2017/04/23 のログ
■真乃 真 > ああ、綺麗に入った!
あれは痛いな…。
「いやあ、僕に聞かれてもまったく分からないな!
何で僕が魔王なのさ?」
『白々しい!貴様らが三面六臂の姿を持った魔人と魔王である事は分かっている!』
「…いや僕は普通の人間だよ!腕は二本しかないし頭も一つだ!
知り合いには魔王はいるけど僕は魔王じゃない!ニコラス君も普通の人間さ!!多分!!」
そこまで説明してもまだ疑うような視線を向けてくる。
「OK!じゃあ、その事をどうやって知ったんだい?
僕はともかくニコラス君はそこまで言うほど有名じゃあないだろう?」
4年までこの学園にいる真と違ってニコラスは去年来たばかりで更にどこにも所属していない。
彼の事を知る機会などそう多くはないはずだ!
■ニコラス >
俺だって普通の人間だ。
そんなバケモンみたいな格好してねーよ。
(彼に続けながら歩き、弓を拾い上げる。
咄嗟に放り投げてしまったが、特に壊れたり歪んだりはしていなさそうだ。
頑丈なものを選んでいて良かった。
どこでそんな事を聞いたかと聞かれた少女は、途端に黙ってしまう。
目を逸らし、もごもごと口を動かし、なにやら言いづらそうである。)
――なんだよ。
まさか俺らを邪魔だと思ったやつが始末させようとしてたとか、そんなんじゃねーだろうな。
(確かに人助けの流れで不良たちの相手をした事はあったが、大体は逃げる事で対処していたはずだ。
一人か二人ならケンカもしたが、不良は大抵数人で固まっているし、いくらなんでも多勢に無勢で無双出来るほど強くない。
しばらくもごもごしていた少女だが、やがて観念したかのように呟く。
噂で聞いた、と。)
■真乃 真 > 「それは怖いな!まあ、僕は人に恨まれる覚えは…
いや、流石に始末される覚えはないね!!」
真は殆んど喧嘩をしない。
…しないつもりでもまあ、喧嘩になる事もある。
でも、怪我とかさせてないし!始末されるいわれはない。
「なるほど!噂か!
…何でそんな意味の分からない噂がながれてるんだろう?」
本気で意味が分からない…。
やはり、いやがらせなのではないだろうか!!
「…それで、具体的にはどんな噂なんだい?」
それを尋ねると三面六臂の姿の魔人、魔神、魔王の話を話してくれた。
「なるほど!ちなみにその子も普通の子だよ!楊柳って子も多分知り合いだ!
それに、ニコラス君が剣使うかはともかく僕は手裏剣使わないし!」
凄いマジでって顔で少女が見てくる。
なんなんだろうこの子、そんなに三面六臂の相手と闘いたかったのだろうか?
■ニコラス >
一体誰だそんなみょうちきりんな噂なんて流してるヤツ。
大体俺剣なんて使えねーぞ。
(呆れるのはこちらの方だ。
なんで揃いも揃って三面六臂なんだ。
もう一人の事は良く知らないが、だからこそその三人の共通点が見えてこない。
拾い上げたものを見ればわかるとおり、自分の得意な武器は弓だ。
セイバーではないしバーサーカーでもアサシンでもない。
そうこうしている間に彼女が立ち上がり、自身の手から木刀を取り上げてよろよろと歩いていく。)
――おいどこ行くんだ。
医務室の先生呼ぶから大人しくしてろよ。
(その言葉に対し、彼女が放った言葉は単純明快だった。
私より強いヤツに会いに行く。
そういい残して彼女は訓練所を後にする。)
ストイックだなぁ……。
■真乃 真 > 「いやあ、やっぱりこの島は訳わかんない事ばかりだね!!」
笑いながらそんな事を言う。
一体だれが犯人なのだろう?
三人の事を知る人物…か。駄目だ全然絞れないし分からない!
それにしても、意図が意図が分からない!!
「いや、絶対少し休んだ方が良いと思うよ!?
さっきかなりいいの入ってたじゃないか!」
流石に無理してるんじゃないかなアレ?
「で、ニコラス君はここで何をしていたんだい?
やっぱり戦闘の訓練?弓の練習?」
■ニコラス >
一応、手加減はしたんだけど……。
(流石に女の子相手に手加減なしの本気の膝蹴りをぶちかますようなロクデナシではないつもりだ。
それでも結構痛いのが入っただろうとは思う。
自分でやっておいてなんだが、ちょっと心配。)
弓、かな。
魔術と組み合わせて色々試してるんだけど……見た方が早いか。
(そう言ってコンソールに近付き、操作する。
的と、それを遮るように壁が出現。
弓に矢を番え、引き絞って放つ。
明後日の方向に放たれた弓は大きく落ちるカーブを描き、的の中心に突き刺さった。)
――こんな感じ。
今はどこをどう弄ればどのぐらい曲がるかってのを確かめてデータ取ってるとこだな。
■真乃 真 > 「流石にね!手加減してなかったら大変な事になるからね!」
確かに本気ではなかったのだろうけど…。
痛いところに刺さっていた。うん、痛そうだった。
「なるほど!弓と魔術か!
おお!かなり曲がったね!じゃあ、まだ実践では使えないのか。」
かなり多くのデータを取らなければこのやり方で実戦で使う事は難しいだろう。
データを集めてそれを動く相手に合わせて応用していく必要がある。
「…真っすぐ撃った方が早くない?
