2016/08/17 のログ
ご案内:「訓練施設」にセシルさんが現れました。
セシル > 「………参った」

「オボン」という風習の関係で、帰省者が増える間、セシルは穴埋めの警邏に邁進していた。
結局、帰省者が増える分歓楽街の警邏は平和そのものに終わっていたのだが。
そんなこんなで、夏期休業中久々の非番。
課題の残りをほとんど片付けて、いざ鍛錬と訓練施設に乗り込んだはいいが…
正直、やり過ぎた。
ロビーで流れるニュースでも、遅い時間は台風に注意と言われていたのに…

まさに外は真っ暗、おまけに雨と風が吹き荒れる惨事だった。

セシル > そんなに遅くまで張り切るつもりもなかったセシルは、傘を持ってきていなかった。
いや、そもそも、外の風雨の状況では傘が役に立つかどうかも怪しい。

「………ここの気候は、本当に荒々しいな………」

冷涼で、四季はあるものの冬の寒さ以外は穏やかそのものな気候の地域に育ったセシルには、夏の暑さも、「台風」とやらの風雨の激しさも、魔術の介入無しというのが信じられない代物で。
窓から外を眺めて、茫然とするしかないのだった。

セシル > (…しかし…どうにもならんか…)

セシルの異能は一瞬で「駆け抜ける」というものだ。
それを使えば雨の中を走る時間は短く出来る………ように思える、かもしれない。
異能が発現したばかりの、子どもの頃のセシルもそれを試みたが…結果は、散々なものだった。
確かに時間は短縮出来るかもしれない。しかし…実際のところ、セシルの異能を使って「駆け抜けた」場合、駆け抜けた距離の雨を、一瞬でその身に受けることになってしまうのである。

故郷の雨ですらびしょ濡れで帰る羽目になったのだ。この風雨の中でどうなるか…セシルは、あまり考えたくなかった。

(…あの時は、それをきっかけに異能と斬撃の組み合わせをおじい様と2人で考えついたから良いが…
こちらには、そこまで親しく話せる者がまだおらんからなぁ…)

踏ん切りがつかず、「む…」とか呻きながら窓の外を見つめている。
風雨は、その勢いを増していくことこそあれ、弱まっていくようには見えなかった。

セシル > 「………ええい、仕方がない」

思い切ったように立ち上がる。

(とりあえずは、最寄りの店でレインコートを買って…だな。走るぞ)

鍛錬のために散々通った甲斐あって、この辺りの地理は把握している。
訓練施設の出入り口の扉を開けると、セシルは一目散に駆け出した。

べたべたに濡れた上着とレインコートが貼り付いて不快極まりなかったとか、それで耐えられなくて上着を脱いで帰ったとか。
水で透けたシャツから胸筋サポーターもといスポーツブラが透けてえらいことになっていたとかは、別の話である。

ご案内:「訓練施設」からセシルさんが去りました。