2017/04/15 のログ
■クロノ > (彼の研究中らしき様子を見守っていたら、此方に気付いたようで手を挙げてくれた。男の子はそこでやっと扉を開けて、準備室から訓練室内へ。屋内では基本的にバッテリーか有線電源駆動の男の子は、訓練室に入ったところで脇腹からガラガラと電源ケーブルを引っ張り出し、壁のコンセントにプラグを差し込む。)
… 外部電源が接続されました。充電を開始します。
(ロボットらしい独り言をぽつりとアナウンスして、改めて彼へと振り返って歩み寄る。)
… やぁ。ニコラス、久しぶり。だいぶ慣れてきたみたいだね。 … 訓練の調子はどう?
(座っている彼と話しやすいようにロボットも近くにしゃがんで、相手の手元を見る。いつか話していた彼の腕前とやらを、今日はちょっとだけ拝見できそうな感じに男の子の声は嬉しそうだ。)
■ニコラス >
(充電を始める彼を見て、改めてロボットだと思い知る。
呟きにおお、と声をあげた。)
それなりには、な。
珍しい弓手に入れたから使ってみたんだけど、使いやすいわ。
こっちの技術ってのはすげーな。
(近くに置いていた弓を軽く引いてみる。
弓がしなると同時に滑車が回転し、弓を引く力が少なくて済むこの機構は故郷では見なかったものだ。)
ところでクロノは何しに来たんだ?
(再び弓をおき、改めて矢へ式を書き込む。
自分が使うのは物へ式を書き込みそれに魔力を込めて発動させる、ルーンのようなものだ。
故郷で一般的だった魔術に近いものだったので、一番理解しやすかった。)
ご案内:「訓練施設」からニコラスさんが去りました。
■クロノ > (充電開始のアナウンスに感心されて、男の子は「仕様だから、自動的に言っちゃうんだー」と、ちょっと恥ずかしそうに短く微笑む。)
…ふふふ。そっか。それは良かった。よく馴染むといいね。
(新生活も、新しい弓も。最近の彼が順調に過ごせていると聞けば、嬉しそうに頷く男の子。自分のことを尋ねられると、おでこのインジケータを点滅させながら、無表情で数秒間、思考処理。)
──── ……ん、と。僕も、少し、練習…? …弓じゃなくて、拳銃…だけど。
(医師であり養護教諭であり、また公務補であるロボットの男の子は、そもそもは人社会の生活を豊かにするための家電製品。そんな男の子が銃の訓練、というのは、普通に考えたら不似合いなもの。彼が目の前で矢に何かを書き込むのをしみじみ眺めて、「…器用だね。」と感心しきり。使っている道具は特段稀少なものでも無さそうだけど、機械である自分が同じペンを使って同じ矢に同じものを書いても、きっと何の効力も無いんだろうなー…、とかちょっとしょんぼり。)
ご案内:「訓練施設」にニコラスさんが現れました。
■ニコラス >
前のと引いたときの感覚違うけど、慣れたらこの方が楽だと思うんだよな。
(弦を引いたり戻したり。
力が要らない、特に保持している時は格段に楽だ。
部品が多いから耐久性が少し心配だが、乱暴に扱わなければ大丈夫だろう。)
銃?って、あれだよな。
火薬で弾を撃つ……。
(故郷にはなかった武器だ。
その拳銃とやらが入っているらしいケースをまじまじと見る。)
■クロノ > …そっかぁ。負担が少ないのはいいことだよね。弓も……色々あるんだね。
(アーチェリー部とか弓道部とかが使っているのと、携行性に定評の小柄なボーガンくらいしか見慣れた事の無かった男の子は、彼が弦に触れて弓が動く様子を興味津々に見守る。)
…ぅん、そうだよ。異能とか魔術が当たり前のこの街に来て、そんな中で僕は、残念ながらそういうのは無縁な存在だから。 …万が一の事態になったときに、学校の生徒とか先生とか、ちゃんと逃げ延びられる時間を確保するくらいでもいいから、僕にも何か備えられないかな、って。
(そっと、手元のアタッシュケースを下ろして開き、中から小さな拳銃を取り出す。もちろん弾もマガジンも入っていないし、セーフティロックもかけてある。訓練に使うのは、金属製の実弾ではなくゴム製弾頭の、練習用のもの。)