止まってる的ならともかく動いている的はかなり難しいんじゃないかな?」
■ニコラス >
や、基本のヤツは大体掴めたから使えるぜ。
(今やっているのは弓よりも魔術の方に重点を置いた練習だ。
一発撃って式を書き換え、どの程度曲がり方が変わるかを確認し、もう一度撃つ。
その繰り返しで魔術式の構成を身体で理解していこうと言うもの。)
……じゃあ聞くけど。
あれ、どうやって真っ直ぐ撃って当てる?
(示すのは透明な壁に射線を阻まれた的。
真っ直ぐ撃てば、矢は間違いなく壁に突き刺さって的まで届かないだろう。)
■真乃 真 > 「おお!なら実践も出来るんだね!
矢の的の役なら得意だよ僕!」
実際に使えるなら特に問題はない!
練習にもなるだろう。
「…ちょっと待ってて!」
走って訓練所から出ていったかと思うとどこからか練習用の弓と矢を借りてきた。
「こう、横に走っていって…!そこから!」
いつの間にか引いていた弦を離せば矢は綺麗に宙を舞う!
矢は真っすぐ的に向かい…動いてきた透明な壁に阻まれた!
「位置か!打つ人の位置を感知して防ぐのか!これ!」
■ニコラス >
矢の的の役って意味わかんねーよ。
そもそも人に向けて撃つなんてことしたくねーし。
(聞いたことも無い役だし、それが得意ってどう言う事だ。
上手く当たるのが上手いのか。
自分にとって弓は武器と言うより狩りの道具だ。
止むを得ない場合は人に向けることもあるが、そんな場合でも出来る事なら向けたくない。
人を相手にするならもっと別の武器を使う。)
うん、まぁ、理屈としてはそりゃそうだけど。
動物って結構そう言う動きとか敏感でさ。
こっちが動いたら逃げるし、賢いやつだと弓が当たらないとこへ移動するやつもいるんだ。
だから、そもそも当てられない位置から当てるために使ってるんだよ。
(彼の言うとおり、壁は的を防ぐようにセットしていた。
自分だって移動して撃てば当たる事ぐらいは分かっている。
しかし動けばその分時間は掛かるし、風上に移動してしまえば匂いでばれる。
矢を曲げられればそんな心配は無いし、逆に物陰から追い出す手段としても使えるのだ。)
■真乃 真 > 「あれ?無いかな?
まあ、危ないしね!普通はやらないよね!!」
こう、矢の的役として飛び交う矢をタオルで弾いたり。
飛んできた矢を指で挟んで受け止めたり。
もちろん練習用の痛くない矢でだけど。
「一発も当たらない!!」
左右のフェイントやジャンプしての狙撃。
走りながら、転がりながら。全て壁に止められた!
「くっ!これが野生の力というわけか!!」
全て防ぎ切った透明な壁をみながら言う。
野生超、固い。
「ふう疲れた…ニコラス君はこの島でも動物とか狩ったりしてるのかい?
鳥とか。あとえーと、鳥とか?」
他にどんなものを狩っているのかイメージできない。
■ニコラス >
まず好き好んで矢の的になろうっつー考えが怖え。
(自分だったら絶対にやりたくない。
一件普通に見えるこの街の異質さがちょっと見えた気がして、寒気がした。)
野生とは対極に位置する科学の力だけどな。
まぁ普通に狙えるなら普通に狙った方が早いし、その辺は使い分けだな。
(何が何でも曲射で狙わないといけないわけでもない。
選択肢を多く取れると言うのが大事だと言う事を師匠から教わった。)
結構無駄な動きしてたしな……。
ん?
んー、あんまりこっちではしてないな。
ここ来たの秋の終わりだから狩りのシーズンは外してたし。
こっちで狩ったのはウサギとか狐とかそのぐらいだ。
向こうでは熊とか鹿とか狩ってたかな。
■真乃 真 > 風紀委員にいた時に『矢を食らうのもいい訓練になりますからね。』とか
そんな事を言われながら一杯撃たれたのに…。
それが一番楽とか言いながらさてはスパルタだったのか!
「確かに使い分け出来たら一番いいよね!」
そういいながらポーズが変わる。
天井の方に向かって弓を構えて後は弦を離すだけ。
矢は弧を描いて的の数センチ横に落ちる。
「くっ!全然当たらない!」
的に驚くほど当たらない!
おのれ透明の壁!!絶対に当ててやる!!
「熊とか鹿か…。食べるイメージが無いな!いや狐とかウサギもだけど!
そうか、鳥は狩ってないんだね。」
狐とか熊とかおいしいんだろうか?
いや、わざわざ食べようとは思わないけれど。
「まあ、あれだ!目標とかやりたいことがあるのは良い事だよね!」
弓の練習頑張りなよ!!僕は用事を思い出したから帰るよ!!
