2016/08/13 のログ
ご案内:「訓練施設」に糸車 歩さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」に滝川 浩一さんが現れました。
滝川 浩一 > (やっっっべぇ~…めっちゃハードル上げられてる!こ、ここは一つ、何か面白い芸でも披露しないといけない奴じゃん!?)

荷台に寄りかかってる女性の声を聞き、冷や汗をかいて、掌も汗で湿らせる。
実際、自身の異能はそう見栄えがいいものではない。
試験でもなんでもないのに緊張感が増し、それを落ち着けるために深呼吸をすると真剣な眼差しになる。

右足を踏み込み、足先の向きを少し変えると部屋の中一帯に青い粒子のような光が出現する。
明るい部屋だからそう目立ちはしないが、暗い部屋ならとても幻想的な雰囲気を醸し出すであろうその青い光は、まるで蛍のように各々が自由に空間を泳いでいる。

そして、呼吸を一つすると右手に光が集中し、それは拳銃の形を作ると閃光を放ち、次の瞬間には少年の右手には拳銃が握られていた。

糸車 歩 > 「おおー、急に部屋が青く……」

周囲を見渡し、部屋の中を満たす青い粒子の光を興味深そうに眺める。
そして、青い光が少年の右手に集い。ピカッと光が閃けば眩しそうに目を細めて。
それがおさまった後、少年の右手に、今までどこにもなかった拳銃が握られているのを見ると、おお~と小さく歓声を上げ、ぱちぱちと手を叩いた。

「わ。急に銃が出てきたよ。見た感じ模型じゃなさそうかな、実弾入ってる?
転送術みたいな出し方だったけど、それが君の力なのかな」

さきほどの光の粒子が集まって実体化したことを考えると、粒子に変えて移動させるタイプの物質転送術かな、と考える。
もしもそうならばそこまで珍しい力じゃない。異能もそうだし、魔法でもそういうことはできる。

滝川 浩一 > 「い、いや…自分の家は拳銃を買ってもらえるほど物騒でも金持ちでもありませんよ。

でも、こいつは本物です。実弾も入ってると思いますよ。」

苦笑いして女性の方を向くと、そう補足を入れておく。
彼自身、普通の田舎の出身で族や「ヤ」のつく集団とは無関係である。
そうして銃をわかりやすく示すと、目の前の的に向かって構える。

呼吸を整え、目と銃の上部にあるサイトを一直線に合わせると引き金に指をかけ3発ほど的へ向けて発砲する。
弾丸は最初の二発は的に命中するが、最後の一発が的から逸れ、奥の壁へと突き刺さる。

滝川本人は、銃声と発砲した反動にまだ慣れない様子ではあるが前ほどは驚いてはおらず、引き金から指を離し銃口を下に向ける。

糸車 歩 > ぱん、ぱん、ぱんと連続して発砲音。
少女が一瞬遅れて首を回し、的を見れば、丸く描かれた線内に2つの穴。
残る1発は何処なのか目を凝らすと、的よりも少し離れた壁に凹みがあり、弾の一部が覗いていた。
少年の様子を見ると、反動で腕が大きくぶれていることを除けば射撃の腕はなかなかのものである。
完全な初心者なら、数発程度ではなかなか当たらないものだ。ここに至るまで練習を重ねたのだろうと推察する。
しかし、普段から銃を携行しているわけじゃない、または別の場所に保管しているわけでもない。
そもそも、今の彼の発言。“実弾も入ってると思いますよ”
なぜ、“入っている”ではなく、“入ってると思う”なのか。

「んー、別の場所から持ってきたわけじゃない?
もともと持ってなかったってことは……もしかして」

首を傾げ、頭の中にポン、と現れた可能性をつかみかける。
いや、あり得ないわけじゃない。そういう異能があっても不思議じゃない。

「その場で何かをつくる異能、かな。
すごいねー、材料はさっきまでこの辺に漂ってた青い光の粒かなぁ」

両手で、わっさわっさと宙を掻くが、そこには当然ながら何も見あたらない。
はずみで、そう強く主張していたわけでもない2つのカウンターウェイトが、両腕の間でゆさりと揺れた。

