2017/09/13 のログ
ご案内:「訓練施設」に暁 名無さんが現れました。
暁 名無 > たまには思い切り体とか動かした方が良い。
親しい養護教諭にそう諭されたのは、猫になったのを良い事にごろごろ三昧を続けて5日が経ってからだった。
そうは言われても猫ってこういうものだろう、と反論したところで聞き入れて貰えず、半ば強制的に訓練施設行きを命じられたのが今日の俺のハイライト。

「にしても、猫用の運動器具とか置いてあるのかね……?」

そんな根本的な疑問に気付いたのは、既に施設に到着した後だった。
なんだか体よく騙された気がする。

暁 名無 > 結局猫用の運動器具なんてランニングマシンを兼用する、くらいしかなかった。
今更これで何を、と思わないでもなかったけども、歩くだけでも良い運動になるだろうと割り切って歩き始める。
30分も経たないうちに何やってるんだろうという気持ちがとても強くなってきた。

傍から見れば二足歩行する猫が黙々と歩き続けている。
改めて考えてみると面白映像過ぎる。動画を撮られて投稿番組に送られててもおかしくはない。

「……はぁ。」

しかも時々溜息を吐くし。

ご案内:「訓練施設」に和元月香さんが現れました。
和元月香 > 昨日の件で、腕始め体部分の多くに衰えを感じた。
それに危惧した月香は、訓練施設にて肉体トレーニングをこなしつつ、
プログラミングされたエネミーをボッコボコにしまくっていた。

「ふぃー。いい汗かいたー」

滅多に飲まないスポーツ飲料水を飲み干して、
月香は爽やかな笑顔を浮かべて汗を拭う。

空になったペットボトルをゴミ箱に捨て、
自分が利用途中の区域に戻ろうとふと目を向けた場所に...。

「っっ!?」

猫がいた。
しかもランニングマシンの上で溜息をついている。

(えっちょっとちょっとちょっとちょっと待ってなにあれすごくかわいい)

猫が大好きな月香は、その姿の愛くるしさにぷるぷる震えながらも
じりじりと距離を詰めていく。
猫は警戒心が強い子も多い。しかしせめて、一撫では確実にしたい。

暁 名無 > もうそろそろ充分運動しただろうか。
いい加減戻って昼寝の続きをしたい。
そんな事を考えながら黙々とランニングマシンを歩く。
多分4キロくらい歩いたら運動したと見做しても良いんじゃないか、そしたら帰ろう。よし帰ろう。

目標が定まると途端にやる気が沸いてくるのは、我ながら現金だとは思う。

「ほっ、ほっ、……もうすっかり慣れたにゃ……。」

初めのうちは足の形状から常に爪先立ち歩きで歩き難かったもんだけども。
ほんの数日前を振り返る俺に、此方を窺う気配には気付く余裕は無かった。

和元月香 > (シャァベッタァァァァァァァ!!!
いや、嘘でしょ。語尾にゃんとか可愛いかよ?
え、なに、めっちゃ可愛い)

まさか散々セクハラ教師呼ばわりしていた人が正体だと知る由もなく、
真顔の裏で奇声を上げる月香は、傍から見れば完全に不審者のポーズをしている。

まるで忍者の如く静謐に。
まるで獣の如く俊敏に。

身体能力をフル活用した速さで、
月香はあっという間に猫の姿をした相手の背後を取り____。

「つかまえた!」

無邪気にはしゃいだ声を上げながら、
しゃがみこんで猫の横腹を両手で優しく掴むだろうか。

暁 名無 > 「ニ゛ャァァァァァァァァ!?」

あと30分も歩けばこの虚無地獄から解放される。
そんな事を考えていた矢先の事だった。突然背後から襲われた俺は、おおよそアラサー男が上げちゃいけないタイプの悲鳴を上げた。
というか、俺自身でもこんな声出て来るのかと驚く始末。

「にゃ!?にゃんだ!?……誰だ!?」

付近に人は居なかったはず、と思ったものの。
それはランニングマシンに乗るまでの話で、そこからは考え事に次ぐ考え事で碌に周囲の確認なんてしていなかった。
これは素直に反省案件である。後で反省しとこ。

和元月香 > 「わっ、と!」

思いの外大声で叫ばれて、思わず手を離す。
しかし瞬時に右手を頭に押し付け、撫でる体制に入ろうか。
悲鳴がいかにも猫でいいなぁ、とにやけつつ後ろから撫で撫でするだろう。
...しかし、何故か声に聞き覚えがあるような、無いような。

「ただの猫好きですー」

まぁいいか、と丸投げにして。
月香はそう答えつつ猫の毛並みを堪能し続けようか。

暁 名無 > 「はー……ビックリした……」

寿命が縮むかと思った。いや、この時代に居る限りアラサーのままだけども。
ランニングマシンの上で歩き続けながら、俺は黙々と頭を撫でられている。
下手人は背後に居る為振り返らなければ確認が出来ない。

今振り返ったら確実に転ぶ。

「幾ら猫好きでもやって良い事と悪い事があるからにゃ。
 触れる時は事前に一言何か伝えにゃいと。心臓止まるかもしんにゃいだろ。」

ぶつぶつと不満を口にしつつ俺は歩く。
周りの景色は変わらず、ひたすら頭は撫でられ続けても。歩く。
……何だこれ虚無度が増した。

和元月香 > 「ありゃ、ごめんなさい。
.......んー?」

何だか思ったより人間臭いようだ。
ちょっと笑って謝りつつも、ひたすら頭を撫でる月香。
ふわふわとした感触に、色んなものが浄化されていく。

それにしてもどこかで聞いたことがある声だ。
まさか、と思いつつも眉を顰めて月香はまた歩き出した猫に尋ねた。

執拗に頭を撫でながら。

「...もしかして、暁先生?」

暁 名無 > 「ん?そうだけd……じゃにゃい!
 ええと、これはアレだ!遠隔操作型の召喚獣的にゃサムシング!」

思わず生徒に通してた設定を忘れかけて返事をするところだった。
恐るべし虚無感。何もかもを忘れて素の自分に戻りそうになってしまう。
遠隔操作の召喚獣がなぜランニングマシンの上を歩いているのか、という疑問は持たないで欲しい。
……正直、それに上手く返せる自信が無い。

「……それよりいつまで頭撫でてるつもりにゃんだ?」

和元月香 > 「.....えー、ほんとにー?」

疑惑の眼差しを躊躇無く向ける。
グサグサ刺さるであろうそれは、案外早く逸らされた。
多分嘘だが、まぁそうしておこうという結論になったのだ。
...なんかすごい必死だから。

「ん、ありがと。満足っす」

妙にキラキラとした笑顔と、満足感に満ち足りた声色。
手を離して、しかしランニングマシンの上で歩く猫をにこにこしながら見守る。

「なんで召喚獣がここにいるのかは聞かないでおくよ!」

暁 名無 > 「ホントに。
 本物の俺は現在自宅に引きこもって研究中!」

そういう事になっている。生徒には。
俺の授業を受講している生徒は大体察してくれている、非常に出来が良い子供たちばかりだ。
付き合いが良いことは社会に出てから大事な要素になるぞ。

「うむ、満足したにゃら良かった。
 ……うん、うん。聞かないでくれ……。」

いや、召喚獣にも適度な運動を、とかそういう理由づけも……無理だな。
そもそもアニマルに自発的な運動をさせる事が無理くさい。