またね!ニコラス君!!」
無駄にカッコいいポーズで別れを告げると。
そういうとトレーニング用の端末の設定を確認すると飛ぶように駆けていった。
…その日どこかの訓練スペースでは矢を壁に邪魔されないように的に当てる為矢をうち続ける音が聞こえたという。
■ニコラス >
(それを聞いていたらすかさず「ならねーよ」とツッコミを入れていたところだが、生憎言葉にはなっていなかったから突っ込めなかった。
そしてそれは間違いなく騙されているだろう。)
まぁ普通にやってちゃ絶対当たらないと思うわコレ。
(壁自体は魔力的な壁なのだろうけれど、その場所の調整は科学の力だろう。
真っ直ぐ当てるには、壁ごとぶち抜く途方も無い威力が必要そうだ。)
結構旨いぞ。
牛とかに比べて癖は強いけど、ちゃんと処理してあればそれも味だし。
鳥は矢で射るより罠にかけた方が早いからな。
つってもやっぱ討ったことはあるぞ。
(狩りの基本は弓――つまり飛び道具だ。
一応一通りの動物に矢は射っている。)
ん、さんきゅー。
――マコトもがんばれよ。
(設定を確認していたのを見逃さなかった。
多分別の部屋で矢を撃ちに行ったんだろうと考え、こちらも練習に戻る。
――その後数回ほどストリートなファイター染みた思考の乱入者がやってきたとか、こないとか。)
ご案内:「訓練施設」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」からニコラスさんが去りました。
ご案内:「演習施設」に阿曇留以さんが現れました。
■阿曇留以 > 大太刀を軽く振る。
力は込めず、ただ重力、遠心力だけを使って、ゆるやかに空を斬る。
ゆったりとした動きだが、その剣筋に乱れはない。
まるで舞うように、静寂な演習施設で一人、刀を振るう。
ご案内:「演習施設」に霜月 零さんが現れました。
■霜月 零 > 「…………」
訓練のために演習施設に顔を出したが、先客がいた。
武器は……大太刀の様子。
「(大太刀とはな……ま、参考にさせてもらうか)」
大太刀で零が思い出すのは、やはり数代前の当主と彼女が振るった一振りである。女性なのも同じだ。
そして、その大太刀……「凍月」は、今でも霜月家に残されており、場合によっては零も使うことになる。
ゆえに、大太刀の動きは勉強しておきたかったのだ。
なので、そのままじーっとその動きを見る。
■阿曇留以 > 舞いの動作に途切れはない。
全てが一つの動作として作られており、まるで歩くかのごとく、休みが入らない。
しかも、多数を想定した動きなのか、前に、後ろに、右に左に、あるいは空に向けて刀を振るい続ける。
全て一刀のもとに切り伏せているのか、体が、髪が、袴が。
その空間を白に、青に、赤に染めている。
「――あら?」
そんな舞いの途中で、ようやく来訪者に気づく。
舞いを止め、汗を拭うことなく男性に笑顔でお辞儀をする。
■霜月 零 > 「(型のコンセプトとしちゃあー、全方位を斬るウチの『水無月』に似てるな……つっても、剣舞に近い。動きが滑らかで、全ての動作が次につながってる……技としちゃあ『時雨』に近いか)」
ふんふん、と頷きながら見ている。
全方位を無駄なく斬り落としていく動きに関心していたが、動きが止まり、お辞儀をされたら、あちゃ、と言う顔をする。
「あー、悪い。邪魔したか?」
言いつつ、軽く会釈。
■阿曇留以 > 「いえ、大丈夫ですよ。
本当に集中してたら気づかずに振ってますから」
なんて笑いながら言うのは、自分がまじめに取り組んでなかったことに対してか。
「えっと、もしかして貴方も演習に来たのかしら?」
■霜月 零 > 「あー、そりゃわかる。入り込みすぎても良くないんだけどな」
苦笑しつつ。常在戦場を謳う流派だと、いつでも誰かが来たら気付かなくてはならないと、過度な集中を戒めている場合もある。
多少意識に余裕がないと、暗殺や奇襲に弱くなるというわけだ。
「ま、そんなところだ。で、アンタがやってたから、見学させてもらってたっつーわけ」
俺も剣士でな、と腰にある太刀を掲げて見せる。
■阿曇留以 > 彼の流儀では、あまり集中するのはよくないと考えられているのだろうか。
と、一瞬思考するが、なるほど、それもそうだと思いなおす。
確かに全て切り伏せるための動作だったが、それは想定された敵でしかない。
もしだが、彼が敵であり、気づくことができなかったら、留以はその場で倒れていたかもしれない。
改めてなるほど、と思いつつ。
「あら、あなたも剣士なのね!
それも、太刀を使う人は初めてみたわ~」
なんだかうれしそうに言うのは、自分と同じ人間をみて喜ぶようなものだろうか。
■霜月 零 > 「俺も、大太刀使いってのは映像でしか見たことねーな」
こちらも嬉しそう。剣士タイプと出会い、話せるのはそれだけで嬉しいものである。自らの学びにもなる。
「あー、そうだ。名乗ってなかったな。俺は霜月(そうげつ)流剣術、霜月(しもつき) 零だ。アンタは?」
■阿曇留以 > 「あら、ご丁寧に~。
私は阿曇留以っていいます。
流派は……阿曇流退魔術でいいのかしら?
あっ、退魔っていうのはよーするに妖怪を祓う技術のことなのだけれど……」
太刀をしまいながら零に近づき、名乗る。
まだ体が温まっているのか、ちょっとだけ汗が見えているが。
■霜月 零 > 「へぇ……そっちも退魔なのか。霜月流も退魔の流派なんだよ」
意外な共通点があってシンパシーを感じる。
自分の地元でも、退魔の流派は珍しく、殆どが霜月流の派生だ。
こんなところで同業者に会えるとは思っておらず、思わず笑みがこぼれる。
……ついでに、ちょっと目を逸らす。自分の恋人とはまた違うタイプの色気があり、一瞬目を引かれかけたのである。
■阿曇留以 > 「あら、あらあら……!
ほんとに?
