2017/07/29 のログ
中条 薫 > 広い空間に設けられた共用訓練室。人型のサンドバッグやランニングマシンが設置されている場所。
初めて訪れた施設だが、なかなか良さそうな場所だ。

「たまには運動して汗かかないとね!」

通常の学生生活をエンジョイするのもいいが、時々思いっきり身体を動かしたい時もある。

更衣室で動きやすい服装に着替え、訓練場に立つ。
ガントレットは相変わらず着けたままだ。

中条 薫 > 軽いストレッチを済ませ、ランニングマシンに乗る。

「こういう立派なところのマシンだし、いい回転しそうだね。」

異能を持つ生徒達用に設けられた施設の為、通常のジムに置いてあるような器材とはどれも一味違う。今から使おうとしているランニングマシンも、高速移動を異能として持つ生徒用にかなりのスピードを出せる仕様となっているのだ。

タッチスクリーンに映し出される速度設定を調節し、開始ボタンを押す。軽いステップを踏みつつ歩みを進める。少しずつ慣らすように速度を上げていくマシンに悠々と着いていくが、スピードアップの警告音と共に急加速を始める。

中条 薫 > 「きたきたきたっ!」

速度表示が40km,50kmと上昇していく。速度増加と共に上体は前のめりになり、足の回転が凄まじくなっていく。
一瞬でも脚が絡まってしまえば勢いよく弾き飛ばされてしまいそうなクローラーの上を、女生徒は上体を振らさずに走っている。

傍から見れば実に異様な光景だろう。当の本人は周囲をものともせず、口角を上げてただただ走っている。

中条 薫 > 速度表示が150kmを示した辺りから彼女の顔に汗が滲んできた。
次第に息を切らし、体幹にも振れが生じ始める。

「こ、これ以上は…っ!」

マシンの停止ボタンを押し、回転を少しずつ落としていく。
完全に停止する時には彼女は全身汗だくになり、肩で息をしながらその場にへたりこんでしまった。

「はぁっ……はぁっ……ひ、150km、が…限界…か……っ」
今にも消えてしまいそうな声で悔しそうに呟いた。

中条 薫 > 大の字で床に寝転がり、側に置いてたあらかじめ買っておいたスポーツドリンクを頭に乗せて冷やそうとする。熱と疲労で朦朧とする頭に、ヒンヤリとした最高の感覚が伝わる。

滝のように流れる汗も相まって次第に身体の熱が逃げていく。
頭に酸素が戻ってきた彼女は上体を起こし、すっかり温くなったスポドリをあっという間に飲み干した。

「久しぶりにいっぱい汗かいたなぁ…。」

タオルで顔を拭い、ふぅっと一息。
彼女の顔は血液の循環で真っ赤に紅潮していた。

ご案内:「訓練施設」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > 「うわ、凄いなあ。」

ランニングマシンの後ろの方に置かれたトレーニング機器。
一見してどこを鍛えるものか分からないそれを使用しながら小さくそう呟いた。
 
機器の使い心地とかではなくランニングマシンを走る女子生徒の速度がの話だ。
残像が見えそうな、いや実際足の残像が見えるような速さで走っているのにも関わらず。
上体には殆んどブレがない。
元々の本人の資質もあるだろうけど訓練によるものが大きいのだろう。

恐らく肩の辺りの筋肉に効くのだろうそんな感じがする機器をガションガション鳴らし使いながら
女子生徒が走り切るまでの様子を見ていたが…。

「凄いな君!かなりやるじゃあないか!!たいしたものだよ!!
 あの速度は速さに特化した種族でもそうそうでないだろうね!!」

座ったばかりの女子生徒にいきなりそうやって話かける!!
未だにその良く分からない機器を動かしてトレーニングを続けながら!

中条 薫 > 「?……あ、ありがとう。」

体力を戻す事に集中していて、自分の事を言われていることに気づけなかった。何やらトレーニングを続けながら話しかけてきた男は、ヒーローを催した様な立派なマフラーをなびかせている。
あのマフラーのセンスは嫌いじゃない。

「まさか、ずっと見てた?」

まだ呼吸は整えられてないが、おぼつかない脚でゆっくりと立ち、男の元へ歩み寄ろうとする。

真乃 真 > 「…どういたしまして!!」

そう言いながらも腕の動きは止めない。

「いいや?ずっとではないよ!
 だいたい、足の動きが見えなくなったぐらいからかな?
 だいたいそれぐらいであの子マジ早いなって思ったよ!」

ずっと見ていた訳じゃない。
トレーニング中、思考の大半は鍛えている場所についてとどういうポーズがカッコいいかなど
そんな事に費やされている。
だから、始めのうちは視界に入ってたぐらいだ!

