2017/04/26 のログ
龍宮 鋼 >  
アホか。
そんな人斬り集団になられちまったら俺が困るんだよ。

(殺し殺される覚悟ではなく、殺されず殺さない覚悟の方が大事だと。
 彼の理屈はイヤと言うほど分かっているけれど。
 やや目に力を込めて睨みつける。)

じゃあ剣使えば良いじゃねェか。
その辺の加減も出来ねェ下手糞でもねェだろ、オマエ。

(剣対拳と言うのはこの集まりの趣旨に合っているし。
 ガン、と後ろに引いた左足で床を叩き、右腕を軽くまげて身体の前に。)

霜月 零 > 「そりゃあまあ、能動的に殺す集団だとやべーけどな。
突っ立って、いざって時に自分を守り切る力は、必要だ」

物憂げな表情も、この話の時だけは消え失せ、強く睨み返す。
そうでなくてはならぬと知っている風に。

「そりゃあーまあ、寸止めくらいは出来るけどな……じゃあ、実戦のノリでやっていいのか?」

この時は物憂げと言うか気だるげに。言いながらも、目は構えを観察している。

「(半身構え……まあ、基本だな。空手か、それとも退歩系も踏まえて大陸系の拳法か……いや、さっきの話を見るに我流っぽいか?)」

鯉口だけは切りつつ、その表情には今だ緊張は見えない。

龍宮 鋼 >  
――気にいらねェな。
いちいち殺すだのなんだのと。

(小さく舌打ち。
 風紀委員の事など大嫌いだ。
 大嫌いなのに、いざ彼らが貶されると無性にイライラする。
 目の前の彼の言う事は正しいはずなのに。)

良いぜ。
来いよ、オマエからこねェと意味ねェからな。

(自分から仕掛けては「対武器の護身術」にならない。
 軽くステップを踏みつつ、前に下げた右腕をゆらゆらと揺らす。)

霜月 零 > 「殺せ、っつってるわけじゃねぇよ。それが出来る実力がねぇとひどい目に合うっつーだけだ」

別に、零だって殺し殺される修羅の巷を望んでいるわけでは無い。
ただ……生半可な覚悟で挑めば、全てを奪われる。そんな化物がこの島に巣くっていると知っているだけの話だ。

「あいよ。そんじゃあまあ……避けろよ」

言いながら、瞬間鋼の首元に視線をやり、即座に抜刀。
だが、抜いた先は足元。構えの性質上前に出ている右足首を狙った抜きだ。
それが避けられれば、即座に刀を回して今度こそ上段を狙う。
視線のフェイントで受けを惑わしつつ、上下に意識を振って更に受けを困難にする変則的な居合。


―――外式、天心流兵法。立合変形抜「浮雲」。

龍宮 鋼 >  
――知ってるよ、イヤんなるくらいにな。

(文字通り、身を持って知っている。
 一瞬目を細めるが、ここからはケンカの時間。
 目線の誘導には騙されず、這うような軌道の刀を避けるように足を上げる。
 が、そのまま刀は意思を持つように首へと迫ってきた。)

ッ、チ。

(後ろへ避けようにも片足を上げてしまっている。
 舌打ちをして右腕を鞭のように撓らせて刀の腹を叩いて逸らす。
 そのまま踏み込んでも良かったのだが、目的は彼を叩きのめすことではない。
 後ろに飛んで距離を置く。)

霜月 零 > 「ん、やるな…結構、下段抜きってレアだから引っかかる奴多いんだけどな」

こちらも、目的は何が何でも斬り伏せることではない。
無理矢理追い込むことはせず、平正眼に構えようとし……

「(あ、そうだな。コンセプト上は「こっち」の方がいいのか?)」

すぅ、と大上段に構え直す。
そして……。

「えぇいっ!!!」

裂帛の気合と共にわずかに間合いを詰める。
これは、どちらかと言えば威嚇であり、相手を気で呑むための技法である。
大上段と言う威圧感のある構えから、更に気合で圧することにより相手を「呑む」。
そのまま行動に自由を失った相手が何も出来ないならそのまま切り伏せればよし。呑まれて中身のない反撃に走るならばそこを斬り落とす。
型稽古だけでは身につかない、生きた戦場でこそ発生する空気感を利用した秘剣。
これでもって、相手と言うよりは周囲に「武器を持って襲ってくる相手は恐ろしい」と言う印象を正しく植え付けるのが主な狙いである。



―――外式、一刀流。五典が一「金翅鳥王剣」。

龍宮 鋼 >  
脚狙いは基本だろ。

(真っ当な試合ならともかく、裏の路地裏で命の取り合いをしてきているのだ。
 そのぐらいを避けられないようじゃ、とっくに死んでいる。)

――こいやオラァ!!