退魔の流派で、太刀使いだなんて!」
すごい偶然、と嬉しそうにしながら笑いかける。
退魔関係者なんてほとんど知り合いはおらず、かつ太刀使いなど、もってのほかだった。
少しだけ、目をそらす零には内心首をかしげつつも。
「それじゃあ零くんも、そういう技術が使えるのね~!
――そうね、もしよかったらちょっと零くんの技術、みせてもらえないかしら~?」
そういって左手に持っている大太刀を少し見せながら揺らす。
■霜月 零 > 「ホント、すげー偶然だよな……っと」
もっと言えば、零としては留以のレア度は大太刀使いと言うだけで跳ね上がる。それだけ、大太刀と言う武器は扱いが難しく、使い手が少ないのだ。
珍しい出会いに笑いつつ、申し出の意味を一瞬考える。
演武的な物か、とも思ったが、大太刀を揺らしたと言うことは……
「おう、いいぜ。俺も、もっと直でアンタの技術、見てみたかったんだ」
模擬戦だろう。
■阿曇留以 > 刀や弓は割といたりするのだが、太刀、大太刀となるともう絶滅危惧種だった。
留以は相手を一撃で葬ることができるために好んで使ってはいるが。
「よかった~。
それじゃ、さっそくはじめましょっか!
ルールは、どちらかが参ったっていうまで。
刀は抜いてもいいけど寸止めできるように。
で、いいかしら~?」
自分の二の腕や、太ももを軽くもみながらルールを設定する。
フィールドは障害物のない、平原となっているようだ。
■霜月 零 > 「OK、そんじゃま、勉強させてもらうとすっか!」
言いながら鯉口を切る。
流石に、抜かずに大太刀を制するのは難しい。フィールドに障害物はなく、マトモにやればまず間合いで劣るこちらが先に不利を蒙る。
ゆえに……。
「(まずは、間合いを殺すところからかね)」
準備をしながら、その為のプランをいくつか考える。
■阿曇留以 > OKをもらえば、笑っていた顔を伏せ、大太刀を左脇に構える。
いわゆる居合の構え。
大太刀でこの構えをしたところで、普通は抜くのもできないのだが、留以はそのための技術を発達させ、できるようにしていた。
そして袖で大太刀を隠す。
相手に大太刀のリーチがいかほどかを知らせず、間合いに入ればこちらが一方的に仕掛けることができる。
先ほどまでのにこやかな笑みは消えており、じっと零と対面している。
■霜月 零 > 「(居合……待ちの構えか。大太刀なら抜きはねぇ、なんて甘えた考えはしねぇぞ)」
待ち合いになっても意味がないため、すらりと太刀を抜きながら思考する。
通常、大太刀は抜くことからして難しく、居合となればほぼできないと考えていい。
だが、霜月流には『朝露』と呼ばれる大太刀の抜きがある。他流が似たような技を持っていてもおかしくはないだろう。
それに加え、袖を使っての間合い隠しと来た。
「(さっきので大雑把に間合いは測りはしたが正確じゃねえ。示現流の『双』の構えと同じ発想か)」
類似の発想は、所謂脇構えにもみられる。古流では武器の長さは規格化されておらず、その個人の適性に合った長さの武器を得物とする。
よって、その間合いを隠すことで有利を取る技法は多くの流派に散見されるのだ。
その上で……。
「(いざって時の備えはしつつ……やるか)」
すぅ、と太刀を若干前に突き出すように構える。留以の目線に綺麗に重ね合わせるように。
そして、そのまま膝を抜くことで予備動作を消す技法を用いて遠間から一気に突きを繰り出す。
―――人間は、物体と自分との距離を、三次元的に捉えることで把握している。
片目を閉じた状態では遠近感が掴みづらくなるのも、片目では三次元的に風景をとらえることが難しいためだ。
この技は……その三次元要素の内、高低差を奪う技法。
視線の高さに綺麗に合わせた物体が向かってきても、遠近判断に狂いが生じ、間合いをしっかり判断出来ない……つまり、真正面から突きながら、間合いの認識を狂わせて受けを困難にする技法。
―――外式、一刀流。五典が一『真剣』。
■阿曇留以 > その攻撃は、留以を内心焦らせる。
リーチの差で有利ではあったものの、そんなものはすべて技術の差で上塗りされる。
対人戦の経験値、技術としての知識量。
現に、この突きに対して留以は打たれる前に対処ができなかった。
間合いを、図ることができていなかった。
「っ!」
迫りくる、しかしその距離は把握できずにいる、突きに対し、大太刀を抜く。
距離が測れずにいても、一つだけわかること。
相手は、突けばこちらまで届く距離にいること。
ならば大太刀のリーチを使って迎え撃つ。
突きに対して、下から弾くように抜刀する。
■霜月 零 > 「ちっ!」
そのまま間合いを掴めずに硬直してくれればそのまま決まったのだが、流石にそこまで甘い相手ではない。
抜くタイミングは適切ではないとは言え、それは真剣の効果によるもの。
そして、抜いてきた以上、間合いの不利はこちらにある。
万一にも当たらないためにギリギリで制動をかけ、突きをキャンセル……するも、流石に体重からして前にかかっているため、止まり切れない。
下からの切り上げによって自分の太刀は上に弾かれる。
が……
「まだだ!」
弾かれることによって発生した力を使い、上から大きく回すようにして右下段からの切り上げにシフト。
抜きによって大太刀は上の方に行っている。間合いを詰める瞬間に斬り返せない限り、防御できないと踏んで思い切り踏み込み、留以の腹部付近を狙う。
■阿曇留以 > (うまい人)
弾いた太刀が、下段から迫ってくる。
あれだけ強く弾いたのに、すぐに力の流れを変えて攻撃に変えてくる。
あるいはその程度、彼にとっては普通のことなのかもしれないが。
こちらは大太刀で防ぐことはできない。
かといって鞘で防ぐのも、力の差からして無理だろう。
ならば避けるしかなく。
軸足にしていた右足の力を抜き、迫ってくる刀とは別の方へ転がり。
