2018/01/21 のログ
ご案内:「訓練施設」にレンタロウさんが現れました。
レンタロウ > 「………ふッ!」

幾つか存在する訓練施設の一つ。
そこでは、男は軍刀を手に訓練を行っていた。
男の両の瞼は閉じられているにも関わらず、周りの様子がはっきりと認識できているかのように、
的確に訓練用の敵を斬り払っていく。

レンタロウ > その手に握られた軍刀の刀身は青白く輝いている。
男が軍刀を振るう度に、淡い光が刀身の軌跡を宙へと描いていた。

「…ぬんッ!!」

軍刀だけでなく、拳と脚を使った打撃を織り交ぜながら"効率良く"倒していく。
そう意識して動くというよりは、身体が自然とそう動いているような感覚だった。

レンタロウ > やがて、全ての敵を倒し終わったところで訓練終了のアナウンスが響く。
男は軍刀を鞘に納め、倒した敵を見下ろした。

「………。」

何も言葉を発しない男の表情は、何処か予想した通りと言いたげなものだった。
倒した敵の全てが、人体であれば急所となる箇所への攻撃で倒れていた。
意識したわけではなく、自然にそう身体が動いた。

逆に言えば、身体にそういう動きが染み込んでいるということになる。

「…嫌なものだな…はは、は……はぁ。」

レンタロウ > 男は昨晩に夢を見た。
厳密には夢とは言えないような、色だけの景色だった。

一面に広がる赤黒い色。その中に漆黒を思わせるような部分があり、それの傍には青白い線が一本。
ただ、それだけの子供がクレヨンが何かで描いたような絵のような夢。

「……はっ…?」

頭の中に、また一瞬だけ絵のような景色が浮かび上がった。
あり得ない話だが、眠っていたのかと頭を振る。

レンタロウ > 「ただの夢ではないのは、なんとなく分かるのだがな…」

恐らくは失った記憶に関わる部分なのだろう。
しかし、それだけでは全く意味が分からない。
…否、本当は分かりたくないというのが男の本音だった。

「…続けるとしようか。」

気を紛らわす目的で訓練を続けることにした。
今度は、軍刀を使わずに体術だけでこなすつもりのようで、
異能で強化した跳躍を織り交ぜて敵へ打撃を打ち込んでいく。

レンタロウ > 「ぐッ!!」

一体の敵へと打撃を連続で入れていく最中に、他の敵からの攻撃を受けてしまう。
続けての訓練だから、軍刀を使わないから…というよりは、意識して急所を避けて打撃を打ち込んでいるせいだった。
敵を倒すのに時間がかかり、そのせいで攻撃を食らうといった状態だった。

「おらぁああッ!!」

それでも何とか全ての敵を倒し終わり、終了のアナウンスが響く。
同時に男は膝に手を付いて、大きく肩を揺らして何度も呼吸をした。

レンタロウ > 「はぁ………はぁ………くそ、口の中を切ったか…?」

咥内に広がる血の味に苦い顔をする。
身体が鈍ったわけではないけれど、結果として攻撃を食らってしまった。
上手くいかないこともある、と思うのは簡単だが。

「…今日は、ここまでにしよう。」

これ以上続けても、きっと成果は上がらないだろう。
そう思った男は休憩所へと移動した。少し休んでから戻ろうと思ったらしい。

レンタロウ > 休憩所に移動した男は、適当な椅子に腰掛けた後ぐったりと俯いた。
分からないこと、考えるべきことが多過ぎて、少々脳が疲れたらしい。

「………ふぅ…。」

周りに誰も居ないだろうと思っているのか、少し大きく溜息をついた。

ご案内:「訓練施設」に中条 薫さんが現れました。
中条 薫 > 大きなため息をついて項垂れる男の真下、丁度影になっている床から腕が一本にょきっと「生えて」きた。

その腕にはペットボトルの水が握られている。

それを男の首元に当てると、すぐさま影に潜っていった。

レンタロウ > 「…………ん?」

視界には自分の身体で作られた影。
それだけしかないはずなのに、その中から何故か腕が生えてきた。
もしかしたら、また変な夢でも見ているのかと思っているとペットボトルを首元に当てられて。

「うおッ!?夢じゃなくて現実かッ!?」

確かに首元に感じた感触に現実だと認識すると同時、奇妙なものを見たと顔を上げる。

中条 薫 > 「ありゃ~不意を突いたつもりだったんだけどなぁ。普通に見られてたかぁ。」

男の背後から気の抜けた声が。
手元には先程地面から生えていた腕と全く同じものが握られている。

「はいこれ、あげる。」

一言、まるで慣れ親しんだ友人に接するような軽い態度でペットボトルを差し出した。

レンタロウ > 「…いや、流石に俺の影から腕が生えてくるなど、まさか幻覚の類か…?」

考え事のしすぎで、脳に異常が生じてしまっているのかもしれない。
これはマズイことのではないかと独り呟いていると、後ろから聞こえた声に勢い良く顔を向ける。
視界には褐色肌の少女。その手にはペットボトルが握られていた。

「ん?あぁ、すまない。ありがとう………て、違うッ!先程のは貴殿がやったか?」

差し出されるペットボトルを流されるような形で受け取る。
丁度喉も乾いていたと思っていたが、ハッ、と我に返り、少女へと尋ねた。

中条 薫 > 「? そうだよ? なんか思い詰めてそうな様子だったから気分転換にでもなればいいかなっと思って、さ。」

特に深い意味はないよ、と軽く受け応えつつ男の横の椅子に身を投げるように腰掛ける。

もう片方の手に持っていたサイダーの蓋を開け、一口煽った。

レンタロウ > 「…そうか、幻覚の類ではなかったか…」

それはそれで安心したと男はホッと胸を撫で下ろした。
だが、傍からそう見えたということは、相当なものだったのだろう。
らしくない姿を見せてしまった、と少し苦い顔をした。

「すまんな、辛気臭いものを見せてしまった。」

隣の椅子に腰かけた少女にそう謝罪しつつペットボトルの蓋を開けて中身を同じように一口煽った。

中条 薫 > 「いえいえ、悩みは誰にでも1つや2つ必ずあるモンだしねぇ。」

渡した水を飲んでいるのを見て、フッと微笑む。

「そう言えば、さっきの戦闘シミュずっと見てたんだけどさ、どうして後半徒手空拳に変えた時にあえて急所外すように戦ってたの? そのせいで何発か食らってたみたいだけど・・・。」

彼の剣技と格闘を組み合わせた戦闘スタイルに親近感を覚えた彼女は、自分の運動を止めてでも見入ってしまっていた。

そのときに感じた違和感の原因を突き止めるためにも、彼に声をかけたのだった。