滝川 浩一 > 「そうらしい…です。その場で何かを作るってのが俺の異能だと思います。」

手に持ってる銃が銃口から先ほどの青い光となって消えるとまた空間に漂い始める。
『らしい』と発言したのは、実際のところ、彼自身はその異能の特性や性能、制約をすべて把握してないからだ。

「青い光の正体も実際のところわかってません。何しろ、そう頻繁に使う異能じゃないので…」

頬をかき、彼女の方を向き直ると丸い二つのそれがちょうど揺れてる光景を見て
顔を赤くしながら的に向き直り、深呼吸する。

糸車 歩 > 先程弾を放ったはずの銃が、また青い光に溶けていく。
その様子をじっと見つめていたが、感心したように息を吐いた。

「ふんふん、でもじゅうぶん面白い異能だよね。現れたものをまた消すこともできるなんて。で、青い光はまた別の何かを創れるのかな。
わざわざ持ち運んでかさばることもないし、思いつくままやればいろいろできそう。野外学習とか、サバイバルとかやると重宝しそうだけど……
そういえば、食べ物や飲み物はどうなるの?」

これが可能なら、完全な自給自足も夢じゃない。
叶わなくても、現時点でも一種の永久機関かもしれない。創造と還元、再創造ができるならば。

「さーって。すごいものを見せられちゃったし、ここで私も……って言えればいいんだけど。
私の力、その場ですぐに何かを取り出せるとか、つくれる能力じゃないのよね。
かといって、誰かと戦うときに活躍しそうなものでもないし」

どうしようかな、と首をひねり悩むのだが、あまりいい考えは浮かんでこなかった。

「……そうだ。
モンスター駆除のバイトがあるのだけど、もし時間があれば、一緒に行ってみない?
ルインワームっていう大きな虫を退治するらしいのだけど、そこでなら、私の力も発揮できそうだと思うのよね。
あ、もちろん忙しいなら無理にとは言わないけど」

終わりの方は遠慮そうに言いながら、ちら、と上目遣いに少年を見る。
先程自分の方へ視線が行き、顔を赤くしたのを確認した。性格には首から下へ目が動いたあたり、やっぱり男の子だなぁと微笑む。
この手のやり方はある程度効果があるらしい。上目遣いついでに、両腕を寄せてみよう。
ネクタイを挟み込んだ双丘が、ブラウスを押し上げんばかりに主張しだした。

滝川 浩一 > 銃を持っていた方の手の掌を見て、その上に青い光が降ってくるとそれを握り潰す。
もう一度手を開くと青い光は消えており、それに連鎖するように周囲の光が消え、幻想的な風景は一気に無機質な訓練施設の一室の風景へと戻る。

「サバイバル…ですか。確かに、無人島でもこの異能があれば余裕で何年か暮らせそうですね。それどころか生活一日目で脱出できそう…。

あぁ、食べ物と飲み物なんですが…現状のところ、両方とも不可能です。
生成しようとしたんですが、何か…変なものが出来上がってしまうんですよ。」

虚ろな目になりつつ、そう発言する。
既に試したのかその表情から何が出来上がったのかは読み取れないだろうが、良からぬものが出来上がったというのは容易に想像できるだろう。

「ルインワーム?」

モンスターという単語や聞きなれない生物の名前を聞いて、そう疑問符を浮かべる。
あぁ、そういえば購入した生物の本にそのような虫がいたような…。

「自分で良ければ同行しますよ。時間なら腐るほどありますし、特に予定もありませんよ」

この女性の本領が見たいというのと、自分も実戦に近い環境で異能や戦闘能力を鍛えたいという様々な理由があって、そう首を縦に振って快諾する。

(余った時間はすべて勉強やトレーニングに費やすつもりだったし、何よりせっかくの他人からの誘いだ。乗らない手はない。
……というかそんなバイトあるのか…)