「せいっ!」
まるでウィンドミルのように体を回して、草履を零へ蹴り飛ばす。
■霜月 零 > 「うおっ!?」
避けられるまでは、まだ可能性として想定していたが。
その後の草履に、一見大げさなくらいの反応を見せ、飛び退って回避する。
「(チィ……間合いを切らされた!)」
普通の草履なら、気に掛ける必要などまるでない。
だが、相手は退魔師。ならば、草履に何かの呪を仕込んでいる可能性は否定できない。
だからこそ大げさなくらいに間合いを切って回避したのだ。
「杞憂にせよ当たりにせよ……仕切り直しで不利はこっちか」
ボヤきながら、右八双に構える。
大太刀の間合い、いかに崩し切るべきか。
■阿曇留以 > 片方の草履を脱ぎ棄て、足袋で地面を踏む。
先ほど放った草履には特に呪いなどは仕掛けていないものの、その考えは正しいもので、袖の下には札が隠されている。
距離を再度取り、リーチ的には有利になったものの、やはり心もとない。
「あら~、そんなことないわ。
技術も経験値も、零くんのほうが上だもの。
むしろリーチの分でようやく対等な感じがするわ」
温和な笑みだが、今はその笑みに穏やかな雰囲気はない。
留以は再度居合の構えをとる。
――が、次の瞬間に先手とばかりに、留以は行動を開始した。
大きく一歩を踏み出し右足に力を籠め。
追い付く左足を前に出して軸足を切り替え。
左足を軸にしながら体を大きく回転させて
「ッセイ!」
零へと、大太刀を鞘ごと投げる。
ブーメランのように回転しながら零へと襲い掛かる。
■霜月 零 > 「そりゃどうも……つっても、触らせてもらってないことも確かなんだよな」
右八双のままじりじりと間合いを詰めつつ、構えた留以の動きに注意を払っていたが……
「射刀術!?」
大太刀を投げ付けられたことに目を剥く。
一応、射刀術……つまり、刀自体を投げる技術もいくつか存在する。
が、抜きながら投げ付けるのは見たことがなく、一瞬動揺するも……
「(この構えからなら……落とせる!)」
元の構えが功を奏した。
右八双……この構えからなら、ブーメランのように回転する大太刀に対する対策も用意出来る。
間合いに入ってくる大太刀に対して集中し……
「はぁっ!」
しゃがみ込む様にしながら、地面に自分の太刀ごと叩き付けるように大太刀を斬り落とす。
―――薩摩に伝わる剣術、示現流。その打ち込みの苛烈さは他に類を見ず、二の打ち要らずと謳われた剛剣は、かの新撰組においても「薩摩の初太刀は必ず外せ」と教えていたという。
その本質にはまだ至らぬが……「地軸の底まで打ち抜く」と言うイメージで以て伝承され、雲間より耀る陽光の速度を目指したとされる秘剣を、零の異能によって再現する。
―――異能「根源接続・武典再生」発動。 外式・示現流、秘剣『雲耀』。
■阿曇留以 > 甲高い音があたりに響く。
撃ち落とされた大太刀は戻ってくることもなく、地面へと倒れ伏す。
(――あれ、まともに受けたら絶対ダメね)
留以は他の剣術に詳しくないために、それがどういうものであるかはわからない。
しかしその苛烈な太刀筋は、わからなくとも理解できる。
アレをどこうしようというのならば、刀を粉砕する以外に方法はないと。
が、あれだけの力を使えば多少は隙もできるだろう。
それを狙い、駆け出す。
袖からお札を二枚取り出す。
一枚は左手の甲に張り付け、一枚は右手の平に。
そして、零の懐まで走りこもうとする。
■霜月 零 > 「ちっ……!」
慌ててやり過ぎた、と一瞬のうちに後悔する。
刀を叩き落すだけなら、全力で雲耀を行う必要などなかった。
そして、示現流・雲耀は二の打ち要らずの秘剣にして、二の打ち在らずの剣でもある。
「(天雷にしときゃよかったぜ……!)」
零の実家の近くにある寺の住職が伝えている剣術『聖蓮流』には、この雲耀を簡易化して、扱いやすくした「天雷」と言う技がある。
そっちにしておけば、切り上げ技の「鳴神」にシフトできたのだが……言っても仕方ない。
「ぐ、うお……!」
完全に沈み込んでしまった体を奮い立たせ、何とか立ち上がり、間合いを切ろうとするも、その動きはやはり些か遅い。
■阿曇留以 > 間合いを取ろうとする彼の動き。
それこそ狙い。
素手でつっこまれ、懐をとられれば剣術は使えなくなるだろう。
そう考え、体術を使おうとする意志をみせつつも留以の狙いは大太刀にあった。
留以が大太刀を拾える瞬間を作り、大太刀で仕掛けるための間合いつくりのため。
まるで滑り込むように大太刀を拾い、そしてすぐさま居合に構える。
距離は、大太刀も、太刀もまだ十分に届く距離。
留以の体勢は不安定だが、魅せるには十分の構え。
「阿曇流(あづみのながれ)――」
小さくつぶやくも、その声は届いているだろう。
流派を名乗り、技を行使する。
完全であれば、大鬼の腰と胴体も両断する一閃。
――瞬閃・天地祓。
■霜月 零 > 「(しまっ……格闘術じゃなかった!?)」
その後の動きを見て、騙されたと気付く。
狙いは、打ち落とした大太刀の回収。チョイスミスの産んだ無駄が響きすぎている現状である。
「(涙雨……間に合わねえ!受けるしかねえ!)」
ミスが全ての遅れを産み、それが状況での選択肢を奪っていた。霜月流における受け流しの技法も、この状態からでは間に合わない。
やむなく、相手の攻撃を太刀で受けることを選択する。が……恐らく、ここで放ってくる乾坤一擲は、並ではあるまい。
「金行・刀剣強化…急急如律令!」
よって、受ける太刀に細工を施す。
巫術……自然の力を借り受ける術により、金行の力を借り、太刀の強度を可能な限り強化。
瞬間的ではあるが、鬼の拳も受け切る強度に高めて、攻撃を何とか受けようと構える。
■阿曇留以 > 金属がかち合う音。
独特の音が響くも、その現状は、留以の攻撃は受け止められ、停滞している。
(っ!なにかで、強化してる!?)