(ダァン!と思い切り地面を踏み付け、彼の気合をこちらも気合で押し返す。
 気に呑まれないためにはこちらも気を放つのが一番――なんて理屈を知ってか知らずか。
 間合いに入らないよう、彼が僅かに詰めた分だけこちらも僅かに間合いを外す。
 「素手で刀と戦う術」ではなく「素手で刀に斬られない術」をギャラリーに見せるように。
 周りで各々練習をしていた生徒達は、気が付けば皆自身と彼のシミュレーションに見入っているようだ。)

霜月 零 > 「それもそうだ」

小さく笑う。
下段斬りと言うのは剣道では禁じ手だが、古流においては一部の流派で積極的に用いられてきた技法だ。
ましてやストリートファイトではよく見る光景でもあろう。仕掛ける相手を間違えた、と言うべきか。

「(で、流石に俺の気合程度じゃ呑めねえか。ついでに、詰めた分外して、刀が一方的に斬れる距離から外れて来やがる。
我流ならそこら辺大雑把かと思えば、基本がしっかりしてやがんな)」

このまま大上段から斬りかかってもいいが、流石に金翅鳥王剣が機能していない状態で斬りかかっても仕方がないだろう。
だが、ここで素直に構えを戻しても、それはそれで「気合いを返せば相手が引く」と言う印象を与えそうでよくない。
よって、「そこからでも場合によっては一捻り加えてくる」と言う形を見せることにした。

「―――ぜぇあっ!!」

すす、とすり足で即座に間合いを詰め、見た目太刀の間合いからわずかに外れた距離から斬り付ける。
そう、少し外れた距離。見切りが正確ならば避けるまでもないと判断するであろうし、そうでなくても「届かない」と直感するかもしれない。
―――が、それが罠。
斬り降ろす際、柄を握っている時に普通離れている左右の手。その右手を滑らせるようにして左手にくっつける。
これにより、可動域が広がって僅かに間合いが伸び、相手の見切りを狂わせることが出来る……つまり、想定よりも切っ先が伸びてくるのである。
それを含めても深くは斬り込まない間合いで斬り付けたので、当たってもそこまでのダメージにはならないだろうが、ただの打ち込みと思って対処すれば回避は難しいだろう。


―――外式、鹿島神傳直心影流。「曲尺」。

龍宮 鋼 >  
(しかし思った以上にやりづらい。
 普段であれば怪我の一つや二つ知ったことかとガンガン前に出て行くのだが、そんなことを出来るのは自分を含めた一部だけだと理解している。
 だからそんな事をしても今この場では何の役にも立たないと言う事もよくわかっているのだ。
 ナイフはともかく刀が相手では脚を使ったところでリーチの差は埋められない。
 なので出来る事といったら間合いを外し続けることしかないのだ。)

――あ?

(と、強引に向こうが攻めてきた。
 だがそれは間合いの外。
 この距離なら斬られまいと彼我の間合いを維持――しているようでは、あっさり死ぬ。
 間合いの外から来るのであれば、その分間合いを詰める術を持っている筈だ。
 彼の技を読んだのではなく、勘に近い形で大きく跳ねるように後ろへ跳んだ。
 前髪が数本宙を舞う。)

霜月 零 > 「(いい勘してるな!)」

内心少し驚く。
成程路地裏で経験を積んできたのは伊達ではなく、実戦を豊富に経験しないと身につかない勘が身についている。
勘、と言ってしまうと根拠のないものに思えるが、こういう場合の勘とは即ち経験則である。
実戦と言う濃密な経験の中で培った経験則が、いざという時思考より先に最適な判断を下してくれるのだ。これの果てにあるのが、一刀流奥義、剣境「夢想剣」であると言えるだろう。
実戦で、希望的観測は命取り。常に最悪とまではいかなくても、一手二手先の未来は即座に想定しないといけない。
それを、彼女はよくわかっている。
が、これだけではお互い間合いを切って牽制し合っているだけであまり意味がない。
よって、ここは更に踏み込んでステージを先に進めることにする。

「ふっ!」

振り下ろした刀を持つ手の内、左手首を即座に返し、刃部を上に向ける。
そして、大きく踏み込みながら右手で引っ張り上げるようにしての切り上げ。
剣術に限らず、相手の攻撃が常に単発である道理はない。
1つ躱してハイ終わりではなく、次、次と手練れほど技を連続して放ってくる。
斬り下ろしから斬り上げというのはオーソドックスであるが、手首を返す技法を用いることにより、その斬り返しの速度は通常のそれを上回る。


―――霜月流剣術「水燕」。

龍宮 鋼 >  
(刀を握る手がくるりと返されるのが見えた。
 こちらはまだ体勢が整っていないと言うのに。
 これだから腕の良い剣士と言うのは厄介だ。
 無意識に口の端が吊りあがる。)

っ、のヤロ――!