「あっ座っててもいいよ!休んでなよ!
 それにしても早かったね!何か特別な事してたりするのかい?
 もしかしてそういう異能とか?」

立ち上がろうとすればそれを制して逆に近づいて行って
適当な距離で腰を下ろした。

中条 薫 > 「あら…お気遣いありがとう。」

遠慮なく、とその場で女の子座りで収まる。

「まぁ、たぶん異能のひとつかな。身体能力は元々高かったけど…10歳くらいの時に急に身体が軽くなったような気がして…今ほどじゃないけど脚力が強くなったんだ。」

これとは別にちゃんとした異能があるんだけどね、と付け加えてえへへと笑った。
呼吸が整ってきたらしく、幾分楽そうになっている。

「貴方はいつもここに居るの?」

相手のことを質問する余裕も出てきた。

真乃 真 > 「なるほど。10歳から鍛えてこそのあの速度か!
 走るフォームも綺麗だったしけっこう努力したんだろう?」

脚力強化だけであれほど綺麗に走れるものか。
あの走りには優れたバランス感覚や確かな体幹色々な努力が感じられる。

「へー別にもう一つ異能があるのかい!?
 どんな異能なんだい?良かったら教えてよ!」

純粋な興味からめを煌かせながら尋ねる。
この脚力と近い系統のものだろうか?
それとも全然違うものだろうか?

「トレーニングは良くしてるね!
 普段は外を走ってることが多いけどこの時期は暑いからね。
 この施設を利用することが多いね!
 君も結構、身体を動かしたりするの好きなのかい?」

中条 薫 > 「それなりに、ね。人にばっかり頼っては生きていけないからね。」

子供たちの面倒も見つつ身体を鍛えてたのが懐かしい気がしてくる。そんなに前の事じゃないのに。

「いいよ、教えてあげる。私はね、影に潜れるんだ。」

そう言って、汗を拭いていた大きめのタオルを両手で頭の上に広げて影を作る。座ったままの体勢で水に沈むように影に沈んでいく彼女。最終的に彼女の居た場所にはタオルだけが残った。

すると、対面に座っていた男の後方の影から片腕が生え、男の身に着けているマフラーを掴み、そのまま影に飲み込んでしまった。
彼女のタオルの位置から、ついさっき引きずり込んだ男のマフラーを巻いて再び彼女が戻ってきて、

「こういう能力さ。どう?」ニヤぁっと笑う。
分かりやすく実演してみたがどうだろうか。

「ガッツリ鍛えるのはあんまりしないけど、身体を動かすのは好きだよ?」

真乃 真 > 「…うん、最後、一人になった時に頼れるのは自分だけだからね。」

…割と人に頼ってばかりのような気がする真には耳が痛い。
頼れるときは頼る。頼られる時は頑張る。一人になっても諦めない。
そんな風な生き方だった。

…この子は結構、厳しい環境で育ってきたのかもしれない。

「おおっ!!ああっ!僕のトレードマークが!!」

影の中から出て来た手に反応できずにタオルを取られてしまった!!
何て早業!別の影中にも移動できるのか!

「カッコいい異能じゃないか!
 色々便利に使えそうな感じもあるし!
 後、それタオル似合うね!かなり似合うと思うよ!!」

色々と便利に使えそうな異能だ。
さっきみたいな悪戯とかあと戦闘にも使えそう。

…それはともかく似合うなそのタオル!
手のガントレットのゴツさと良い具合に合わさってテレビのヒーローのようだ!

「まあ、返してもらうけどね!」

そう言いながらその長いタオルの先端に触れればいつの間にかそれは
あるべき場所へと男の首へと戻っていた。

「…これが僕の異能さ!自分が触った物と、自分の姿勢を一瞬で変える異能!」

異能は異能で実践して返す!
そして、無駄にカッコいいポーズをとって自信ありげに笑って返す。

「そうか!じゃあまた機会があったら模擬戦闘とかもしてみたいな!
 って君そう言うの…戦いみたいなのってするのかい?」

中条 薫 > 「え、カッコいいかな?うれしいなぁ。」

彼の嘘偽りの無さそうな褒め言葉にむず痒くなってしまう。ストレートに褒められるのは凄く嬉しい。

「似合うコレ?私もイカスって思ってたんだ~このマフラー!」

思わず着けてみたくなっちゃったから巻いてみたんだけど、似合うかぁ私も欲しいなぁ。

褒め言葉に気分が上がっていると、彼の異能が披露され、目にも止まらぬ一瞬の間で巻いてたはずのマフラーを回収されていた。
反射神経にはかなり自信があっただけに、移動した速さを見切れずに素直に驚いた。