あの一瞬で強化したのかと、その手際の良さに感嘆する。
おそらく、この大太刀の力を使えば抜けるだろう。
今はただの刀だが、本来は阿曇の家にある神剣のたぐいだ。
使えば勝てる――が、勝つことが目的ではない。
(多くの技を、引き出すことが私の目的)
「阿曇流――」
ふ、と大太刀に込めていた力をすべて抜く。
そして、水が坂を流れるように。
先ほど見せた舞いのように。
すらりとした動きで、反時計回りの一閃、さらに反時計回りをしてからの袈裟斬り、肘うち、下段からの斬り上げ。
四連撃を行う。
――修祓の技・四方(しゅうふつのわざ・よも)
■霜月 零 > 「ぐ、ぐ……!」
いっぱいいっぱいだ。
零の剣は、それなりに質はいいものの、凍月のような特別な剣ではない。
あくまで、良質と言うだけの物。普通の武器の域を出ない。
補強したところで、このままでは突破される……と思った所で。
「(抜いてきた……いや!)」
これは、先程見た舞のような動きに似ている。
流麗な剣舞……しかし、無駄がなく、そして速い。
「(構え直す余裕はねぇ、やるっきゃねえか……!)」
それに対し、す、と力を抜く。
諦めたのではない。自分の体に、全てをゆだねたのだ。
―――かつて、一刀流開祖伊東一刀斎は、更なる奥義を求め鶴岡八幡宮に参籠をしたが、奥義を授かることは出来なかった。
しかし、その時襲い掛かってきた男に対し、疲労困憊の彼は夢想のままこれを斬り伏せたという。
つまりは、無我の境地。まさしく体が覚える程の鍛錬と、欲を切り捨てた精神の融合によって生まれる剣境。
あくまで零は、その片鱗を再現するまでしか出来ない。だが……数瞬ならば、その境地の一端を見せることが出来る。
「―――――!」
刹那、勝手に体が動く。
どこを見ているとも知れぬ目は、目付を行わぬことによって広い視野を得て、舞の全てをその目に収める。
鍛錬によって鍛え上げた体は、その目に認識した動きに対し、考えるより先に反応して防御を行う。
思考と言う雑念は、根源接続・武典再生によって疑似的に掻き消し、偽物ながら剣境に至る。
結果として……高速で、その四連撃を太刀が打ち払う。
―――異能「根源接続・武典再生」、発動。外式・一刀流、剣境『夢想剣』。
■阿曇留以 > 水のように流れる。
舞いによる攻撃は防ぐという行為に対して最高の威力を発揮するもので。
それは防がれても水がすり抜け通る、阿曇流の奥義。
しかし――
「――っ」
その連撃は、彼へと通らない。
あらゆる連撃は水をはじくように、打ち払われる。
それは留以の技量ゆえからか。
あるいは、彼の技量か。
「――っ!っ!」
ならば。
であれば。
それならば。
八の連撃をもって迎える。
留以の信条に反し、そして未完成の技。
大きくその場から飛びのき、居合の構え。
「阿曇流――」
そして飛び込む。
さぁ、全て弾いてみせろ、と。
左からの横薙ぎ、右上段、左下段、右下段、左上段、右からの横薙ぎ、左下段、右上段。
計八連撃を叩きこむ。
――瞬閃の技・八枝
■霜月 零 > 「――――――!」
『夢想剣』は未だ継続中。
もうあまり持たないが……この連撃の間ならギリギリ維持できる。
しかし。
「(もう一つ無いと駄目だ)」
直感する。
この連撃は、普通に受けようとしても受け切れない目算が高い。
ならば……もう一歩先に踏み込む。
「おおおおおおおお!!!!」
刹那的に再現するのは、霜月流の秘奥。
否、その技だけで言えば秘奥ではない。それを操る剣士のレベルが高すぎて、秘奥と呼べる領域に昇華されていたのだ。
映像で見たことはある。だが、雲の上の話だとほぼ諦めていたような技術だが……この刹那、劣化品であるものの再現する。
―――異能「根源接続・武典再生」発動。
それは、かつて歴代五指とも呼ばれ、今なお武勇伝が語り継がれる女性。霜氷の剣聖と呼ばれた偉大なる剣士。
―――剣境『夢想剣』、疑似開眼。
その動きは流れるように。剣を振るうことによって、剣を合わせることによって発生する力の流れを制御し、自在に操ることこそが肝要。
―――剣聖再現・霜氷の剣聖。
くしくも似たようなコンセプト。流れ、打ち付けるたびに威力と速度を増す剣舞が、八の連撃に応答する……!