…僕は機械だから、練習しても上手になることはないけどね。僕の身体や銃が年月と共に少しずつ古くなっていく中で、それぞれの性能の変化特性について、僕がいつでも設計通りの性能を維持できるように、学習と補正をしなきゃいけないから。
(長い年月を経る中で、同じ鋼鉄の身体と銃とが劣化していく変化を知っておく。もちろん、自分の機体も銃もちゃんとメンテナンスはしているから、どちらも製造から100年を超えても元気に現役だ。)
■ニコラス > 色々あるぜー。
同じ素材だけで作ったやつとか色々使ったやつとか。
長いのと短いのでも使い道違うし、和弓?もまた違うらしいし。
(元の世界でも色々あったが、こちらの方が素材も種類も段違いに多い。
一応仕事道具なのでそれなりに詳しいつもりだったが、お陰で色々覚え直しだ。)
そうか、機械だもんな。
先生も大変だな。
(彼は見るからに戦闘用ではない。
それでも限定的とは言え戦闘のことを考えなければいけないのだから、先生という仕事も大変な仕事なんだなと改めて実感する。)
それは、新しいやつを買う訳にはいかないのか?
銃の事はよく知らねーけど、やっぱ新しい方が性能とかも良いんだろ。
(取り出された銃を珍しそうに――実際自身にとって珍しいものだ――眺めながら。
弓と比べてかなり小さいが、無機質な感じがする。
それだけに人の命を奪うものという感じが強く感じられた。)
■クロノ > ふぅーん…弓の世界も奥深いんだね…そりゃあ、使う場所や状況、標的が色々なら弓も矢も目的に合わせて変えなきゃだもんね。それにここだと、さらに魔術との掛け合わせも千差万別…、かぁ。
(立って静止して射るのと、馬に跨がりながら射るのと、あるいは携行性重視のものとか、色々あるんだろうなー、と。)
…んふふ、ここに来る前は、大きな病院に所属する外勤の医師で…それこそ、内乱の前線とか、被災地での応急救護を専門にしてたからね。時々、この子にも救われたよ。 …使わなければならない状況にならないのが、一番幸せなんだけど。
(人の手で、人のために作り出された道具として、出番が無い方が幸福…とは皮肉なものではあるけれども。)
…僕は、医師だよ。人も、機械も治すお医者さん。…だから、もっともっと性能の良い新しい銃はいっぱいあるけど… …僕は、人を殺す、傷つけるために造られた機械じゃない。だから、そこまでの性能のものは…必要に迫られるまでは、持ちたくない、な。
(一応、市街戦の街中ではライフルを担ぎながら怪我人を救護したこともあったけど、と苦笑いして。それでも、彼の言葉には少し寂しそうに、でも優しく、そっと銃を手に握ってみる。慣れた手捌きでカチャカチャと素早く小さな拳銃を扱う様子は、その機体や手指の機械らしさもあって、冷徹な殺傷機械にも見えるか。)
ご案内:「訓練施設」にニコラスさんが現れました。
■ニコラス >
その辺は銃と同じだと思うぜ。
ライフルとかショットガンとか、色々あるんだろ。
(遠距離武器なので多少は勉強をしたのだが、入手するのは諦めた。
撃ってみたい気持ちはあるのだけれど、弓よりも尚命を奪う道具と言う印象が強かったから。
実際に拳銃を見たことで、その気持ちは強くなったし。)
野戦病院、ってヤツか。
――そうだな、そんな事無いのが一番だ。
(戦争を経験した事は無いけれど、それに近い事の経験なら多少ある。
ああいうのは無い方が絶対に良い。)
ああ、そうか、そうだよな。
悪い、考えてなかった。
(銃は命を奪うもので、医者は命を救うもの。
であるなら彼の言うとおりだ。
人の命を奪うための性能を良くする必要などどこにも無い。
最低限の自衛のための性能だけあればいいのだから。)
■クロノ > …ぅん、そうそう。…っははは、詳しいね。
(弓に限らず、遠距離用の飛武器系が彼のお気に入りというかこだわりなのだろうか。彼の口からすらすらと出てくる名詞に、男の子は感心しつつ、純粋だなぁ、とも思ったり。)