「貴方の異能も無限の可能性があって素敵ね。」

肉弾戦でも魔術戦でも、この異能を発揮すれば相手のペースを常に崩して戦えるだろう。応用が効く素晴らしい異能だと感心した。

「いいねぇマフラーとそのポーズ。モノホンのヒーローみたいでカッコイイわぁ。」

結構彼とは嗜好が合いそうだ。

「模擬戦かぁ、たまにはやって見てもいいかもね?走るだけじゃつよくなれないし。もしやる時はお手柔らかに頼むよ?」

意地悪そうにニヤぁっと笑ってみせる。

真乃 真 > 「ああ、似合う!かなり似合うよ!
 ああ、そうだろ!イカすだろう!?
 君のその腕のもカッコいいと思う!」

お互いに互いの恰好を褒めあってる!
…なんとなくセンスが近いのかもしれない。

「まあね!生まれた時からの付き合いだからね!」

いや、正確には産まれる前から母の胎内ですでに異能を使っていたという話も聞いたことがある。
まあ。とにかく自慢の異能だ。

「ああ、ヒーローみたいだろ?何事もまずは恰好から入るタイプなんだ僕は。
 …実際は僕じゃヒーローになんてなれないんだけどね。」

憧れていても届かない。届かなくても少しずつ近づこうとはしている。
それでもテレビに出てくるヒーローの様にはどうにもなれそうにない。

「おお、本当かい!?じゃあ、又の機会にお願いするよ!
 …そちらこそお手柔らかにね!」

あのスピードで来られたら互いに危険だ。
いや、相手は慣れているぶん真が一方的に危険だ!

「っと自己紹介がまだだったね!僕の名前は真乃真!この学園の四年生だ!君は?」

中条 薫 > ガントレットも褒められた!好きだわこの人。
ガントレットを褒めてくれる人は皆好きだ。


生まれた時からの付き合い、か。私の影潜りも、産まれてすぐ捨てられた時に自衛のために発現したってお父さんから聞いたし、意外と似てる所あるかも…。
まあ境遇は違うんだろうけどね。

「どうして?正義感を持って人助けをするなら、みんなヒーローだと思うけどなぁ。」

彼はとてもヒーローという存在に憧れているのだろう。行動や言動で見て取れる。
彼がどう思っているかは分からないが、少なくとも彼女からすればもう立派なヒーローだと感じている。

「真…先輩でしたか。私は中条 薫って言います。最近入校してきた一年です。だいぶ失礼な応対しちゃいましたけど…よろしくお願いします。」

先輩と知り、慌てて立ち上がり敬語で挨拶を返した。

真乃 真 > 「…それはただの良い人だよ。困ってる人を助けるのは素晴らしいと思う。
 自分の正義感を持って行動するのは尊いと思う。
 でも、それだけじゃあ足りないんだよ。」
 
ヒーローはもっと、どんな逆境も乗り越えるくらいでないと。
理不尽に泣く人を全て助けられるくらいでないと…。
そんなフィクションでしかありえない存在こそが真にとってのヒーロー。
なるべき目標なのだ。

「よろしくね!中条さん!…急に敬語になるとなんかくすぐったいな!
 別にさっきまでの感じでいいよ!話やすい感じで話してくれていいよ!」

立ち上がられたら、こちらも釣られたように立ち上がる。
…タメ口からいきなり敬語に変わると少し落ち着かない。
特に敬われるような存在だとは思っていないしさっきまでの喋り方でも気にしない。

「…さてと、僕はこれから自販機にジュースを買いに行こうと思うんだけど中条さんも来るかい?」

中条 薫 > ヒーローになるというのも一筋縄では行かないらしい。
彼にはいつか皆に慕われるような立派なヒーローになって欲しいと切に願うよ。

「そう…ですか?まあ確かによそよそしい感じにはなりますけど…。
じゃあさっきみたいな感じで、どうぞよろしく!」

ちょっと躊躇いがあったが、先輩が言うならと、先程と同じ緩い薫に戻った。

「え、もしかして奢ってくれたり?さすが先輩は違うなぁ~。」

さっきの戸惑いは何処へやら、調子付いて奢ってもらおうとする後輩になってしまったが、実はこういう軽い性格が本当の彼女だったりするのだ。



後々になって、(もしかしてあの時凄い汗臭かったんじゃないか…?)と思い、頭を抱えたらしい。

ご案内:「訓練施設」から中条 薫さんが去りました。
真乃 真 > 「うん、こっちの方が落ち着くな!」

こっちのほうが自然でいい感じだ。
よそよそしい感じも感じない!

「フッ…先輩として当然だろう!」

カッコをつけて片目を閉じる。
そして、そこから無駄にカッコいいポーズ!!
ジュースぐらいで大仰な事だ。




…財布の中が軽くなってきた。
…また、バイトとか探した方が良いかもしれない。

ご案内:「訓練施設」から真乃 真さんが去りました。