―――霜月流『時雨』!!
■阿曇留以 > 一連撃目。
刃が重なりあい、快音を響かせる。
足らず――。
二連撃目。
刃を打ち付けあい、美声を奏でる。
未だ足らず――。
三連撃目――。
四連撃目――。
「ああああっ!!」
刃が交わるたびに留以の腕に負担がかかる。
大太刀を片手で振るうことで速度に徹した。
が、それでも足らない。
目の前の存在は、その速度さえも大きく上回っていく。
五連撃目――。
六連撃目――。
打たれるたびに剣戟という水は濁っていく。
七連撃目――。
そして、八連撃目。
刃が音を立てる。
それは金属音と、遅れて地面に突き刺さる音。
大太刀は、留以の手を離れて後方、地面に突き刺さる。
■霜月 零 > 弾く。
弾く弾く。
弾く弾く弾く。
ほぼ無意識の中で振るわれる刀は、留以の連撃を受け音を奏でる。
思考はない。ただ、体が、命ずるままに攻撃を弾く。
「ふっ!」
また、弾き……。
「ぜぇやっ!!」
最後、留以の大太刀を弾き飛ばした。
「―――――!!!」
戦闘用に最適化された体は、トドメの一撃を振るわんと刀を振り上げる。
が。
「く、おお!!!」
ギリギリ。
本当にギリギリ残っていた理性が、それを押しとどめる。
これは模擬戦。相手を殺すための戦いではない。
―――異能「根源接続・武典再生」解除。
―――剣境『夢想剣』解除。
―――剣聖再現、解除。
ぱちんぱちんと自分の意識の中でスイッチを落とすように重ねてきた意識変革を解除していき、普通の『霜月零』に戻る。
「はぁ……はぁ……」
そして、疲れ切ったようにその場に座り込んでしまった。
■阿曇留以 > 振りあがる太刀。
そして、何かを我慢するように叫び、そして座る彼。
いうまでもなく留以の負けだった。
大太刀を弾かれ、最後の振り上げに対する抵抗は、何も出来なかった。
振り降ろされれば、後は両断されてただろう。
はぁ、と大きくため息をついてから右腕をさすりながら
「お疲れ様、零くん。
だいじょうぶ?かなり消耗してるけれど」
尋ねながらその場にぺたりとすわる。
消耗しているのは留以も同じで、もう歩くのもつらい状況だった。
■霜月 零 > 「いやー……割といっぱいいっぱいだわ。正直負けるかと思った」
ぜぇぜぇと荒い息を吐きながら答える。
体力消耗もそうだが、頭痛がひどい。
根源接続・武典再生によって再生する武技は、基本的に『現状の零では使いこなせない』技である。
それを無理矢理使ったのだから、体には普通以上の負荷がかかる。
そして、根源接続なんて異能を何度も無理に使ったため、脳にもかなりの負担がかかっていたのだ。
「アンタ強いな……こっちは禁じ手を連打してやっとだぜ」
素直な称賛を留以に向ける。
■阿曇留以 > 「ふふっ、ありがとう~。
一応こっちの方が年上だもの。
積み上げてる年数がちがうから、そのぐらいは、ね」
ニコニコしながらいうのは、そうやって褒められるのが嬉しいから。
誰だって褒められればうれしいだろう。
留以はそれが顕著なだけで。
「でも、零くんのほうがすごいわね~。
結局私は負けちゃったし……」
■霜月 零 > 「年季の差か……そりゃあやっぱデカいよな……」
子どもの頃から武術漬けだった零だが、留以も恐らく同様の生活だったのだろう。
ならば、年齢の分だけこちらが出遅れていることになる。
だからと言って、実力が追いつけない言い訳にはならないのだが。
「これはまあ、異能込みだからな……ホント裏技みたいなもん」
異能、根源接続。この世の根源に接続し、そこから情報を抜き出す異能。
知の究極と言える異能だが、もちろんリスクも大きく、運用難易度も高い。
零はそれを武術にしか使えておらず、それでも負荷が大きい裏技中の裏技なのである。
■阿曇留以 > 「あら、異能だってあなたの力の一部よ。
私はもっていないからわからないけれど……。
でも、その力を使いこなせているならあなたのちからよ~」
留以だって神様のちからだなんだと借りて戦っている。
零の力を否定はできず、むしろ肯定する側の人間なのだ。
■霜月 零 > 「そう言って貰うと自信になる……つってもギリギリだったから、もっと鍛えねーとな」
笑いつつ頷く。
自分でもなんだかインチキをしている気分になっていたので、肯定する言葉はありがたかった。
「そーいや……最後の技、アレ実は未完成か?」
聞いてみる。なんとなくだが、攻撃の接続等が甘かった気がしたのだ。
■阿曇留以 > 未完成、といわれると、まるでいたずらがバレた子供のように困った顔をする。
「未完成どころか……その、ほとんど見様見真似の技ね~。
私の攻撃って基本的には一撃で倒すのを主としてるから……。
ああいう一体に対して連撃をするっていう技は得意じゃなくて……」
例えば、四方という技。
あれは零に対して四連撃をおこなったが、本来は四方向からくる敵に対して行なう技だったりする。
それに対して、八枝は一体に対しての八連撃。
大太刀というのもあって相性はよくない技だった。