(頭を振る。
 下から迫る刃から逃げるように、半円を描いて。
 同時に地面に着地した脚に力を込めて、思い切り前に踏み込む。
 そのまま右手を彼の手元へ、刀を持つ手を押さえるために伸ばした。
 左腕は顔の前。
 間に合わなくても腕一本で済むように、真っ直ぐ突き出すように伸ばす。
 結局いつもの方法になってしまったが、間に合うかどうか微妙なタイミング。)

霜月 零 > 「はっ、やってくれる……!」

この斬り返しを躱すだけでなく、無意識かもしれないが剣術の泣き所……特に上段から打ち下ろす形になる場合、籠手部が刃部を先導する関係上、そこを押さえられると斬ることが出来ない……を突いてきた。
だが……ここで素直に刀を押さえられるようでは、剣士失格である。

「ふっ!」

腕が先か、刀が先か。
そんな一か八かの勝負ではなく、ここは敢えて変化をつける。
刀を押さえようと伸びてくる右手。その右手の甲に対し、斬り上げた関係で自分の顔の近くにある左ひじを思い切りぶつけてやる。
この時に手首の切り返しを元に戻し、上手く弾けたならば半歩下がりつつ弾いた右腕を狙って斬り下ろす。
肘を使って相手の体勢を崩し、そのまま斬り落とす浅山一伝流「阿吽」の応用――肘を使うのはどちらかと言えば警視流での遣いだが――である。

龍宮 鋼 >  
(握り手を狙った腕は肘で弾かれた。
 相手はそのまま一歩下がり、既に刀を振り下ろせる体勢に入っている。
 一方こちらは腰が落ちた不十分な体勢。
 これがケンカであれば、右手を斬らせてでもその身体へ肩からぶち当たっていくところなのだが、今はケンカではない。
 右手に鋼の甲殻を纏い、刀を弾く。
 斬られこそしなかったが、この場の趣旨に合わない方法で防御したと言う意味は伝わるはずだ。)

――負けだ負け。
刀相手にまともやって勝てるか。

(吐き捨ててその場に座り込む。
 瞬間、いっせいに生徒達から拍手が起こった。)

うっせーな!
こんなもん参考にすんじゃねーぞ!

(何故か不機嫌そうに怒鳴り散らす。)

霜月 零 > ギャリ、と言う音がして刀が甲殻に弾かれる。
技術も関係ないこういう受け方をしたと言うことは、ここで切り上げると言うこと。

「ありがとうございました、と。どうだろうな、アンタ意図的に踏み込まない動きしてたろ。実際の所、思いっきり踏み込まれた方が剣士は嫌なんだぜ」

刀を収めながら。
武術的な話をするなら、刀を相手に自分が徒手空拳と言う場合、戦う気があるのならば思い切って突っ込んだ方が目がある。
刀はゼロ距離だと、柄で打ち付けるくらいしか攻撃手段がなくなってしまうため、拳に勝てないのだ。
とは言え、理屈でそれが分かっていても、じゃあ刀相手に隙を見て突貫します…なんてことが出来る素人はいない。この講習の趣旨に合わせていたのだろう。

「(そういう気遣い出来る辺り、やっぱモノ教えるの得意そうだよなあ)」

そんなことを思いながら、小さく笑う。

龍宮 鋼 >  
そりゃここにいる連中が目の前の敵ぶっ倒すためなら死なない限りなんだってやるようなヤツならやって見せたけどよ。
こいつらにそんなもん見せたってビビるだけだろうが。

(これがケンカであれば、刀傷の一つや二つ構いやしないし、なんならわざと骨に食い込むような受け方をして刀を奪うぐらいするだろう。
 そんな拳で殴るために拳を犠牲にするような方法は普通取らないことは理解しているし、普通はそんな事をするぐらいならその辺の棒っきれを持った方がよほどマシだと言うことも分かっている。
 だからする理由が無い。)

風紀の連中な、落第街の方回るんなら棒持ってけ、棒。
二メートルくらいのアルミの棒。
下手な刃物よかよっぽど役立つからな。

(初心者が扱うならやはり棒が一番だ。
 リーチがあって殺してしまう危険も少ない。
 そう言うことを伝えていると、復活したヤス少年が呼びかけてきた。)

おう、今行く。
――んじゃ俺行くわ。
次ァケンカやろうぜ。

(そう剣士の少年に声を掛け、自身は訓練施設を後にする。
 必然的に、残された彼が周りの生徒から色々質問攻めされることになるだろう。)

ご案内:「訓練施設」から龍宮 鋼さんが去りました。
霜月 零 > 「ま、そりゃそうだ」

実際、そこまでやると恐怖が勝ってしまうだろう。
本格的な研修ならばそれもアリかもしれないが、ここでやるには流石にやり過ぎだ。

「そうだな。とにかく使いやすい武器は一つくらい持っといた方が……って、喧嘩は勘弁だな……」

軽くぼやきつつ見送る……と、どわっと押し寄せてくるオーディエンス達。
慣れない状況に困惑しつつ、最後は上手いことやられたなあ…と内心頭を抱える零であった。

ご案内:「訓練施設」から霜月 零さんが去りました。