2017/06/19 のログ
ご案内:「訓練施設」にセシルさんが現れました。
■セシル > 雨が降る休日。
セシルは屋外でのランニングを諦め、訓練施設のトレーニング器具を使ってそのメニューをこなした。
風を切る感覚も、前に進む達成感にも乏しい室内でのランニングは好きではないが、メニューをこなさないという選択肢こそあり得ない。
「………ふぅ」
所定の距離を走り終え(記録してくれるトレーニング器具は便利だ)、休憩スペースに出て来てスポーツ飲料を買うセシル。
休憩用のベンチに腰掛けて、スポーツ飲料を三分の一ほど一気に飲んでしまう。
■セシル > 「………しかし、酷い雨だな」
ベンチに座ったまま、訓練施設の窓から見える景色を眺める。
重く立ちこめた雲。空からしっとりと降り続ける雫のせいでかすんで見える風景。
元の世界にいた頃にはそう出会わなかったような重たい雨は、いつ止むのか見当もつかない。
(天気の好転を早々に諦めて正解だったな、鍛錬の時間がなくなるところだった)
そんなことを考えながら、再びスポーツ飲料のボトルに口をつける。
■セシル > 非番で、講義の課題も大体片付いているというタイミングは、そんなに多くない。
だからセシルは、今日はめいっぱい鍛錬をするつもりでいたのだ。
剣術も、魔術も。
「…よし、動くか」
半分ほど残ったペットボトルを手にしたまま、訓練スペースに向かうセシル。
■セシル > 訓練スペースに入ったセシルは、軽くストレッチをした後端末を操作してレイピア用の剣術基礎練習の訓練メニューをセットした。
「………。」
深呼吸を1つして精神を集中させ、剣を抜く。
セシルの剣術それ自体は、人の範疇を超えた力を持ったりする類のものではない。
速さ、正確さを突き詰める、地味なものだ。基礎鍛錬も、見ている者がいれば地味に映るだろう。
「………。」
それでも、その突き詰めたものこそがセシルの力なのだ。
その道は人の身の範疇でなお深く、集中するセシルの顔には汗も滲む。
■セシル > 均一な姿勢を保って、出来るだけ速く突きを繰り返す訓練。
指示される順番に従って、複数の的を素早く狙う訓練。
後者の訓練は、この訓練用端末の補助なしに一人でやるのは困難なので(元の世界では数字が書かれた的だけがあって、教官や師が狙う順番をその都度指示していたのだ)、剣術の同門がいないこの地においては有難かった。
「………。」
一通りの訓練を終えると、セシルは剣を収め、訓練スペースの端に置いておいたスポーツ飲料のボトルを手に再度休憩スペースに出てくる。
体力、集中力を総合的に使う鍛錬なのだ。次は更に集中力を使う魔術の鍛錬だし、休憩して気分は切り替えたかった。
■セシル > 「………」
ベンチに腰掛け、残ったスポーツ飲料を一気に飲み干してから、深く、大きく息を吐き出す。
実は魔術の訓練が一番大事なのだ。今年履修している元素魔術の成績と、防御術式の効果次第で、早ければ夏休み前に警備課への配属が決まる。
(…集中、しなければ…)
まだ脳に酸素が足りない。座ったまま、深呼吸を静かに、何度も繰り返す。
■セシル > 「………よし」
頭の中がすっきりして来たところで、気合を入れて立ち上がる。
ついでに空になったボトルをゴミ箱に放り投げて(相変わらず綺麗に入る)、訓練スペースに再度向かっていくセシル。
防御術式と魔法剣を合わせた防御訓練を、両方を扱うだけの魔力がある間続けてから、セシルは訓練施設を後にしたのだった。
ご案内:「訓練施設」からセシルさんが去りました。