「やっぱり、未完成っていうのもバレバレだったかしら?」
■霜月 零 > 「ああ、見様見真似か……道理で接続とかが甘いと思った」
それでも、一応の形にしてくるのは流石だと思うが。
しかし、連撃が苦手と言うのは、大太刀と言う武器の特徴を鑑みても納得出来るものである。
大太刀は重く、扱いが難しい。連続攻撃にはあまり向かない武器なのだ。
「バレバレって言うか……終わった後でなんとなく、かな。やってる時はほぼ意識飛んでたから」
■阿曇留以 > 「――ああっ。
だから最後……もしかして攻撃を止めるのギリギリだった?」
納得がいった。
そういうような声で尋ねる。
最後、太刀を振り上げた時。
目に殺意が見えていた。
いや、殺意というより
「なんだかこう、”斬って当たり前”みたいな顔してたけれど」
すくなくとも、その時の彼は正しく武人だったのだろう。
■霜月 零 > 「ご明察。最後らへんで使ってたのは一刀流の『夢想剣』って奥義でな…。
体に全て任せることで、見て反応する前に反射で行動できるようにする境地なんだよ。だから、アレを使うとどうしても俺だと『敵を斬るために最適化された行動』ばっかり取ることになる」
本当に境地を使いこなしているならば、その中でコントロールも出来るらしいが……あくまで異能で疑似的に再現しているだけのため、敵を斬るということしか出来なくなるのだ。
斬って当たり前と言うより、斬る以外なかったという方が適切なのかもしれない。
■阿曇留以 > 「最適化された行動……。
それは……一人の時なら便利そうね~……」
例えば退魔のお仕事の時。
人外にも適応してくれるかどうかはともかくとして、その時に使えればかなり便利だろう。
「でも、なるほどねぇ。
模擬戦の時に使うような技じゃ、ないわね~」
服を切られるなら百歩譲ってよいけれど、真っ二つはごめんだ、と笑いながら言う。
■霜月 零 > 「戦うだけなら、ある意味究極の状態ではあるよな……」
ただ、自分のレベルだと連携などが出来なくなってしまう。
敵を見つける、斬る。それだけの殺戮マシーンの出来上がりだ。
「ぐ、すまん……アンタが強かったもんで、つい熱が入っちまったというか……」
模擬戦なのだから、参ったで良かったというのに。変なところで負けず嫌いである。
■阿曇留以 > 正直に言えば、うらやましい技だ。
使えるかどうかはともかくとして、そんな状態でいられるなら戦闘中の葛藤もなさそうだ。
「あらあら。そうよね、男の子だもの。
勝負事なら負けられないわよね」
くすくす笑い。
一応?年齢的には先輩だがそれはそれ、だろう。
「でも次やるときはこっちだって負けるつもりはないから、覚悟してね~?」
■霜月 零 > 「まあ、な。出来るだけ強くなっときたい理由もあるし」
今の零には、強いモチベーションがある。
そのモチベーションが、零に無茶な根源接続の使用をさせているともいえるが……一方で、それを可能にしているとも言える状態だ。
「ああ、こっちも負ける気はない。次も勝たせてもらうぜ」
にか、と笑う。物憂げさのない、純朴な笑顔。
■阿曇留以 > 「……あらあら。
そうなの~?
強くなっておきたい理由、ねぇ」
にやにやとした笑み。
あるぇ~?なんで強くなりたいのかな~?もしかして~?
なんて、なんだか察したような顔をしつつ、よっこいしょぉと立ち上がって袴の汚れをはたく。
■霜月 零 > 「……悪いかよ」
少し拗ねた表情になって立ち上がる。
強くなりたい理由は単純。現在不調で、周辺に色々と渦巻いている可能性もある恋人を守る力が欲しいから、である。
■阿曇留以 > 「いいえ、とてもすてきな理由だとおもうわ~」
コイバナ大好きお姉さん。
拗ねてる彼をみつつ笑って
「これからも、その子のために頑張ってね?」
■霜月 零 > 「ぐ……」
顔を赤くして目を逸らす。バレてた。
恋人のため、と言うのはなんだか気恥ずかしいが……。
「ま、言われるまでもねーよ」
それでも、零にとっては絶対のモチベーションなのである。
■阿曇留以 > 恋人なのか、それとも好きな子なのか。
そこまでは判別がついていないが。
少なくとも好き、なんだろう。
「ふふっ、若いっていいわね~?
それじゃ……今日はもうかえりましょっか。
そろそろ時間も時間だし、ね?」
といって外を見ればいつの間にか暗い時間だ。
■霜月 零 > 「ああ、そうだな……今日はありがとう、こっちも勉強になった」
軽く頭を下げる。
大太刀での舞うような剣技……アレは太刀にも応用できるし、非常にためになった。
今後凍月を抜く時も参考に出来るだろう。
■阿曇留以 > 「ええ、こちらこそ!
対人戦の経験がすくないから、とても勉強になったわ~」
そうにこにこ笑って、それじゃいきましょうか、と更衣室のほうに行こうとする。
だって、汗だくなんですもの。
ご案内:「演習施設」から阿曇留以さんが去りました。
ご案内:「演習施設」から霜月 零さんが去りました。