… そう、それ。慢性的に人手不足で忙しかったし、何より機材も医薬品も供給が滞って乏しかったし、衛生状態も良くないから…出来ることは限られたし。
(そんな極限の状況下でも、だからこそ、必要なときに必要な性能を発揮できる…可能な限りシンプルな構造で故障が少なく、応急修理が容易な…最新鋭ではなく旧型の身体と銃が役立った、と静かに笑う男の子の声音と表情は、穏やかでのんびりしているけど、その奥深くには数え切れない苦難と無数の死を見届けてきた、おおよそ16歳らしからぬ気配。)
…ぅうん、気にしないで。実際、身体も新しいのに取り替えたら?とかよく言われるんだけど…この子も、僕の身体も、ずっと一緒だと、なんだか愛着湧いちゃって、ね。
…それで、今日はこの大切な相棒と、調子を確かめる肩慣らし、ってわけ。 …でも、この間話してたニコラスのお手並みが拝見出来るなら、僕はぜひ見てみたいな。
(そう言って、目の前の彼に戻した視線の眼差しは、普段通りの、ちょっとのんびり屋さんの養護教諭少年のもの。)
■ニコラス >
いやまぁ、職業病っつーか。
(銃と言うものがあると知って真っ先に色々調べたのだ。
弓から持ち帰る事も考えたのだけれど、先の理由意外にも入手するには色々手続きが面倒そうで諦めたけれど。)
――あぁ、良いぜ。
どっちにしろ矢の式も確かめてたかったし。
(暗い話題はあまり得意じゃない。
だから敢えてそこに返事はせず、明るい声を出して立ち上がる。
矢に込める魔力の量で曲がり具合が変化するように変えたものの、どのぐらい込めればどのぐらい曲がるかはまだ把握していない。
とは言え式を弄ったのは自分だし、大体の目安は分かっている。
先ほどと同じように壁の横を高めに狙い、魔力を込めて矢を放つ。
先ほどよりも素早く放たれたそれは、先ほどと同じように高めから曲がりつつ落ちてきて、的の端ギリギリに突き刺さった。
続けて込める魔力量と曲がり具合を確かめながら二発、三発と撃つ度に、矢は少しずつ中心へ寄っていく。)
■クロノ > (弓でさえ腕の立つ彼が銃に持ち替えたら、そりゃあきっと魔術も掛け合わせて鬼に金棒…なんじゃないかと思ってもみたり。実際、自分が対霊体怪物戦で扱った弾丸も、聖書の福音が小さく刻まれた純銀製弾頭内部に聖水を充填し、特殊弾薬を用いた高価なものだった。矢に魔術式を手書きしている彼がお手製で弾丸に魔力を込めるのも、きっと不可能ではないのだろう。)
…わぁ…。ぅふふ、ありがと。
(彼の快諾に、男の子はちょこんと的の方に向き直って座り、彼の後ろ姿と、遮蔽板をかわしながら…回を重ねる度に、徐々に中心に攻め入っていく矢が的に突き立つのを見守る。)
…かっこいー…。
(緊張感が張りすぎるでもなく、程よく手慣れていて、それでいて試行錯誤しながら矢を射る彼の後ろ姿。しゅっと空を切って飛んでいく矢が描く放物線と、その先で矢が的に突き立つ瞬間の、短い独特の音。)
──── ……ね、ニコラス、僕も…弓…やってみたい。…いぃ、かな。
(彼の後ろ姿を見守っていた男の子が立ち上がって、少し離れた先で立つ彼に、興味津々、やる気満々のニコニコ顔で尋ねる。)
■ニコラス >
(正直魔術は精度も速度もまだまだだ。
下手に併用するより、フルオートでばら撒いた方がよっぽど便利だろう。)
そんなに大したこと無いと思うんだけどな。
長くやってるだけだし。
(とは自分で思っているものの、実のところ結構誇って良い実力ではある。
特に構えてから狙いを付けて放つまでの速度は中々のものなのだが、いかんせん自覚は無い。)
ん、いいぜ。
ほい。
(そう言って彼に弓を渡す。
自分は使っていない照準器の使い方や弓の握りとか矢の番え方などを簡単に説明し、コンソールを操作して壁を下ろす。)
■クロノ > …ふふふ。継続は力なり、だよ。
(彼のスタイルは射的姿勢の美しさや忠実さ、命中精度が優れた競技選手…というよりは、やはり実用性としての素早い動作と照準判断、併せて必要十分な命中精度…と、文字通りの狩人なのだと納得する。)
…? … いいの? …わぁ、ありがとう!