改めて言葉の異常さを確認すると頭を抱え、少女の方に顔と体を向ける。
上目遣いをしている少女と腕によって寄せ上げられ主張されたそれを見て、顔が真っ赤になる。
即座に視線を逸らし見なかったふりをするが、目線が自然と少女の胴体に行くため全く誤魔化しきれていない。

糸車 歩 > 青い光は、先程から見る限りでは、どうも少年の手の動きで出し入れするようだ。
何とお手軽な能力と、素直に感心する。

「一日目で脱出、そこまでできちゃうかー。
そういうってことは、人が乗って浮かべるサイズの筏も、作れるってことよね。ホントにすごいなー。
……あ、やっぱり口に入るモノは駄目かぁ。というか、試したことはあるんだ。
なんか、顔色がよくなさそうだけど、変なトラウマ掘り返しちゃったりしたら、ごめんね?」

受け答えをする彼の目は虚ろで、表情もどこかおかしい。名状しがたき物体Xでも生みだしてしまったのだろうか。
やはり世の中、そう都合良くいかないものなのかもしれない。

けげんな表情で、オウム返しに訊き返されると、少女はこくりと頷く。

「そう、蟻みたいなおっきい虫。
夏の間だけ入れる海底遺跡に、異常発生してるらしくてね。アルスマグナ先生が、遺跡の調査と害虫駆除を募集してるの。
もちろん、お給金は出るそうよ」

少年から快い返事が返ってくれば、ホント、と目を輝かせた。
露骨な胸元アッピルの効果はあったのだろうか?

「やった、蟲の駆除はやりたかったんだけど、それとは別に目的があってね。
人手が必要だったのよ。戦闘訓練にもなりそうだし、当日はよろしくね?
バイトの期限は今月末らしいから、準備ができたら連絡してくれると嬉しいな」

はいこれ、と連絡先を書いたカードを少年に渡し、ウィンクをする。
そこにはメルアドと、“糸車 歩”の文字。住所はなぜか見当たらない……

滝川 浩一 > 「は、はぁ…今月末、ですか」

カードを受け取り、少女にウインクにドキッとすると即座に視線を逸らす。
カードをあまり見ずにポケットに仕舞うと、自分も連絡先を渡そうと胸ポケットに入れてたメモ帳とペンを取り出して自身の名前、メールアドレス、そして電話番号を記入して少女に手渡す。

(しかし、昆虫退治か。巨大蟻なんて、ドッキリ動画や未確認生命体発見!みたいな作り物のフェイク動画でしか見たことないぞ…
駆除する前日とかにその蟻について多少調べた方がいいな。
あとどのような攻撃が有効なのか…)

そう顎をいじって、考え事をする。
どのような武器が効果的か、どのような方法で敵の攻撃を防御するか。それらの策を当日までに練らなければいけない。
それに少女の別の目的が気になる。
彼女は何を考えているのだろうか…そう思いつつ少女の顔をジーッと見る。

糸車 歩 > 少年からカードをと渡されると両手で受け止め、大事そうにポケットへ。

「ん、ありがと。
これでいつでも連絡取れるね」

少年が真面目に対策について考えるころ。
歩は明後日のベクトルに思考を走らせていた。

(それにしてもルインワーム。情報のかぎりだと通用の虫と同じく硬い甲殻を纏っている、雑食で魔素なども食べるという事。
……どんな味がするのかしら。海に近いから塩味はしそうだけど)

蜘蛛の本能がうずく、貴重な資源はなるだけ摂取しなければならないと。
無意識に口の端から小さな赤い舌が出て唇をなめ、またすぐに引っ込んだ。

それに、摂取するにせよしないにせよ、ルインワームの死骸は素材として色々と有用な気がするのである。
ある程度確保するために、頑丈な網でも持っていくべきか。
そこまで考えて、自身に向けられる視線に気づき、小さく笑みを浮かべる。

「さて……そうと決まれば、アルスマグナ先生に連絡して、遺跡の注意点を含めた事前講座を受けてこなければいけませんね。そちらは私がまとめておくけれど、浩一君もひと通りは調べるつもりでしょ?」