい始めれば、また首をかしげた。
「うーん……サヤが私の事を好きでいるのは構わないんだけどなぁ。
でもちょっとの事で嫉妬されちゃうような状況だと、流石に困っちゃうし。
サヤとしてはやっぱり、私と恋人になりたいとか、いずれは結婚したいとか思ってるのよね」
この話からそうなのだろうと思いながら、念のために聞いてみる。
迦具楽にも好きな相手はいるものの、その相手と恋仲になりたいと思ってはいないのだ。
例えば妹とかペット扱いで、例えば友達で、ある程度近い距離で一緒に居られれば、それでいい。
迦具楽自身は、その相手が幸せでいてくれればそれでいい、という考え方なのだ。
というのも、最後、幸せに死ぬ直前に、最も美味しく熟成した魂ごと食べてしまえば、取り込んだ魂とずっと一緒に居られるという怪異らしい考え方があるからなのだが。
それもあって、サヤの嫉妬心や独占欲めいた部分が理解できないのかもしれない。
「……やっぱり、サヤには諦めてもらって普通に友達として付き合えるようになるのが、一番なのかしら。
でも、そう都合よく上手くは行かないわよね」
どうしよう、と。
石蒜と向き合ったまま頭を抱えた。