(彼から手渡されたそれ、最初のうちは持ち方も構えもさっぱりで、ふんふん、と彼の簡単なレクチャーをしっかり聞いていた男の子。一通り彼の説明を聞くと、またちょこんと彼と向かい合って立つ。)
…ぁの、何年も経験と試行錯誤を重ねてきた結晶の技術っていうか…そういう苦労が台無しっていうか…その、
(…と、申し訳無さそうに彼に承諾を得ようと相談したのは、今この場で、洋弓の操作方法についてのマニュアルデータをダウンロードし、基本の型についてものの数分で会得してしまっても怒らない?…という、ロボットならではの悩み。弓矢の扱い方についてのデータを持っていないロボットは、そのデータなしでは目の前のものをただ持って構える、という行程だけでも、人間に教える数倍~数十倍の時間と手間がかかる。)
■ニコラス >
まぁ、それはそうだな。
(同意するものの、それは文字通りの意味でしかない。
続ければ力になると言うぐらいのものであり、自身が特別だとは一切思っていないものだ。)
いいって、別に減るもんじゃないし。
――ん?
別に使えばいいんじゃねーの。
それだって技術の結晶には違いないし。
(あっさりと承諾。
そのデータを蓄積してきたのは先人達だし、それは使われるために積み重ねてきたものだ。
人は苦労しなければ覚えないだけであって、苦労しないのであればそれに越した事は無い。
大事なのはそこではなく、使えるものが続くかどうかだと思っている。)
とりあえず好きに撃ってみろよ。
(そう言って離れたところに立つ。
その後は弓を撃っているのを見たり、彼が銃の整備をしているところを見学したり。
自身でも弓の訓練をして、曲がる魔術の感覚はとりあえず掴めたので良しとしよう。)
ご案内:「訓練施設」からニコラスさんが去りました。
■クロノ > …ほんと? …ありがとう。
今日初めて弓持って、急に使えるようになるの… 人間からしたら不気味だし、ずるいとかいう人も多いから、ちょっと心配で、ね。
…じゃ、洋弓に関する基礎知識と基本操作についてのプログラムをダウンロードしてインストールするから、少し待ってて。
(そう言って一度その場に座り、無表情になったままおでこのインジケータだけが忙しく点滅すること十数分。データ量が多いのか回線速度が遅いのか、ロボットが弓矢の扱い方を会得するには少しの時間を要して。やがてしぱしぱと無機的に瞬きをした男の子はすっと立ち上がると、彼に向き直り。)
… 新たなプログラムのインストールが完了しました。 …ぅふふ、これで僕も弓矢が使える!
(そう嬉しそうにはしゃぐ様子は元通りの男の子だけど、次の瞬間にはすっと滑らかに型通りの整った姿勢で弓を構えて、迷い無く矢を放つ。人生初…ならぬロボ生初の一発は、初発にして早速、的のほぼ中央を射抜いていた。…このロボットのセンサー類や駆動系の制御は、何の学習補正なしでも相応に結果が出せる程度には、そこそこ高性能らしい。)
…わぁ!やった!!ねぇ、ニコラス見て見て!!
(…等と、初の弓矢体験にはしゃぐ男の子は、その後も彼と一緒に弓矢に精進したり、逆に一緒に男の子の拳銃を分解整備するのを観察してもらったりと、濃密な時間が過ぎていくのだった。)
ご案内:「訓練施設」からクロノさんが去りました。