2017/04/12 のログ
■スノール > 更に巨大化し、天を覆う偉容と化した魔狼の踏み込みが大地を抉る。
宛ら破城槌を地に撃ち付けたが如き一撃は、衝撃の烈波を生み、それは一陣の颶風となって一面の土煙を吹き飛ばす。
果たして、全容が再び顕わとなったその舞台。
竜人の姿は……その、踏み付けの更に内側。
巨躯になればなるほど、当然、懐の内……間合いの内は広くなる。
それこそが、巨体の弱点にして致命。
竜人が吼える。
その咆哮と共に、今度は自らの口角から溢れた血が大地を汚し、即座に隆起して即席の足場となる。
隆起する大地を踏み台に大きく竜人は跳躍し、至るは魔狼の僅か頭上。
即ち、死角。
落下と共に振り降ろされるは、稲妻纏う蒼剣の一撃。
全身全霊、乾坤一擲の斬撃。
■オルファ > ――……~ッ!!
(いかに巨躯であろうとも――死角から不意を突いた一撃が効かないはずがない。スノールがまさか「上から攻撃を仕掛けてくる」とは思っていなかった狼は、乾坤一擲の強烈な一撃を貰ってしまった。魔力と体力があってこその巨大化だが、その姿を維持することができなくなってしまう。)
まだ……まだァ……!!
(体中の至るところから血を垂れながしつつも、狼は隆起した筋肉、スノールとほぼ互角の大きさをギリギリで維持しつつ、その懐へ飛び込まんと地面を蹴る! 土煙の中、ダメージを受けてないかのような身軽な動きでスノールへと迫り――固めた拳を腹へと叩き込もうと!)
■スノール > 刃は通り切らず、狼を戦闘不能足らしめるには至らない。
ならば、幾度でも斬り伏せるのみ。
満身創痍も構わず駆け寄ってくる狼に、合わせるように竜人も駆ける。
蹴足は地面に沈み込み、音すら置き去りにして、一気に互いの間合いを詰め。
大地を抉りつつ、身を捻り、急制動。
蹴爪により大地は抉り取られ、再び粉塵をまき散らしながら、その土埃と共に雷刃の横薙ぎ一閃が狼に迫る。
最早互いの体躯は互角。
しかし、得物は拳と剣。
ならば、間合いの理は剣にある。
拳が至るより先に、斬り伏せるのみ。
■オルファ > ぐ、ぅぅ……っ……!!
(やはり、先に切っ先が届くのは己の拳ではなくスノールの剣である。雷を伴った切っ先が狼の鋼のような肉体を容赦なく貫き、抉る。だが、狼も負けてはいない。怯んだらその場で連続で攻撃を畳み込まれて立ち上がれなくなるだろう――だから、牙を噛み締めて堪える。握り締めた拳をスノールの顔面へと勢いよく振りぬきながら、スノールにタックルするように、接近戦――押し合いへし合いを挑もうとする。)
は……ぁ……っ……! はぁっ……!
(しかし、ここで流石の狼も限界か――息を荒げ、顎を上げ、スノールより、やや小さい元の体躯へと戻ってしまう……)
■スノール > 間合いの差は明白。剣と徒手では然も在らん。
拳よりも遥かに早く到達した斬撃は、稲妻と共に狼の身を抉り、切り裂く。
しかし、なおもただ、切り裂かれながらも前へと進む狼。狙いは竜の顔面。
変わらぬ、肉を斬らせて骨を断つ一手。
だが、それは……先程も見た一手。
拳の間合いに迫る狼。
対する竜人は、両手を剣戟で埋めた以上、拳は返せない。
しかし、その間合いにて、竜人は勢いよく身を捻りその一撃で応えとする。
竜人であるからこそ、打てる一手にして奇襲。
その竜人の背後。
鞭の如く撓った尾による、横薙ぎの一撃。
矮躯へと変じた狼へと迫る。
■オルファ > (拳を突き出してスノールに当たると思った瞬間――)
が、っふぅっ……! っぐ……!
(しなやかで太い尾がカウンター気味に頬を殴った。首が吹っ飛びそうなほどに後ろを向き、ビグッ、ビグッ!と全身を震わせた。崩れ落ちると誰もが思うかもしれない一撃――しかし、)
はー……っ! はー……ッ……!
(狼は息を荒げながらも立っていた。ボロボロの満身創痍にも関わらず目だけはギラギラと竜人を見据えていて。その顔面へ拳を振るう――だが、それは限界を超えていた。スノールの頬を、パチン、と弱々しく叩いたかと思うと、彼にもたれ掛かるように崩れ落ちる――)
■スノール > 弱々しくも、その身に届いた拳を確と狼の身ごと受け止め、瞑目。
竜人は剣を腰に納め、崩れ落ちた狼を舞台の脇まで丁重に運び、そのまま寝かせる。
決着がついた以上、闘争もここまで。
呪文を唱え、地精による体力の回復を狼へと施して、竜人は踵を返した。
■オルファ > (丁寧に運ばれ――体力の回復の呪文を施された。は、と目が覚め――)
オイ待てコラぁ……っ……!
(上半身を飛び起きさせながら叫ぶも、あまりのダメージに頭がくらくらするのか手を額に当てて、脳震盪を堪えて……)
テメェ、次会ったら覚悟しとけよ! 次は、俺が勝つ!!!
(びしっ!と指をスノールへと向けて叫んだ。負け犬の遠吠えのようなものだが――牙を見せて微かな笑みを含めて言う。戦闘狂の狼がここまで戦ったのは今日が初めてのことだからだ)
■スノール > 狼の声に、少し驚いた様子で竜人は振り向く。
回復速度が尋常ではない。それは、正しく戦士としての誉れである。
身体ごと竜人は狼に向き返って、口角を吊り上げる。
竜人に、この地の言葉は分からない。
だが、意が通らずとも、威は通る。
狼の威に応えるように竜人も一度、納めた剣を抜いて天へと向けて構える。
戦士に向ける礼。意が通らずとも、それは構う事ではない。
笑みには笑みを。不敵には不敵を返して、満足気に、竜人はその場を辞した。
ご案内:「演習施設」からスノールさんが去りました。
■オルファ > ……ヘッ、次は……ぶっ飛ばす……
(スノールもどうやら満足だったらしい――ということがわかった。満足げに笑う彼を見て、はて、あいつの名前はなんだろうか――と疑問に思う頃には、再びダメージに負けて地面にぶっ倒れていた)
ご案内:「演習施設」からオルファさんが去りました。